神田夏生 先生が贈る新作は、幼なじみへの恋心に気付いた少年が彼女からの思いがけない
告白を皮切りとして繰り返す夏の記憶と残酷な運命に抗おうとする顛末を描く恋物語です。
(イラスト:Aちき 先生)
【 https://dengekibunko.jp/product/321907000706.html 】
家が隣同士。帰宅部で下校も一緒。“一陽”と共に過ごす日常を悪くないと思う“蒼”は
ある日、駄菓子屋で級友のお嬢様“涼夜”と出会う。意外に話せる彼女との恋を画策する
“一陽”の変化に余命何年の泣ける映画ヒロインみたいな事態が? と疑念を抱くが──。
「私は、そうちゃんを、幸せにできないんだよ」と涙する“一陽”を襲う運命のいたずら。
共に居る時間が愛おしい、ただそれだけの2人が掴めない幸せな未来。その絶望感たるや。
痛ましい姿を見せる“蒼”に“涼夜”から掛けられる優しくも残酷な想いの難しさたるや。
オカルト部に所属するもう一人の幼なじみ“葉介”の意味深長な言葉に翻弄されながらも
残酷な運命に抗い続けた“蒼”、そして“一陽”がどんな結末をたぐり寄せるか。2人を
見届け続けた「彼女の記憶」も興味深く、幸せになれる読了感も含めてお薦めの一作です。