2020年10月30日

『家族なら、いっしょに住んでも問題ないよね?2』

高木幸一 先生が贈る甘く、もどかしい青春ラブコメ。第2巻は“真”は“姫芽”に対して
恋愛感情があるのか否か、2人の過去を知った“波月”の機微を交えて迫っていきます。
(イラスト:YuzuKi 先生)

http://www.sbcr.jp/products/4815608064.html


演劇の練習、そして町内運動会に向けたトレーニングを通じて草原家の一員としての絆を
より深めていく“真”。ふれあいを通じて少しずつ考え方を変えてきた彼の成長ぶりが
目覚ましく、同時に彼への淡い想いを募らせる“波月”と“姫芽”の機微がもどかしくて。

“波月”から提案された「三人デート」を通じて意外にも上手くまとまった、かと思えば
自分の想いと“姫芽”の気持ちに感情を拗らせた“波月”の様子が痛々しい程につらくて。
そんな彼女の姿を見た“真”が自身の気持ちにどう決着をつけるのかが気になる展開です。

その行方は、超人的にすべてを見通す“宙子”の発言が物語ってくれているので見届けて
いただければと思いますが、ここで完結というのは何とも惜しい。禁則処理の件とか色々
思うところはありますが、高木 先生の次回作が発表されることを心より祈るばかりです。

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2020年10月29日

『僕の軍師は、スカートが短すぎる〜サラリーマンとJK、ひとつ屋根の下』

七条剛 先生が贈る新作は、終電帰りが当たり前な日々を過ごす会社員が女子高生を助けた
お礼にと適切な助言を受け続けることで生活を一変させていく同居生活ラブコメディです。
(イラスト:パルプピロシ 先生)

http://www.sbcr.jp/products/4815607470.html


ある日の夜、会社員の“史樹”が自宅の前で見知らぬ女の子が蹲っていることに気が付く。
彼女の名は“穂春”。お願いされて自宅へ泊めた翌朝、彼女から珍しい手土産を渡される。
「これを会社の人に渡せば定時帰りが出来る」と彼女が言うので持って行ってみるが──。

心理学の知識を活かし、アイドルグループを大躍進させた実績を持つ“穂春”の突拍子も
ないアドバイスが“史樹”に降りかかるトラブルを次々解決させていく展開が実に爽快で。
そんなサクセスストーリーに加え、勧善懲悪な要素もあるため読了感が半端なく良いです。

“穂春”はなぜ心理学に詳しいのか、あの夜“史樹”の家に居た理由は、といった疑問も
しっかり答えてくれていて物語の構成を見ても絶妙な本作、オススメするしかないです。
「妹第一主義」な“史樹”の心に“穂春”は迫ることができるのか、続きが気になります。

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2020年10月28日

『ねえ、もっかい寝よ?』

田中環状線 先生のデビュー作は、片や酪農家を目指して、片や上京することを夢見て共に
努力を重ねた疎遠な幼馴染の男女2人が再会し、毎晩添い寝する顛末を描くラブコメです。
(イラスト:けんたうろす 先生)

https://dengekibunko.jp/product/322004000050.html


幼い日に“静乃”へ精一杯のプロポーズをした“忍”。転校した彼女が同じ高校を目指す
と知り、札幌で劇的な再会と果たしたかと思えば「約束」を勘違いしていることが判明。
「ある問題」を抱える彼が悩みの種を増やす一方、彼女もとある不調が続いていて──。

保健室のベッドで一緒に寝るハプニングを迎えた“忍”と“静乃”。高校に上がってから
謎の不眠に悩んでいる2人が「添い寝」に打開策を見い出し、共に誤解も解けないまま、
夜の逢瀬を重ねていく様子、とりわけ油断も隙も露呈していく彼女の姿が実に可愛らしい。

約束の件だけでなく、価値観の違いにも振り回されながら、それでも“亮祐”や“花音”
といった良き理解者にも恵まれて「脈あり」な関係が続く展開を見届けられるのが嬉しい。
ぜひシリーズ化していただいて、2人の不眠や誤解の謎に迫ってくれることを期待します。

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2020年10月27日

『午後九時、ベランダ越しの女神先輩は僕だけのもの』

岩田洋季 が贈る新作は純情ラブストーリー。日常生活では見せない思わせぶりな言動を
ベランダ越しであらわにする年上の想い人に振り回される少年の大切な日々を描きます。
(イラスト:みわべさくら 先生)

https://dengekibunko.jp/product/322005000024.html


誰とも付き合う気がない、と公言する“夏菜子”は「みんなの女神」と称される美少女。
彼女に心酔する“つばき”から時折バスが一緒だと追究された“旭”はついはぐらかす。
家が隣なことも、部屋が近いことも、そして自分のことを好きだと言われたことも──。

“旭”は自室の窓越しに、“夏菜子”はベランダから、2人だけで過ごすゲームの時間。
彼を手玉に取るように接する彼女が時に蠱惑的で、時に可愛らしくて。釣り合わないと
思いつつも彼女が好きだと言ってくれる理由を探る彼の頑張り具合がまた微笑ましくて。

そんな2人だけの秘密を脅かす事態が去来し、ベランダ越しの距離が色々な面で抑止力
となっていた点に気付かされる展開がもう純情の極みのようでご馳走様と言わんばかり。
幸せな時を積み重ねる2人を描く みわべさくら 先生の挿絵も絶妙でお薦めの作品です。

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2020年10月26日

『幼なじみが絶対に負けないラブコメ5』

2021年のアニメ化を早々に決めた、二丸修一 先生が贈る大人気ヒロインレース。第5巻は
“末晴”にファンクラブができたと聞き、“黒羽”たちが共同戦線を組む事態を迎えます。
(イラスト:しぐれうい 先生)

https://dengekibunko.jp/product/osamake/322005000018.html
https://osamake.com/


浮かれる“末晴”へ釘を刺すべく現れた、生徒会副会長“橙花”。校内秩序を保つために
ファンクラブのリーダーを務めるという彼女を訝しむのも最もで、クラブを潰しにかかる
“黒羽”たちの想いが錯綜し、表に裏に策を巡らせる展開は面白く眺めることができます。

対する“橙花”は“末晴”や“黒羽”たぢに対してどんな感情を抱いているのか。彼女の
これまで培ってきた人生観を知った上で接してくる“末晴”に、更に彼が示してきた策に
独白する内容から明らかになるにつれて、こそばゆさと共に切なさがこみ上げてきます。

今回、“末晴”から相談を受けた“朱音”の深慮遠謀ぶりと強かさも興味深い要素の一つ。
ファンクラブ騒動を彼なりに治めようとした努力は買いましょう。被害は甚大かもですが。
“哲彦”に告げられた「群青同盟」の新たな敵から「彼女」を守れるか、次巻も注目です。

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2020年10月23日

『本好きの下剋上〜司書になるためには手段を選んでいられません〜第五部「女神の化身3」』

香月美夜 先生が贈る大人気ビブリア・ファンタジー。 第五部最3巻は領地対抗戦に臨む
“ローゼマイン”の下で一晩世話になる“フェルディナンド”が様々な思いを明かします。
(イラスト:椎名優 先生)

https://tobooks.shop-pro.jp/?pid=150976495


件のディッターで「ダンケルフェルガー」が「エーレンフェスト」に対し誤解を抱いてた
ことへようやく釈明の場を設けられた・・・と思ったら価値観の隔たりに頭が痛くなる思い。
記憶の混濁、幻覚を見せる植物「トルーク」も使われていたことも後々に響きそうで怖い。

それにしても“ローゼマイン”の婚約者であるはずの“ヴィルフリート”が彼女のことを
気遣えていない点には読者としても不信感が募ります。“フェルディナンド”と彼女との
やりとりを見て対比する周囲の反応も得心がいくというもの。こちらも不安要素でしょう。

“フェルディナンド”が“ローゼマイン”に小言を並べる様を見るのはやはり安心します。
そんな彼も傍若無人な婚約者に不遇な扱いを受ける身。しかしラストで一矢報いたあの顔、
根本的な解決にはならないものの胸がすく思いです。事態の好転を祈り、次巻を待ちます。

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2020年10月22日

『死体埋め部の回想と再興』

斜線堂有紀 先生が異色の青春ミステリー。「死体埋め部」“織賀”と“祝部”の2人が
青春の一幕と、分岐した未来をそれぞれ描いた二つの小編も収録した青春の補遺集です。
(イラスト:とろっち 先生)

http://www.shinkigensha.co.jp/book/978-4-7753-1858-4/


“祝部”が死体の謎を推理して“織賀”が承認する。今や「死体埋め部」過ごす日常に、
それは旅行中という非日常においても変わらない。けれどそれは“織賀”との関係から
“祝部”が逃れられないことの裏返しなのかも知れない、と本作では痛感させられます。

「追想リコレクション」で、不本意ながら“織賀”のジャガーを譲り受けた“祝部”が
一人でバイトを続け、一人で死体に推理を巡らせ、一人で身も心も崩して生きていく。
痛々しいその姿は人を殺めた、足を踏み外した人間であることを見せつけてきて切ない。

読み終えて出これが分岐した未来の一つであることが救いなのかも知れないと思いつつ
もう1つの小編「再興と展開」ではどうにかいつも通りの2人の様子を見届けられて
思わず安堵。終わることなく続く2人の関係をつい期待したくなる1冊だと感じました。

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2020年10月21日

『呪剣の姫のオーバーキル〜とっくにライフは零なのに〜』

川岸殴魚 先生が贈る新作は、周囲が気分を悪くするほどモンスターを惨殺する女剣士に
目をつけられた儀仗鍛冶師を夢見る少年が彼女の旅に同行し、その一部始終を見届けます。
(イラスト:so品 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094518696


家を再興するため儀仗鍛冶師を目指す“テア”。ミスリルを求め辺境へ向かう旅中、突如
オークの集団に襲撃されてしまう。あわや命を落とす窮地を異形の女剣士に助けられるが
その首を落とすだけで飽き足らずひたすら惨殺する。なぜ彼女は凶行に及ぶのだろう──。

凄腕の討伐者“シェイ”が扱う武器を急造できる“テア”にとってはミスリルを入手する
機会を得るためとはいえ殺戮の現場に何度も巻き込まれるのはいい迷惑・・・のはずが次第に
彼女の真意に触れていくにつれ、満更でもなくなっていく関係の変化が興味深く、面白い。

所々で笑いを取りにいく姿勢や、その内容は 川岸殴魚 先生らしさを感じさせてくれます。
“シェイ”の生き様に共感した“テア”が見せる究極の選択、それに応える彼女の誠意に
心温まるものがありました。スプラッタな描写に耐性がある方へオススメしておきます。

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2020年10月20日

『くちぶえカルテット』

Vtuber小説家 モノカキ・アエル 先生のデビュー作。声にコンプレックスを持つ少女が
吹奏楽部でも挫折を味わい、「口笛」で自分らしい音を表現するまでの道のりを描きます。
(イラスト:みよしの 先生)

https://www.j-n.co.jp/books/?goods_code=978-4-408-55625-3


親友の“星良”から同じく所属する吹奏楽部を辞めたいと悩みを打ち明けられた“柚葉”。
一旦席を外した間、彼女が口ずさんだ口笛の上手さに心奪われ、自分も始める決意をする。
部活の練習中にも口笛を吹く熱の入れ様に“柚葉”は部員から見咎められてしまうが──。

音楽を楽しんでいた少女たちが、いつしか音に悩まされる姿は実に切なくてもどかしくて。
その活路を口笛に見い出したはずが、口さがないことを言われたりするのがまた苦しくて。
まるで「コンクール至上主義派」に抗戦するかのような暗喩を匂わせる構図が興味深くて。

“真子”や“絵留”と口笛を通じて友だちとなって、ピンチをチャンスにつなげるラスト
には安堵にしましたし、“柚葉”が一縷の望みを掴んだ一面は努力が報われそうで好感触。
“星良”の決心に、そして モノカキ・アエル 先生の門出を心より祝いたいと思います。

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2020年10月19日

『失恋後、険悪だった幼なじみが砂糖菓子みたいに甘い 〜ビターのちシュガー〜』

七烏未奏 先生の「小説家になろう」投稿作が書籍化。失恋に心を痛める少年と、その彼に
好きと言えずもどかしい思いをした幼なじみの少女が繰り広げる甘くて切ない恋物語です。
(イラスト:うなさか 先生)

https://kc.kodansha.co.jp/product?item=0000345465
https://ncode.syosetu.com/n1045gd/


初恋に夢中だった“悠”が直面する突然の失恋。学校を休むほど気落ちする彼を気遣って
見舞いに来たのは、理由も分からず長いこと険悪な関係になっていた幼なじみの“心愛”。
体調が回復してからも何かと世話を焼いてくれる彼女に、彼は心の傷も癒されていく──。

ふとした仕草や言葉の端々から、“悠”と疎遠になる前のエピソードを思い出す“心愛”。
憎からず彼のことを想っていた彼女と、そんな気も知らずに意中の先輩と交際していた彼。
期せずして距離を縮めていく彼女のやりとりが面映ゆくて、描かれる機微も微笑ましくて。

なぜ“悠”は失恋したのか。その訳の重さも踏まえ、だからこそ彼と共にいる道を選んだ
“心愛”の芯の強さには驚かされます。例え想いが予想外の契機で彼に伝わったとしても。
後はその熱を受け止める側に委ねられた、ということで彼の動向に注視したいと思います。

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2020年10月16日

『御執事様の仰せのままに』

真楠ヨウ 先生が「メディアワークス文庫」から贈る新作は上流階級デビュッタント物語。
突如、名家の名代となった庶民な青年と、その家に仕える完璧執事の主従関係を描きます。
(イラスト:おかざきおか 先生)

https://mwbunko.com/product/322005000015.html


大学生の“新”は不運を告げるTVの占いを体現するかのように一日で家まで失ってしまう。
大家からは「親戚の方が迎えにくる」と言われるが、身内のいない彼にそんな覚えはない。
程なく美貌の青年“進藤”が現れ「織原家の血を継ぐ正統な後継者だ」と言われるが──。

いきなりお屋敷での生活が始まり、執事である“進藤”から色々と教わる身となる“新”。
その新しい主人の庶民的な言動に思う所がある“進藤”の機微が、主従として過ごす内に
悪化するかと思いきや良い変化を見せていく展開は思わず胸がキュンキュンさせられます。

その流れを導く役を担うメイド“音”の名助演ぶりが光るので要注目。社交界デビューを
果たす“新”に下心ありまくりな上流階級の面識が増えていくのも先々、効いてきそうで
注視が必要かと。飯テロ要素もあり、中々に油断のならない本作。オススメしておきます。

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2020年10月15日

『魔王学園の反逆者4 〜人類初の魔王候補、眷属少女と王座を目指して成り上がる〜』

久慈マサムネ 先生が贈るちょっぴりHな学園魔術ファンタジー。第4巻は“ユート”に
仲間意識を見せる“ロスト”の暗躍に対抗すべく“リゼル”が夏合宿で強化を図ります。
(イラスト:kakao 先生)

https://sneakerbunko.jp/product/322007000025.html


“ユート”に攻撃魔法がない。その弱点を補うための試練を楽しみながら、味わいながら
しっかりこなしていくあたり、相変わらず羨ましい。それでもあと一歩足りないところを
「彼女」が補うあたり、彼が魔王として描く世界観に共感したからと考えると感慨深い。

山王の双子姉妹“力丸”と“正義”。挿絵がなければ男性と見間違うほどの荒々しさと
仲の悪さを見せる魔王候補の意外に狡猾な戦略に驚かされつつ、“岩洞”校長が示唆する
『恋人』の秘められた能力がそれを蹂躙していく展開は実に圧巻であり、残酷でもあり。

魔王学園を壊すだけでなく世界全てを殺す。そう豪語する“ロスト”が示す底知れない
恐ろしさ。まさに絶体絶命、その瞬間で今巻“ユート”の遭遇した出会いが自信満々な
彼の顔を崩すことになるとは。また興味津々な展開を魅せてきました。次巻も楽しみです。

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2020年10月14日

『それでも、好きだと言えない』

2016年、左和ゆうすけ 名義で『最強秘匿の英雄教師』を上梓した 赤月カケヤ 先生が贈る
「講談社ラノベ文庫」2作目は、ほろ苦くて、ちょっぴり泣ける青春ラブストーリーです。
(イラスト:へちま 先生)

http://lanove.kodansha.co.jp/books/2020/10/#bk9784065211786


学校随一の美少女“美波”に淡い想いを抱く“悠人”。見知らぬ男と談笑する彼女を見て
呆然自失となりトラックに轢かれかける。謎の少女に救われたが実は彼女は幽霊で、彼に
憑りついて地縛霊から浮遊霊になった上に記憶喪失らしく何とか成仏する術を探るが──。

“レイナ”と名付けた“悠人”は天真爛漫で、彼女の手助けで“美波”と仲良くなったり
する微笑ましいが続く一方、彼には“レイナ”と切っても切れない縁があり、しかも彼の
行動原理にも影響していると分かってからの、三者三様の機微の変遷がこれまた興味深い。

“レイナ”はなぜ幽霊になったのか。その原因となる「誤解」に迫り、解消を図るうちに
自身の気持ちに気付いた“悠人”が『それでも、好きだと言えない』と独白するその意味。
まさかのダブルミーニングに驚かされ、読了後に残る余韻は切なく、印象深い内容でした。

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2020年10月13日

『お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件3』

佐伯さん 先生が贈る甘く焦れったい恋の物語。第3巻は“真昼”と同じクラスになった
“周”が、未だに彼女と距離を置こうとする原因となる心の傷について触れていきます。
(イラスト:はねこと 先生)

http://www.sbcr.jp/products/4815607418.html


新学年を迎え、封印していた過去の記憶が甦り気が滅入る“周”と、彼を気遣う“真昼”。
そこでアレをされる彼も大概ですが、実行に移す彼女も前のめりな印象が強まっています。
“優太”との距離をどう感じるか。そこに今巻の鍵となる“周”の本質が見え隠れします。

学校内では“真昼”と仲良くしないと宣言する“周”。彼女のことを考えているふりして
その気持ちを置いてけぼりにしている感が強く、彼に対してなりふり構わずグイグイいく
変化が彼女に表れるのも無理ないです。だからこそ彼の心の傷に触れられたのかもですが。

母“志保子”の策が見事に嵌まり、心の傷が癒えていくのを感じる“周”が見せる優しさ。
互いに「ずるさ」を利用して面映ゆい関係にとどめる2人は一線を超えないだけですでに
通じるものはあるはず。そこで投下された爆弾発言はどんな変化をもたらすか要注目です。

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2020年10月12日

『放課後の図書室でお淑やかな彼女の譲れないラブコメ』

『佐伯さんと、ひとつ屋根の下』の 九曜 先生、フライ 先生のコンビで贈るラブコメ新作。
母子家庭の少年が母を失い、引き取られた先の家族と悩ましい生活を送る顛末を描きます。
(イラスト:フライ 先生)

https://famitsubunko.jp/product/321909000137.html


交通事故で亡くなった母の葬儀も終わり、途方に暮れる“静流”。彼のもとを訪ねてきた
母と同じ病院に務める男性医師から実の父親だと告げられる。うちに来ないかという彼に
まず1ヶ月世話になると決めた“静流”は、ある有名な先輩と姉弟関係になるのだが──。

“静流”へ粉をかける“紫苑”も、彼に気を許せない“泪華”も、彼と揺るぎない関係に
ある“奏多”も、そして彼自身も、何らかの「欠落」を抱えて今を生きる印象が窺えます。
先輩たちとの興味深いドラマが始終展開されており、中々に良い滑り出しかと感じました。

“泪華”の心にあるわだかまりを解くことで彼女の家で世話になる期間を見直す“静流”。
2人の機微の変化を味わい、“泪華”の焦燥する気持ちを見極めながら、目下気にすべき
要素は“奏多”と“静流”のつながり。「番外編」の使い方も上手くて続きが楽しみです。

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2020年10月09日

『塩対応の佐藤さんが俺にだけ甘い3』

鉄山かや 先生によるコミックス1巻も発売を迎えた、猿渡かざみ 先生の青春ラブコメ。
第3巻は待望のデートを前に“こはる”が必要となる金を用意すべくバイトを始めます。
(イラスト:Aちき 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094518658
https://urasunday.com/title/1301


制服姿で働く“颯太”を見たいがために「cafe tutuji」通いを続けた結果、軍資金が
尽きかける“こはる”が健気で可愛らしい。そんな彼女の想いを落ち着いて受け止める
つもりの“颯太”も手一杯なのを何とかごまかそうとしている姿がこれまたこそばゆい。

“蓮”の助言も受けて目標金額を高めに設定した“こはる”が短期バイトに精を出す中、
彼女の「塩対応」ぶりを“颯太”自身が再燃させてしまうあたり彼に隙があるというか
油断しているというか。釈明する彼の姿勢には彼女への真摯さが窺えて惚れ惚れします。

夏祭りを無事に迎え、幸せなひと時を過ごした“こはる”と“颯太”。努力が報われる
展開に心温まるものがあります。その2人を陰ながら支えた“蓮”の善行にもちゃんと
良い報いがあって思わずニヨニヨ。2人の交わした約束が叶うと信じて次巻を待ちます。

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2020年10月08日

『ひきこまり吸血姫の悶々3』

小林湖底 先生が贈るコミカルファンタジー。第3巻は海辺のリゾートで休暇を満喫する
はずの“コマリ”が世界征服と世界平和の要請を同時に受けるややこしい事態を迎えます。
(イラスト:りいちゅ 先生)

http://www.sbcr.jp/products/4815607432.html


「ゲラ=アルカ」の使者“ネリア”が示してきた世界征服計画への協力を奇襲ではねのけ、
「天照楽土」の使者“カルラ”には「ゲラ=アルカ」と共闘する同盟を無理強いさせたり、
外から見ればまさにやりたい放題な“コマリ”が戦争に振り回される姿は実にコミカルで。

国家間の争いが激化の一途を辿る中、悲しい過去を背負う“ネリア”が世界征服を目指す
真意や彼女と“マッドハルト”大統領との確執が浮き彫りとなる状況を前に“コマリ”は
どんな決断を下すのか。迎えるべくして到達した、かの国の末路は爽快感すら味わえます。

そんな結末が来ることを信じて疑わない皇帝の、中々にえげつない辣腕にも注目頂きつつ
他にもこうなることを狙っていた勢力が虎視眈々と悪い計画を練っているのも気になる所。
“コマリ”はその命も、純潔(?)も守りきることができるか。次巻の刊行も楽しみです。

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2020年10月07日

『転生魔王の大誤算 〜有能魔王軍の世界征服最短ルート〜』

あわむら赤光 先生が贈る新作は、伝説の不良を兄に持つ草食系男子が、転生した異世界で
本性がバレるか心配しながら歴代最高の魔王として君臨し続けるサクセスストーリーです。
(イラスト:kakao 先生)

http://www.sbcr.jp/products/4815607456.html


魔王“ケンゴー”は七大魔将を率いて人界侵略を図る人族の大敵。その中身はクソ兄貴の
抗争に巻き込まれて16歳で命を落とした人畜無害な男子高校生“健剛”。心の中でひとり
「神様! 俺、何か悪いことしましたか!?」と叫びながら世界征服を目指していくが──。

呼び名が長くて覚えられない、と妙なあだ名を付けられても魔王に一目置く魔将の面々が
見せる個性豊かな言動がまず面白い。対する人族からも分かり合えそうで上手くいかない
決定的な価値観の違いに振り回されてしまう“ケンゴー”の内憂外患ぶりはつい苦笑いが。

事情を知り、もっぱら“ケンゴー”へのフォローとケアに熱が入る“ルシ子”の一途さに
目が行く中でハーレム展開まっしぐらなエピソードもあり、彼女も苦労が絶えないご様子。
転生しても報われていない訳じゃないのが救い。どんな誤算が待ち受けるのか楽しみです。

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2020年10月05日

『娘じゃなくて私が好きなの!?(3)』

東鉄神 先生によるマンガ連載も始まった、望公太 先生が贈る超純愛ラブコメ。第3巻は
“美羽”の宣戦布告をどう受け止めるか、母として、一人の女として“綾子”が悩みます。
(イラスト:ぎうにう 先生)

https://dengekibunko.jp/product/mamasuki/322004000051.html
https://manga-park.com/title/32170


焚きつけられている、と分かっているつもりでも“美羽”の言動、そして思い出の一品が
“綾子”に疑念を抱かせる。“綾子”が悩みぬいて出した結論は推して知るべしで、その
反動をエピローグで見せつけるあたりは見事な演出。これがどう繋がるか、興味津々です。

“美羽”の想いを受け止めるもう一人の大人である“巧”もまた、翻弄される側の立場で。
彼女や“狼森”に仕組まれつつもラッキースケベな展開を味わえるあたり、幸せ者という
以外に言葉が出ません。“綾子”への愛を貫く揺るぎない想いが報われる日も近いか否か。

もどかしい大人たちの恋愛模様を後押しする役割を演じた“美羽”が、“巧”のことを、
そして“綾子”のことをどう思い、大切な存在として位置付けているかを描写する数々が
今巻の名場面であったと言えます。こんな良い子に育ってくれてありがとうの気持ちです。

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2020年10月02日

『Babel II 魔法大国からの断罪』

古宮九時 先生がWebサイトに公開していた珠玉の異世界ロードファンタジー。Web版加筆後
「電撃の新文芸」で再書籍化した第2巻は、魔法大国で“雫”が衝撃の事実に直面します。
(イラスト:森沢晴行 先生)

https://dengekibunko.jp/product/babel/322004000075.html


“雫”は何故ここまで逞しいか。それは自由を諦めかけた“リースヒェン”に掛けた一言、
あるいはラオブの街で不自由な自由に苛まれる“デイタス”とやり取りする言葉の端々に
その本質が垣間見えるのかも知れません。“エリク”もよく面倒みられるな、と感心です。

そんな“雫”だからこそ、“ラルス”の執拗な殺そうとする意志にも命すら賭して抗える
のだろうと痛感させられます。ある程度は常識のある“レウティシア”の思い遣りが救い
でもあります。そんな王妹にも打算はあるワケで、“エリク”もつくづく苦労人ですね。

“エリク”が語る過去の真実、それに連なる「ファルサス」の歴史、そして外なる世界。
そこへ大陸西部で広まる、原因も治療方法も不明言語障害の病気が“雫”を異質な者と
決定づけてからのあの引き具合。本作における最大の謎をどう解き明かすのか楽しみです。

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