斜線堂有紀 先生が贈る新作は、身体が金塊となる致死の奇病に蝕まれる女子大生と出会う
少年が次第に心通わせる機微の変化と手にするであろう大金を前に生き様を惑わされます。
(イラスト:くっか 先生)
【 https://mwbunko.com/product/321902000590.html 】
金塊病専用のサナトリウムで“弥子”から、彼女自身を相続する話を提示された“日向”。
その額、三億円。ただし条件として「チェッカー」というゲームで勝つことを求められる。
ゲームに懸ける想いや相続させる理由も分からぬまま、彼は彼女と盤面に向かい合う──。
迫る死を前にしても臆することなく接してくれる“弥子”も、不条理にあえぐ姿を見せる
ことがある。それに気づいた頃には“日向”はもう恋に落ちていて、どうしようもなくて。
そこへ夢の無い背景や遺言のことがマスコミに暴露され、あらぬ疑惑もかけられて散々で。
“弥子”が求める「正解」の意味や“日向”が表紙で示した過ちの切なさ。それに対して
“江美子”や“北上”の存在と見せる言動のやるせなさ。“弥子”が遺してくれたものの
価値を手に、そして忘れず生きていく“日向”の未来が前向きであれ、と祈るばかりです。