2020年06月30日

『後宮妃の管理人 三 〜寵臣夫婦は繋ぎとめる〜』

廣本シヲリ 先生によるコミックス1巻も発売を迎えた、しきみ彰 先生が贈る後宮物語。
第3巻は陛下との離縁を示す賢妃“明貴”の真意を“優蘭”が探り、対策に乗り出します。
(イラスト:Izumi 先生)

https://lbunko.kadokawa.co.jp/product/kanrinin/322002001181.html
https://comic-walker.com/contents/detail/KDCW_FL00201451010000_68/


“明貴”にどす黒い感情を向けられる“優蘭”にとってはとばっちりでしかないこの案件。
「何やってんの“劉亮”!?」と言いたくなる夫婦喧嘩の背景に思わず“優蘭”を応援する
感情に一層の熱が入るというもの。彼女を気遣う“皓月”の男前ぶりも磨きが掛かります。

反旗を翻す勢いの“皓月”から、これまた精神的被害を被る“慶木”も陛下に近い考えを
見せたため“優蘭”たちからしっぺ返しを食らう顛末も興味深い。“明貴”にも非はある
ため「雨降って地固まる」形にどう持っていくのか、読み進めるにつれ期待が膨らみます。

離縁騒動に加えて難題が重なる中、“優蘭”のアイデアが見事に嵌まっていく結末は胸が
すくというもの。見ていてこそばゆくも、着実に仲を深めていく夫婦の行く末は見届ける
甲斐がありますし、“玄曽”が“皓月”を評したあの意味も見極めていきたいところです。

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2020年06月29日

『Unnamed Memory V 祈りへと至る沈黙』

越水ナオキ 先生によるマンガ化が決定した、古宮九時 先生が贈る愛と呪いの一大叙事詩。
第5巻は“オスカー”の呪いを解いた“ティナーシャ”が女王に即位する顛末を描きます。
(イラスト:chibi 先生)

https://dengekibunko.jp/product/unnamed/321906000053.html


“ティナーシャ”が明かした「一年間だけの女王」という真意。“オスカー”がその心を
汲んでいの一番に提案したあの潔さに報われる思いがしました。精霊たちの反応も素敵で。
抱き寄せて安堵する顏、抱きしめられて恥じらう顏、chibi 先生の挿絵に萌え転がります。

邪神を招き敵意を露にする「セザル」、その中で暗躍する“ヴァルト”が言及する魔法球。
“オスカー”に呪いをかけた“沈黙の魔女”、彼女が明らかにする彼に纏わる過去の改竄。
「苗床事件」においても世界の外からの意志を感じさせるだけに嫌な予感が胸に残ります。

“トラヴィス”に付きまとう“ファイドラ”への対応に巻き込まれる“ティナーシャ”が
“オスカー”と夫婦喧嘩? を繰り広げる顛末は世界の修正力を見せつけられる気がして。
尊厳、いや、人の心に問いかける「最後の変革」とは何か。最終巻からも目が離せません。

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2020年06月26日

『声優ラジオのウラオモテ #02 夕陽とやすみは諦めきれない?』

二月公 先生が贈る青春声優エンタメ。第2巻は“夕陽”と“やすみ”を執拗に叱咤する
先輩声優や学校にまで付きまとってくるファンによって2人の声優生命が窮地を迎えます。
(イラスト:さばみぞれ 先生)

https://dengekibunko.jp/product/sayyouradio/322002000158.html


裏営業疑惑に決着をつけたがアイドル声優として経歴に傷をつけた“由美子”と“千佳”。
首一枚つながった彼女たちの安堵感に、執拗に釘を刺す“柚日咲”の言葉一つ一つが正論
であるだけに、腹は立つがぐうの音も出ないのが読者としてももどかしい展開が続きます。

“柚日咲”が“千佳”たちに怒り続ける理由。そこに「声優を好きになる」という一種の
業のようなものを、矛盾を抱えた感情のウラオモテを感じて“柚日咲”が憎めない存在へ
変わっていくのが興味深い。とは言え、そんな不安定さに親が口を出すのも自然な流れで。

今一度、声優人生を懸けて臨む通学路。良くも悪くもファンの熱量をぶつけられる2人が
声優となった責務を果たす決意を示すかのように声を張り上げ、号泣しながら走り抜ける
あの場面は挿絵を含めて圧巻の一言。次はどんなラジオで魅せてくれるのか、楽しみです。

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2020年06月25日

『天才王子の赤字国家再生術7〜そうだ、売国しよう〜』

鳥羽徹 先生が贈る弱小国家運営譚。第7巻は帝国で3人の皇子が後継者争いを繰り広げる
最中に、“ロウェルミナ”と“ウェイン”が機先を制するべく表に裏にと策を巡らせます。
(イラスト:ファルまろ 先生)

http://www.sbcr.jp/products/4815607098.html


皇帝に即位する野望に燃える第一皇子“ディメトリオ”。勢力は削られ、必要な洗礼式を
行う場所は第二皇子“バルドロッシュ”に押さえられ、戴冠式を行う帝都付近は第三皇子
“マンフレッド”に押さえられて打つ手なしの彼を何故か“ウェイン”が助力する破目に。

女王を目指す“ロウェルミナ”の策に嵌められた“ウェイン”が、彼女と繰り広げる目に
見えない駆け引きの連続が今巻も面白い。それでも思い通りに動かないのが人間の定めと
いうことで、誰が2人の意に反した行動をとるのか想像しながら読む楽しさを味わえます。

“ディメトリオ”の野望を「呪い」と評した“ウェイン”の目利きも見事と言うばかりで。
当事者は皇子たちだけではない。そんなお家騒動の果てに迎える結末と共に、舞台の裏で
“フラーニャ”が選んだ選択肢が歴史にどんな作用をもたらすか。次巻も目が離せません。

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2020年06月24日

『幼なじみが絶対に負けないラブコメ4』

二丸修一 先生が贈る大人気ヒロインレース。第4巻はドラマ「チャイルド・キング」で
芸能界から身を引き、今またそれを契機に新たな躍進を図る“末晴”の覚悟を描きます。
(イラスト:しぐれうい 先生)

https://dengekibunko.jp/product/osamake/322002000168.html


“末晴”の過去と今を結ぶドキュメンタリーとドラマの真エンディングを制作することで
“瞬”社長からの悪意をぶっ潰す。そう決めた彼を後押しする“哲彦”が密かにあざとく
目標に向かって動く中、「彼」からの推理に激昂してしまう点は不安要素が拭えない印象。

“真理愛”も転校してきて、ますます悪目立ちする群青同盟メンバー。三すくみの状況下、
秘策を胸に臨む“白草”が“末晴”との関係を押しきれなかったのが惜しい。“紫苑”の
あの一言が彼に予防線を張らせたのは今後にも響きそう。それにしても面白い子ですな。

パートナとして“末晴”との地位を確保した“真理愛”に安定感を覚えた後、“黒羽”が
ようやく本心をぶつけつつ提案してきた彼との「新しい関係」。これがまた狡猾というか、
揺さぶりを掛けられる方も羨ましくて実にけしからん訳で。次巻も目が離せない展開です。

posted by 秋野ソラ at 00:09 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル