2020年02月10日

『モボモガ』

『二十世紀電氣目録』の 結城弘 先生が贈る新作は、時を行き来する力を持つ「貸時計」
によって100年後の現代にタイムスリップした大正時代の女性を巡る顛末を描く物語です。
(イラスト:しらび 先生)

http://www.kyotoanimation.co.jp/books/lineup/?cd=978-4-910052-03-8


風邪をうつしてはなるまいと父の懇願を受け昔奉公していた時計店で世話になる“景季”。
そこへ時計を盗む賊が現れ、店主から預かった懐中時計のツマミを思わず押し込んだ瞬間、
彼女が目にしたのは百年後の京都。戸惑う彼女が目に付いた“光太”は声をかけるが──。

相手の時間を盗み未来へと飛ばす「貸時計」には、過去に戻れるが使うと消滅する機能も
あるという都市伝説のような時計を探し回る“景季”と“光太”。貸時計にすがる人々を
2人が様々な形で手助けしていく様子はボーイミーツガールな感じで微笑ましくなります。

登場人物が見せる機微。変遷する京都の街並み。貸時計が見せる奇跡の時。様々な要素が
パズルの穴を埋めるかのようにして物語の全貌が見えてくる構成は相変わらず見事なもの。
“景季”と“光太”の示した覚悟とその行方も惹かれるものがあり、読了感も爽やかです。

posted by 秋野ソラ at 00:21 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル