2020年09月30日

『千歳くんはラムネ瓶のなか4』

裕夢 先生が贈るリア充側青春ラブコメ。第4巻はバスケ部のキャプテンとなった“陽”が
抱える悩みと、野球部から身を引いた“朔”の過去と葛藤が交錯する夏の一幕を描きます。
(イラスト:raemz 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094518665


チームで一丸となって高い目標を目指す。社会ではありふれた光景。その縮図とも言える
日本の部活動でみられる理不尽な上下関係や複雑な人間関係、モチベーションギャップに
苦しみ挫折した“朔”と、今まさにもがき続ける“陽”の感情と想いが繋がる展開が熱い。

「頑張る」のってカッコ悪い。「スポ根」なんて時代遅れ。そんな風潮に最後まで抗って
身をもって檄を飛ばす“朔”や“陽”の姿をみて気持ちを改めなくては、と自戒する念が
あふれます。あの夏にしっかりとけじめをつけられる彼は誠にカッコ良いと言うしかなく。

ラムネ瓶のなかで弾ける泡のように、気持ちよくて爽やかで、そして湧き続ける熱い感情。
バスケにも恋愛でも負けたくないと嘯いた“陽”がつま先で背伸びする姿はその意志表明。
こそばゆい青春の1ページをその身で体感する“朔”は何を思うか、続きに興味津々です。

posted by 秋野ソラ at 00:13 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2020年09月29日

『カノジョの妹とキスをした。2』

海空りく 先生が贈る衝撃の"不"純愛ラブコメディ。第2巻は“晴香”とキスした感触を
“時雨”の好意に上書きされた“博道”が恋人への想いを貫けるか、真価を問われます。
(イラスト:さばみぞれ 先生)

http://www.sbcr.jp/products/4815607289.html


“時雨”に抱いた不純な感情を、恋人との更なるキスで払拭しようと気が逸る“博道”。
夏休みに海でキャンプ、という絶好の機会を活かそうと積極的になる気持ちも分かるし、
恋人に嫌われたくないと思い詰めるのも疑心暗鬼になるのも分かるだけに、実につらい。

恋人と手を繋いで、キスをして。でもその先へ続くエッチな行為は頑なに拒む“晴香”。
意を決して話を口にした“博道”をも汚らわしいと強く憤る彼女の感情も理解できるし、
電話越しに伝えた彼女の考えも家族背景を考えれば得心はいくとしてもこれまた切ない。

兄と姉の関係を壊すつもりはなく、けれど兄の一番好きな人になりたいと嘯く“時雨”。
“博道”が悪いワケでも、“晴香”が悪いワケでもないのに拗れていく2人の恋愛模様。
彼の感情を見届け続けてきたからこその“時雨”の一手がどんな波乱を呼ぶか注目です。

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2020年09月28日

『俺の彼女と幼なじみが修羅場すぎる15』

裕時悠示 先生が贈る甘修羅らぶ×らぶコメディ。第15巻は医者になるという夢を叶える
ための大学進学を目前に控える“鋭太”の陰で“カオル”の暗い感情が頭をもたげます。
(イラスト:るろお 先生)

http://www.sbcr.jp/products/4815607548.html


“鋭太”と幼なじみである“千和”、彼に女の子として意識されている“姫香”、彼と
近づく協力を依頼してきた“愛”、そして彼とは実は偽彼氏だったと明かした“真涼”。
彼女たちへの敵意を剥き出しにする“カオル”には謎の多さに改めて驚かされるばかり。

それにしても、運命とは何と過酷なものか。油断なく、準備も万端に運命の日を迎えた
“鋭太”が直面する現実と、究極の選択。その結果をどう捉えるか、その見解の相違は
「自演乙」の女の子たちが示した通りです。どれも正しくて、あるいは間違っていて。

周囲があらわにする手のひら返しにも負けず、やるべきことをやると決めた“鋭太”が
流した涙。彼の考えを誰よりも理解する「彼女」が示した優しさは本当に最初で最後か。
2人の知らぬ場所で動き出す“カオリ”の思惑がどんな結末をもたらすか気になります。

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2020年09月25日

『魔法科高校の劣等生(32) サクリファイス編/卒業編』

佐島勤 先生が贈る大人気シリーズ。第32巻は“水波”を愛する“光宜”からの挑戦状を
受け、一連の事態に対して“達也”なりに解決へと導く「高校生編」完結巻となります。
(イラスト:石田可奈 先生)

https://dengekibunko.jp/product/mahouka/322003000188.html


劣等生として評された“達也”がいざ卒業する、となると彼の残してきた実績が規格外
すぎることをまざまざと見せつけられる思いです。その彼によって見違える成長を遂げた
クラスメイトたちもまた思い思いの道を歩むのが分かると感慨深いものがこみ上げます。

その中でも“達也”への対抗心と“深雪”への想いが衰えない“将輝”が健気というか。
まさかあの場所で“達也”とタイマンを張るとは想像の埒外で、その結末も意外でした。
彼以外にも“達也”へのやっかみが強まる状況下、“光宣”とつけた決着もまた見事で。

“水波”の命を繋ぎ止めるパラサイト。その鍵を握る“光宣”の力。迷走した彼女の心も
定まった所で対峙を迎えた“達也”。彼が示した決意に最後まで驚かされると共にそれが
『続・魔法科高校の劣等生 メイジアン・カンパニー』でどんな未来を描くか楽しみです。

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2020年09月24日

『わたし以外とのラブコメは許さないんだからね』

『スカルアトラス』の 羽場楽人 先生が贈る新作はラブコメ。孤高を貫く美少女が告白を
受け入れた少年に対し強気な姿勢を見せるも恋愛下手で、こそばゆい恋人模様を描きます。
(イラスト:イコモチ 先生)

https://dengekibunko.jp/product/322003000241.html


様々な注目を浴びるが故に人間不信に陥っている“ヨルカ”。見かねた“神崎”先生から
彼女と親しくなってほしい、と無茶振りをされるクラス委員の“希墨”。通い続ける内に
どうにか彼女の心を掴んだ彼は意を決して告白。見事に相思相愛の仲となったのだが──。

“希墨”が美術準備室でアプローチをし続ける間にも隙を見せてしまうくらい油断の多い
“ヨルカ”の振舞いが、普段の強気な姿勢と比べて微笑ましく、こそばゆいのが見どころ。
そんな面倒極まりない彼女に、物理的にも精神的にもグイグイいく“希墨”は天晴の一言。

そもそもなぜ先生からのお願いを“希墨”は引き受けたのか。その行動原理に迫る描写を
含めることで彼の魅力が浮き上がり、その魅力に気付く人物の可能性を疑わせない展開は
お見事。只々、2人には幸せになってほしいと思いたくなる恋物語、オススメの一作です。

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