伊達康 先生が贈る最強助演ラブコメ。第9巻は母親から告げられる衝撃の事実に加えて
意外な縁で結ばれていた人間関係に頭を悩ませる“一郎”へ更なる難題が降りかかります。
(イラスト:紅緒 先生)
【 http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094518498 】
“一郎”が何故ここまで色々できるのか。母親の登場でようやく腑に落ちる事実が明らか
となっただけでなく、一連の騒動に彼の家系にまつわる事情も見えてきて、話を演出する
立場から、いよいよその主役を担う存在に否も応もなく祭り上げられていく進行が面白い。
今回、悪魔憑きとして登場する人物も“一郎”の陣営に深くかかわってくるだけに一筋縄
では退けられない・・・といった緊迫した状況でもコミカルな演出を忘れないあたりは流石。
その中でも“忌綺”が思い上がる「あの人」へ容赦なく叱咤激励するやり取りが印象的で。
次々と数を減らす悪魔憑きに目もくれず、むしろ歓迎の色すら見せる“阿義斗”を横目に
いよいよ迎える“シズマ”の母“麗斐堕”との再会。大団円まっしぐら・・・かと思いきや
エピローグでとんでもない反撃を食らう“一郎”。彼がどう動くか、次巻も要注目です。
2020年06月09日
2020年06月08日
『探偵くんと鋭い山田さん 俺を挟んで両隣の双子姉妹が勝手に推理してくる』
玩具堂 先生が「MF文庫J」からは初刊行となる新作は学園ミステリーラブコメ。親が探偵
というだけで学校内のトラブル解決に巻き込まれる少年と双子姉妹たちの逸話を綴ります。
(イラスト:悠理なゆた 先生)
【 https://mfbunkoj.jp/product/yamadasan/322001000934.html 】
自身は探偵でもないのに女子グループのリーダーから彼氏の浮気調査を依頼され、断れず
頭を抱える“戸村”。そんな彼の様子を気に掛ける山田姉妹、チャラそうな姉の“雪音”
と真面目な“雨恵”、2人と共になし崩し的に解決に向けた奇妙な関係を築いていく──。
“雪音”の閃きと“雨恵”の知識に助けられ“戸村”が謎解きをする。それを短編構成で
小気味よく進めていく展開が読んでいてまず楽しい。彼が2人と少しずつ良い関係を築く
様子も微笑ましくて好感触。悠理なゆた 先生の挿絵も作風に合致して演出も申し分ない。
予想はつくけど明らかにしない“雨恵”の秘密、こういった絶妙な描写の仕方も実に見事。
過去の秀作を踏まえ、その期待にしっかりと応えてきた、と感じられるお薦めの一作かと。
往年の「富士見ミステリー文庫」作品に想いを馳せながら次巻の刊行を待望する次第です。
というだけで学校内のトラブル解決に巻き込まれる少年と双子姉妹たちの逸話を綴ります。
(イラスト:悠理なゆた 先生)
【 https://mfbunkoj.jp/product/yamadasan/322001000934.html 】
自身は探偵でもないのに女子グループのリーダーから彼氏の浮気調査を依頼され、断れず
頭を抱える“戸村”。そんな彼の様子を気に掛ける山田姉妹、チャラそうな姉の“雪音”
と真面目な“雨恵”、2人と共になし崩し的に解決に向けた奇妙な関係を築いていく──。
“雪音”の閃きと“雨恵”の知識に助けられ“戸村”が謎解きをする。それを短編構成で
小気味よく進めていく展開が読んでいてまず楽しい。彼が2人と少しずつ良い関係を築く
様子も微笑ましくて好感触。悠理なゆた 先生の挿絵も作風に合致して演出も申し分ない。
予想はつくけど明らかにしない“雨恵”の秘密、こういった絶妙な描写の仕方も実に見事。
過去の秀作を踏まえ、その期待にしっかりと応えてきた、と感じられるお薦めの一作かと。
往年の「富士見ミステリー文庫」作品に想いを馳せながら次巻の刊行を待望する次第です。
2020年06月05日
『エリスの聖杯2』
常磐くじら 先生が贈る貴族社会クライムサスペンス。第2巻は“リリィ”が残した遺言を
もとに“コニー”が「エリスの聖杯」と“スカーレット”処刑の意外な繋がりに迫ります。
(イラスト:夕薙 先生)
【 http://www.sbcr.jp/products/4815605612.html 】
【 https://ncode.syosetu.com/n1230ei/ 】
“リリィ”が持っていた鍵。悪い奴らを見破る呪文。太陽の入れ墨を持つ犯罪者。そこへ
10年前の幻覚剤と、それを上回る効果を持つ幻覚剤が流行する兆し。すべてを結びつける
巨大な犯罪組織が「アデルバイド」を弱体化させるべく暗躍していたというのだから驚き。
その謀略に楔を打てるのが“スカーレット”の処刑であったと吐露する「仕向けた」側の
思惑も見えてきて複雑な想いがこみ上げます。“アイシャ”の一件を教訓に、今また鍵を
握る“アビゲイル”を救うべく、手段を選ばず“コニー”たちが勝ちを握る展開が爽快で。
闇に迫る“コニー”の危なっかしさを見守る“ランドルフ”が婚約者としてデートするも
頓珍漢な振舞いを見せたり、あるいは彼のさりげないそぶりに頬を染める彼女の様子には
微笑ましさを感じるばかり。謎解きも恋愛も前に進むことを願いつつ次巻刊行を待ちます。
もとに“コニー”が「エリスの聖杯」と“スカーレット”処刑の意外な繋がりに迫ります。
(イラスト:夕薙 先生)
【 http://www.sbcr.jp/products/4815605612.html 】
【 https://ncode.syosetu.com/n1230ei/ 】
“リリィ”が持っていた鍵。悪い奴らを見破る呪文。太陽の入れ墨を持つ犯罪者。そこへ
10年前の幻覚剤と、それを上回る効果を持つ幻覚剤が流行する兆し。すべてを結びつける
巨大な犯罪組織が「アデルバイド」を弱体化させるべく暗躍していたというのだから驚き。
その謀略に楔を打てるのが“スカーレット”の処刑であったと吐露する「仕向けた」側の
思惑も見えてきて複雑な想いがこみ上げます。“アイシャ”の一件を教訓に、今また鍵を
握る“アビゲイル”を救うべく、手段を選ばず“コニー”たちが勝ちを握る展開が爽快で。
闇に迫る“コニー”の危なっかしさを見守る“ランドルフ”が婚約者としてデートするも
頓珍漢な振舞いを見せたり、あるいは彼のさりげないそぶりに頬を染める彼女の様子には
微笑ましさを感じるばかり。謎解きも恋愛も前に進むことを願いつつ次巻刊行を待ちます。
2020年06月04日
『竜と祭礼2 ―伝承する魔女―』
筑紫一明 先生が贈る、杖職人たちの物語。第2巻は王都の城壁に導入された特殊な魔法杖
を破った犯人とされる「魔女」を巡って“イクス”たちがその謎を追う使命を任されます。
(イラスト:Enji 先生)
【 http://www.sbcr.jp/products/4815603977.html 】
“ユーイ”とその学友“ノバ”を連れ、魔女が出没する村へと向かう“イクス”。いわく
「魔女は収穫祭の晩に現れる」「魔女は人間を喰う」「魔女は死なない」と眉唾な噂話を
吟味していく過程はさながらミステリを読むかのよう。今巻でもその面白さが味わえます。
魔女に纏わる逸話から自身の「魔力がない」という特徴に結びつけるあたりは“イクス”
ならではですが、そんな彼に告げられた真実がこれまたシビアで。それでもかの師が彼に
何を見い出していたのかは、彼が手を掛けた杖やそれに至る考え方が示しているのかも。
城壁に纏わる騒動の犯人は。そもそも「魔女」とは何か。全てを推し量る“イクス”が
目にしたあの涙からは蓄えた智慧をもってしても全能ではない「彼女」の悲哀が溢れます。
一つの別れを迎えた“イクス”が迎える冬景色、傍らに誰がいるのかも気になる次巻です。
を破った犯人とされる「魔女」を巡って“イクス”たちがその謎を追う使命を任されます。
(イラスト:Enji 先生)
【 http://www.sbcr.jp/products/4815603977.html 】
“ユーイ”とその学友“ノバ”を連れ、魔女が出没する村へと向かう“イクス”。いわく
「魔女は収穫祭の晩に現れる」「魔女は人間を喰う」「魔女は死なない」と眉唾な噂話を
吟味していく過程はさながらミステリを読むかのよう。今巻でもその面白さが味わえます。
魔女に纏わる逸話から自身の「魔力がない」という特徴に結びつけるあたりは“イクス”
ならではですが、そんな彼に告げられた真実がこれまたシビアで。それでもかの師が彼に
何を見い出していたのかは、彼が手を掛けた杖やそれに至る考え方が示しているのかも。
城壁に纏わる騒動の犯人は。そもそも「魔女」とは何か。全てを推し量る“イクス”が
目にしたあの涙からは蓄えた智慧をもってしても全能ではない「彼女」の悲哀が溢れます。
一つの別れを迎えた“イクス”が迎える冬景色、傍らに誰がいるのかも気になる次巻です。
2020年06月03日
『俺の彼女と幼なじみが修羅場すぎる14』
約二年半の刊行となる、裕時悠示 先生の甘修羅らぶコメ。第14巻は「偽彼氏」の関係を
打ち明ける“真涼”に対して“愛衣”や“千和”がどう反応するか、注目の修羅場です。
(イラスト:るろお 先生)
【 http://www.sbcr.jp/products/4815606213.html 】
雑誌「パチレモン」の復刊プロデュースに気負う“真涼”の本質を見定める父親のテスト。
奇しくもこれが彼女の未だ抱える心の弱さを露呈することになる訳ですが、そこから更に
“愛衣”や“千和”との関係を結び直す契機にも繋がるのだから何が起こるか分からない。
仲間からの叱咤激励を受け、ジョナサンの言葉を胸に、大粒の涙を乗り越え、余裕綽々な
父親に一矢報いる。「サマーリバー真涼」として復活を遂げるその姿、いかにも“真涼”
らしい復活劇に喜びが胸に湧くのを覚えました。一時はどうなることやら、な話でしたが。
“姫香”以外の「自演乙」メンバーにも、それこそ世界中から注目が集まって血気盛んな
状況の中、“鋭太”はハーレムルートという結末を、居場所を築き上げることが出来るか。
いよいよ牙を剥く「あの人」の存在にその命運は掛かっています。次巻へ大いに期待です。
打ち明ける“真涼”に対して“愛衣”や“千和”がどう反応するか、注目の修羅場です。
(イラスト:るろお 先生)
【 http://www.sbcr.jp/products/4815606213.html 】
雑誌「パチレモン」の復刊プロデュースに気負う“真涼”の本質を見定める父親のテスト。
奇しくもこれが彼女の未だ抱える心の弱さを露呈することになる訳ですが、そこから更に
“愛衣”や“千和”との関係を結び直す契機にも繋がるのだから何が起こるか分からない。
仲間からの叱咤激励を受け、ジョナサンの言葉を胸に、大粒の涙を乗り越え、余裕綽々な
父親に一矢報いる。「サマーリバー真涼」として復活を遂げるその姿、いかにも“真涼”
らしい復活劇に喜びが胸に湧くのを覚えました。一時はどうなることやら、な話でしたが。
“姫香”以外の「自演乙」メンバーにも、それこそ世界中から注目が集まって血気盛んな
状況の中、“鋭太”はハーレムルートという結末を、居場所を築き上げることが出来るか。
いよいよ牙を剥く「あの人」の存在にその命運は掛かっています。次巻へ大いに期待です。