三上延 先生が贈る“栞子”と“大輔”のその後を描く大人気ビブリオミステリ。第2巻は
間を空けて起きた存在しないはずの「横溝正史の幻の作品」を巡る事件の顛末を描きます。
(イラスト:越島はぐ 先生)
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元は男爵位を持つ上島家で亡くなった“秋世”が残した横溝正史の『雪割草』が盗まれた。
単行本化されていない幻の本を取り返してほしいと依頼された“栞子”は依頼人“清美”、
その母で容疑を疑われる“初子”、彼女を犯人と決めつける叔母の“春子”と会うが──。
冒頭に「後味の悪い」話とあるとおり、『雪割草』を見つけた後に残る謎を解決した先に
残る感情は「たかが本、されど本」という想いの交錯がもたらすやるせなさが実に切ない。
この結末を反面教師として、価値観の違いを大事にしたい、尊重したいと思い直した次第。
今回“智恵子”に誘導される形で「ビブリア古書堂の事件手帖」に残された謎を読み解き、
書かれた以上の真実を導き出されるか試された“扉子”。受け継ぐ者を見極める祖母も、
応える孫も空恐ろしい。両親が知る由もない“扉子”の予感がもたらす物語に注目です。