筑紫一明 先生の「第11回GA文庫大賞・奨励賞」受賞作。伝説の職人たる師匠の遺言により
魔法杖の修理を請け負ったその弟子が、依頼主と共に杖に託された想いへ触れていきます。
(イラスト:Enji 先生)
【 http://www.sbcr.jp/products/4815603960.html 】
伝説の杖職人“ムンジル”の死後は約定を最初に見た門弟が無償整備に応じる、と定めた
杖の修理を依頼してきた“ユーイ”。応じる“イクス”は杖職人ではないため、姉弟子を
頼りつつ調査を進めると、絶滅した竜の心臓が必要になることが分かって懊悩するが──。
“イクス”が杖の修理に手を尽くす過程で深まっていく世界観を味わう楽しみ。姉弟子の
“モルナ”などを始めとした杖職人らの偏屈さも見どころ。“ムンジル”が見抜いていた
彼の才能が明らかとなっていく結末までの顛末が意外な要素に溢れていてこれまた面白い。
“ユーイ”が持参した杖はそもそもなぜ修理が必要となったのか。彼女が抱える心の暗部、
拭えない過去も物語の謎を解く鍵となり、彼女の存在感を引き立てていく構成も興味深い。
Enji 先生の描く挿絵も作風に合致して演出に一役も二役も買っています。オススメです。