2020年05月22日

『着せ替えは心変わりを呼び起こさない!』

古宮九時さんが「Unnamed Memory Act.2」を舞台に日常の事件を描く書き下ろし同人小説。
競売に掛けられる「人の心を変える」指輪を巡って“オスカー”たちが首を突っ込みます。
(イラスト:藤崎ゑる(くん) さん)

https://www.melonbooks.co.jp/detail/detail.php?product_id=651846


片づけていたヴェールをたまたま着けていた“ティナーシャ”。その艶姿を見た流れから
“オスカー”が彼女を着せ替え人形のように扱うやりとりが面白い。けれどその胸の内に
秘める焼けつくような熱量を表に出さずにいる彼の気丈さは立派でありながら実に切ない。

服の仕立てで世話になっている商家に纏わる「人の心を変える」という指輪。事の真偽を
確かめるべく競売の席に踏み込む2人が場を荒らしまくる展開が楽しい。もちろん彼女の
無邪気な言動に心かき乱されながらも、立場を弁え達観する彼には同情を禁じ得ない訳で。

「人の心を変える」指輪を見よう見まねで自作できてしまう“ティナーシャ”のすごくて
ポンコツな実力が、この騒動の意外な真実を見抜く結末。心も着せ替えることができたら、
タイトルにそんな願いも込められているのではと感じさせるのが本作らしくて絶妙でした。

posted by 秋野ソラ at 00:36 | Comment(0) | TrackBack(0) | 同人誌