斜線堂有紀 先生が贈る新作は、世間を欺く霊能力者を仕立て上げて荒稼ぎしていた男が
突如失踪したパートナーの行方を追う中で巻き込まれる騒動を解決していくミステリです。
(イラスト:Octo 先生)
【 http://taiga.kodansha.co.jp/author/y-syasendo.html#link9784065182345 】
“子規冴昼”。“要”の共犯者であり稀代の霊能力者としてTVにも引っ張りだこな彼が
突如失踪してから3年。未だに彼以上のパートナーを見つけられずにいる“要”の元に
“冴昼”から電話があり、変わらぬ口調で殺人の冤罪を着せられそうと告げてきて──。
「超能力者の街」では“冴昼”が失踪した先の世界で、レギュレーションが変わろうとも
見事な共犯ぶりを魅せつける“要”のバディ要素がまず面白い。なぜ“冴昼”は異世界に
次々と渡ることになるのか、そして“要”は元の世界に取り残されるのかが気になります。
「死者の蘇る街」では、同じ境遇にある2人組が巻き込まれた事件とその経緯を踏まえて
“冴昼”と“要”が互いの関係に対してどんな想いを、そして強い覚悟を抱いているかが
窺えて興味深い。そんな2人の関係を追い求めてみたいと思えるエピローグも良いもので。