杉井光 先生の『生徒会探偵キリカS1』にて“ひかげ”が教示を求めた「民主主義を潰す」
という真意を“天王子狐徹”とのやり取りを通じてつまびらかにしていく政治入門書です。
(イラスト:ぽんかんG 先生)
【 http://lanove.kodansha.co.jp/books/2019/12/#bk9784065178751 】
冒頭で選書された『聖書』で「信仰」と「快不快基準の書き換え」により人の行動原理が
形成されてきた経緯を説き、『統治二論』で王権神授説を打破した社会契約の考え方から
人権や憲法の成り立ちと民主主義との関わり合いを説く、刺激的で興味深い導入の第一部。
民主主義の唯一の利点と様々な欠点、民主主義の本質である「多数決」の欠陥を突きつつ
シンガポールを例にして「国を出る自由」の必要性と、民主主義の不要性に言及していく
第二部、第三部の繋がりがまた考えさせられる内容で、時間を掛けて咀嚼しておりました。
途中、ティータイムを挟んで“ひかげ”と“狐徹”がやりとりする内容も踏まえ、彼女が
「民主主義のぶっ壊したい」という結論に至った経緯を知ることでその背景により深みが
増したと言えます。「国と企業の差がなくなる」という考え、意識しておくこととします。
2019年12月17日
2019年12月16日
『生徒会探偵キリカS1』
約4年半ぶりに仕切り直して 杉井光 先生が贈るハイテンション学園ラブコメ・ミステリ。
中央議会を潰す“狐徹”と“朱鷺子”を裏切る議員らに“キリカ”たちが探りを入れます。
(イラスト:ぽんかんG 先生)
【 http://lanove.kodansha.co.jp/books/2019/12/#bk9784065171707 】
妙な気付きを得る“ひかげ”が“キリカ”や“美園”たちと騒々しいやり取りをする冒頭。
これだけで長く空いた時の流れが一瞬で埋まるかのような自然さ、違和感のなさに改めて
本作が、そして 杉井光 先生の作品が好きなんだなぁ、とそれだけで思い知らされました。
すでに“朱鷺子”だけでどんな議題も可否が選べた状況が、議員選挙の結果を経て一変し
どんな議題も彼女の思惑に反した議会の反応が返ってくる事態に。流石の彼女も辟易する
議員らの真意が、“ひかげ”が議会に対して何気なく抱いたものと同じだったのが面白い。
学園公認の第九コンサートに関係する各部の部員たちが野良犬をこっそり飼っていた話が
思わぬ事件を招く顛末では、犯行の真意が聖夜にちなんだ内容であったのがしっくりくる
話運びを魅せてくれました。意外なタネ明かしもありましたし、次巻もよろしくなのです。
中央議会を潰す“狐徹”と“朱鷺子”を裏切る議員らに“キリカ”たちが探りを入れます。
(イラスト:ぽんかんG 先生)
【 http://lanove.kodansha.co.jp/books/2019/12/#bk9784065171707 】
妙な気付きを得る“ひかげ”が“キリカ”や“美園”たちと騒々しいやり取りをする冒頭。
これだけで長く空いた時の流れが一瞬で埋まるかのような自然さ、違和感のなさに改めて
本作が、そして 杉井光 先生の作品が好きなんだなぁ、とそれだけで思い知らされました。
すでに“朱鷺子”だけでどんな議題も可否が選べた状況が、議員選挙の結果を経て一変し
どんな議題も彼女の思惑に反した議会の反応が返ってくる事態に。流石の彼女も辟易する
議員らの真意が、“ひかげ”が議会に対して何気なく抱いたものと同じだったのが面白い。
学園公認の第九コンサートに関係する各部の部員たちが野良犬をこっそり飼っていた話が
思わぬ事件を招く顛末では、犯行の真意が聖夜にちなんだ内容であったのがしっくりくる
話運びを魅せてくれました。意外なタネ明かしもありましたし、次巻もよろしくなのです。
2019年12月13日
『精霊幻想記 15.勇者の狂想曲』
シリーズ累計100万部を突破した、北山結莉 先生が贈る異世界転生譚。第15巻は復讐を
果たした“リオ”の言動を目にして、王女姉妹が彼とのわだかまりを解いていきます。
(イラスト/Riv 先生)
【 http://hobbyjapan.co.jp/hjbunko/lineup/detail/877.html 】
出会いのこと、そして学園で起きた冤罪のこと。“クリスティーナ”と“フローラ”が
“ハルト”というか“リオ”に対する認識を改めてくれて溜飲が下がる思いがしました。
2人が詫びを入れても礼を尽くしても達観し続ける彼の振舞いに只々圧倒されるばかり。
“ルシウス”との関係を断ち切った“リオ”をしつこく取り込もうとする“デュラン”。
女性以外の好感度も一部上げていく彼を見て「またヘンな男に付きまとわれているな」と
思わず苦笑い。暗躍が続く“レイス”の思惑をまだ振り切れないのがもどかしい所ですが。
王女二人を国に送り届ける“リオ”の気苦労とは別に頭を悩ませるのが“リーゼロッテ”。
“弘明”の勘違いっぷり、ここに極まれり。彼女の毅然とした態度、そして“リオ”に
劣等感を覚える“弘明”が今後どう暴走するのか。勇者の当て馬っぷりが心配になります。
果たした“リオ”の言動を目にして、王女姉妹が彼とのわだかまりを解いていきます。
(イラスト/Riv 先生)
【 http://hobbyjapan.co.jp/hjbunko/lineup/detail/877.html 】
出会いのこと、そして学園で起きた冤罪のこと。“クリスティーナ”と“フローラ”が
“ハルト”というか“リオ”に対する認識を改めてくれて溜飲が下がる思いがしました。
2人が詫びを入れても礼を尽くしても達観し続ける彼の振舞いに只々圧倒されるばかり。
“ルシウス”との関係を断ち切った“リオ”をしつこく取り込もうとする“デュラン”。
女性以外の好感度も一部上げていく彼を見て「またヘンな男に付きまとわれているな」と
思わず苦笑い。暗躍が続く“レイス”の思惑をまだ振り切れないのがもどかしい所ですが。
王女二人を国に送り届ける“リオ”の気苦労とは別に頭を悩ませるのが“リーゼロッテ”。
“弘明”の勘違いっぷり、ここに極まれり。彼女の毅然とした態度、そして“リオ”に
劣等感を覚える“弘明”が今後どう暴走するのか。勇者の当て馬っぷりが心配になります。
2019年12月12日
『お姉さん先生は男子高生に餌づけしたい。2』
朱月十話 先生が贈るラブコメディ。第2巻は“岸川”先生と水泳部、そして“杜山”先生
と吹奏楽部、徐々に関わりを増やしていく“涼太”の楽しく、変わりゆく日々を描きます。
(イラスト:HIMA 先生)
【 https://ebten.jp/p/9784047358423 】
“岸川”先生と“杜山”先生のタピオカチャレンジは圧巻。HIMA 先生、良い仕事されます。
餌付けされるだけではなく、先生たちのためにできることを日々模索していく“涼太”の
前向きな姿勢が少しずつ部の女子たちに受け入れられていく機微の変化も注目したい要素。
中でも“奈々海”との関係が急速に良好な方向へ改善されていく様子には“岸川”先生が
黙っていられない。そんな“涼太”愛あふれる彼女の様子はまさに可愛らしいさの権化。
そこへかつてのライバルである“日向”と教え子の“六花”が現れたことで事態は一変。
水泳に対する考え方の違いに思いつめる“岸川”先生と“奈々海”を慮って“杜山”先生
が打った一手、そして2人の気持ちに寄り添った“涼太”の優しさは惚れ惚れするばかり。
ライバル勝負の行方は彼が味わった最高の情景を見れば明らかで、羨まけしからん話です。
と吹奏楽部、徐々に関わりを増やしていく“涼太”の楽しく、変わりゆく日々を描きます。
(イラスト:HIMA 先生)
【 https://ebten.jp/p/9784047358423 】
“岸川”先生と“杜山”先生のタピオカチャレンジは圧巻。HIMA 先生、良い仕事されます。
餌付けされるだけではなく、先生たちのためにできることを日々模索していく“涼太”の
前向きな姿勢が少しずつ部の女子たちに受け入れられていく機微の変化も注目したい要素。
中でも“奈々海”との関係が急速に良好な方向へ改善されていく様子には“岸川”先生が
黙っていられない。そんな“涼太”愛あふれる彼女の様子はまさに可愛らしいさの権化。
そこへかつてのライバルである“日向”と教え子の“六花”が現れたことで事態は一変。
水泳に対する考え方の違いに思いつめる“岸川”先生と“奈々海”を慮って“杜山”先生
が打った一手、そして2人の気持ちに寄り添った“涼太”の優しさは惚れ惚れするばかり。
ライバル勝負の行方は彼が味わった最高の情景を見れば明らかで、羨まけしからん話です。
2019年12月11日
『神童勇者とメイドおねえさん3』
上杉響士郎 先生によるコミック連載が始まった、望公太 先生が贈るファンタジー小説。
第3巻は“ノイン”の正体を追う“シオン”が自身の呪いと聖剣との関係を調査します。
(イラスト:ぴょん吉 先生)
【 https://mfbunkoj.jp/product/shindouyusha/321907000783.html 】
聖剣を吸収すれば呪いが和らぐ。しかし他人のを奪ってまで成し遂げたいとは思わない。
“ノイン”の狙いに食いつかない“シオン”の人の良さは奥ゆかしく、一方では歯痒く。
一方的な駆け引きに対して“シオン”が食いついてしまうかどうかの揺さぶりが絶妙で。
そんな中、王国内で広まりを見せる奴隷解放運動。貴族側の立場である騎士団の部隊長
“カミール”が主導するとあってどうもきな臭いのと、突如現れた奴隷商人“ドムル”
からのハーフエルフ売買が持ち掛けられたとあって“シオン”も黙ってはいられない。
酒の席でもあった通り“イブリス”の生き様、信条が見て取れる話が胸を熱くさせます。
奴隷の件が意外な形で物語を動かしていく鍵になっているのも見所。あのモンスターに
対する地位向上を図る点も興味深い。“ナギ”を始めとした可愛い素顔も見逃せません。
第3巻は“ノイン”の正体を追う“シオン”が自身の呪いと聖剣との関係を調査します。
(イラスト:ぴょん吉 先生)
【 https://mfbunkoj.jp/product/shindouyusha/321907000783.html 】
聖剣を吸収すれば呪いが和らぐ。しかし他人のを奪ってまで成し遂げたいとは思わない。
“ノイン”の狙いに食いつかない“シオン”の人の良さは奥ゆかしく、一方では歯痒く。
一方的な駆け引きに対して“シオン”が食いついてしまうかどうかの揺さぶりが絶妙で。
そんな中、王国内で広まりを見せる奴隷解放運動。貴族側の立場である騎士団の部隊長
“カミール”が主導するとあってどうもきな臭いのと、突如現れた奴隷商人“ドムル”
からのハーフエルフ売買が持ち掛けられたとあって“シオン”も黙ってはいられない。
酒の席でもあった通り“イブリス”の生き様、信条が見て取れる話が胸を熱くさせます。
奴隷の件が意外な形で物語を動かしていく鍵になっているのも見所。あのモンスターに
対する地位向上を図る点も興味深い。“ナギ”を始めとした可愛い素顔も見逃せません。