2020年08月17日

『ひげを剃る。そして女子高生を拾う。4』

コミカライズを担当する 足立いまる 先生に挿絵をバトンタッチし、しめさば 先生が贈る
サラリーマンと女子高生の日常ラブコメディ。第4巻は“沙優” の過去に触れていきます。
(イラスト:足立いまる 先生 キャラクター原案:ぶーた 先生)

https://sneakerbunko.jp/product/higewosoru/321901000557.html


「連れ戻して来い」と“一颯”に言ってきた、という“沙優”の母親。推して知るべしな
人物像が実際に彼女の口から語られるのがつらい。安易に同情するのがおこがましいほど。
間に立つ彼の苦悩も分かるだけに、それでも家に戻らなければいけない現実がまたつらい。

“沙優”についてどう思っているのか“一颯”から改めて問いかけられた“吉田”。彼が
今の共同生活を振り返って頭でわかっていても行動に移せない、彼女に対して出来ること。
“あさみ”はさることながら、“三島”がそれを後押ししちゃうあたりは興味深い流れで。

「家族」とは何なのか。ありふれた言い方かもしれないけど“沙優”にとって大切なこと。
帰りたくない気持ちを抑え、“吉田”との出会いを力に変え、前に進もうとするその姿は
高潔さを感じます。彼女にサービスする彼はどんな顛末を見届けるのか、目が離せません。

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2020年08月14日

『ビブリア古書堂の事件手帖II 〜扉子と空白の時〜』

三上延 先生が贈る“栞子”と“大輔”のその後を描く大人気ビブリオミステリ。第2巻は
間を空けて起きた存在しないはずの「横溝正史の幻の作品」を巡る事件の顛末を描きます。
(イラスト:越島はぐ 先生)

https://mwbunko.com/product/321911000211.html


元は男爵位を持つ上島家で亡くなった“秋世”が残した横溝正史の『雪割草』が盗まれた。
単行本化されていない幻の本を取り返してほしいと依頼された“栞子”は依頼人“清美”、
その母で容疑を疑われる“初子”、彼女を犯人と決めつける叔母の“春子”と会うが──。

冒頭に「後味の悪い」話とあるとおり、『雪割草』を見つけた後に残る謎を解決した先に
残る感情は「たかが本、されど本」という想いの交錯がもたらすやるせなさが実に切ない。
この結末を反面教師として、価値観の違いを大事にしたい、尊重したいと思い直した次第。

今回“智恵子”に誘導される形で「ビブリア古書堂の事件手帖」に残された謎を読み解き、
書かれた以上の真実を導き出されるか試された“扉子”。受け継ぐ者を見極める祖母も、
応える孫も空恐ろしい。両親が知る由もない“扉子”の予感がもたらす物語に注目です。

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2020年08月13日

『ぼんくら陰陽師の鬼嫁 六』

秋田みやび 先生が贈る、退魔お仕事嫁物語。第6巻は凄腕の陰陽師でもある“鷹雄”の
北御門に対する呪詛により廃遊園地の中に閉じ込められた“芹”たちのその後を綴ります。
(イラスト:しのとうこ 先生)

https://lbunko.kadokawa.co.jp/product/bonkuraonmyouji/322004000606.html


一晩残って、うまくいけばそのまま解放する。危害を加える気がない“鷹雄”の意図が
見えない薄気味悪い展開。そんな中で1つずつ落ち続け観覧車のゴンドラ、更けていく
夜の闇、脱出を試みる“芹”たちの遭遇する霊障の数々がその雰囲気を加速させます。

何故か具合が悪化していく“鷹雄”、そして明るく振る舞ってはいるが熱っぽい“芹”。
はやる気持ちのままに現地へ急行する“皇臥”が“鷹雄”の真意を明らかにするまで
彼の行動原理は予想がつきませんでした。生き方が不器用すぎて実に紛らわしい方で。

シリアスなんだかコミカルなんだか、という興味深い結末へと落ち着いた今回の騒動。
陰陽道に対する知識の欠如を悔いて“史緒佳”にご教示願う“芹”の逞しさは健在で
ありながら“鷹雄”が指摘した彼女に対するある事実が今後どう影響するか注目です。

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2020年08月12日

『魔王学院の不適合者7 〜史上最強の魔王の始祖、転生して子孫たちの学校へ通う〜』

TVアニメが放送開始を迎えた、秋 先生が贈る「小説家になろう」投稿作の書籍化作品。
第7巻は地底世界を支える礎となる悲劇の預言を前に“アノス”たちが全力で抗います。
(イラスト:しずまよしのり 先生)

https://dengekibunko.jp/product/maougakuin/322003000242.html
https://maohgakuin.com/


未来を見る神眼をもつ“ナフタ”が告げる世界終焉の預言。“ディードリッヒ”は抗い
“アノス”を頼り、“シルヴィア”は強さを求め愛を捨て、“ヴィアフレア”は運命を
呪い神を否定する。それぞれの強い想いが交錯する様子が鮮烈で、接戦で、切なくて。

十万分の一という可能性を否定せず、自らその手に掴もうとする“アノス”の力強さ。
預言が進行していく中で“アルカナ”が見せる葛藤、言動の数々もこれまでの経緯が
あるゆえに印象深い。中でも“アヒデ”に下した決断には胸を打つものがありました。

それにしても「ファンユニオン」がここまで世界を救うための鍵になるとは驚きです。
酒杯竜戦の件もそうですけど、真面目なのか茶化しているのか分からないのも面白い。
皆が思い描く希望の未来へと辿り着けることを願いつつ、次巻の刊行を待つ次第です。

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2020年08月11日

『EDGEシリーズ 神々のいない星で 僕と先輩のウハウハザブーン〈下〉』

川上稔 先生が贈る、とある惑星の天地創造物語。2話下巻は奥多摩のキャンプ地で水妖
出現の謎とオリンポス勢力の介入に臨みながら“住良木”たちがバカンスを堪能します。
(イラスト:さとやす 先生(TENKY))

https://dengekibunko.jp/product/321910000105.html


話を進めようとしてくれている“桑尻”に対してボケ倒す“住良木”とポンコツぶりに
益々磨きが掛かる“先輩”とのやり取りが終始面白い。彼女には同情するばかりですが。
“雷同”と“ビルガメス”の相対がTRPGっぽくて印象深いのはリプレイ読みだからかも。

テラフォームの課題「惑星に水を発生させる方法」は、何やら力技だったり他力本願で
進めようとしたり詰みの連続な中、まさか物事を巨乳で例えるとは思いも寄らず笑みが。
その“住良木”が要所で確信を突く発言を魅せるからこのシリーズもキャラが侮れない。

「ゲロのオッサン」こと“ネプトゥーヌス”の話からオリンポス勢力の秘策、何よりも
明かされた“木戸”の秘密には驚きの連続。彼女の言動を振り返ると確かに得心のいく
結末で、“先輩”にとって新たな試練かも知れないと思いつつ、次なる一手に注目です。

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