2019年09月30日

『コールミー・バイ・ノーネーム』

斜線堂有紀 先生が贈る新作は「名前当て」ミステリー。ゴミ捨て場で拾った美しい女性に
惹かれていく女学生が、友達になるため彼女の「本当の名」と過去を探る経緯を描きます。
(Illustration/くわばらたもつ 先生)

https://www.seikaisha.co.jp/information/2019/08/28-post-clmn.html


奔放な性生活と無法な横恋慕。一宿一飯の恩義を体で返そうとする“古橋琴葉”に関する
ことは数少ない。そんな彼女から提示された「付き合っている間に自分の本名を当てたら
友達になってあげる」という話に乗った“愛”は世にも奇妙な同居生活を始めるが──。

改名する、その意味を交際する過程で探る“愛”自身にも一つの問題が存在する。それは
「なぜ“琴葉”を助けたのか」という点。善意の先に芽生えた感情を証明しようともがく
“愛”の気持ちを受け止め、それでも本名の「呪い」に苦しむ“琴葉”が示す拒絶は悲痛。

未希が“愛”のことを「光人間」と称したその意味も、読み終える今ならわかる気がする。
共に「何か」を証明する難しさ、やるせなさを痛感してきたからこそ繋がる2人の心と体。
名前当てが終わるその先に、“琴葉”の感情を証明する“愛”が居続けてほしいものです。

posted by 秋野ソラ at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル