兎谷あおい 先生の「小説家になろう」投稿作が書籍化。通学に使う駅が同じなだけの男女、
先輩と後輩が出会い、日々質問を交わし、互いを知り合っていく過程を描くラブコメです。
(イラスト:ふーみ 先生)
【 https://mfbunkoj.jp/product/senpai100/321904000845.html 】
【 https://ncode.syosetu.com/n3707eg/ 】
高校の通学に利用する電車は“慶太”しかいない。そんな寂しい彼を「せんぱい」と呼ぶ
少女が突如現れる。電車内で落とし物を拾ってくれた彼女は同じ利用者のよしみで1日1回
100個の質問を頂きます、と宣言してきた。彼は思う「この後輩、ぐいぐいくる」と──。
ふーみ 先生の描く“真春”が可愛いのに加えて、その言動もどこか憎めない愛らしさに
あふれています。名前を聞くことも質問に含まれるほど何も知らない2人がデートしたり
する展開に“慶太”が戸惑うのも無理はないかと思います。彼女の真意が読めないだけに。
「後輩ちゃん」そう呼ぶ“真春”と毎日顔を合わせることに悪い気はしないもののそれが
恋愛感情という実感はない“慶太”。生徒会長として「恋愛禁止の校則」を変えられるか、
そして100個の質問を終えたとき2人の関係はどうなっているのか、実に気になる所です。
2019年09月16日
2019年09月13日
『失恋文庫 書き下ろし失恋小説アンソロジー』
涼暮皐さんの「失恋構文」に端を発する企画が実を結びアンソロジーとしてC96にて頒布。
人気ライトノベル作家たちが集結して「失恋」をテーマにした思い思いの物語を綴ります。
(イラスト:おしおしお さん)
【 https://note.mu/wataruumino/n/nd51f9d320814 】
「灰色青春は傷つかない」(雨宮和希 さん)
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
中高のバスケ部でマネージャーを務める幼なじみの“京華”よりもバスケを選んだ“蒼”。
夢破れ、大学のサークルで“由美乃”と付き合うも“京華”への想いを引きずり別れた彼。
改めて想いを伝えるも時すでに遅し。それでも前向きな姿勢を示してくれたのが救いです。
「ずっと一緒な君と僕」(北山結莉 さん)
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
幼なじみの“理香”が好きな“良太”が、彼女に釣り合う男になろうと努力し、成人式を
迎えた日に婚約するまでに至る。そして結婚生活まで見据えてお金を貯めようとする彼の
心意気は美談なのに報われず、人生すら棒に振るような結末が只々虚しくて、切なくて。
「乗り換えは君のいた大宮で」(ゆうびなぎ さん)
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
バスケに打ち込む“朝斗”に惚れた“りん”が失恋するまでを描く小編。バスケを辞めた
彼への想いが冷めていく彼女の心の隙間を狙うかの様に現れた“夕陽”。靡く彼女に対し
サッと身を引く“朝斗”。共に大宮での経験を胸に生きていく所もまた青春なのでしょう。
「独り占め。」(しめさば さん)
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
隣の家に住む幼なじみの“アキ”に恋心を抱く“ユキ”だが彼の想い人は彼女の姉である
“ナツ”。三者三葉の視点をもとに恋心のベクトルを描きながら、迂闊に決定的な瞬間を
迎えた3人が選ぶ結末。“ユキ”の心情が描かれていないのが空恐ろしいとも感じます。
「『シラノが想いを告げる時』」(子子子子子子子 さん)
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
“白乃”と“縫奈”は小学校から続く女友達。いつしか“縫奈”に恋心を抱く“白乃”に
剣道一筋の“聖人”が「“縫奈”と付き合いたいので協力してほしい」とお願いされる。
戯曲「シラノ・ド・ベルジュラック」になぞらえる彼女の決断と結末が現実的で儚いです。
「ホンメイ*ログアウト」(ゆうびなぎ さん)
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「わたしと浮気……してみない?」同じ予備校に通う“未卯”に持ち掛けられた“明治”
には“真央”という彼女がいる。しかし、彼女の恋心に重さを感じていた彼に“未卯”の
誘いは甘言、渡りに船。そして迎える決定的な瞬間、イブの日。浮気はだめですよ浮気は。
「昔の私へ」(屋久ユウキ さん)
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
アラサーという時期を迎え、未だ独身で彼氏もいないある女性が過去の自分に対して手紙
という形で数々の男性遍歴を綴りつつ、その生き方に至った心境を自己分析していく小話。
卑下しながらも自分のことが好き、と言及する彼女に幸せは訪れるのかは、神のみぞ知る。
「虚無・A」(涼暮皐 さん)
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
高嶺の花である“鹿倉”に告白し、あっさりと断られた“翔”の恋は終わったはずなのに
何故か続く彼の恋わずらい。まるで筆者が語るかの如き文面から描かれる彼の愚かな行為、
その果てに迎える興味深い結末。「失恋」の扱い方に一日の長あり、と感じさせられます。
総括
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
幼なじみヒロインはなぜにこうも立場が弱いのか。その謎を追求するのはひとまず置いて
同じテーマに合わせて短編を寄せあうことで、これだけ得体の知れないエネルギーを形成
できたこと、また読み手に共感や絶望を味わわせた実績は評価に値すると言えるでしょう。
担当編集の羽海野渉さん、緋悠梨さんも過去に言及されていた通り、読んだ短編を契機に
気になった作者がいらっしゃいましたら読者の皆さまにおかれましてはぜひ商業作品にも
手を伸ばしてほしい所で。それがアンソロジーの醍醐味でもあり、私の願いでもあります。
さらに願わくば、ライトノベルでは中々に定着しない「アンソロジー」の文化を、同人誌
という特殊な切り口ではありますが、「失恋文庫」が突破口となってくれたらと思います。
そうそう、「普通に生きてたら失恋なんてしない」という点は読む上でご考慮下さいませ。
人気ライトノベル作家たちが集結して「失恋」をテーマにした思い思いの物語を綴ります。
(イラスト:おしおしお さん)
【 https://note.mu/wataruumino/n/nd51f9d320814 】
「灰色青春は傷つかない」(雨宮和希 さん)
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
中高のバスケ部でマネージャーを務める幼なじみの“京華”よりもバスケを選んだ“蒼”。
夢破れ、大学のサークルで“由美乃”と付き合うも“京華”への想いを引きずり別れた彼。
改めて想いを伝えるも時すでに遅し。それでも前向きな姿勢を示してくれたのが救いです。
「ずっと一緒な君と僕」(北山結莉 さん)
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
幼なじみの“理香”が好きな“良太”が、彼女に釣り合う男になろうと努力し、成人式を
迎えた日に婚約するまでに至る。そして結婚生活まで見据えてお金を貯めようとする彼の
心意気は美談なのに報われず、人生すら棒に振るような結末が只々虚しくて、切なくて。
「乗り換えは君のいた大宮で」(ゆうびなぎ さん)
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
バスケに打ち込む“朝斗”に惚れた“りん”が失恋するまでを描く小編。バスケを辞めた
彼への想いが冷めていく彼女の心の隙間を狙うかの様に現れた“夕陽”。靡く彼女に対し
サッと身を引く“朝斗”。共に大宮での経験を胸に生きていく所もまた青春なのでしょう。
「独り占め。」(しめさば さん)
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
隣の家に住む幼なじみの“アキ”に恋心を抱く“ユキ”だが彼の想い人は彼女の姉である
“ナツ”。三者三葉の視点をもとに恋心のベクトルを描きながら、迂闊に決定的な瞬間を
迎えた3人が選ぶ結末。“ユキ”の心情が描かれていないのが空恐ろしいとも感じます。
「『シラノが想いを告げる時』」(子子子子子子子 さん)
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
“白乃”と“縫奈”は小学校から続く女友達。いつしか“縫奈”に恋心を抱く“白乃”に
剣道一筋の“聖人”が「“縫奈”と付き合いたいので協力してほしい」とお願いされる。
戯曲「シラノ・ド・ベルジュラック」になぞらえる彼女の決断と結末が現実的で儚いです。
「ホンメイ*ログアウト」(ゆうびなぎ さん)
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「わたしと浮気……してみない?」同じ予備校に通う“未卯”に持ち掛けられた“明治”
には“真央”という彼女がいる。しかし、彼女の恋心に重さを感じていた彼に“未卯”の
誘いは甘言、渡りに船。そして迎える決定的な瞬間、イブの日。浮気はだめですよ浮気は。
「昔の私へ」(屋久ユウキ さん)
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
アラサーという時期を迎え、未だ独身で彼氏もいないある女性が過去の自分に対して手紙
という形で数々の男性遍歴を綴りつつ、その生き方に至った心境を自己分析していく小話。
卑下しながらも自分のことが好き、と言及する彼女に幸せは訪れるのかは、神のみぞ知る。
「虚無・A」(涼暮皐 さん)
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
高嶺の花である“鹿倉”に告白し、あっさりと断られた“翔”の恋は終わったはずなのに
何故か続く彼の恋わずらい。まるで筆者が語るかの如き文面から描かれる彼の愚かな行為、
その果てに迎える興味深い結末。「失恋」の扱い方に一日の長あり、と感じさせられます。
総括
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
幼なじみヒロインはなぜにこうも立場が弱いのか。その謎を追求するのはひとまず置いて
同じテーマに合わせて短編を寄せあうことで、これだけ得体の知れないエネルギーを形成
できたこと、また読み手に共感や絶望を味わわせた実績は評価に値すると言えるでしょう。
担当編集の羽海野渉さん、緋悠梨さんも過去に言及されていた通り、読んだ短編を契機に
気になった作者がいらっしゃいましたら読者の皆さまにおかれましてはぜひ商業作品にも
手を伸ばしてほしい所で。それがアンソロジーの醍醐味でもあり、私の願いでもあります。
さらに願わくば、ライトノベルでは中々に定着しない「アンソロジー」の文化を、同人誌
という特殊な切り口ではありますが、「失恋文庫」が突破口となってくれたらと思います。
そうそう、「普通に生きてたら失恋なんてしない」という点は読む上でご考慮下さいませ。
2019年09月12日
『魔術破りのリベンジ・マギア 7.再臨の魔人と魔術破りの逆襲術士』
子子子子子子子 先生が贈るハイエンド魔術バトルアクション。第7巻は大和の国で母の
過去に纏わる真実を、そして意外な敵を目にした“晴栄”が命を賭した戦いに臨みます。
(イラスト/伊吹のつ 先生)
【 http://hobbyjapan.co.jp/hjbunko/lineup/detail/858.html 】
“ティチュ”に突如現れた異変。それを見逃さない“晴雄”の厳格な対応に諦めの表情を
見た“晴栄”が示す怒気はかつての復讐者の機微とは別物。仲間を得て成長を遂げた彼の
様子が“法麗”との対峙や、本性を現した兄との最初で最後の兄弟喧嘩からも窺えます。
心を寄せた人を想い“晴雄”もまた抱いていた復讐の念。それぞれの過去が交錯する死闘。
その果てが物語の終着点かと思いきや、古き神々が生まれた経緯すら利用して悲願達成を
目論む強敵の襲撃。流石の“晴栄”も命を危険に晒す敵の登場で読む手に緊張が走ります。
“九曜”が託した想い。“ティチュ”に託された言葉。“晴栄”と“晴雄”が力を合わせ
仲間を信じて悪意と立ち向かう姿は必見。そこへ的確な解説を挟む“三郎”の言動にまた
魅せられます。入り乱れる魔術を見事に収め、無事完結を迎えた本作に心からの祝意を。
過去に纏わる真実を、そして意外な敵を目にした“晴栄”が命を賭した戦いに臨みます。
(イラスト/伊吹のつ 先生)
【 http://hobbyjapan.co.jp/hjbunko/lineup/detail/858.html 】
“ティチュ”に突如現れた異変。それを見逃さない“晴雄”の厳格な対応に諦めの表情を
見た“晴栄”が示す怒気はかつての復讐者の機微とは別物。仲間を得て成長を遂げた彼の
様子が“法麗”との対峙や、本性を現した兄との最初で最後の兄弟喧嘩からも窺えます。
心を寄せた人を想い“晴雄”もまた抱いていた復讐の念。それぞれの過去が交錯する死闘。
その果てが物語の終着点かと思いきや、古き神々が生まれた経緯すら利用して悲願達成を
目論む強敵の襲撃。流石の“晴栄”も命を危険に晒す敵の登場で読む手に緊張が走ります。
“九曜”が託した想い。“ティチュ”に託された言葉。“晴栄”と“晴雄”が力を合わせ
仲間を信じて悪意と立ち向かう姿は必見。そこへ的確な解説を挟む“三郎”の言動にまた
魅せられます。入り乱れる魔術を見事に収め、無事完結を迎えた本作に心からの祝意を。
2019年09月11日
『理想の娘なら世界最強でも可愛がってくれますか?3』
三河ごーすと 先生が贈る終末学園ファンタジー。第3巻は“グラン・マリア”に唆された
“雪奈”が父“冬真”の敵に回る事態を迎え人類滅亡を前に壮大な父娘喧嘩が勃発します。
(イラスト:茨乃 先生)
【 https://mfbunkoj.jp/product/risounomusume/321904000169.html 】
分からず屋な“雪奈”が振るった力、そして真意をさらけ出した“グラン・マリア”の力。
いずれも世界を震撼させるどころか破滅も危惧すべきところを食い止める“冬真”の能力。
彼の口から告げられた真実を前に“グラン・マリア”が思い描く空想が切なさを誘います。
力及ばず招いた自身の窮地に寂寥感すら覚える“カチュア”。“ソーニャ”が彼女に対し
提供する「癒しのマッサージとスキンケア」が背徳的で変態的で、いやらしいのなんの。
そんなご褒美・・・ではなく仕打ちを受けても矜持を捨てない“カチュア”の勇姿も見所で。
もう一つ賞賛すべきは、世界の常識を根底から覆す“アレイナ”のアイデアと能力をあの
悪意から守り切った“黒子”の意地。その心意気がもたらす吉兆の行方は予断を許さず。
さらに“雪奈”の未来にも暗雲が立ち込めてきて不安要素が拭えない続きが気になります。
“雪奈”が父“冬真”の敵に回る事態を迎え人類滅亡を前に壮大な父娘喧嘩が勃発します。
(イラスト:茨乃 先生)
【 https://mfbunkoj.jp/product/risounomusume/321904000169.html 】
分からず屋な“雪奈”が振るった力、そして真意をさらけ出した“グラン・マリア”の力。
いずれも世界を震撼させるどころか破滅も危惧すべきところを食い止める“冬真”の能力。
彼の口から告げられた真実を前に“グラン・マリア”が思い描く空想が切なさを誘います。
力及ばず招いた自身の窮地に寂寥感すら覚える“カチュア”。“ソーニャ”が彼女に対し
提供する「癒しのマッサージとスキンケア」が背徳的で変態的で、いやらしいのなんの。
そんなご褒美・・・ではなく仕打ちを受けても矜持を捨てない“カチュア”の勇姿も見所で。
もう一つ賞賛すべきは、世界の常識を根底から覆す“アレイナ”のアイデアと能力をあの
悪意から守り切った“黒子”の意地。その心意気がもたらす吉兆の行方は予断を許さず。
さらに“雪奈”の未来にも暗雲が立ち込めてきて不安要素が拭えない続きが気になります。
2019年09月10日
『本屋の店員がダンジョンになんて入るもんじゃない!』
しめさば 先生の「カクヨム」投稿作で「BOOK☆WALKER BWインディーズコンテスト・大賞」
受賞作が書籍化。ある本屋の店員がダンジョン探索に駆り出される受難の日々を描きます。
(イラスト:切符 先生)
【 http://dash.shueisha.co.jp/bookDetail/index/978-4-08-631323-0 】
【 https://kakuyomu.jp/works/1177354054882654068 】
田舎町からも更に外れた本屋の店員を務める“アシタ”は三度の飯より本を読むのが好き。
とは言え、本が売れないと生計が成り立たない。そこで彼は「ダンジョンの情報を売る」
ことを考えたが、冒険者の“エルシィ”とダンジョンに同行しては散々な目に遭って──。
気さくな“エルシィ”に振り回される流れで何度も窮地に陥る“アシタ”には同情の念が
絶えません。彼女も彼女なりに彼に対する敬意を払っているからこそ、なのですが男女の
仲にまで発展するのかは未知数。仲間になる“アルマ”もなかなか好感度は高そうですし。
連作短編の形式でサクサクと話が動いてくのが読みやすさに磨きを掛けていて楽しめます。
“ラッセル”もですけど能力的に凄い人物に守ってもらっているにも関わらず、その上を
超えるピンチを前にして“アシタ”も頑張っている所にご注目。続きが楽しみな作品です。
受賞作が書籍化。ある本屋の店員がダンジョン探索に駆り出される受難の日々を描きます。
(イラスト:切符 先生)
【 http://dash.shueisha.co.jp/bookDetail/index/978-4-08-631323-0 】
【 https://kakuyomu.jp/works/1177354054882654068 】
田舎町からも更に外れた本屋の店員を務める“アシタ”は三度の飯より本を読むのが好き。
とは言え、本が売れないと生計が成り立たない。そこで彼は「ダンジョンの情報を売る」
ことを考えたが、冒険者の“エルシィ”とダンジョンに同行しては散々な目に遭って──。
気さくな“エルシィ”に振り回される流れで何度も窮地に陥る“アシタ”には同情の念が
絶えません。彼女も彼女なりに彼に対する敬意を払っているからこそ、なのですが男女の
仲にまで発展するのかは未知数。仲間になる“アルマ”もなかなか好感度は高そうですし。
連作短編の形式でサクサクと話が動いてくのが読みやすさに磨きを掛けていて楽しめます。
“ラッセル”もですけど能力的に凄い人物に守ってもらっているにも関わらず、その上を
超えるピンチを前にして“アシタ”も頑張っている所にご注目。続きが楽しみな作品です。