2020年02月28日

『天才王子の赤字国家再生術6〜そうだ、売国しよう〜』

鳥羽徹 先生が贈る弱小国家運営譚。第6巻は海運での交易に活路を図る“ウェイン”が
遥か南方で繰り広げられている海洋国家の覇権を巡る争いに巻き込まれる顛末を描きます。
(イラスト:ファルまろ 先生)

http://www.sbcr.jp/products/4815605353.html


“トルチェイラ”の仲介でパトゥーラ諸島に赴いた“ウェイン”を、有無を言わさず投獄。
その人物こそ、パトゥーラの次期指導者として有望視されたが狼藉の果てに追放された後、
海賊まがいの活動で支配を広げる“レグル”。そこからまず脱獄する手腕がお見事の一言。

“レグル”に対抗する弟“フェリテ”に助力を求められた“ウェイン”がかの暴君にある
背後関係まで見据えて手を打ちにかかる過程が面白い。“フェリテ”が持つ覇権を握る鍵
「虹の王冠」を“ウェイン”が活用する方法には驚かされます。小気味よいどんでん返し。

雌雄を決する“レグル”と“フェリテ”の海戦の演出も熱く、後押しする“ウェイン”の
嫌がらせ行為も実に彼らしい。他にも“フラーニャ”が見逃した“ニニム”の恥じらう姿
など見どころ押さえてこの紙幅でよく纏めてきました。ファルまろ先生の挿絵も必見です。

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2020年02月27日

『シノゴノ言わずに私に甘えていればいーの!(2)』

旭蓑雄 先生がお送りする甘々攻防コメディ。第2巻は隣室に越してきた美女を介抱する
“拓務”を見て対抗心を燃やす“シノ”の攻勢に彼は勤労への執着を貫けるか注目です。
(イラスト:なたーしゃ 先生)

https://dengekibunko.jp/product/shinogono/321910000128.html


“ルル”が“シノ”と対立関係にあるのは明白ながら「甘やかしエリート」たる“シノ”
にとって敵ですらない、というか彼女に「見込みがある」と言われる“ルル”の怠惰ぶり
には苦笑いしかない。起死回生の秘策も“拓務”にアレで覆されるのには思わず同情です。

“ルル”を支援する“ユニ子”もまたアレな気質の持ち主で、巻き込まれた“マナ”には
ご愁傷様と言わざるを得ません。仕舞いには意表を突く裏切りを繰り広げたりして天使の
存在意義すら疑う展開は滑稽です。見どころがあると“ルル”が言及するのも止む無しで。

今回の騒動でもまた人を怠惰にすることを仕事というか否かで揉める“拓務”と“シノ”。
思いがけず彼すら気付かない心の距離感を知った彼女がその優位な立ち位置を活かせるか。
待ち望んでいた『はじらいサキュバス』の続刊と共に、先の展開を楽しみにしたい所です。

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2020年02月26日

『モンスター娘ハンター2 〜すべてのモン娘はぼくの嫁!〜』

折口良乃 先生が贈るモン娘ハーレムファンタジー。第2巻は“レビ”の依頼を受け武器を
求めて「剣の里」に向かう“ユク”たちの前に新たなクエストとモン娘たちが登場します。
(イラスト:W18 先生)

https://dengekibunko.jp/product/monmusu_hunter/321911000036.html


目的地を目指す“ユク”たちを惑わせる魔導遺跡。その謎に薄々感づいている“レビ”が
「剣の里」にこだわる訳とその顛末は、長く生きる彼女だからこその哀愁を感じさせます。
懲りずに求婚する彼をあしらう言動に嫌悪感が薄れているのが分かる辺り思わずニヨニヨ。

悲しい歴史を背負う「剣の里」を束ねるアラクネ族の“ウィドウ”にもご執心な“ユク”。
彼女に対する求婚の反応を見て“メリー”が彼に異種族を嫁にする真意を問い直す場面は
彼の浅慮を諫めるだけでなく、彼のことを第一に考えていることが見て取れて微笑ましい。

魔導国王たる父からの依頼を淡々とこなそうとする“ユク”が探り当てた魔導遺跡の秘密。
「なるほど、これも異種族か」とヒロインを増やしに掛かる先生のモン娘愛には脱帽です。
濡れ場回避のブレーキ役を担う“モノカ”の特殊能力にもご注目。続刊を切に希望します。

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2020年02月25日

『幼なじみが絶対に負けないラブコメ3』

二丸修一 先生が贈る、先の読めないヒロインレース。第3巻は“黒羽”が“末晴”と険悪
な状況に陥る中、“白草”は沖縄旅行を企画して彼との距離を一気に詰める作戦に出ます。
(イラスト:しぐれうい 先生)

https://dengekibunko.jp/product/osamake/321907000722.html


弄ばれた、と前巻の顛末を経て“末晴”が“黒羽”に不信感を抱くのも無理はなく。その
隙を突くため、中立を貫く“哲彦”の支援も取り付け“白草”があの手この手で落としに
かかるも“真理愛”という抑止力もあって思うようにいかないあたり、同情を禁じ得ない。

本来の目的であるPV撮影に向けて“黒羽”も追従を見せる中、ここでも引け目を感じる
“白草”はまさに泣きっ面に蜂状態。しかし、怪我の功名というか“末晴”との距離感を
互いに認識し合えたことで一気に形成逆転。この報われた感は思わず拍手したくなるほど。

不測の事態を迎える“末晴”を見越して“総一郎”が追い打ちを掛ける展開に“白草”は
押し切ることができるか。三者三様の駆け引きが繰り広げられる中、初恋の毒に蝕まれた
彼女たちの動向も無視できず、さらに混迷を極めるヒロインレースの行方は見逃せません。

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2020年02月24日

『声優ラジオのウラオモテ #01 夕陽とやすみは隠しきれない?』

二月公 先生の「第26回電撃小説大賞・大賞」受賞作。最悪の出会いをした新人声優2人が
意外な縁からコンビを組み、いがみ合いながらラジオ番組のパーソナリティーを務めます。
(イラスト:さばみぞれ 先生)

https://dengekibunko.jp/product/sayyouradio/321910000169.html


普段はギャルの“由美子”、実は元気可愛い系の新人声優「歌種やすみ」として隠れて
活動する高校生。ある日、陰キャなクラスメイト“千佳”と口論になった直後、同じく
正統派アイドルの新人声優「夕暮夕陽」とのラジオが決定したのだが、それが何と──。

収録では仲良く見える2人が、収録後に険悪なやり取りをする対比。声優としての姿と
日常の自分とのギャップ。そこにアイドルとして更に偽りを重ねることに悩みを抱える
“千佳”の考え方が印象に残ります。“由美子”と距離を近づけていく過程も興味深い。

そんな“千佳”を見て、かつ声優としての実力も考慮して想いをさらけ出す“由美子”
もまた次第に惹かれていく存在になっていきます。今どきなファンのトラブルを前に
結束を強めた2人がどんな再スタートを切っていけるか、続きが気になるシリーズです。

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2020年02月21日

『怪盗の後継者』

久住四季 先生が贈る新作は、生き別れの父が大怪盗だと告げられた平凡な大学生の青年が
父を陥れた政界の大物を標的にほぼ不可能な盗みを仕掛けようと急造のチームに加わります。
(イラスト/中森 先生)

https://mwbunko.com/product/321910000125.html


“因幡”が通う大学の講師を務める“嵐崎”は女性に人気の優男。そんな彼を手助けした
お礼にと誘われた店で「私と一緒に泥棒をやってみないかい?」と想定外の誘いを受ける。
しかも“嵐崎”は伝説の泥棒たる父を手伝っていた、と言って“因幡”は驚愕するが──。

“嵐崎”が宿泊するホテルに滞在する大物議員が厳重な警備の中でひた隠すスキャンダル
確定の証拠品。運び屋の“祢津”、ハッカーの“平家”を巻き込んで進む泥棒の計画とは
裏腹に試される“因幡”の「泥棒の才能」が一向に花開かない描写に妙な焦りを覚えます。

議員側との海千山千な駆け引きの妙、“平家”や“祢津”が魅せる芸術的な技能の数々。
二転三転する展開に惹き込まれ、“因幡”がその軸を担っていく意外性に度々驚かされ。
爽快感があふれる結末、そして未来を感じさせるチームの行方を見てみたくなる作品です。

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2020年02月20日

『冬に咲く花のように生きたあなた』

こがらし輪音 先生が贈る新作は、難病を抱えながらも力強く生きる女性と、いじめ絡みで
いつ死んでもいいと絶望する少女の心が入れ替わることで問題解決に臨む奇跡の物語です。
(イラスト/中村至宏 先生)

https://mwbunko.com/product/321909000257.html


通勤途中の“よすが”は駅のホームから落ちる“柊子”を間一髪で救うことに成功する。
気を良くした彼女だが、先ほど命綱となる内服薬を落としていたのに気付かず気を失う。
目が覚めてなぜか制服を着ていた彼女が見た鏡に映る姿はあの“柊子”そのもので──。

植物学者を目指す“柊子”と、画家を目指す“夏海”。親友の2人なはずが絶交状態で、
“夏海”は夢も諦め引きこもっていて。鍵を握る生徒会長“淡河”を探ると生徒たちに
圧制を強いていて、更に2人を蔑む始末。謎だらけで“よすが”が困惑するのも納得で。

“淡河”がしきりに否定する「冬に咲く花」。その陰にある家庭事情に同情しながらも
関係修復に尽力する“よすが”に触発されて心解かれていく“柊子”、そして“夏海”。
2人が彼女にどう恩を返すか。努力が生み出す奇跡の開花を見届けてほしい作品です。

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2020年02月19日

『察知されない最強職6』

三上康明 先生が贈るファンタジー作品。第6巻は「世界を渡る術」が完成し日本に戻るか
異世界に残るか悩む“ヒカル”に対し、死に至る謎の病と教会の陰謀が立ちはだかります。
(イラスト : 八城惺架 先生)

https://herobunko.com/books/hero59/11249/


“ヒカル”が選ぶ道は推して知るべし。その上で帰れると知った“セリカ”がどう動くか。
彼女の事情を汲んで“シェフィ”が見せる振舞い、その裏にある葛藤が優しくて切なくて。
“セリカ”からの提案もさることながら、その結果が意味する所は今後注目したいもので。

聖ビオス教導国がアインビストと衝突するにあたり次々と見せつけてくるえげつない悪意。
中でもポーンソニア王国で奇病を流行らせたことを即座に掴んだ“ヒカル”が事態打開に
乗り出す展開は、先ほど選んだ道の確固たる証跡とも言える熱量があって清々しい限りで。

奇病の件で切り札を握る“ルヴァイン”に一縷の望みを託しつつ、クインブランド皇国が
聖ビオス教導国に見せる敵意の行方、“ウンケン”が語る秘密と彼の関係者が向かう行先。
依然続く異世界の動乱に“ヒカル”がどう関わっていくか、次巻も楽しみな引き具合です。

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2020年02月18日

『異世界迷宮の最深部を目指そう 13』

左藤圭右 先生のコミックスと同時刊行する 割内タリサ 先生の異世界迷宮ファンタジー。
第13巻は聖人“ティアラ”の血を巡って“ラスティアラ”が深く、強い想いを滲ませます。
(イラスト/鵜飼沙樹 先生)

https://over-lap.co.jp/Form/Product/ProductDetail.aspx?pid=9784865546026


体を借りて復活した“ティアラ”の残留思念から“ライナー”に告げられた様々な事実。
彼が逐一見せる反応を堪能しつつ、彼女が言う“ラスティアラ”の抱く誤解を彼がどう
捉えて行動していくかが見どころ。絶望的な登場の仕方をする“ジーク”にもご注目で。

そんな“ティアラ”の「再誕」と、彼女が“カナミ”に未練を残していると信じる余り
狂気の言動を見せる“ラスティアラ”。ある意味、本領発揮という“ラスティアラ”を
“ティアラ”が食い止める秘策が滑稽で、彼にとって実に容赦ないのが同情を誘います。

今巻の口絵ではそんな四者の心境が汲み取られていて、見事な演出を魅せてくれました。
実に面倒臭い“カナミ”と“ラスティアラ”の関係にもようやく区切りがついた場面で
“ライナー”は“ティアラ”から託された願いを叶えることができるのか、楽しみです。

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2020年02月17日

『ヤンキーやめろ。メイドにしてやる』

秀章 先生が贈る新作はラブコメディ。執事の家系で育ち、名家の気難しいお嬢様に仕える
少年が助けた不良少女の義理堅さをみて主人の専属メイドに仕立て上げようと奮闘します。
(イラスト:紅林のえ 先生)

http://lanove.kodansha.co.jp/series/?c=1000021008#bk9784065187364


企業グループ「折鶴」の一翼を担う“麻白”が商売敵に対し同盟の結束を図り催す晩餐会。
その直前でベテランメイドが抜ける穴を補うため執事の“太一郎”が挙げる候補を彼女は
片っ端からクビにする始末。そんな折、彼が裏路地で手負いのヤンキー少女と出会う──。

所作からして不躾な“ハナ”にメイドとしての心得を教え込もうとする“太一郎”に対し
思う所ありすぎる“麻白”。少女2人の衝突する様子は見ていて微笑ましくて、面白くて。
何より信じてくれた彼の言葉に応えようと“ハナ”が頑張る姿はつい応援したくなります。

十全とは言えない中で迎える晩餐会。“麻白”の窮地を前にして“ハナ”は何が出来るか。
その結末に“麻白”がどう応えるのか。“太一郎”も驚きの結末は爽快感に溢れています。
200ページほどで綺麗に纏めたのも好感触で、3人の今後の関係を見届けたくなる物語です。

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2020年02月14日

『―異能―』

落葉沙夢 先生の「第15回MF文庫Jライトノベル新人賞・審査員特別賞」受賞作。異能力を
使うバトルロワイヤルに巻き込まれる少年少女たちの想像を超える命運の数々を描きます。
(イラスト:白井鋭利 先生)

https://mfbunkoj.jp/product/inou/321907000792.html


文武両道、容姿端麗、まさに特別な存在の“赤根”。学校一可愛いとも称される“月摘”。
凡庸な“大迫”がそんな2人と合縁奇縁の仲でつるむ日常を送る中、謎の少年から勝てば
願いを叶える異能者同士が戦う大会に招待される。自信の異能を探りつつ場に臨むが──。

異能の発露もないまま“大迫”が圧倒される相手の無慈悲さ。主人公かと思った“大迫”
のあっけない退場から始まり、次々と移り変わっていく当事者の視点。大会のことなど
露知らず謎の連続殺人事件として捜査する警察の目線。二転三転する展開に翻弄されます。

謎の少年“和”が異能力者たちに詭弁を弄して願いを踏みにじり続けるその果てに、彼と
対峙する「主人公」は誰なのか。いかにも異能力を活用したどんでん返しに驚かされつつ
読み終えた後には爽やかさと、せめてヒロインの幸せを祈りたい切なさが印象に残ります。

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2020年02月13日

『理想の娘なら世界最強でも可愛がってくれますか?4』

三河ごーすと 先生が贈る終末学園ファンタジー。第4巻は“雪奈”抹殺の道を選んだ人類
を前にして“冬真”がどう振舞うか、そんな父親と彼女がどう向き合うかを描き切ります。
(イラスト:茨乃 先生)

https://mfbunkoj.jp/product/risounomusume/321909000818.html


“雪奈”の処分を決めた“桐幻”が“冬真”の思惑すら含めて仕込んだ切り札の無慈悲さ。
死者の想いも、自身の存在すら冒涜された“冬真”が死闘の果てに辿り着いた境地の数々。
その想いを託した姿は格好良い父親として、また一人の男性として印象深く胸に残ります。

“冬真”の決意を受け手《名無し》の面々も改めて自身の役目について問われる状況の中、
彼に“カチュア”が想いをぶつけるその様子ははた迷惑でありながら微笑ましくもあって。
さらに別の決断を下した「あの人物」も過去に縛られず生きていける展開に救われました。

はた迷惑と言えば、“アレイナ”に不完全ながらも救われた“セリカ”もいながら迎えた
“冬真”の悲劇を前に駄々をこねる“雪奈”の姿は世の人々にどう映ったのかを考えると
これまた面白い親離れの一幕で。家族として、人として成長を遂げた父娘に心から祝福を。

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2020年02月12日

『探偵はもう、死んでいる。2』

二語十 先生が贈る「第15回MF文庫Jライトノベル新人賞・最優秀賞」受賞作。大反響の中
刊行を迎える第2巻は“シエスタ”のビデオレターを元に彼女自身の死の真相を探ります。
(イラスト:うみぼうず 先生)

https://mfbunkoj.jp/product/tantei_dead/321909000819.html


「カメレオンになんて殺されていない」映像を通じてそう断言する“シエスタ”。彼女が
“君塚”と過ごした3年間を振り替えって思い出してほしいこと、決断してほしいことは
何かを探るシリアスな展開・・・の中に散りばめられたコミカルな場面の数々が微笑ましい。

“風靡”による“生き返ったジャック・ザ・リッパー”捕縛の依頼を経て《SPES》の一員
“ヘル”と対峙する中で奇想天外な設定が飛び交う中でも仲睦まじい様子を見せる探偵と
助手のやり取りがもうこそばゆいの何の。“シャル”たちが意気投合するのも納得な訳で。

“君塚”が拾った記憶のない幼女“アリシア”。彼女の依頼を遂行していく内に辿り着く
残酷な真実を前にして“シエスタ”が「探偵の仕事」を全うしようとしたがゆえの結末。
零れる涙は誰のため。“君塚”が助手として改めてどう振舞うのか次巻の動向に注目です。

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2020年02月11日

『ようこそ実力至上主義の教室へ 2年生編1』

衣笠彰梧 先生が贈る新たな学園黙示録。“綾小路”たちが2年生に進級して新たな展開を
見せる第1巻は、彼の退学を狙う1年生を探すためクセのある生徒たちと関わり合います。
(イラスト:トモセシュンサク 先生)

https://mfbunkoj.jp/product/youzitsu/321909000820.html


進級して最初の特別試験は「高度育成高等学校」の事情を把握していない1年生と組んで
既定の点数を取る、ただし“綾小路”が満点を取ろうとも1年が0点なら即退学。そんな
“月城”のあからさまな狙いに、彼がどう「出し惜しみしない」のかが楽しみな滑り出し。

ルール上、成績上位者からペアが決まり始める上に、1年からは足元を見られポイントを
要求される始末。マネーゲームを仕掛ける1年Dクラスの“宝泉”。その狙いを躱し同じ
Dクラス同士で協力関係を築きたい“堀北”。平行線が続く展開は相変わらずもどかしい。

そんな中、ホワイトルーム出身者の炙り出しに暗躍する“綾小路”が、粗暴な“宝泉”を
易々と抑え込むあたりは力を見せつけてくれて実に爽快。恋人として振舞う“恵”の姿に
癒しを求めつつ、怪しい影を残す新1年生たちの誰が牙を剥くのか次巻以降も楽しみです。

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2020年02月10日

『モボモガ』

『二十世紀電氣目録』の 結城弘 先生が贈る新作は、時を行き来する力を持つ「貸時計」
によって100年後の現代にタイムスリップした大正時代の女性を巡る顛末を描く物語です。
(イラスト:しらび 先生)

http://www.kyotoanimation.co.jp/books/lineup/?cd=978-4-910052-03-8


風邪をうつしてはなるまいと父の懇願を受け昔奉公していた時計店で世話になる“景季”。
そこへ時計を盗む賊が現れ、店主から預かった懐中時計のツマミを思わず押し込んだ瞬間、
彼女が目にしたのは百年後の京都。戸惑う彼女が目に付いた“光太”は声をかけるが──。

相手の時間を盗み未来へと飛ばす「貸時計」には、過去に戻れるが使うと消滅する機能も
あるという都市伝説のような時計を探し回る“景季”と“光太”。貸時計にすがる人々を
2人が様々な形で手助けしていく様子はボーイミーツガールな感じで微笑ましくなります。

登場人物が見せる機微。変遷する京都の街並み。貸時計が見せる奇跡の時。様々な要素が
パズルの穴を埋めるかのようにして物語の全貌が見えてくる構成は相変わらず見事なもの。
“景季”と“光太”の示した覚悟とその行方も惹かれるものがあり、読了感も爽やかです。

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2020年02月07日

『詐欺師は天使の顔をして』

斜線堂有紀 先生が贈る新作は、世間を欺く霊能力者を仕立て上げて荒稼ぎしていた男が
突如失踪したパートナーの行方を追う中で巻き込まれる騒動を解決していくミステリです。
(イラスト:Octo 先生)

http://taiga.kodansha.co.jp/author/y-syasendo.html#link9784065182345


“子規冴昼”。“要”の共犯者であり稀代の霊能力者としてTVにも引っ張りだこな彼が
突如失踪してから3年。未だに彼以上のパートナーを見つけられずにいる“要”の元に
“冴昼”から電話があり、変わらぬ口調で殺人の冤罪を着せられそうと告げてきて──。

「超能力者の街」では“冴昼”が失踪した先の世界で、レギュレーションが変わろうとも
見事な共犯ぶりを魅せつける“要”のバディ要素がまず面白い。なぜ“冴昼”は異世界に
次々と渡ることになるのか、そして“要”は元の世界に取り残されるのかが気になります。

「死者の蘇る街」では、同じ境遇にある2人組が巻き込まれた事件とその経緯を踏まえて
“冴昼”と“要”が互いの関係に対してどんな想いを、そして強い覚悟を抱いているかが
窺えて興味深い。そんな2人の関係を追い求めてみたいと思えるエピローグも良いもので。

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2020年02月06日

『君を失いたくない僕と、僕の幸せを願う君』

神田夏生 先生が贈る新作は、幼なじみへの恋心に気付いた少年が彼女からの思いがけない
告白を皮切りとして繰り返す夏の記憶と残酷な運命に抗おうとする顛末を描く恋物語です。
(イラスト:Aちき 先生)

https://dengekibunko.jp/product/321907000706.html


家が隣同士。帰宅部で下校も一緒。“一陽”と共に過ごす日常を悪くないと思う“蒼”は
ある日、駄菓子屋で級友のお嬢様“涼夜”と出会う。意外に話せる彼女との恋を画策する
“一陽”の変化に余命何年の泣ける映画ヒロインみたいな事態が? と疑念を抱くが──。

「私は、そうちゃんを、幸せにできないんだよ」と涙する“一陽”を襲う運命のいたずら。
共に居る時間が愛おしい、ただそれだけの2人が掴めない幸せな未来。その絶望感たるや。
痛ましい姿を見せる“蒼”に“涼夜”から掛けられる優しくも残酷な想いの難しさたるや。

オカルト部に所属するもう一人の幼なじみ“葉介”の意味深長な言葉に翻弄されながらも
残酷な運命に抗い続けた“蒼”、そして“一陽”がどんな結末をたぐり寄せるか。2人を
見届け続けた「彼女の記憶」も興味深く、幸せになれる読了感も含めてお薦めの一作です。

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2020年02月05日

『失格世界の没落英雄』

北山結莉 先生の「小説家になろう」投稿作が書籍化。天啓によって魔眼のスキルを得た
王子が研究施設に囚われ、数奇な運命に翻弄される顛末を描く異世界ファンタジーです。
(イラスト:nana 先生)

https://mfbunkoj.jp/product/sikkaku/321909000815.html
https://ncode.syosetu.com/n5441fu/


婚約者“モニカ”と初めて対面する王子“シオン”が不愛想なのは友だちがいないから。
そんな事情は知らない彼女から積極的に会話を持ち掛けられ彼は少しずつ絆されていく。
幸せな日常は彼女の失踪、そして彼が持つ稀有な能力が元で崩れ去っていくのだが──。

突如示されるレベルの概念、システマチックな演出。華やかな生活が驚くほどに一転して
奴隷のように扱われる“シオン”の身の上は痛々しくて見ていられないほど。逆境を覆す
一手を掴み取れたかと思えば、残酷な事実を次々と突きつけられていく苦境が続きます。

唯一の救いとなる“リィエル”との旅路。可愛らしく無垢な彼女とのやり取りは見ていて
微笑ましく、今後どう成長していくのか、どんな命運を背負っているのかが楽しみな存在。
更に“シオン”が目の当たりにする元の生活にある違和感が何を意味するか気になります。

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2020年02月04日

『今はまだ「幼馴染の妹」ですけど。 せんぱい、ひとつお願いがあります』

涼暮皐 先生が贈る新作は、奇跡を起こす「星の涙」という都市伝説がある街に住む少年と、
彼の幼馴染の妹で自称・あざとい小悪魔系少女が再会する所から幕を開けるラブコメです。
(イラスト:あやみ 先生)

https://mfbunkoj.jp/product/osaimo/321909000814.html
https://kakuyomu.jp/works/1177354054893471809
https://kakuyomu.jp/users/kuroshira


「星の涙」でいちばん大事なものを取り戻せる代償として、二番目に大切なものを失う。
それでも願いを託し、叶えたいという想いは後を絶たない。感情が氷点下と揶揄される
“伊織”はウザ絡みしてくる“灯火”にその裏があると見抜いた彼は阻止を図るが──。

人の気持ちが分からない。数々の言動から周囲にそう思われている“伊織”を執拗にも
敵視する“与那城”。なぜそこまで、と思いつつ読み進めるともう一人の幼馴染である
“陽星”の「あの挨拶」からその違和感、「星の涙」の残酷さを味わわせる展開に驚愕。

“灯火”が“伊織”を「伊織くんせんぱい」と呼ぶ、それすら彼女の願いに基づくもの
と分かった時は「流石は涼暮先生」と思うばかり。彼女が彼女らしくある事を祈りつつ、
読者にも人の心とは何かを問いかけるこの物語を皆さまにも見届けてほしいと願います。

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2020年02月03日

『スパイ教室01 《花園》のリリィ』

竹町 先生の「第32回ファンタジア大賞・大賞」受賞作。スパイが暗躍する影の戦争が主軸
となった世界で落ちこぼれのスパイ候補たちが死亡率9割とされる不可能任務に挑みます。
(イラスト:トマリ 先生)

https://fantasiabunko.jp/product/202001spy/321909000804.html


世界大戦で勝ち負けに関わらず各国が大きな被害を出し、スパイの情報戦が中心となる世界。
戦争で被害を受け、その育成に力を注ぐ国の養成機関で落第寸前の評価を受ける“リリィ”。
彼女がなぜか配属された不可能任務を専門に扱うチームには同じような少女たちがいて──。

チーム「灯」に集められた少女たちを率いる“クラウス”は「世界最強のスパイ」を名乗る
優秀な人物。でも教官としては難あり。早々に見限った“リリィ”が秘儀を使っても倒せぬ
彼が提示した「僕を倒せ」という教育方法。あの手この手を尽くす彼女たちだが及びもせず。

死と隣り合わせの不可能任務が始まる時、彼女たちは達成できるほど成長を遂げられたのか。
「スパイは常に嘘をつく」冒頭の一文を見事に体現する、攻守入り乱れて二転三転する物語。
「──極上だ」“クラウス”の言葉を借りて評価に値する作品かと思います。オススメです。

posted by 秋野ソラ at 00:37 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル