2020年にTVアニメ放送が決定した、馬場翁 先生の迷宮サバイバル・ストーリー。第12巻は
人族と魔族の一大決戦で圧倒的な力を見せる魔族に勇者“ユリウス”がその力を示します。
(イラスト:輝竜司 先生)
【 https://kadokawabooks.jp/product/s12/321909000173.html 】
“白”のおちゃらけた解説を交えながら、“アリエル”に命運を握られ後のない魔族軍の
面々が死に抗うため人族の要所を攻撃する悲壮感が切なくもあり。また、それに対抗する
人族側の勝敗に一喜一憂し、けれど魔王の手の平の上っぽい話の動きが緊張感を誘います。
「人魔大戦」が繰り広げられる中、身を律しつつ任務をこなそうとする“メラゾフィス”、
色々とやらかしたが故に“白”の呪いに苦しめられる“ソフィア”、その醜態を鼻で笑う
“フェルミナ”と、いつも通りな感じを微笑ましく眺めたところで満を持しての勇者登場。
“ユリウス”たちパーティメンバーが見せる人間ドラマの一幕。人族の希望を一身に担う
前向きな展開。その出鼻を“白”の力がいとも容易く挫いていくあたり、彼女の道のりが
如何に人並み外れていたかを痛感します。歴史の転換点に何があるかを見届けたい所です。
2020年01月31日
2020年01月30日
『結婚が前提のラブコメ』
栗ノ原草介 先生が贈る新作は婚活ラブコメ。結婚に難ありな条件を抱える相談者を抱える
「結婚できない人を結婚させる仲人」が訳アリな女性と出会う所から物語は動き始めます。
(イラスト:吉田ばな 先生)
【 http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094518269 】
とある婚活パーティで、一目瞭然な美人の“結衣”が仲人に無理強いされている雰囲気を
感じ取った“縁太郎”は同業者として「好きにさせたらいい」とつい口を出してしまう。
興味を持った彼女は彼が個人経営する結婚相談所の様子を見学することになるのだが──。
“縁太郎”が担当する会員が特殊なケースばかりで、苦笑いしつつも微笑ましさ満載です。
結婚願望の強い彼女たちに対して“縁太郎”が真摯に向き合う言動が実に好感を呼びます。
仲人として「結婚させたいんじゃない。幸せにしたいんだよ」という言葉が胸を打ちます。
自分の意志で婚活を始めた訳じゃない身として“結衣”の心情には共感を覚えるばかりで。
お世話にならないと分からない結婚相談所の豆知識も多々あってお楽しみいただけるかと。
“縁太郎”は“結衣”にどんな縁を引き寄せられるか。彼女の婚活を見届けたくなります。
「結婚できない人を結婚させる仲人」が訳アリな女性と出会う所から物語は動き始めます。
(イラスト:吉田ばな 先生)
【 http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094518269 】
とある婚活パーティで、一目瞭然な美人の“結衣”が仲人に無理強いされている雰囲気を
感じ取った“縁太郎”は同業者として「好きにさせたらいい」とつい口を出してしまう。
興味を持った彼女は彼が個人経営する結婚相談所の様子を見学することになるのだが──。
“縁太郎”が担当する会員が特殊なケースばかりで、苦笑いしつつも微笑ましさ満載です。
結婚願望の強い彼女たちに対して“縁太郎”が真摯に向き合う言動が実に好感を呼びます。
仲人として「結婚させたいんじゃない。幸せにしたいんだよ」という言葉が胸を打ちます。
自分の意志で婚活を始めた訳じゃない身として“結衣”の心情には共感を覚えるばかりで。
お世話にならないと分からない結婚相談所の豆知識も多々あってお楽しみいただけるかと。
“縁太郎”は“結衣”にどんな縁を引き寄せられるか。彼女の婚活を見届けたくなります。
2020年01月29日
『ひきこまり吸血姫の悶々』
小林湖底 先生の「第11回GA文庫大賞・優秀賞」受賞作。名門吸血鬼の家系に生まれながら
血が苦手で非力な少女が帝国の将軍に抜擢され、はったりをきかせながら覇道に挑みます。
(イラスト:りいちゅ 先生)
【 http://www.sbcr.jp/products/4815604653.html 】
魔法が使えない、運動音痴、ちびっ子。“コマリ”が背負う三重苦は血が飲めないことに
由来する。そのため学校でいじめに遭い、3年も引きこもりを続ける彼女を見かね父親の
具申を受けて皇帝が彼女を国の英傑「七紅天」の1人に任命したものだからさあ大変──。
妙に明け透けな皇帝、セクハラまがいのスキンシップを図るメイドの“ヴィルヘイズ”。
クセがありまくる部下たち。“コマリ”のはったりがいつバレるかヒヤヒヤする緊張感を
コミカルなやり取りで緩和しながら、彼女が覇道する展開を楽しめます。ここまでが前半。
後半では“コマリ”に恨みを抱く者が裏に表に牙を剥くことで、彼女が抱えるトラウマを
呼び起こし、引きこもりを再発させてしまいます。彼女に期待する皇帝が口にした秘密に、
そして“ヴィルヘイズ”が語る昔語りに魅せられる結末は心地よい読了感を味わえました。
血が苦手で非力な少女が帝国の将軍に抜擢され、はったりをきかせながら覇道に挑みます。
(イラスト:りいちゅ 先生)
【 http://www.sbcr.jp/products/4815604653.html 】
魔法が使えない、運動音痴、ちびっ子。“コマリ”が背負う三重苦は血が飲めないことに
由来する。そのため学校でいじめに遭い、3年も引きこもりを続ける彼女を見かね父親の
具申を受けて皇帝が彼女を国の英傑「七紅天」の1人に任命したものだからさあ大変──。
妙に明け透けな皇帝、セクハラまがいのスキンシップを図るメイドの“ヴィルヘイズ”。
クセがありまくる部下たち。“コマリ”のはったりがいつバレるかヒヤヒヤする緊張感を
コミカルなやり取りで緩和しながら、彼女が覇道する展開を楽しめます。ここまでが前半。
後半では“コマリ”に恨みを抱く者が裏に表に牙を剥くことで、彼女が抱えるトラウマを
呼び起こし、引きこもりを再発させてしまいます。彼女に期待する皇帝が口にした秘密に、
そして“ヴィルヘイズ”が語る昔語りに魅せられる結末は心地よい読了感を味わえました。
2020年01月28日
『竜と祭礼 ―魔法杖職人の見地から―』
筑紫一明 先生の「第11回GA文庫大賞・奨励賞」受賞作。伝説の職人たる師匠の遺言により
魔法杖の修理を請け負ったその弟子が、依頼主と共に杖に託された想いへ触れていきます。
(イラスト:Enji 先生)
【 http://www.sbcr.jp/products/4815603960.html 】
伝説の杖職人“ムンジル”の死後は約定を最初に見た門弟が無償整備に応じる、と定めた
杖の修理を依頼してきた“ユーイ”。応じる“イクス”は杖職人ではないため、姉弟子を
頼りつつ調査を進めると、絶滅した竜の心臓が必要になることが分かって懊悩するが──。
“イクス”が杖の修理に手を尽くす過程で深まっていく世界観を味わう楽しみ。姉弟子の
“モルナ”などを始めとした杖職人らの偏屈さも見どころ。“ムンジル”が見抜いていた
彼の才能が明らかとなっていく結末までの顛末が意外な要素に溢れていてこれまた面白い。
“ユーイ”が持参した杖はそもそもなぜ修理が必要となったのか。彼女が抱える心の暗部、
拭えない過去も物語の謎を解く鍵となり、彼女の存在感を引き立てていく構成も興味深い。
Enji 先生の描く挿絵も作風に合致して演出に一役も二役も買っています。オススメです。
魔法杖の修理を請け負ったその弟子が、依頼主と共に杖に託された想いへ触れていきます。
(イラスト:Enji 先生)
【 http://www.sbcr.jp/products/4815603960.html 】
伝説の杖職人“ムンジル”の死後は約定を最初に見た門弟が無償整備に応じる、と定めた
杖の修理を依頼してきた“ユーイ”。応じる“イクス”は杖職人ではないため、姉弟子を
頼りつつ調査を進めると、絶滅した竜の心臓が必要になることが分かって懊悩するが──。
“イクス”が杖の修理に手を尽くす過程で深まっていく世界観を味わう楽しみ。姉弟子の
“モルナ”などを始めとした杖職人らの偏屈さも見どころ。“ムンジル”が見抜いていた
彼の才能が明らかとなっていく結末までの顛末が意外な要素に溢れていてこれまた面白い。
“ユーイ”が持参した杖はそもそもなぜ修理が必要となったのか。彼女が抱える心の暗部、
拭えない過去も物語の謎を解く鍵となり、彼女の存在感を引き立てていく構成も興味深い。
Enji 先生の描く挿絵も作風に合致して演出に一役も二役も買っています。オススメです。
2020年01月27日
『29とJK8 〜そして社畜は今日も働く〜』
裕時悠示 先生が贈る禁断の年の差ラブコメ。第8巻は“花恋”の小説を武器に“御旗”と
会社を巻き込んだ勝負を挑む“鋭二”が物書きとして、社畜としての生き様を誇示します。
(イラスト:Yan-Yam 先生)
【 http://www.sbcr.jp/products/4815604165.html 】
“花恋”にラノベ作家の夢を託す“鋭二”。そんな彼を執拗に追い詰めていく“御旗”に
憎らしさが募る圧迫感、持てる人生経験と人脈を十分に活用し反撃の狼煙を上げる機会を
窺うアルカディア陣営の緊張感、ページをめくるごとに熱量の高まりを覚える話運びです。
「“御旗”は不自由である」そう言及した“沙樹”の思いを代弁するかの如く“鋭二”が
名編集者の姿勢を切り崩していく展開は熱く、そして深く考えさせられるものがあります。
「面白ければすべてOK」が「売れればすべてOK」に変わってしまった流れは胸に響きます。
コールセンターのアルバイトを通じて、かの仕事の難しさを体験した“花恋”が人として、
さらに作家として成長を遂げる展開も爽快感を味わえます。そして何より合同センターの
発足式で社畜精神を明け透けに示したのも惚れ惚れするほど潔く、見事な締め括りでした。
会社を巻き込んだ勝負を挑む“鋭二”が物書きとして、社畜としての生き様を誇示します。
(イラスト:Yan-Yam 先生)
【 http://www.sbcr.jp/products/4815604165.html 】
“花恋”にラノベ作家の夢を託す“鋭二”。そんな彼を執拗に追い詰めていく“御旗”に
憎らしさが募る圧迫感、持てる人生経験と人脈を十分に活用し反撃の狼煙を上げる機会を
窺うアルカディア陣営の緊張感、ページをめくるごとに熱量の高まりを覚える話運びです。
「“御旗”は不自由である」そう言及した“沙樹”の思いを代弁するかの如く“鋭二”が
名編集者の姿勢を切り崩していく展開は熱く、そして深く考えさせられるものがあります。
「面白ければすべてOK」が「売れればすべてOK」に変わってしまった流れは胸に響きます。
コールセンターのアルバイトを通じて、かの仕事の難しさを体験した“花恋”が人として、
さらに作家として成長を遂げる展開も爽快感を味わえます。そして何より合同センターの
発足式で社畜精神を明け透けに示したのも惚れ惚れするほど潔く、見事な締め括りでした。