伏見つかさ 先生が贈る大人気シリーズ。ifルートを描く第2弾は、ゲーム研究会の合宿に
参加した“黒猫”と“京介”が現地で出会う謎の少女と不思議体験をする顛末を描きます。
(イラスト:かんざきひろ 先生)
【 https://dengekibunko.jp/product/oreimo/322003000237.html 】
“黒猫”と“瀬奈”が作り上げた新作コンペの作品に触発されて、ゲーム研究会の面々が
一丸となってゲームを作ることに。当然の如く“黒猫”の協力に回る“京介”は周りから
そういう仲だと見られるワケだが、彼女の気持ちどころか自分の気持ちすら分からず──。
部長の故郷である島で行われる祭を手伝いながら、そこで出会った“槇島悠”、“黒猫”
が書く物語の登場人物と同じ名前である彼女と共に伝承を調査していく。その過程で色々
匂わせる言動の数々が「推して知るべし」な展開が実に興味深く、楽しませてくれます。
“京介”の発言に対し密かに一喜一憂する“黒猫”の様子は必見として、“悠”からの
人生相談にどう答えるか。“京介”と“黒猫”、各々の考え方も注目していただきたい。
エピローグを踏まえて下巻では“桐乃”とどんなやり取りを繰り広げるのか楽しみです。
2020年09月23日
2020年09月22日
『川上稔 短編集 パワーワードのラブコメが、ハッピーエンドで五本入り(2)』
川上稔 先生が電子書籍のみで刊行する新作。『幸せの基準』『星祭りの夜』『鍵の行き先』
『自由の置き場』、書き下ろし短編『再会の夜』の5小編を収録したラブコメ短編集です。
(イラスト:さとやす 先生(TENKY))
【 https://bookwalker.jp/de46447d2a-f37f-4f29-aead-ea04ba6bb976/ 】
『星祭りの夜』の神社設定とか、実にらしさを感じるラブコメ具合で好物。両片思いとか、
グイグイくるとか、昨今のラブコメに見られるトレンドも押さえつつ自作品へ落とし込む
手腕はお見事。その気もない中から、淡い想いを持て余しつつ受容する展開に惹かれます。
「短編集」というのは作家の可能性を示す手っ取り早いアプローチの一つと考えています。
『こんな作品も書けるんだ』とまだ見ぬ読者や版元へアピールできると信じている為です。
ライトノベル業界は挿絵の関係か、権利的な都合か、なぜか根付かない文化なのですけど。
今回は電子書籍だけ、という限定的な場ではありますがこれらの短編集を発売する機会を
設けた先生、そして「電撃文庫」編集部の英断には心から称賛の言葉を贈りたいところで。
この試金石が先生だけでなく数多のライトノベル作家の可能性を広げることを祈念します。
『自由の置き場』、書き下ろし短編『再会の夜』の5小編を収録したラブコメ短編集です。
(イラスト:さとやす 先生(TENKY))
【 https://bookwalker.jp/de46447d2a-f37f-4f29-aead-ea04ba6bb976/ 】
『星祭りの夜』の神社設定とか、実にらしさを感じるラブコメ具合で好物。両片思いとか、
グイグイくるとか、昨今のラブコメに見られるトレンドも押さえつつ自作品へ落とし込む
手腕はお見事。その気もない中から、淡い想いを持て余しつつ受容する展開に惹かれます。
「短編集」というのは作家の可能性を示す手っ取り早いアプローチの一つと考えています。
『こんな作品も書けるんだ』とまだ見ぬ読者や版元へアピールできると信じている為です。
ライトノベル業界は挿絵の関係か、権利的な都合か、なぜか根付かない文化なのですけど。
今回は電子書籍だけ、という限定的な場ではありますがこれらの短編集を発売する機会を
設けた先生、そして「電撃文庫」編集部の英断には心から称賛の言葉を贈りたいところで。
この試金石が先生だけでなく数多のライトノベル作家の可能性を広げることを祈念します。
2020年09月21日
『川上稔 短編集 パワーワードのラブコメが、ハッピーエンドで五本入り(1)』
川上稔 先生が電子書籍のみで刊行する新作。『恋知る人々』『素敵の距離÷2』『地獄の
片隅で笑う』『嘘で叶える約束』『未来の正直』の5小編を収録したラブコメ短編集です。
(イラスト:さとやす 先生(TENKY))
【 https://bookwalker.jp/de0b7d50cd-cd20-48f7-928b-88ef944776d7/ 】
物理的はもちろん、精神的だったり、あるいは時間的だったり。距離感のある男女2人が
ふとしたきっかけで恋愛感情に突き動かされていく様子を、一人称中心で描く5つの小編。
時には一文で展開を切替するなど、短文の連続で読みやすさを追求しているのも見どころ。
それにしてもキュンキュンするシーン満載で、特に『恋知る人々』の不自由さから幸せを
実感していく流れとか好き過ぎます。『素敵の距離÷2』で一方的に謎の勝負を仕掛けた
少女の勘違いぶり、なんてのももうね。業界ネタっぽいシチュエーションの短編も面白い。
ラブだけでなく、『嘘で叶える約束』のように全裸が出てきたり、ゲーム要素があったり
などコメディでもしっかり魅せてくるあたり「川上稔作品」であることを忘れさせません。
これで同時刊行となる第2巻へと続くワケですから期待しかないのは言うまでもないです。
片隅で笑う』『嘘で叶える約束』『未来の正直』の5小編を収録したラブコメ短編集です。
(イラスト:さとやす 先生(TENKY))
【 https://bookwalker.jp/de0b7d50cd-cd20-48f7-928b-88ef944776d7/ 】
物理的はもちろん、精神的だったり、あるいは時間的だったり。距離感のある男女2人が
ふとしたきっかけで恋愛感情に突き動かされていく様子を、一人称中心で描く5つの小編。
時には一文で展開を切替するなど、短文の連続で読みやすさを追求しているのも見どころ。
それにしてもキュンキュンするシーン満載で、特に『恋知る人々』の不自由さから幸せを
実感していく流れとか好き過ぎます。『素敵の距離÷2』で一方的に謎の勝負を仕掛けた
少女の勘違いぶり、なんてのももうね。業界ネタっぽいシチュエーションの短編も面白い。
ラブだけでなく、『嘘で叶える約束』のように全裸が出てきたり、ゲーム要素があったり
などコメディでもしっかり魅せてくるあたり「川上稔作品」であることを忘れさせません。
これで同時刊行となる第2巻へと続くワケですから期待しかないのは言うまでもないです。
2020年09月18日
『楽園とは探偵の不在なり』
斜線堂有紀 先生が贈る新作は、天使によって二人以上殺した者は地獄へ送られるように
なった世界で、天使に運命を左右された者たちが集う島で起こる事件の顛末を描きます。
(イラスト:影山徹 先生)
【 https://www.hayakawa-online.co.jp/shopdetail/000000014599/ 】
探偵の“青島”は、天使の存在がもたらした連続殺人事件の減少に日々無力感を覚える。
そんな彼に調査依頼をしてきた実業家“常木”から、彼は更なる依頼を持ち掛けられる。
天使が、「天使狂い」たちが集う常世島に来ないか、と。天国の有無を知るために──。
一人だけ殺すのは許される、あるいは大量殺人を起こしても地獄に落とされるのは一緒。
ルールに忠実な天使の意向を逆手にとり、島の館にて“常木”をはじめ次々と犠牲者が
増える中、蘇る“青島”の過去が天使の無慈悲さを、天使への憎しみを胸に滲ませます。
天国とは何か。問うても答えはない天使を前に、その意味を見い出した“青島”の覚悟。
“赤城”たちの想いに支えられ、探偵として戦い続けるその姿に救われる思いがします。
天使の祝福がない結末だけに。解決パートもお見事でオススメするに足るミステリです。
なった世界で、天使に運命を左右された者たちが集う島で起こる事件の顛末を描きます。
(イラスト:影山徹 先生)
【 https://www.hayakawa-online.co.jp/shopdetail/000000014599/ 】
探偵の“青島”は、天使の存在がもたらした連続殺人事件の減少に日々無力感を覚える。
そんな彼に調査依頼をしてきた実業家“常木”から、彼は更なる依頼を持ち掛けられる。
天使が、「天使狂い」たちが集う常世島に来ないか、と。天国の有無を知るために──。
一人だけ殺すのは許される、あるいは大量殺人を起こしても地獄に落とされるのは一緒。
ルールに忠実な天使の意向を逆手にとり、島の館にて“常木”をはじめ次々と犠牲者が
増える中、蘇る“青島”の過去が天使の無慈悲さを、天使への憎しみを胸に滲ませます。
天国とは何か。問うても答えはない天使を前に、その意味を見い出した“青島”の覚悟。
“赤城”たちの想いに支えられ、探偵として戦い続けるその姿に救われる思いがします。
天使の祝福がない結末だけに。解決パートもお見事でオススメするに足るミステリです。
2020年09月17日
『神話の密室 -天久鷹央の事件カルテ-』
知念実希人 先生が贈る新感覚メディカル・ミステリー。長編シリーズ6冊目は人気作家の
アルコール中毒とキックボクサーを襲う突然死の謎を“鷹央”と“小鳥遊”が診断します。
(イラスト/いとうのいぢ 先生)
【 https://www.shinchobunko-nex.jp/books/180197.html 】
「バッカスの病室」ではアルコール依存症の人気作家“宇治川”が密室の病室で中毒症状
を引き起こす謎に迫る“鷹央”。アルコール中毒に対する誤解を解く展開に得心しながら
“宇治川”が精神的に追い詰められる過程が今どきなだけに何とも身につまされるものが。
「神のハンマー」では“小鳥遊”と旧知の仲である“早坂”がキックボクシングで頂点を
目指すリング上で悲願達成の直後に命を落とす顛末に、ある可能性を見い出した“鷹央”。
まさか診断の行方を“小鳥遊”に任せるとは何事かと思いましたが、なるほど納得の一言。
“鷹央”が残したヒントを頼りに、そして何より“早坂”の意図を汲んで死の真相を掴み
“小鳥遊”なりの解決を導いた彼の姿に成長を感じると共に、自分に出来ないことを彼に
任せようと思った彼女の心境の変化には称賛すら覚えます。2人の絆の行方も楽しみです。
アルコール中毒とキックボクサーを襲う突然死の謎を“鷹央”と“小鳥遊”が診断します。
(イラスト/いとうのいぢ 先生)
【 https://www.shinchobunko-nex.jp/books/180197.html 】
「バッカスの病室」ではアルコール依存症の人気作家“宇治川”が密室の病室で中毒症状
を引き起こす謎に迫る“鷹央”。アルコール中毒に対する誤解を解く展開に得心しながら
“宇治川”が精神的に追い詰められる過程が今どきなだけに何とも身につまされるものが。
「神のハンマー」では“小鳥遊”と旧知の仲である“早坂”がキックボクシングで頂点を
目指すリング上で悲願達成の直後に命を落とす顛末に、ある可能性を見い出した“鷹央”。
まさか診断の行方を“小鳥遊”に任せるとは何事かと思いましたが、なるほど納得の一言。
“鷹央”が残したヒントを頼りに、そして何より“早坂”の意図を汲んで死の真相を掴み
“小鳥遊”なりの解決を導いた彼の姿に成長を感じると共に、自分に出来ないことを彼に
任せようと思った彼女の心境の変化には称賛すら覚えます。2人の絆の行方も楽しみです。