2020年01月29日

『ひきこまり吸血姫の悶々』

小林湖底 先生の「第11回GA文庫大賞・優秀賞」受賞作。名門吸血鬼の家系に生まれながら
血が苦手で非力な少女が帝国の将軍に抜擢され、はったりをきかせながら覇道に挑みます。
(イラスト:りいちゅ 先生)

http://www.sbcr.jp/products/4815604653.html


魔法が使えない、運動音痴、ちびっ子。“コマリ”が背負う三重苦は血が飲めないことに
由来する。そのため学校でいじめに遭い、3年も引きこもりを続ける彼女を見かね父親の
具申を受けて皇帝が彼女を国の英傑「七紅天」の1人に任命したものだからさあ大変──。

妙に明け透けな皇帝、セクハラまがいのスキンシップを図るメイドの“ヴィルヘイズ”。
クセがありまくる部下たち。“コマリ”のはったりがいつバレるかヒヤヒヤする緊張感を
コミカルなやり取りで緩和しながら、彼女が覇道する展開を楽しめます。ここまでが前半。

後半では“コマリ”に恨みを抱く者が裏に表に牙を剥くことで、彼女が抱えるトラウマを
呼び起こし、引きこもりを再発させてしまいます。彼女に期待する皇帝が口にした秘密に、
そして“ヴィルヘイズ”が語る昔語りに魅せられる結末は心地よい読了感を味わえました。

posted by 秋野ソラ at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル