午鳥志季 先生の「第25回電撃小説大賞」最終選考作。電脳アシスタント少女を意志を持つ
AIに進化させる研究を手伝う大学生が辿る運命を描くハートウォーミング・ラブコメです。
(イラスト:神岡ちろる 先生)
【 https://dengekibunko.jp/product/321902000157.html 】
普通に生きて穏やかに死ぬことを望む大学生“西機”が開発を手伝う人工知能の“アギ”。
彼をマスターと認識し、彼のために役立ちたいと判断した彼女は意志を持つAIに進化する。
生活に困窮する彼を救うべく、偶然に見かけたVtuberを目指そうと彼女は決意するが──。
大人気の“ナギ・ヒカル”を目指して趣向を凝らしたりするやり方にも“アギ”の特徴が
活かされてます。波に乗ってきたところでコラボを提案してくる“シンラ”からの悪質な
嫌がらせにあったりとトレンドワードを押さえたサクセスストーリーっぽい展開が面白い。
“川嶋”の気持ちも知らないで・・・なんてラブコメ展開が続くかと思えば、いつの間にか
世界と“アギ”を天秤にかける事態に“西機”が直面します。究極の選択の果てに、彼が
どんな結末を迎えるか。“アギ”の想いも含めてぜひ見届けてほしい、お薦めの作品です。
2019年09月09日
2019年09月06日
『レイジングループ REI-JIN-G-LU-P 5 聖別の獣』
アドベンチャーゲーム「レイジングループ」のシナリオライター、mphibian 先生が自ら
小説版の執筆に臨む本作。イシイジロウ 先生の解説を受け更に話が動く第5巻が登場です。
(Illustration/影由 先生)
【 https://www.seikaisha.co.jp/information/2019/08/05-post-rl5.html 】
「おおかみ」ルート到達。「神」によって既知の情報が増えて、人を殺す狂気と人として
生きる正気の間で「死に戻りのゴール」を模索する“陽明”。安易な不殺の意志も許さぬ
「神」の意志を前に選択肢を選ぶ彼が見せる機微の描写は緊張の糸が張り詰めるかのよう。
ルート変更により敵味方の立ち位置、そして“陽明”にとってもヒロインも変わり、更に
直接「神」が彼にアプローチを仕掛けてくることで腹の探り合いも高度なものを求められ
ページが進む度に惹き込まれます。中でも“千枝実”が示すあの言動の意味が気になる所。
「よそ者」ルートや「へび」ルートと違って、「くくる」ということの意味を身をもって
味わった“陽明”が「おおかみ」としてどう役割に徹するか。見定めた彼の振る舞いを
「神」はどう捉えるか。人知を超えて繰り広げられる駆け引きの行方に目が離せません。
小説版の執筆に臨む本作。イシイジロウ 先生の解説を受け更に話が動く第5巻が登場です。
(Illustration/影由 先生)
【 https://www.seikaisha.co.jp/information/2019/08/05-post-rl5.html 】
「おおかみ」ルート到達。「神」によって既知の情報が増えて、人を殺す狂気と人として
生きる正気の間で「死に戻りのゴール」を模索する“陽明”。安易な不殺の意志も許さぬ
「神」の意志を前に選択肢を選ぶ彼が見せる機微の描写は緊張の糸が張り詰めるかのよう。
ルート変更により敵味方の立ち位置、そして“陽明”にとってもヒロインも変わり、更に
直接「神」が彼にアプローチを仕掛けてくることで腹の探り合いも高度なものを求められ
ページが進む度に惹き込まれます。中でも“千枝実”が示すあの言動の意味が気になる所。
「よそ者」ルートや「へび」ルートと違って、「くくる」ということの意味を身をもって
味わった“陽明”が「おおかみ」としてどう役割に徹するか。見定めた彼の振る舞いを
「神」はどう捉えるか。人知を超えて繰り広げられる駆け引きの行方に目が離せません。
2019年09月05日
『由比ガ浜機械修理相談所』
斉藤すず 先生の「第25回電撃小説大賞・読者賞」受賞作。ヒューマノイド「TOWA」の存在
に夢と希望を抱いた青年の過ちと後悔と、そして立ち直るための恋を描いていく物語です。
(イラスト:ryuga. 先生)
【 https://dengekibunko.jp/product/yuigahama/321904000008.html 】
憧れの「TOWA」を製作する会社に就職するも1年で倒産し、仕事も手につかない“氷雨”。
実家をやんわり追い出され叔母の家に転がり込んだ彼が機械の知識を活かす店を開業した
ある日、来客してきた“戸川”から「TOWA」の“結”を引き取ってほしいと依頼され──。
かつて調律を担当した“アン”との距離感を大切な「TOWA」だからこそ見誤った“氷雨”。
その過去が招いた悲劇があったからこそ、今また引取り先が決まるまでの間、共同生活を
する“結”の存在感が増していく中で見せる葛藤がもどかしく、そして切なく映ります。
“佐藤”社長が「TOWA」に抱いてきた想い、“戸川”が“結”を手放そうと依頼した真意、
そして“萌”が語ってくれた“結”の決意。三度選択肢を誤った“氷雨”が各々の思惑を
受け止めて掴み取った未来が実に眩しくて羨ましくて、幸あれと願わずにはいられません。
に夢と希望を抱いた青年の過ちと後悔と、そして立ち直るための恋を描いていく物語です。
(イラスト:ryuga. 先生)
【 https://dengekibunko.jp/product/yuigahama/321904000008.html 】
憧れの「TOWA」を製作する会社に就職するも1年で倒産し、仕事も手につかない“氷雨”。
実家をやんわり追い出され叔母の家に転がり込んだ彼が機械の知識を活かす店を開業した
ある日、来客してきた“戸川”から「TOWA」の“結”を引き取ってほしいと依頼され──。
かつて調律を担当した“アン”との距離感を大切な「TOWA」だからこそ見誤った“氷雨”。
その過去が招いた悲劇があったからこそ、今また引取り先が決まるまでの間、共同生活を
する“結”の存在感が増していく中で見せる葛藤がもどかしく、そして切なく映ります。
“佐藤”社長が「TOWA」に抱いてきた想い、“戸川”が“結”を手放そうと依頼した真意、
そして“萌”が語ってくれた“結”の決意。三度選択肢を誤った“氷雨”が各々の思惑を
受け止めて掴み取った未来が実に眩しくて羨ましくて、幸あれと願わずにはいられません。
2019年09月04日
『EDGEシリーズ 神々のいない星で 僕と先輩の惑星クラフト〈上〉』
川上稔 先生が贈る新作は「AHEAD」と「GENESIS」を繋ぐ、神代の時代を描く新シリーズ。
1990年代の立川で学園生活を送る少年が、とある惑星の天地創造を担う顛末を描きます。
(イラスト:さとやす 先生(TENKY))
【 https://dengekibunko.jp/product/321902000159.html 】
夏休みをゲーム三昧で満喫する“住良木”。隣室に理想の巨乳な先輩が越してきて幸せな
彼がゲーム部の面々に導かれて挑むのはテラフォーミング。巨乳先輩と一緒でヤル気全開
の彼に突如“バランサー”と名乗るAIの啓示板が現れ、様々なネタバレを告げてきて──。
アイコンをつけて誰が発言しているかを明確にする見せ方。二段組に合わせた一言一言の
言葉の短さ。いわゆる「ノベルゲーム」を読むかのような可読性の高め方が特徴的な本作。
これまでのシリーズを踏まえて、物語を読ませるための進化を続けているのが窺えます。
何度も死んでは蘇る“住良木”の、この世界における存在感がゲーム部の面々に語られて
いくうちに神々の思惑、そして神話絡みの設定の妙が見えてきて興味津々といったところ。
約束された喧嘩を真っ向から受けるゲーム部たち、そして星づくりの行方を見守ります。
1990年代の立川で学園生活を送る少年が、とある惑星の天地創造を担う顛末を描きます。
(イラスト:さとやす 先生(TENKY))
【 https://dengekibunko.jp/product/321902000159.html 】
夏休みをゲーム三昧で満喫する“住良木”。隣室に理想の巨乳な先輩が越してきて幸せな
彼がゲーム部の面々に導かれて挑むのはテラフォーミング。巨乳先輩と一緒でヤル気全開
の彼に突如“バランサー”と名乗るAIの啓示板が現れ、様々なネタバレを告げてきて──。
アイコンをつけて誰が発言しているかを明確にする見せ方。二段組に合わせた一言一言の
言葉の短さ。いわゆる「ノベルゲーム」を読むかのような可読性の高め方が特徴的な本作。
これまでのシリーズを踏まえて、物語を読ませるための進化を続けているのが窺えます。
何度も死んでは蘇る“住良木”の、この世界における存在感がゲーム部の面々に語られて
いくうちに神々の思惑、そして神話絡みの設定の妙が見えてきて興味津々といったところ。
約束された喧嘩を真っ向から受けるゲーム部たち、そして星づくりの行方を見守ります。
2019年09月03日
『誰も死なないミステリーを君に 2』
井上悠宇 先生が贈る青春ミステリー小説。第2巻は“志緒”の友人“飛鳥”に現れた死線、
その要因である遺産相続の話に関わる獅加観家に乗り込み、死を回避する策を巡らせます。
(イラスト:hiko 先生)
【 https://www.hayakawa-online.co.jp/shopdetail/000000014278/shurui_3/page1/order/ 】
ふとした仕草から“志緒”の死線に気付いた“飛鳥”。獅加観家で彼女を異様な出迎えを
した兄“和鷹”、狐面を被る医師“良比狐”、胡散臭い探偵“司狼”。13年前に失踪した
“綜馬”を除いた4人が父の遺産をどう継ぐか、という中でその影がちらつく不穏な展開。
いかにもミステリーな話が進んでいく前に“飛鳥”が経験した「神隠し」に関する独白が
思いがけず彼女自身の死線に関わるどころか、相続人たちに次々と現れていく奇妙な現象。
鍵を握る“飛鳥”の姉の過去を探る“佐藤”が直面した意外な真実にはただ驚くしかなく。
“飛鳥”の父が仕込んだ遺産相続に懸ける想い、“宗一郎”から託された将来必要とする
者への封筒の中身、そして「デイドリームビーバー」としての“志緒”と“佐藤”の矜持。
断罪の果てに導かれた誰も死なない幸せな結末に、今巻も清々しい読了感を味わえました。
その要因である遺産相続の話に関わる獅加観家に乗り込み、死を回避する策を巡らせます。
(イラスト:hiko 先生)
【 https://www.hayakawa-online.co.jp/shopdetail/000000014278/shurui_3/page1/order/ 】
ふとした仕草から“志緒”の死線に気付いた“飛鳥”。獅加観家で彼女を異様な出迎えを
した兄“和鷹”、狐面を被る医師“良比狐”、胡散臭い探偵“司狼”。13年前に失踪した
“綜馬”を除いた4人が父の遺産をどう継ぐか、という中でその影がちらつく不穏な展開。
いかにもミステリーな話が進んでいく前に“飛鳥”が経験した「神隠し」に関する独白が
思いがけず彼女自身の死線に関わるどころか、相続人たちに次々と現れていく奇妙な現象。
鍵を握る“飛鳥”の姉の過去を探る“佐藤”が直面した意外な真実にはただ驚くしかなく。
“飛鳥”の父が仕込んだ遺産相続に懸ける想い、“宗一郎”から託された将来必要とする
者への封筒の中身、そして「デイドリームビーバー」としての“志緒”と“佐藤”の矜持。
断罪の果てに導かれた誰も死なない幸せな結末に、今巻も清々しい読了感を味わえました。