2020年06月02日

『ひきこまり吸血姫の悶々2』

小林湖底 先生が贈るコミカルファンタジー。第2巻は“コマリ”に妹分の友だちができて
賑やかになる中で、七紅天同士の闘争が勃発したり、要人の暗殺事件が発生したりします。
(イラスト:りいちゅ 先生)

http://www.sbcr.jp/products/4815605513.html


七紅天の一人“フレーテ”に実力を疑われ、「七紅天闘争」を仕掛けられる“コマリ”。
同じく将軍でありながらテロリストにやられた“サクナ”と共闘を図る“コマリ”との
ガールズラブコメっぽいノリが微笑ましい進行を見せつつ、種明かしは割と早く出ます。

テロリストがいつ“コマリ”に対して牙を剥くのか。その緊張感と共にテロリストにも
行為に及ぶ事情があることへの同情も芽生え、読み手として気持ちに葛藤が生まれます。
かの闘争の流れ次第で揺らぐ命運の中、迎える両者の対面が彼女の奮起を促すのが熱い。

“コマリ”が陥る逆境は、自身が持つ「孤紅の恤」の圧倒的な力で覆していく。爽快感
あふれる逆転劇はそのままに、その力の規格外さを内外に示す結末に新たな可能性すら
見い出せます。「外」から目をつけられた彼女がどんな陰謀に巻き込まれるか注目です。

posted by 秋野ソラ at 01:18 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2020年06月01日

『家族なら、いっしょに住んでも問題ないよね?』

約5年ぶりとなる 高木幸一 先生の新作は青春ラブコメ。天涯孤独となった少年が親戚に
たらい回しにあったあげく、遠縁の四姉妹が住む家での同居生活を始める顛末を描きます。
(イラスト:YuzuKi 先生)

http://www.sbcr.jp/products/4815605247.html


祖父の死後、草原家の長姉“宙子”が後見人となり新たな家族の一員となった“真”には
ある悩みが。気難しい次女“波月”や人懐っこい四女“美星”との関係もまずまずな中で
三女“姫芽”とは気まずいままだから。彼女からの告白を断った身としては悩み所で──。

“宙子”から仕組まれた疑似デートに困惑したり、“美星”や“波月”が“真”に対して
好意を寄せていく雰囲気に突っかかったり何かと振り回される“姫芽”。彼女だけでなく
四姉妹と精神的にも近い距離で接することで彼が「家族」の絆を模索する過程が興味深い。

そもそも“真”はなぜ部活の後輩でもある“姫芽”の告白を受け入れなかったのか。その
真意を知った彼女は彼にどんな感情をぶつけるのか。気遣う心が絡ませた想いが解けてく
物語の結び方も心温まる、家族モノとしても楽しめる一作かと思います。オススメです。

posted by 秋野ソラ at 00:09 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル