2020年06月08日

『探偵くんと鋭い山田さん 俺を挟んで両隣の双子姉妹が勝手に推理してくる』

玩具堂 先生が「MF文庫J」からは初刊行となる新作は学園ミステリーラブコメ。親が探偵
というだけで学校内のトラブル解決に巻き込まれる少年と双子姉妹たちの逸話を綴ります。
(イラスト:悠理なゆた 先生)

https://mfbunkoj.jp/product/yamadasan/322001000934.html


自身は探偵でもないのに女子グループのリーダーから彼氏の浮気調査を依頼され、断れず
頭を抱える“戸村”。そんな彼の様子を気に掛ける山田姉妹、チャラそうな姉の“雪音”
と真面目な“雨恵”、2人と共になし崩し的に解決に向けた奇妙な関係を築いていく──。

“雪音”の閃きと“雨恵”の知識に助けられ“戸村”が謎解きをする。それを短編構成で
小気味よく進めていく展開が読んでいてまず楽しい。彼が2人と少しずつ良い関係を築く
様子も微笑ましくて好感触。悠理なゆた 先生の挿絵も作風に合致して演出も申し分ない。

予想はつくけど明らかにしない“雨恵”の秘密、こういった絶妙な描写の仕方も実に見事。
過去の秀作を踏まえ、その期待にしっかりと応えてきた、と感じられるお薦めの一作かと。
往年の「富士見ミステリー文庫」作品に想いを馳せながら次巻の刊行を待望する次第です。

posted by 秋野ソラ at 01:26 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル