2020年08月31日

『たとえば俺が、チャンピオンから王女のヒモにジョブチェンジしたとして。』

藍藤唯 先生の「小説家になろう」投稿作が書籍化。杠憲太 先生によるコミカライズも
決定した、天性の職業が人生を左右する世界で最強の無職が逆転人生を歩む人気作です。
(イラスト:霜降 先生(Laplacian))

https://fantasiabunko.jp/product/202008orechamp/322003001193.html
https://comic-walker.com/contents/detail/KDCW_KS13201819010000_68/
https://ncode.syosetu.com/n1393fy/


コロッセオで王座を守り続ける“フウタ”は、相手の戦い方を模倣するスタイルに加えて
本来生まれ持つ職業を持たない〈無職〉であることからまるで悪役のような扱いを受ける。
疲弊した彼は経営者の甘言から過ちを犯し、コロッセオ追放され人生を彷徨うのだが──。

王国の第一王女“ライラック”に拾われた“フウタ”を世話するメイドの“コローナ”が
掴みどころのない性格でありながら魅せる場面が幾つもあって実に良いキャラクターです。
受動的な彼とは違い物語を動かしてくれる要員でもあり、目が離せない人物でもあります。

“フウタ”過去を知りながら客人として招いた“ライラック”の、最強になりたいという
想いの先にある真意。世界に挑むほどに熱い彼女に空恐ろしさを感じつつ、彼女の味方で
在り続ける彼がその期待に応え続けることができるのか。先が楽しみな物語に期待大です。

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2020年08月28日

『ストライク・ザ・ブラッド22 暁の凱旋』

三雲岳斗 先生が贈る大人気学園アクションファンタジー。第22巻は異境と“カイン”の
遺産を押さえた“レン”に絃神島も握られた“古城”が徹底抗戦する完結巻となります。
(イラスト:マニャ子 先生)

https://dengekibunko.jp/product/stb/322003000221.html


“古城”に番う12人の「血の伴侶」を巡る女性陣の表に裏に見せる想いがまず面白くて。
中でも“紗矢華”が不本意ながら遂に本心をさらけ出す流れがお気に入り。その中でも
ヤキモチを焼くだけで最後の一歩が踏み込めない“雪菜”の言動がもどかしいのなんの。

駄洒落を考えるの大変そう、と登場する度にペースを崩される“ラードリー”の強さに、
“古城”へ決定的な一撃を与える“レン”に圧倒される流れを「血の伴侶」が覆す展開
には驚かされました。そして、この極限だからこそ“雪菜”が一歩踏み出せたことにも。

暴力的な「眷獣弾頭」の存在に秘められた“カイン”の希望、それを担う絃神島の奇跡。
異境や吸血鬼の位置づけも埒外の繋がりを魅せながら最後は「わたしたちのケンカ」で
締め括ってくれたのも見事。匂わせぶりな結末も興味津々ですがまずは祝・完結、です。

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2020年08月27日

『はたらく魔王さま!21』

和ヶ原聡司 先生が贈る魔王と勇者の庶民派ファンタジー。第21巻は神討ちに挑む“真奥”
を襲う突然の体調不良が思いがけない結末に、そして覚悟へと繋がる最終巻となります。
(イラスト:029 先生)

https://dengekibunko.jp/product/maousama/321904000064.html


神討ち前に“真奥”たちがケジメをつけるべきこと。応じる“千穂”の両親との温度差に
苦笑いしながらも、すでに覚悟を決めていた親としての強さに圧倒されます。029 先生が
言及する「一回限りのゲストヒロイン」だった“千穂”の重要度は最後まで高止まりです。

“イグノラ”の壮大な目的、その背景にある想像を超えた歴史、意外に鍵を握る“漆原”。
明かされる情報量の多さにも圧倒されます。緊迫する局面を迎えたにも関わらずバトルも
なしに事態を収めてしまうあたりは実に本作らしい。神討ち後の、あのケリの付け方も。

神討ち後の動向を並行して描写する構成の中で描かれる各々の近況を楽しみつつ、ついに
“真奥”に対して“千穂”がワガママを言い切ったことに、それに応えた彼に惜しみない
賞賛を。エンドロールっぽい演出も実に格好良い。完結を祝いつつ、次回作にも期待です。

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2020年08月26日

『異世界よ、俺が無敵の吸血鬼だ! 〜夜のハーレム性活は計画的に〜』

猪野志士 先生が贈る新作は、現代日本で社畜として働く吸血鬼が、吸血鬼のいない人間と
魔族が争う異世界へと召喚されて、第三勢力の立場を確立すべく活動する顛末を描きます。
(イラスト:イコモチ 先生)

https://dengekibunko.jp/product/322002000142.html


日々仕事に追われ、街を巡る吸血鬼駆除部隊から逃げ隠れする“栄一郎”。彼の足元に
突如現れた光に誘われ、気がつくとそこは異世界。彼を召喚した“フィズリ”の話から
この世界で望むままに生きると決めた彼は早速、彼女の柔な首筋に牙を突き立てる──。

吸血鬼というものが如何に恐ろしい存在かということを人間に、魔族に知らしめるべく
活動する“栄一郎”改め“アルガ”の思考が社畜時代の名残あふれていてどこか滑稽で。
彼に血を吸われ恍惚と愉悦に耽る少女たちの描写がエロノベで通用する水準なのも良し。

“アルガ”のことを知りたい“フィズリ”の満更でもない様子に対し、彼に惚れ込んだ
魔族の少女“オルムネ”がヤキモチを焼くやり取りが微笑ましく感じられるのも好感触。
“オルムネ”の過去を清算した結果、厄介事を背負い込む彼の生き様が気になります。

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2020年08月25日

『友達の妹が俺にだけウザい5』

三河ごーすと 先生が贈るいちゃウザ青春ラブコメ。ドラマCD付き特装版が同時発売となる
第5巻は“彩羽”のウザかわいさを認める“明照”にニセ恋人の進捗確認が要求されます。
(イラスト:トマリ 先生)

http://www.sbcr.jp/products/4815606237.html


ということで“真琴”から“明照”と“真白”がニセ恋人であることを忘れていないかと
読者に対してもフォローを入れるかのような展開。「5階同盟」の秘密を色々知った彼女
だからこそ立ち居振る舞いが難しい中で、想いを届けようと頑張りを魅せてくれました。

その想いを受け止める“明照”は“真白”からだけではない仄かな想いを感じ取っている
にも関わらず中途半端な立ち位置のままで。そんな彼に“音井”が重い一撃を叩き込んで
くれたことで彼の行動指針が固まったようにも見受けられます。今後の動向には興味津々。

“明照”が“彩羽”のウザ絡みを魅力と捉えた結果として、それをプロデュースしたいと
やや斜めの方向に思考が傾いたのは彼らしく。けれどその方針を知った彼女がどう思うか
考えが及ばないのもまた彼らしく。こぼれた涙と感情が報われることを願うばかりです。

posted by 秋野ソラ at 00:56 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル