2020年09月30日

『千歳くんはラムネ瓶のなか4』

裕夢 先生が贈るリア充側青春ラブコメ。第4巻はバスケ部のキャプテンとなった“陽”が
抱える悩みと、野球部から身を引いた“朔”の過去と葛藤が交錯する夏の一幕を描きます。
(イラスト:raemz 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094518665


チームで一丸となって高い目標を目指す。社会ではありふれた光景。その縮図とも言える
日本の部活動でみられる理不尽な上下関係や複雑な人間関係、モチベーションギャップに
苦しみ挫折した“朔”と、今まさにもがき続ける“陽”の感情と想いが繋がる展開が熱い。

「頑張る」のってカッコ悪い。「スポ根」なんて時代遅れ。そんな風潮に最後まで抗って
身をもって檄を飛ばす“朔”や“陽”の姿をみて気持ちを改めなくては、と自戒する念が
あふれます。あの夏にしっかりとけじめをつけられる彼は誠にカッコ良いと言うしかなく。

ラムネ瓶のなかで弾ける泡のように、気持ちよくて爽やかで、そして湧き続ける熱い感情。
バスケにも恋愛でも負けたくないと嘯いた“陽”がつま先で背伸びする姿はその意志表明。
こそばゆい青春の1ページをその身で体感する“朔”は何を思うか、続きに興味津々です。

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2020年09月29日

『カノジョの妹とキスをした。2』

海空りく 先生が贈る衝撃の"不"純愛ラブコメディ。第2巻は“晴香”とキスした感触を
“時雨”の好意に上書きされた“博道”が恋人への想いを貫けるか、真価を問われます。
(イラスト:さばみぞれ 先生)

http://www.sbcr.jp/products/4815607289.html


“時雨”に抱いた不純な感情を、恋人との更なるキスで払拭しようと気が逸る“博道”。
夏休みに海でキャンプ、という絶好の機会を活かそうと積極的になる気持ちも分かるし、
恋人に嫌われたくないと思い詰めるのも疑心暗鬼になるのも分かるだけに、実につらい。

恋人と手を繋いで、キスをして。でもその先へ続くエッチな行為は頑なに拒む“晴香”。
意を決して話を口にした“博道”をも汚らわしいと強く憤る彼女の感情も理解できるし、
電話越しに伝えた彼女の考えも家族背景を考えれば得心はいくとしてもこれまた切ない。

兄と姉の関係を壊すつもりはなく、けれど兄の一番好きな人になりたいと嘯く“時雨”。
“博道”が悪いワケでも、“晴香”が悪いワケでもないのに拗れていく2人の恋愛模様。
彼の感情を見届け続けてきたからこその“時雨”の一手がどんな波乱を呼ぶか注目です。

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2020年09月28日

『俺の彼女と幼なじみが修羅場すぎる15』

裕時悠示 先生が贈る甘修羅らぶ×らぶコメディ。第15巻は医者になるという夢を叶える
ための大学進学を目前に控える“鋭太”の陰で“カオル”の暗い感情が頭をもたげます。
(イラスト:るろお 先生)

http://www.sbcr.jp/products/4815607548.html


“鋭太”と幼なじみである“千和”、彼に女の子として意識されている“姫香”、彼と
近づく協力を依頼してきた“愛”、そして彼とは実は偽彼氏だったと明かした“真涼”。
彼女たちへの敵意を剥き出しにする“カオル”には謎の多さに改めて驚かされるばかり。

それにしても、運命とは何と過酷なものか。油断なく、準備も万端に運命の日を迎えた
“鋭太”が直面する現実と、究極の選択。その結果をどう捉えるか、その見解の相違は
「自演乙」の女の子たちが示した通りです。どれも正しくて、あるいは間違っていて。

周囲があらわにする手のひら返しにも負けず、やるべきことをやると決めた“鋭太”が
流した涙。彼の考えを誰よりも理解する「彼女」が示した優しさは本当に最初で最後か。
2人の知らぬ場所で動き出す“カオリ”の思惑がどんな結末をもたらすか気になります。

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2020年09月25日

『魔法科高校の劣等生(32) サクリファイス編/卒業編』

佐島勤 先生が贈る大人気シリーズ。第32巻は“水波”を愛する“光宜”からの挑戦状を
受け、一連の事態に対して“達也”なりに解決へと導く「高校生編」完結巻となります。
(イラスト:石田可奈 先生)

https://dengekibunko.jp/product/mahouka/322003000188.html


劣等生として評された“達也”がいざ卒業する、となると彼の残してきた実績が規格外
すぎることをまざまざと見せつけられる思いです。その彼によって見違える成長を遂げた
クラスメイトたちもまた思い思いの道を歩むのが分かると感慨深いものがこみ上げます。

その中でも“達也”への対抗心と“深雪”への想いが衰えない“将輝”が健気というか。
まさかあの場所で“達也”とタイマンを張るとは想像の埒外で、その結末も意外でした。
彼以外にも“達也”へのやっかみが強まる状況下、“光宣”とつけた決着もまた見事で。

“水波”の命を繋ぎ止めるパラサイト。その鍵を握る“光宣”の力。迷走した彼女の心も
定まった所で対峙を迎えた“達也”。彼が示した決意に最後まで驚かされると共にそれが
『続・魔法科高校の劣等生 メイジアン・カンパニー』でどんな未来を描くか楽しみです。

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2020年09月24日

『わたし以外とのラブコメは許さないんだからね』

『スカルアトラス』の 羽場楽人 先生が贈る新作はラブコメ。孤高を貫く美少女が告白を
受け入れた少年に対し強気な姿勢を見せるも恋愛下手で、こそばゆい恋人模様を描きます。
(イラスト:イコモチ 先生)

https://dengekibunko.jp/product/322003000241.html


様々な注目を浴びるが故に人間不信に陥っている“ヨルカ”。見かねた“神崎”先生から
彼女と親しくなってほしい、と無茶振りをされるクラス委員の“希墨”。通い続ける内に
どうにか彼女の心を掴んだ彼は意を決して告白。見事に相思相愛の仲となったのだが──。

“希墨”が美術準備室でアプローチをし続ける間にも隙を見せてしまうくらい油断の多い
“ヨルカ”の振舞いが、普段の強気な姿勢と比べて微笑ましく、こそばゆいのが見どころ。
そんな面倒極まりない彼女に、物理的にも精神的にもグイグイいく“希墨”は天晴の一言。

そもそもなぜ先生からのお願いを“希墨”は引き受けたのか。その行動原理に迫る描写を
含めることで彼の魅力が浮き上がり、その魅力に気付く人物の可能性を疑わせない展開は
お見事。只々、2人には幸せになってほしいと思いたくなる恋物語、オススメの一作です。

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2020年09月23日

『俺の妹がこんなに可愛いわけがない(15) 黒猫if 上』

伏見つかさ 先生が贈る大人気シリーズ。ifルートを描く第2弾は、ゲーム研究会の合宿に
参加した“黒猫”と“京介”が現地で出会う謎の少女と不思議体験をする顛末を描きます。
(イラスト:かんざきひろ 先生)

https://dengekibunko.jp/product/oreimo/322003000237.html


“黒猫”と“瀬奈”が作り上げた新作コンペの作品に触発されて、ゲーム研究会の面々が
一丸となってゲームを作ることに。当然の如く“黒猫”の協力に回る“京介”は周りから
そういう仲だと見られるワケだが、彼女の気持ちどころか自分の気持ちすら分からず──。

部長の故郷である島で行われる祭を手伝いながら、そこで出会った“槇島悠”、“黒猫”
が書く物語の登場人物と同じ名前である彼女と共に伝承を調査していく。その過程で色々
匂わせる言動の数々が「推して知るべし」な展開が実に興味深く、楽しませてくれます。

“京介”の発言に対し密かに一喜一憂する“黒猫”の様子は必見として、“悠”からの
人生相談にどう答えるか。“京介”と“黒猫”、各々の考え方も注目していただきたい。
エピローグを踏まえて下巻では“桐乃”とどんなやり取りを繰り広げるのか楽しみです。

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2020年09月22日

『川上稔 短編集 パワーワードのラブコメが、ハッピーエンドで五本入り(2)』

川上稔 先生が電子書籍のみで刊行する新作。『幸せの基準』『星祭りの夜』『鍵の行き先』
『自由の置き場』、書き下ろし短編『再会の夜』の5小編を収録したラブコメ短編集です。
(イラスト:さとやす 先生(TENKY))

https://bookwalker.jp/de46447d2a-f37f-4f29-aead-ea04ba6bb976/


『星祭りの夜』の神社設定とか、実にらしさを感じるラブコメ具合で好物。両片思いとか、
グイグイくるとか、昨今のラブコメに見られるトレンドも押さえつつ自作品へ落とし込む
手腕はお見事。その気もない中から、淡い想いを持て余しつつ受容する展開に惹かれます。

「短編集」というのは作家の可能性を示す手っ取り早いアプローチの一つと考えています。
『こんな作品も書けるんだ』とまだ見ぬ読者や版元へアピールできると信じている為です。
ライトノベル業界は挿絵の関係か、権利的な都合か、なぜか根付かない文化なのですけど。

今回は電子書籍だけ、という限定的な場ではありますがこれらの短編集を発売する機会を
設けた先生、そして「電撃文庫」編集部の英断には心から称賛の言葉を贈りたいところで。
この試金石が先生だけでなく数多のライトノベル作家の可能性を広げることを祈念します。

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2020年09月21日

『川上稔 短編集 パワーワードのラブコメが、ハッピーエンドで五本入り(1)』

川上稔 先生が電子書籍のみで刊行する新作。『恋知る人々』『素敵の距離÷2』『地獄の
片隅で笑う』『嘘で叶える約束』『未来の正直』の5小編を収録したラブコメ短編集です。
(イラスト:さとやす 先生(TENKY))

https://bookwalker.jp/de0b7d50cd-cd20-48f7-928b-88ef944776d7/


物理的はもちろん、精神的だったり、あるいは時間的だったり。距離感のある男女2人が
ふとしたきっかけで恋愛感情に突き動かされていく様子を、一人称中心で描く5つの小編。
時には一文で展開を切替するなど、短文の連続で読みやすさを追求しているのも見どころ。

それにしてもキュンキュンするシーン満載で、特に『恋知る人々』の不自由さから幸せを
実感していく流れとか好き過ぎます。『素敵の距離÷2』で一方的に謎の勝負を仕掛けた
少女の勘違いぶり、なんてのももうね。業界ネタっぽいシチュエーションの短編も面白い。

ラブだけでなく、『嘘で叶える約束』のように全裸が出てきたり、ゲーム要素があったり
などコメディでもしっかり魅せてくるあたり「川上稔作品」であることを忘れさせません。
これで同時刊行となる第2巻へと続くワケですから期待しかないのは言うまでもないです。

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2020年09月18日

『楽園とは探偵の不在なり』

斜線堂有紀 先生が贈る新作は、天使によって二人以上殺した者は地獄へ送られるように
なった世界で、天使に運命を左右された者たちが集う島で起こる事件の顛末を描きます。
(イラスト:影山徹 先生)

https://www.hayakawa-online.co.jp/shopdetail/000000014599/


探偵の“青島”は、天使の存在がもたらした連続殺人事件の減少に日々無力感を覚える。
そんな彼に調査依頼をしてきた実業家“常木”から、彼は更なる依頼を持ち掛けられる。
天使が、「天使狂い」たちが集う常世島に来ないか、と。天国の有無を知るために──。

一人だけ殺すのは許される、あるいは大量殺人を起こしても地獄に落とされるのは一緒。
ルールに忠実な天使の意向を逆手にとり、島の館にて“常木”をはじめ次々と犠牲者が
増える中、蘇る“青島”の過去が天使の無慈悲さを、天使への憎しみを胸に滲ませます。

天国とは何か。問うても答えはない天使を前に、その意味を見い出した“青島”の覚悟。
“赤城”たちの想いに支えられ、探偵として戦い続けるその姿に救われる思いがします。
天使の祝福がない結末だけに。解決パートもお見事でオススメするに足るミステリです。

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2020年09月17日

『神話の密室 -天久鷹央の事件カルテ-』

知念実希人 先生が贈る新感覚メディカル・ミステリー。長編シリーズ6冊目は人気作家の
アルコール中毒とキックボクサーを襲う突然死の謎を“鷹央”と“小鳥遊”が診断します。
(イラスト/いとうのいぢ 先生)

https://www.shinchobunko-nex.jp/books/180197.html


「バッカスの病室」ではアルコール依存症の人気作家“宇治川”が密室の病室で中毒症状
を引き起こす謎に迫る“鷹央”。アルコール中毒に対する誤解を解く展開に得心しながら
“宇治川”が精神的に追い詰められる過程が今どきなだけに何とも身につまされるものが。

「神のハンマー」では“小鳥遊”と旧知の仲である“早坂”がキックボクシングで頂点を
目指すリング上で悲願達成の直後に命を落とす顛末に、ある可能性を見い出した“鷹央”。
まさか診断の行方を“小鳥遊”に任せるとは何事かと思いましたが、なるほど納得の一言。

“鷹央”が残したヒントを頼りに、そして何より“早坂”の意図を汲んで死の真相を掴み
“小鳥遊”なりの解決を導いた彼の姿に成長を感じると共に、自分に出来ないことを彼に
任せようと思った彼女の心境の変化には称賛すら覚えます。2人の絆の行方も楽しみです。

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2020年09月16日

『あなたのことならなんでも知ってる私が彼女になるべきだよね』

藍月要 先生が贈る新作は、人の感情を色で把握できる少年が「愛されることがつらい」
と感じる苦悩に対し、彼を好きになったハイスペックな少女が恋愛下手ながら挑みます。
(イラスト:Aちき 先生)

https://famitsubunko.jp/product/anatanokoto/322005000140.html


気になる相手の「脈アリ判定」ができると評判の“空也”。今日も友人“勇治”の頼みを
聞いていると、天才美少女で人間嫌いと揶揄される“紅”から隣席で色々と指摘を受ける。
彼は「彼女が自分に恋心を抱いている」と気付いているだけに謎多き人物なのだが──。

言い出せず、募るばかりの想いを、持てる力と文明の利器を活用して“空也”の情報収集
にあてる“紅”の振舞いが終始徹底されていて、思わず引くくらいなのがまた面白い所で。
そんな彼女が要注意と見る彼の幼馴染“翠香”には恋愛感情の色が見えないのが謎多き点。

超人的な身体能力を持つ“翠香”が、時に体を壊してまで絵を描く“空也”を陰に日向に
支える献身的な姿は恋人のそれそのものなのに恋愛感情はないのか。その種明かしがまた
実に印象的で、だからこそ何らかの形で彼の生き様が報われてほしいと願いたくなります。

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2020年09月15日

『小悪魔だけど恋愛音痴なセンパイが今日も可愛い 1』

遊歩新夢 先生が贈る新作は、吹奏楽部を舞台に繰り広げるイチャラブコメディ。初心者
である少年に個別指導を行うことになった大学の先輩が恋の音色を奏でる努力を重ねます。
(イラスト/ひつじたかこ 先生)

https://over-lap.co.jp/Form/Product/ProductDetail.aspx?pid=9784865546958


独学で楽器を弄ってきた“拓斗”は、全国大会常連校の吹奏楽部を訪れてそのレベルの
高さに圧倒される。珍しい経歴の彼に目をつけたOGの“恵理那”は吹かせた管楽器の音
に惚れ込み個人指導を買って出るが、彼女には「小悪魔」と称される悪癖があって──。

小学生6年生の“リュシー”に恋愛相談にのってもらう“恵理那”もアレなんですけど
彼女の助言を鵜呑みにして“拓斗”へ何度もサービスシーンを提供する姿が微笑ましい。
そんな彼女に鍛えられてトランペット奏者として実力をつけていく彼の成長ぶりも見所。

同じく“拓斗”の奏でる音に惚れ込む“波音”の追っかけぶり、物語の軸を担っていく
“リュシー”を加え、“恵理那”が抱えるコンプレックスをカルテットで払拭しようと
試みる“拓斗”の気概は実に熱い。恋の音色は誰のために奏でるのか注目したい所です。

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2020年09月14日

『継母の連れ子が元カノだった5 あなたはこの世にただ一人』

紙城境介 先生が贈る同棲ラブコメ。ドラマCD付き特装版と同時刊行を迎える第5巻は
“結女”と“水斗”が互いを意識し始める中で“いさな”が自然と外堀を埋めていきます。
(イラスト:たかやKi 先生)

https://sneakerbunko.jp/product/motokano/321911000109.html


前巻のバランスを崩した勢いで、そのまま攻めきれれば“結女”の勝ちなのでしょうけど
それが出来ればここまで“水斗”との関係を拗らせていないワケで。そんな複雑な彼女の
胸中を知ってもなお背中を後押ししてくれる“いさな”の考え方が驚異であり脅威であり。

その“いさな”を物の弾みとは言え押し倒し、母“由仁”に見られる失態を犯す“水斗”。
さらに「世話になっているから」と“いさな”の母“凪虎”に気風のいい挨拶を受けつつ
娘の隙がありすぎる姿を見て推察された上で気に入られるあたり、彼も中々の難物です。

誤解が誤解を招く勢いは止まらず、“いさな”を困惑させる事態に直面するその姿を見て
つい「みんな」との違いに悩む女の子であることを忘れている、と再認識させられます。
益々興味深い立ち位置にいる彼女が“水斗”と“結女”の仲をどうかき回すか注目です。

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2020年09月11日

『リアデイルの大地にて5』

Ceez 先生が贈る大人気エルフファンタジー。第5巻は王都に迫る魔物の群れに対処しつつ
託された妖精を頼りに“オプス”を探し続ける“ケーナ”が遂にその所在を突き止めます。
(イラスト:てんまそ 先生)

https://famitsubunko.jp/product/leadale/322005000146.html
https://comic-walker.com/contents/detail/KDCW_AM19201033010000_68/
https://ncode.syosetu.com/n1247p/


“ケーナ”のネーミングセンスに今さら期待できるワケもなく名付けられた妖精“クー”。
“ルカ”とも仲良く愛らしい存在な妖精と共に「夜の神殿」の手がかりを掴む“ケーナ”。
ここにも彼女が「リアデイル」で過ごしてきた因縁が絡んでくるあたりは実に面白い展開。

王都の外で力を振るう“ケーナ”の強さは言うまでもなく、その間に現れた謎の大きな亀
に挑むこととなった“クオルケ”と“エクシズ”。2人が出会った謎の老爺の出した条件
には色々思わせるところがあり、今後もお世話になりたいと思う存在感にあふれた方かと。

“オプス”の拠点に挑む“ケーナ”に同行した“クロフィア”が彼女の人となりを知って
ギクシャクするのも無理はなく。それを戻そうと彼女にかけた「女王すら怒る」という声
には自由気ままな生き様が窺えます。鉄拳制裁のその先に何が起こるのか、興味津々です。

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2020年09月10日

『いつか僕らが消えても、この物語が先輩の本棚にあったなら』

永菜葉一 先生が「MF文庫J」から贈る新作は、小説に魅せられた少年少女の青春創作活劇。
文芸部部長に導かれ、苦学生の少年と恋する少年が小説家でプロデビューを目指します。
(イラスト:なび 先生)

https://mfbunkoj.jp/product/itsukabokuraga/322003001224.html


無職の父に暴力を振るわれ、妹を庇いながら新聞配達で日銭を稼ぐ中学2年生の“海人”。
報われぬ日々に疲れ、自暴自棄な彼に救いの手を差し伸べる少女“朱音”。文芸部部長
と名乗る彼女は「死にたいのなら小説を書け!」と言い、彼はそこに光を見い出す──。

物語を書く手法も、小説投稿サイトの存在も知らない“海人”が“朱音”指導のもとで
作家として実力をつけ、ライバル“浩太”と切磋琢磨する展開がサクセスストーリーを
演出しつつ、未来の描写を挟むことで先の読めない展開から緊張感を高めるのが上手い。

「物書きは読者の存在に生かされている」と作中で話に出る通り、技術論を語るよりは
作家になるしかない、という生き様を描くところに軸を置いている機微の描写が面白く
プロデビューを目指す勝負の行方も落とし所が興味深いお話。オススメできる内容です。

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2020年09月09日

『育ちざかりの教え子がやけにエモい2』

鈴木大輔 先生が贈るエモ×尊みラブコメ。第2巻は“美優”が抱く淡い想いに気がついた
“ひなた”を軸として、“達也”も含めた色とりどりの恋わずらい模様を描いていきます。
(イラスト:DSマイル 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094518627


風邪をひいた“ひなた”がここぞとばかりに“達也”へ色々お願いしちゃう話の導入部分。
軽々しく「好きだよ」とつぶやく彼女の言葉を軽く受け流せる彼の胆力はすでに称賛の域。
そんなしたたかな彼女が今回、警察沙汰を起こして補導されることになるとは露知らず。

前巻の騒動から真の意味で和解した“彩夏”、腹を探り合う2人を見守りながら恋バナに
淡白な姿勢を見せる“菜月”、そして引っ込み思案な自分を変えようと努力する“美優”。
そして自分の気持ちを整理しきれないまま迷走する“明日香”と機微の変化も注目の要素。

“ひなた”たちの指南をうけ、すっかり垢抜けた“美優”が全身全霊で臨んだ告白の行方。
それを見たから、だけではなく「あの場面」を見たからこそ責任を取りに来た“ひなた”
の意識の変化を“達也”は見極め、受け止めることができるのか。次巻も見逃せません。

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2020年09月08日

『ホラー女優が天才子役に転生しました 〜今度こそハリウッドを目指します!〜』

鉄箱 先生の「小説家になろう」投稿作が書籍化。ホラー女優が事故死し、転生した先は
お金持ちのご令嬢。子役からハリウッド女優を目指す未来転生型サクセスストーリーです。
(イラスト:きのこ姫 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094518634
https://ncode.syosetu.com/n0230fu/


ホラー女優として名を馳せた“桐生鶫”をまるでホラー映画の呪いのように襲う交通事故。
気がつけば20年後のベッドの上で、銀髪碧眼の美少女“空星つぐみ”として転生していた。
彼女の演劇への熱を汲んだ両親はドラマのオーディション会場へ参加する手筈を整え──。

“鶫”が持つ演劇の才能をそのままに新生子役として大人顔負けの演技で周囲を惹き込む
“つぐみ”の快進撃が爽快。ト書きを使い各場面への導入をスムーズに促す演出もお見事。
そのままTVドラマ化しても問題なさそうな内容です。演者さんは大変だと思いますけど。

“珠里亜”たち同年代の友だちとの関わりだけでなく、“鶫”として共演した演者たちや
スタッフ、関係者との一方的な繋がりがどう作用していくのか楽しみな設定もちらほらと。
きのこ姫 先生の挿絵もホラーな役を演じる描写に合致していて好感。続きが楽しみです。

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2020年09月07日

『わたしが恋人になれるわけないじゃん、ムリムリ!(※ムリじゃなかった!?)2』

むっしゅ 先生による漫画連載も好調な みかみてれん 先生が贈るノンストップ・ガールズ
ラブコメ。第2巻は“真唯”に復讐する“紗月”が“れな子”と期限付き交際を始めます。
(イラスト:竹嶋えく 先生)

http://dash.shueisha.co.jp/bookDetail/index/978-4-08-631379-7
https://seiga.nicovideo.jp/comic/47265?track=official_trial_l2


“れな子”を“真唯”の弱みと見る“紗月”。2人が仲直りしてほしいと願う“れな子”。
思惑が絡み合い“れな子”2週間の交際を始める“紗月”が、妻役として真摯に向き合う
姿勢がまず素敵。秘密を利用する悪女っぷりも、知られて動揺する姿もまた魅力的な要素。

なぜ“紗月”は“真唯”に復讐したいのか。家の事情も知り、裸の付き合いもしちゃう仲
を経て“れな子”が2人を羨ましいと思うのも納得で。改めて仲を取り持つため容赦ない
一撃を叩き込む姿は、あんなに油断が過ぎる身の振り方をするにもかかわらず雄々しくて。

“真唯”に対して言い訳めいた相談をしたり、今回の決闘を踏まえて慰めにかかったりと
“れな子”が「れまフレ」の関係を揺らせる中、彼女が思いも寄らず思わせぶりな言動で
募らせ続けた“紫陽花”の淡い想いがどう花開くのか、今から楽しみで仕方がありません。

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2020年09月04日

『記憶書店うたかた堂の淡々』

野村美月 先生が「講談社タイガ」から贈る新作は、驚くほど綺麗で無表情な顔をする青年
“一夜”が記憶を売り買いできることを利用する人たちが織り成す様々な物語を綴ります。
(イラスト:本山はな奈 先生)

http://taiga.kodansha.co.jp/author/m-nomura.html


本が好きな“静乃”にはそれを熱弁しても、それを熱心に聞いてくれる素敵な男性がいる。
そんな“誠”からある日「もう会えない」と連絡が。何度も連絡して繋がらないどころか
“誠”という人物は死亡していることが判明。戸惑う彼女にある記憶が沸き上がって──。

記憶を売り買いする、というのはどういうことか。示される実例に、時には命すら懸けて
相手に伝えたい想いを残したり、自身を表現することに繋げたりと興味深い小編の数々で。
婚活のアプローチに使われるとか、女優の矜持を維持するために利用するとか、実に斬新。

また、一度利用した人物が再び“一夜”のもとを訪れて更なる逸話を生み出していく構成
も小編同士に繋がりができて面白いと感じました。利用する人たちを見た“一夜”の反応
にも物珍しさを感じる注目すべき点かと。紙幅的にも読みやすくオススメできる一作です。

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2020年09月03日

『処刑少女の生きる道(バージンロード)4 ―赤い悪夢―』

佐藤真登 先生が贈るファンタジー作品。第4巻は失踪した“アカリ”と“モモ”を追う
“メノウ”の気苦労を他所に、彼女の導師“陽炎”が慈悲なき宣告を突きつけてきます。
(イラスト:ニリツ 先生)

http://www.sbcr.jp/products/4815607135.html


“メノウ”が死ぬ未来に繋がる2つの可能性を知った“モモ”が“アカリ”と逃避行する
中で、時に衝突しながら、意外と仲良くしている様子は、緊張感を保ちつつも微笑ましい。
“アーシュナ”の珍妙な願いも受け入れて2人を追う“メノウ”は知る由もない話ですが。

旅中、“メノウ”が「魔導」とは何たるかを突き詰めていく間に、手痛いしっぺ返しを
喰らったり、“アカリ”を取り逃がしたり、あらぬ冤罪容疑をかけられたり、一つとして
報われることがないのが切ない。その上で“陽炎”から告げられるあの一言も容赦がない。

“陽炎”から告げられる「異世界人を送還する魔導理論」の残酷さに絶句する“アカリ”。
彼女のことを殺せるか、と先輩に問いかける“モモ”。いずれ殺意を向けてくるであろう
師匠に対して決意を示す“メノウ”。それぞれの思惑が物語をどう動かすのか、注目です。

posted by 秋野ソラ at 00:15 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル