景詠一 先生の「第8回集英社ライトノベル新人賞・銀賞」受賞作。天涯孤独となる少年が
「盲目の吸血鬼が住む」という屋敷に引き取られ、人外との絆を深めていくラブコメです。
(イラスト:みきさい 先生)
【 http://dash.shueisha.co.jp/bookDetail/index/978-4-08-631365-0 】
両親を事故で失い、祖父も亡くなり、遺書が示す屋敷に住む“セナ”と家族になることを
決めた少年“日向”。曰く彼女は噂どおりの吸血鬼だと言い、その屋敷には硝子みたいな
虫や牛の頭をした配達人が現れたりと驚きの連続。実は彼の血筋に理由があるようで──。
今や人に認識されなくなった幻想種。それらと人とを仲介する幻想管理人。昔その役割を
担い英雄とも呼ばれる“セナ”。彼女と“日向”を結ぶ家の関係。身近な人物も幻想種で
その悩みを受け止める過程で彼が成長し、役割を引き継ぐと決意する顛末に魅せられます。
“日向”のお姉さんとして振る舞う“セナ”が彼に対し過剰なまでにグイグイくる世話の
焼き具合が微笑ましいのも見どころ。そこに人ならざる者ゆえの理由を添えてある点にも
ニヤリとする要素があり、心温まる読了感が味わえます。オススメできる一作と言えます。