あわむら赤光 先生が贈るピュアフレンドラブコメ。第2巻は“琴吹”から告白を受ける
“カイ”が“ジュン”との距離感と比較して、恋愛関係の難しさを知ることとなります。
(イラスト:mmu 先生)
【 http://www.sbcr.jp/products/4815605643.html 】
“琴吹”からの突然の告白。“カイ”としては趣味も合う、話していて楽しい、でも恋愛
と言われてもピンとこない。“怜奈”から二者択一を求められて“ジュン”と疎遠になる
くらいなら彼女なんて欲しくない、と率直に結論づけるくらいぶれないのが実に彼らしい。
友だちだろうが何だろうが想い人と結ばれるには“ジュン”を何とかしないと、と考える
“琴吹”の思考回路は自然。なのに“ジュン”は彼女の愛らしさに首ったけで仲間としか
見ていないのだから唖然。秘密までつまびらかにしたのに報われないあたりは思わず同情。
やがて“カイ”と“ジュン”、3人で色々と楽しんだ日々から導き出した“琴吹”の結論。
彼女なりに自分と想い人との距離感を掴んだことで「名を捨てて実を取る」みたいな道を
手に入れたのが実に興味深い。彼もその意味に対して、大いに悩みぬいてほしいものです。
2020年07月13日
2020年07月10日
『今はまだ「幼馴染の妹」ですけど。2 先輩、ふたりで楽しい思い出つくりましょう!』
かぜぱな 先生によるコミカライズ企画が進行中の、涼暮皐 先生が贈るラブコメディ。
第2巻は人気者の後輩から突然に恋人宣言された“伊織”が新たな過去と向き合います。
(イラスト:あやみ 先生)
【 https://mfbunkoj.jp/product/osaimo/321912000702.html 】
いきなり「星の涙」の力で洗脳されるところから始まるラブコメ、というのも中々に斬新。
とは言え“伊織”としてもすぐ“まなつ”と恋仲になるほど素直さを持ち合わせていない
のが本作の売りでもあります。“灯火”の立場を早々にぐらつかせる容赦の無さもですが。
ふたりで楽しい思い出を作る、と嘯く“まなつ”が「星の涙」に何を願ってしまったのか。
子供心についた嘘、繋がらない面影、見てしまった泣き顔、助けられなかった事実と悔恨。
このような使い方もあるのか、と驚かされると共に彼女の優しさは心温まるのに切なくて。
叙述トリックを見抜くかのように“まなつ”の秘密を見抜く“伊織”が見せた熱い感情は
「氷点下」らしからぬ人間味が窺えて実に良かった。“こころ”は在るのに人の心が無い
とはこれ如何に。エピローグの引き具合もまた衝撃的すぎて、続きが気になるばかりです。
第2巻は人気者の後輩から突然に恋人宣言された“伊織”が新たな過去と向き合います。
(イラスト:あやみ 先生)
【 https://mfbunkoj.jp/product/osaimo/321912000702.html 】
いきなり「星の涙」の力で洗脳されるところから始まるラブコメ、というのも中々に斬新。
とは言え“伊織”としてもすぐ“まなつ”と恋仲になるほど素直さを持ち合わせていない
のが本作の売りでもあります。“灯火”の立場を早々にぐらつかせる容赦の無さもですが。
ふたりで楽しい思い出を作る、と嘯く“まなつ”が「星の涙」に何を願ってしまったのか。
子供心についた嘘、繋がらない面影、見てしまった泣き顔、助けられなかった事実と悔恨。
このような使い方もあるのか、と驚かされると共に彼女の優しさは心温まるのに切なくて。
叙述トリックを見抜くかのように“まなつ”の秘密を見抜く“伊織”が見せた熱い感情は
「氷点下」らしからぬ人間味が窺えて実に良かった。“こころ”は在るのに人の心が無い
とはこれ如何に。エピローグの引き具合もまた衝撃的すぎて、続きが気になるばかりです。
2020年07月09日
『探偵はもう、死んでいる。3』
二語十 先生が贈る「第15回MF文庫Jライトノベル新人賞・最優秀賞」受賞作。第3巻は
“君彦”らが“シエスタ”の犯したミスを探り、死の真相と遺志を継ぐ意味を知ります。
(イラスト:うみぼうず 先生)
【 https://mfbunkoj.jp/product/tantei_dead/321912000700.html 】
生前の“シエスタ”を参考に作られた生体アンドロイド《シエスタ》。彼女の存在もまた
驚きの種でありながら、世界の謎に迫る事実が次々と明かされて脳がもう、てんやわんや。
その中でも《原初の種》が物語の軸を握っていくのが分かると俄然、面白みが増します。
「SPES」との対決姿勢を新たに・・・と思えば“斎川”のプロデューサーを務めることになる
“君彦”の忙しなさ。彼女を襲うスキャンダルから身を守ろう・・・などと言っている間にも
彼を取り巻く面々が敵に味方に、建前と本音とが入り乱れて先の読めなさに驚かされます。
“夏凪”が“ヘル”と向き合うのも、“斎川”がこの時期で登場したのも“シエスタ”が
命を賭してでも阻止したい計画を浮かび上がらせる演出に繋がっていて見事。“君彦”が
その事実を受け止めてもなお諦めない悪あがきが通じるか否か、見届けたいところです。
“君彦”らが“シエスタ”の犯したミスを探り、死の真相と遺志を継ぐ意味を知ります。
(イラスト:うみぼうず 先生)
【 https://mfbunkoj.jp/product/tantei_dead/321912000700.html 】
生前の“シエスタ”を参考に作られた生体アンドロイド《シエスタ》。彼女の存在もまた
驚きの種でありながら、世界の謎に迫る事実が次々と明かされて脳がもう、てんやわんや。
その中でも《原初の種》が物語の軸を握っていくのが分かると俄然、面白みが増します。
「SPES」との対決姿勢を新たに・・・と思えば“斎川”のプロデューサーを務めることになる
“君彦”の忙しなさ。彼女を襲うスキャンダルから身を守ろう・・・などと言っている間にも
彼を取り巻く面々が敵に味方に、建前と本音とが入り乱れて先の読めなさに驚かされます。
“夏凪”が“ヘル”と向き合うのも、“斎川”がこの時期で登場したのも“シエスタ”が
命を賭してでも阻止したい計画を浮かび上がらせる演出に繋がっていて見事。“君彦”が
その事実を受け止めてもなお諦めない悪あがきが通じるか否か、見届けたいところです。
2020年07月08日
『サンタクロースを殺した。そして、キスをした。』
犬君雀 先生の「第14回小学館ライトノベル大賞・優秀賞」受賞作。望まない願いを叶える
ノートを持つ少女と共に傷心の勢いでクリスマスを無くすべく少年がある活動を始めます。
(イラスト:つくぐ 先生)
【 http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094518535 】
クリスマスの到来を「望まない願い」とするべく疑似的な恋人になることを望む“少女”。
突然の別れを告げられた“先輩”に新しい彼氏がいることがどうにも耐えられない“僕”。
聖夜まで残り22日、前途多難な道をゆくギクシャクした2人が辿り着く結末や如何に──。
“先輩”のことを好きだという“僕”自身が気づいていなかった感情。それを知ったから
こそ彼女は道を違えたし、“悪友”は苦言を呈してきたのだと思うとその優しさが切ない。
“僕”と“少女”の関係が偶然から必然へと変遷する過程にもそれは表れている気がして。
「サンタクロースを殺す」ということ。そして「キスをする」という意味。幸せの象徴に
導かれた終わりの瞬間“少女”が口にした言葉に、“僕”にとっての「大丈夫」なものが
形成されたことにせめてもの報いがあることを願わずにはいられない読了感を覚えました。
ノートを持つ少女と共に傷心の勢いでクリスマスを無くすべく少年がある活動を始めます。
(イラスト:つくぐ 先生)
【 http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094518535 】
クリスマスの到来を「望まない願い」とするべく疑似的な恋人になることを望む“少女”。
突然の別れを告げられた“先輩”に新しい彼氏がいることがどうにも耐えられない“僕”。
聖夜まで残り22日、前途多難な道をゆくギクシャクした2人が辿り着く結末や如何に──。
“先輩”のことを好きだという“僕”自身が気づいていなかった感情。それを知ったから
こそ彼女は道を違えたし、“悪友”は苦言を呈してきたのだと思うとその優しさが切ない。
“僕”と“少女”の関係が偶然から必然へと変遷する過程にもそれは表れている気がして。
「サンタクロースを殺す」ということ。そして「キスをする」という意味。幸せの象徴に
導かれた終わりの瞬間“少女”が口にした言葉に、“僕”にとっての「大丈夫」なものが
形成されたことにせめてもの報いがあることを願わずにはいられない読了感を覚えました。
2020年07月07日
『シュレディンガーの猫探し』
小林一星 先生の「第14回小学館ライトノベル大賞・審査員特別賞」受賞作。探偵嫌いの
少年が出逢った「魔女」と手を結び、秘密にしておきたい真実を探偵から守っていきます。
(イラスト:左 先生)
【 http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094518573 】
“令和”の妹に纏わる事件と謎。探偵を頼り解決を図るも余計な詮索をされて探偵不審に
陥った彼は文芸部部長“くりす”に「迷宮落としの魔女」と称する人を紹介される。彼の
話を聞いた彼女は、世にも奇妙なミステリーを迷宮入りにしてみせる、と豪語するが──。
“令和”の妹の周りで起こる事件に高校生探偵“太陽”やハードボイルド探偵“勘渋郎”
といった優秀な探偵が挑み、掴もうとする謎解きの手がかり。それに件の魔女“焔螺”が
霞をかけていく手管の数々が興味深い内容で。その上でしっかり「解決」する点もお見事。
“令和”の立ち位置が話の進み具合で次々に変遷していく点、“焔螺”の存在そのものが
仕掛け満載な点、そして彼の妹“弥生”に隠された本当の謎が隠しきれていない点。実に
続きが楽しみな要素を次巻でどう拾ってくれるのか、先生のお手並みを拝見したい所です。
少年が出逢った「魔女」と手を結び、秘密にしておきたい真実を探偵から守っていきます。
(イラスト:左 先生)
【 http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094518573 】
“令和”の妹に纏わる事件と謎。探偵を頼り解決を図るも余計な詮索をされて探偵不審に
陥った彼は文芸部部長“くりす”に「迷宮落としの魔女」と称する人を紹介される。彼の
話を聞いた彼女は、世にも奇妙なミステリーを迷宮入りにしてみせる、と豪語するが──。
“令和”の妹の周りで起こる事件に高校生探偵“太陽”やハードボイルド探偵“勘渋郎”
といった優秀な探偵が挑み、掴もうとする謎解きの手がかり。それに件の魔女“焔螺”が
霞をかけていく手管の数々が興味深い内容で。その上でしっかり「解決」する点もお見事。
“令和”の立ち位置が話の進み具合で次々に変遷していく点、“焔螺”の存在そのものが
仕掛け満載な点、そして彼の妹“弥生”に隠された本当の謎が隠しきれていない点。実に
続きが楽しみな要素を次巻でどう拾ってくれるのか、先生のお手並みを拝見したい所です。