2020年05月29日

『EDGEシリーズ 神々のいない星で 僕と先輩のウハウハザブーン〈上〉』

川上稔 先生が贈る、とある惑星の天地創造物語。2話上巻は自転と地軸が定まった惑星へ
水の確保するべく動く“住良木”たちの前に彼のことをよく知る謎の巨乳美女が現れます。
(イラスト:さとやす 先生(TENKY))

https://dengekibunko.jp/product/kamigami/321910000104.html


「日本の形が世界全体の形状に似ている」というシリーズの結びつきに重要な事実を語る
“木戸”の思わせぶりな発言の数々。“住良木”たちと縁を切るつもりの彼女がいつしか
ゲーム部の面々と想いを交わし、彼らの活動に巻き込まれていくチョロさが絶妙な配役で。

巻き込まれる、と言えば“先輩”も“住良木”の振舞いにすっかり毒されてきてポンコツ
要素が高まっているのも可愛らしい。“桑尻”や“バランサー”のツッコミが追いつかず
同情の念を禁じ得ませんが、脱線する話を戻す重要な役割を担うため耐えてもらいたい所。

いきなりゲーム部の面々とバトルを繰り広げた「水妖」という存在が、思いがけず彼らの
テラフォーム作業をも左右する新たな関係を導いていく展開。神話や精霊の関わり方など
興味深く見守りたくなる要素がどう繋がるのか、奥多摩のキャンプを描く下巻を待ちます。

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2020年05月28日

『リベリオ・マキナ4 ―《白檀式改》紫陽花の永遠性―』

ミサキナギ 先生が贈る正義と反抗の バトル・ファンタジー。第4巻は“水無月”を失い
気落ちする“カノン”たちが吸血鬼王と手を組み“ハウエルズ”との徹底抗戦に臨みます。
(イラスト:れい亜 先生)

https://dengekibunko.jp/product/machina/321907000710.html


強硬策に異を唱える者も現れ、綻びが見える“ハウエルズ”陣営。その隙を逃さず人間と
吸血鬼が共に暮らせる「ヘルヴァイツ新共和国」を興すため“ロード”が目をつけたのが
失意の涙を流す“カノン”。運命の過酷さを呪わずにはいられない、辛い展開が続きます。

“カノン”もへこたれたままではいられない、ということで“水無月”に似た“紫陽花”
を独自に作り上げ、胸に残る熱量を彼に向け直す健気さがいじらしい。その姿を見つめる
「彼」が秘密を抱えながら、過去の自分を振り返って悶える転がっているとも知らずに。

“リタ”も知らず知らずのうちに「彼」に本心をひけらかしてしまう展開も微笑ましい。
“ハウエルズ”との決戦を経て、“ユーリ”だけが知っていた秘密も明らかとなった時に
迎える大団円に胸をなでおろしつつ、新たな物語の幕が開くことをただ願うばかりです。

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2020年05月27日

『三角の距離は限りないゼロ5』

岬鷺宮 先生が贈る不思議な三角関係恋物語。第5巻は“秋玻”と“春珂”、2人一緒に
いられるかも知れない、という可能性が“四季”の心をもう一段、追い込んでいきます。
(イラスト:Hiten 先生)

https://dengekibunko.jp/product/zerokyori/322002000074.html


同じように恋して、平等に愛してほしい。“秋玻”と“春珂”が恋人に対し求めるものが
一線を超えないにしても煽情的になっていくことに困惑する“四季”。そこへ進路という
将来への悩みと重なって立ち往生する彼を、大人たちが見守ってくれる構図が良いですね。

失恋探偵とその助手、という面倒くさい関係が作家と編集者、もしくは夫婦として綿々と
続けることができている“千代田”と“野々村”だからこそ“四季”が抱える悩みに対し
より親身になってアドバイスすることができたのかな、と思うと感慨深いものがあります。

二重人格が発生したきっかけを未だ明かさない“春珂”も、結局はどちらが好きなのかを
選んでほしいと望む“春珂”も“四季”にとってはどこか卑怯で、面倒な存在でしかない
ように見える同情を禁じ得ない展開の中、彼がどう決断を下すのか見届けたいと思います。

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2020年05月26日

『日和ちゃんのお願いは絶対』

岬鷺宮 先生が贈る新作は、紛争が絶えない世界で、どんな人も逆らえない「お願い」が
できる能力をもつ少女と、その恋人となる少年の数奇な運命を描くセカイ系の恋物語です。
(イラスト:堀泉インコ 先生)

https://dengekibunko.jp/product/hiyori_onegai/322002000075.html


高校で隠れファンも多い級友“日和”から感じる好意を、告白という形で受ける“深春”。
気持ちは嬉しいが断るつもりでいた彼だが、彼女が落とした「お願い帳」を拾い目にした
文面からある可能性を思い浮かべるが、それを超える秘密を彼女から打ち明けられる──。

普通の少女に見える“日和”が、今や世界を密かに左右する要人であるということ、命の
やり取りする覚悟すら持つという立場であるということを、恋人という距離感で目にする
“深春”。彼が彼女を好きでい続けられるか、を問い詰めていく緊迫感が見どころの一つ。

2人の絆を結ぶ鍵を握る“深春”の幼なじみ“卜部”がもうホントにいい子で、隣にいる
ことが自然すぎるのがネックになるのはもったいないと思える存在。彼女に後押しされた
彼が“日和”の「お願い」とどう向き合うか決心した、その顛末に仄かな救いを見ました。

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2020年05月25日

『楽園ノイズ』

約2年ぶりとなる 杉井光 先生の電撃文庫新作はボーイ・ミーツ・ガールズ・ストーリー。
女装して演奏した動画をきっかけにして高校生活が活気づいていく少年の青春を描きます。
(イラスト:春夏冬ゆう 先生)

https://dengekibunko.jp/product/paradise_noise/322001000035.html


演奏動画の閲覧数を上げるため女装していることを知られた弱みから音楽教諭の手伝いを
する羽目になった“真琴”。その教諭に嫌がらせ満載の編曲をした譜面を渡そうとしたら
それを完璧に弾いてしまう少女と出会う。プロ級の技量をもつ彼女は訳アリのようで──。

“凛子”を始めとして、技巧を持ちながらもその音を楽しめない悩みを抱える少女たちを
手助けする“真琴”。“詩月”や“朱音”も交え「Musa男」として世に送り出す彼の曲に
惚れ込み、衝突しながら心を通わせる展開は懐かしくも新しい、先生ならではの青春物語。

音楽好きが集まれば自然と向かっていく流れ。プレイヤーとして彼女らをリスペクトする
彼の振舞い、その心情を知りながら活を入れる“美沙緒”の本音、そしてQRコードの演出。
読んで心震わせる先生の音楽青春モノに再び出会えた幸運に感謝を。オススメの一作です。

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2020年05月22日

『着せ替えは心変わりを呼び起こさない!』

古宮九時さんが「Unnamed Memory Act.2」を舞台に日常の事件を描く書き下ろし同人小説。
競売に掛けられる「人の心を変える」指輪を巡って“オスカー”たちが首を突っ込みます。
(イラスト:藤崎ゑる(くん) さん)

https://www.melonbooks.co.jp/detail/detail.php?product_id=651846


片づけていたヴェールをたまたま着けていた“ティナーシャ”。その艶姿を見た流れから
“オスカー”が彼女を着せ替え人形のように扱うやりとりが面白い。けれどその胸の内に
秘める焼けつくような熱量を表に出さずにいる彼の気丈さは立派でありながら実に切ない。

服の仕立てで世話になっている商家に纏わる「人の心を変える」という指輪。事の真偽を
確かめるべく競売の席に踏み込む2人が場を荒らしまくる展開が楽しい。もちろん彼女の
無邪気な言動に心かき乱されながらも、立場を弁え達観する彼には同情を禁じ得ない訳で。

「人の心を変える」指輪を見よう見まねで自作できてしまう“ティナーシャ”のすごくて
ポンコツな実力が、この騒動の意外な真実を見抜く結末。心も着せ替えることができたら、
タイトルにそんな願いも込められているのではと感じさせるのが本作らしくて絶妙でした。

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2020年05月21日

『神城リーリャは白百合の香りに恋焦がれる』

ちょきんぎょ。先生が「DIVERSE NOVEL」から贈る新作はガールズラブコメ。名門女学園に
通う特待生に迫る窮地を救ったお嬢様がある言葉を境に一線を超えてしまう様を描きます。
(イラスト:つるこんにゃく 先生)

http://diverse-novel.media-soft.jp/?pid=148552998


成績優秀で陸上競技に秀でる“明日葉”。学年トップで家柄も申し分ない“リーリャ”。
互いに尊敬し合う2人だが、明朗快活な“明日葉”に影が差すのを“リーリャ”は見る。
奇しくも“リーリャ”に助けられた“明日葉”はその恩をどう返すか頭を悩ませて──。

「ボクにできることなら、なんでもする」そう告げる“明日葉”の言葉に、我慢ならない
“リーリャ”が彼女匂いを嗅ぐ、という性癖を晒すギャップが可愛い。相手との距離感と
自分の性格を見誤るほど思慕を重ねる“リーリャ”の葛藤と吹っ切れ方がまた微笑ましい。

そんな“リーリャ”の想いを心で、更に体で受け止める“明日葉”の機微の移り変わりも
見どころの一つ。本気で“リーリャ”を愛することで立場の違いを思い知らされた彼女が
導き出した結論は2人の関係を揺るぎないものにしてくれると期待せずにはいられません。

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2020年05月20日

『1LDK、そして2JK。II 〜この気持ちは、しまっておけない〜』

福山陽士 先生が贈るサラリーマン×二人の女子高生ホームラブコメ。第2巻は“駒村”が
“奏音”と“ひまり”の想いを感じ取りつつある中、“友梨”がその気持ちを伝えます。
(イラスト:シソ 先生)

https://fantasiabunko.jp/product/2019121ldk2jk/321908000685.html
https://kakuyomu.jp/works/1177354054889696577


“ひまり”のバイト練習につきあってもらい、その可愛らしさを見せつても彼女の想いは
“駒村”には届かない。ついケンカしたりする“奏音”とも、同じ人を好きでいるという
ある意味「戦友」のように心の繋がりを深めていくのが微笑ましいやら、もどかしいやら。

“奏音”も文化祭で“駒村”に晴れ姿を見せたり、恋愛観を探ってみたりとアプローチを
欠かさないワケですが・・・まさか「あの場面」を目の当たりにするとは。運命は実に残酷。
さらに母親との関係にも涙を誘う悲しい出来事があり、同情を禁じ得ないとはこのことで。

まともに考えれば“駒村”に対して“友梨”にアドバンテージがあるのは至極当然な話。
女性陣の気持ちを認識した“駒村”がどう結論を出すのか。家の関係者が迫る“ひまり”
も含めて共同生活の行方はどうなるのか。次巻は大きく話が動きそうで目が離せません。

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2020年05月19日

『少女願うに、この世界は壊すべき 〜桃源郷崩落〜』

小林湖底 先生の「第26回電撃小説大賞・銀賞」受賞作。祈る神からの守護も無く妖魔に
支配される人間の村で迫害を受け続ける妖狐少女の願いを通して世界の命運を描きます。
(イラスト:ろるあ 先生)

https://dengekibunko.jp/product/syojonegau/321910000144.html


榮凜島に封印された最強の聖仙“彭寿星”。千年の時が経ち、復活して妖魔らを祓うと
信じる巫女“かなめ”の言葉も虚しく、けれど世界を壊す行動も起こせず心を腐らせる
“かがり”。ある日「力が欲しいか?」と幻聴が聞こえたと思えば謎の男が現れて──。

“神津彩紀”の圧倒的な力を見て、不撓不屈の精神で不遇な環境を改善しようと躍起に
なる“かがり”に頑張ってほしいと願う一方で、その力をもってしても覆せない人間の
心の弱さや強敵の猛威に晒される彼女に同情を禁じ得ない展開が続くのがつらいの何の。

“かなめ”に向けられる邪な想い、“神津彩紀”に掛けられる妄執など、様々な苦境を
乗り越える“かがり”が彼と共にこの世界をどう生き抜くのか。彼女だけでなく誰もが
壊したいと図るこの世界が辿り着くのはどの先か。続きに興味が沸く作品だと感じます。

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2020年05月18日

『育ちざかりの教え子がやけにエモい』

鈴木大輔 先生が「ガガガ文庫」から贈る初めての作品はエモ×尊みラブコメ。14歳にして
異彩を放つ早熟な少女をあしらう教師、お隣さんな距離感で複雑な2人の関係を描きます。
(イラスト:DSマイル 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094518436


「男子、三日会わざれば刮目して見よ」と言うが、10年もあれば女は化ける。“達也”が
家族ぐるみで交流のあるお隣さんの娘“ひなた”の世話を続けて、いつしか彼女の担任を
務める間柄に。思わせぶりな言動を繰り返す彼女を前に彼は教師として覚悟を決める──。

気さくに話しかけてくれる“ひなた”に憧れを抱く内気な“美優”。彼女の気高さを胸に
刻まれた先輩の“海斗”。性的にも進んでいると噂される彼女の恋愛に興味を示す級友の
“菜月”と“彩夏”。様々な評価を経て醸成される彼女の特異性、不穏な空気が印象深い。

そして“ひなた”を巡って起こる騒動と、その解決に至る顛末を見ても“達也”が彼女を
教職としてベストを尽くす対象と見定める、軸のぶれない考え方に感心と興味が沸きます。
彼と“明日香”との関係や、“ひなた”が見つけた「何か」を見守りたいと思う作品です。

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2020年05月15日

『小説の生存戦略 ライトノベル・メディア・ジェンダー』

大橋崇行 先生、山中智省 先生の編著にて「ライトノベル研究会」の活動を締め括る一冊。
縁あってご恵贈賜りました本著から「ライトノベル」を取り巻く現況に言及していきます。
(イラスト:市村ゆり 先生)

https://www.seikyusha.co.jp/bd/isbn/9784787292551/


裏付けと共に数々の持論が示される本著。キャラクター論、メディアミックスとの関わり、
ジェンダーに纏わる問題点や視点など、聞き馴染みのある話もあれば接点がまるで無くて
新鮮な話もあり、一つ一つが読みごたえのあるテーマで考えさせられる内容ばかりでした。

好きな物語を綴るより、本が出て売れること。出版不況を生き残る上でこの傾向が作家や
版元の間で強まる流れは忌避できず、様々な媒体を絡めた作品の量産は「ライトノベル」
単体での評価を難しくするばかり。その過程でTwitter等での騒動を招くこともしばしば。

先生方の活動に一つの区切りをつける本著へ当方の名前が出る機会を得た件については
恐縮するばかり。今後「本」という体裁すらとらなくなるかもしれない「ライトノベル」
という存在をどういった観点で捉え続けていくか。先生方の活動に期待を寄せる次第です。

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2020年05月14日

『あなたを諦めきれない元許嫁じゃダメですか?』

『上流学園の暗躍執事』でデビューした 桜目禅斗 先生が贈る新作は、幼馴染の女の子と
遠く離れた少年が高校で再会して今の女友達とヒロインレースを繰り広げるラブコメです。
(イラスト:かるたも 先生)

https://sneakerbunko.jp/product/fiancee/322001000117.html


福岡で仲良しだった“七渡”と“翼”は父親同士が酒の勢いで許嫁となりぎくしゃくして、
やがて彼が離婚した母と一緒に東京へ引っ越したことで疎遠に。高校で“麗奈”とイイ仲
となり充実した日々を過ごす彼のもとへあの頃と同じ雰囲気の“翼”が転校してきて──。

ギャルだけど純情で、押せ押せなアプローチを掛ける“麗奈”。気後れしつつも友だちに
なってくれた“柚癒”の後押しもあり、ガラリと容姿を変えたりと印象づけを図る“翼”。
のっけから“七渡”を巡る駆け引きからは年月を超えた2人の想いの強さを感じさせます。

物語の要となるのは、“七渡”が過去に恋愛をきっかけとして友人関係を壊した心の傷が
残ったままであるという点。美少女2人の気持ちに気付いてもなお一歩踏み出せない彼を
導ける契機は訪れるのか。思わぬ伏兵も現れて混迷を深めるレースの行方が気になります。

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2020年05月13日

『ワーウルフになった俺は意思疎通ができないと思われている 1』

比嘉智康 先生が「HJ文庫」に参加して贈る初のシリーズ作品は、異世界ワーウルフ転生譚。
人間も魔物にも言葉が通じない中で、ある少女と心通わせる少年の数奇な運命を描きます。
(イラスト/福きつね 先生)

http://hobbyjapan.co.jp/hjbunko/lineup/detail/906.html


謎の妖精に導かれ、暗がりを進む“竜之介”は何故か獣の姿に変貌していることに気付く。
状況も掴めぬまま闘技場で武芸を披露するいけ好かないイケメンをあしらい場を驚かせる。
路頭に迷う彼は道すがら見かけた落胆する美少女から異世界で初めて声を掛けられて──。

魔物を手懐ける名家で育った少女“エフデ”を手助けするため“キズナ”と名付けられた
“竜之介”が、言葉を交わせないながらも転生前から引き継いだ知性、並外れた身体能力
を活かして「テイムロイヤル」というイベントで実力を発揮していく様子が微笑ましい。

何よりも名家で生まれ育ったから、というだけの理由で外面を意識して生きていかざるを
得ない“エフデ”の不遇さに同情の念を抱くと共に、報われてほしいと願いたくなること
うけあい。仕掛けも色々ありそうですし、シリーズものとして大成を祈念する次第です。

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2020年05月12日

『キミと僕の最後の戦場、あるいは世界が始まる聖戦9』

アニメ化企画が進行中の、細音啓 先生が贈る大人気王道ファンタジー。第8巻は攫われた
“シスベル”救出のため、“イスカ”たちは“燐”らを連れて帝国へと急ぎ舞い戻ります。
(イラスト:猫鍋蒼 先生)

https://fantasiabunko.jp/product/201705kimitoboku/321901000626.html


帝国領に侵入して“イスカ”に世話を焼かれる姿や、“ミスミス”のことを気に掛けたり
する“燐”の言動に「すっかり丸くなって」と思わずニヤリ。そんな“燐”にヤキモチを
焼く“アリス”も女王に恥ずかしい秘密を見られたりするポンコツぶりがまた微笑ましい。

そんなコミカルな情景の裏で“シスベル”が目にした秘中の秘、異端を極める研究者の姿。
“イリーティア”という存在がいよいよ危険性を帯びてくるのがひしひしと伝わり、かの
王宮で王女が、そして何よりも“アリス”がどう受け止めるのか、目が離せなくなります。

囚われの“シスベル”を救う激闘の末、帝国の闇も知りすぎた“イスカ”に下される処断。
ついに“璃洒”が牙を剥く・・・かと思えば意外な手が介入して話は更に大掛かりなものへ。
積年の探求心を“シスベル”は満たすことが出来るのか。謎をどう明かすのか楽しみです。

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2020年05月11日

『スパイ教室02 《愛娘》のグレーテ』

竹町 先生が贈る痛快スパイファンタジー。第2巻は新生スパイチーム「灯」のメンバー
をスパイ殺し“屍”の排除に充てるべく“クラウス”が一計を案じつつ選抜して臨みます。
(イラスト:トマリ 先生)

https://fantasiabunko.jp/product/202001spy/321912000728.html


ワンマンプレイを続ける“クラウス”の根を詰める姿を気を遣う「灯」の面々。その中で
突出した思慕の情を彼に寄せる“グレーテ”が男性恐怖症だという、相反する事実の謎が
今巻の話において軸を担うのが面白い。2巻も読み手すら小気味よく騙してくれています。

敵国のスパイは国内にもいる、ということで上院の国会議員“ウーヴェ”に接近、警護に
あたるのは実力のある“モニカ”たち・・・ではなく“リリィ”たち、つまり落ちこぼれ側
ということで深刻な状況なのにどこかコミカルな要素で楽しませてくれるのがまた面白い。

標的もまた一枚岩ではなく、“リリィ”たちも想定外の強敵と向き合うことになるという
八方塞がりな状況を覆す顛末が見どころで、実に爽快で。“グレーテ”のコードネームに
愛着が湧いたところで、「じゃあ向こうは?」という振り方。次巻も目が離せないようで。

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2020年05月08日

『中古でも恋がしたい!13』

田尾典丈 先生が贈る「小説家になろう」発の学園ラブコメ。およそ2年の時を経て贈る
第13巻は停学・謹慎処分を受けた“清一”が最大の窮地を乗り越え、ある決意を固めます。
(イラスト:ReDrop)

http://www.sbcr.jp/products/4815600143.html


酒に酔った勢いで不純異性交遊? しかし状況証拠だけでそういった記憶や感覚は無く
当事者たる“清一”たちが首をかしげる中、停学の更に先、退学へと追い込もうとする
“村上”先生の執念が実に悪役然としていて腹立たしい。思わしげな言動も相まって。

かばってくれる“桐子”らに助けられながら冤罪回避に動き出す“清一”に付きまとう
悪い噂。“古都子”の逆を行く苦境に、追い打ちをかける「彼女」からの最悪の選択肢。
けれどそれが「証人喚問」で“村上”先生をやり込めた彼の心を決める契機になるとは。

“郷弥”にもしっかり責任を負わせて、“亜恋”とも決別してひとまず溜飲を下げつつ、
ハーレムルートを避けた“清一”の決心を受け止めた女性陣の反応にも感慨深いものが。
難産を経ての完結、おつかれさまでした。田尾 先生の次回作を楽しみにしておきます。

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2020年05月07日

『きのうの春で、君を待つ』

『夏へのトンネル、さよならの出口』でデビューした 八目迷 先生が贈る新作は幼馴染の
少女からの願いを叶えるべく時間を遡る現象に臨む少年の、甘くて苦い春模様を描きます。
(イラスト:くっか 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094518429


長く過ごした離島を離れ、東京で高校生活を送る“カナエ”は次第に落ちこぼれてしまい
父親と諍いを起こして離島に家出する。彼が島にある祠の石に手を触れると何と4日後の
18時に飛ばされていて、幼馴染の“あかり”から衝撃の事実と「願い」を告げられる──。

“あかり”の兄で、“カナエ”にとって憧れの存在であった“彰人”が不慮の死を迎えた
ことを未来の日付で知った彼が「ロールバック」という現象で少しずつ島に訪れた時間に
戻っていく過程で次々と明らかになる“彰人”と“あかり”の不遇な生き様が実に切ない。

物語を読み進めるうちに「この場面とあのシーンが繋がるのか」と首肯を重ねていく中で
「ブツ切りにして話を繋げる演出が必要な理由」が明らかになるあの瞬間。幼馴染の事情
を知ってもなお、ある決断を下した“カナエ”の覚悟をぜひ見届けてほしいと感じました。

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2020年05月06日

『塩対応の佐藤さんが俺にだけ甘い2』

猿渡かざみ 先生が贈る甘々青春ラブコメ。第2巻は“颯太”と恋仲になった“こはる”が
海水浴に出かける機会を得ながらも、気恥ずかしさから距離を詰めかねる様子を描きます。
(イラスト:Aちき 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094518382


かき氷デートでの進展のなさに“蓮”をはじめとする関係者からダメ出しをくらう“颯太”。
そんな彼が恋愛指南を頼む先が“凛香”というのも情けない感じですが、話を聞く彼女に
してみれば拷問でしかなく。ましてや“こはる”からも、となると報われなさが半端ない。

そんな2人が旅先で出会う“円花”に、特に“こはる”が救われていく様子が微笑ましい。
同じ「恋する乙女」として、性格は違えど仲間意識が芽生えていく感じに心が温まります。
あの場面で“颯太”がちゃんと「恋人、なんで」と言えたことに賞賛の拍手を送りたい所。

“こはる”が「塩対応の佐藤さん」だと忘れさせないよう父親がその役割を担ってくれて
いることに思わず同情の念を禁じ得ない中、“円花”にも遅い春が来たことを祝福したい。
意外と大胆なシチュエーションもこなす2人の想いがどう加速するか見守りたい所存です。

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2020年05月05日

『弱キャラ友崎くん Lv.8.5』

ドラマCD付き特装版と同時刊行となる、屋久ユウキ 先生が贈る人生攻略ラブコメ。2冊目
となる短編集は文化祭の活動を終えて“友崎”たちが抱える心境の変化を描いていきます。
(イラスト:フライ 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094518405


“友崎”と“菊池”、2人でいる機会を、増えていく時間を大切にしようと想いを強める
描写が実にこそばゆい。弟にからかわれる“菊池”も可愛いし、初詣どうなるんだろうと
考えると楽しみが膨らみます。“友崎”がどうリードしていくのかも期待したいところで。

そんな交際を始めた“菊池”に対し、自分も“友崎”に淡い想いを抱いていたと告白する
“七海”の潔さ。“菊池”からの反応を見て、改めて抱いていた感情の源に気付かされた
“七海”が彼との距離感を図るか興味津々です。あと、“たま”はナイスフォローでした。

「アタファミ」に熱を入れる“日南”の本質に迫るエピソードを踏まえ、カラオケ会場で
見せた“菊池”と意味深な会話。演劇の脚本を通じて“日南”の心に抵触した“菊池”の
命運や如何に。そして“日南”は“友崎”にどんな感情を向けるのか続きが気になります。

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2020年05月04日

『千歳くんはラムネ瓶のなか3』

裕夢 先生が贈るリア充側青春ラブコメ。第3巻は3年生による進路相談会で“明日風”が
“朔”の面倒を見るはずが、次第に彼が彼女の抱く進路の悩みに心を砕く過程を描きます。
(イラスト:raemz 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094518412


いわゆる「不思議ちゃん」な印象を今まで与え続けてきた“明日風”。福井に残るか否か、
その選択肢が意味するところを自身の言葉で語るうちに、彼女もまた思春期真っただ中の
高校生女子であることが伝わってきます。人間味が増す、と言っても良いかも知れません。

“明日風”の夢半ばな姿を追う“朔”もまた悩み多き人物でそれがタイトルに込められて
いることが分かったときのやるせなさたるや。彼が「俺様野郎」でいることが、どれだけ
自分が「出来る人間」であることに対して悩みぬいた結果であることが愛しくて切なくて。

だからこそ、あの頃の“朔”を救えたのは“明日風”しかいなかった、ということを示す
2人の昔話も印象的。“明日風”にとっての“朔”みたいに、彼にとっての「ビー玉」が
誰になるのか。色々こじらせたヒーローを解きほぐす者が現れることを願って止みません。

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