森田季節 先生が贈る青春未満ラブコメ。第8巻は“えんじゅ”がココロオープンで無意識
に示した感情を前に“業平”が、もしくは周囲の残念系異能力者たちが想いを巡らせます。
(イラスト:Mika Pikazo 先生)
【 http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094518481 】
異能力がもたらす負の要素が、人研で培ってきた人間関係が、踏み出す一歩を鈍らせる。
それは“えんじゅ”に限らず“業平”にも言えること。「俺が好きなのは、愛河だ」と
嘯く彼の気持ちは恋心、というよりは心を縛るための足枷のような気がして実に切ない。
意を決して動物園デートに“愛河”を誘った“業平”の姿を見“えんじゅ”てが断言した
あの一言が、“愛河”との話の端々に出てくる“えんじゅ”のイメージが、いい雰囲気を
見せる2人の仲が迎える結末を予感させるだけに、ページをめくる手も鈍るというもの。
それにしても“エリアス”が流すあの涙の訳は突然でした。全てを見通す“明星”元会長
だからこその仕業とはいえ。同じく「相手」の想いを知る“愛河”があの決断をしたのも
無理はないだけに切なさは増すばかり。拗れた恋愛模様が向かう先を興味深く見守ります。