2019年08月09日

『異世界薬局 7』

高山理図 先生が贈る薬局ファンタジー。第7巻は悪霊の猛威に晒される帝都を救うために
奔走する過程で“ファルマ”が自身の立ち位置と現代薬学と神術との関係性を見直します。
(イラスト:keepout 先生)

http://mfbooks.jp/7221/
https://ncode.syosetu.com/n8541cr/
https://comic-walker.com/contents/detail/KDCW_MF00000031010000_68/


“エレン”の視点、ド・メディシス家に伝わる禁呪、そして“ナタリー”への対処方法。
これまで自分の知識、能力を用いて物事に対応してきた印象の強い“ファルマ”が協業
ですとか、自分にない力も活用してく道を模索していく転換点となった流れを感じます。

“女帝”の決意を受けて、ついに人ならざる身として生きることを内外に示したことも
“ファルマ”にとって大きな一歩となった巻かと思います。それでも今までと変わらず
接してくれる家族や「異世界薬局」の関係者が見せる理解には心温まるものがあります。

“ファルマ”が“ナタリー”に粋な計らいを見せたり、“エレン”とパートナーと深い
繋がりを窺わせたりする場面がまた微笑ましい。“ロッテ”は切ない顛末でしたけど。
悪霊に対する根本的な解決策を求めて海を渡る彼は道を切り開けるか、続きも注目です。

posted by 秋野ソラ at 00:24 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2019年08月08日

『夏の終わりに君が死ねば完璧だったから』

斜線堂有紀 先生が贈る新作は、身体が金塊となる致死の奇病に蝕まれる女子大生と出会う
少年が次第に心通わせる機微の変化と手にするであろう大金を前に生き様を惑わされます。
(イラスト:くっか 先生)

https://mwbunko.com/product/321902000590.html


金塊病専用のサナトリウムで“弥子”から、彼女自身を相続する話を提示された“日向”。
その額、三億円。ただし条件として「チェッカー」というゲームで勝つことを求められる。
ゲームに懸ける想いや相続させる理由も分からぬまま、彼は彼女と盤面に向かい合う──。

迫る死を前にしても臆することなく接してくれる“弥子”も、不条理にあえぐ姿を見せる
ことがある。それに気づいた頃には“日向”はもう恋に落ちていて、どうしようもなくて。
そこへ夢の無い背景や遺言のことがマスコミに暴露され、あらぬ疑惑もかけられて散々で。

“弥子”が求める「正解」の意味や“日向”が表紙で示した過ちの切なさ。それに対して
“江美子”や“北上”の存在と見せる言動のやるせなさ。“弥子”が遺してくれたものの
価値を手に、そして忘れず生きていく“日向”の未来が前向きであれ、と祈るばかりです。

posted by 秋野ソラ at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2019年08月07日

『モンスター娘のお医者さん6』

折口良乃 先生が贈るモン娘診察奮闘記。第6巻は“グレン”求婚の噂に浮き立つ女性陣を
前に水路街を襲う陰謀を知り、一人身を引く“サーフェ”に対し彼はある決断を下します。
(イラスト:Zトン 先生)

http://dash.shueisha.co.jp/bookDetail/index/978-4-08-631321-6


様々な年齢層から求愛の宣言を受ける“グレン”が「今は仕事一筋」と頑なに拒む姿勢。
それが“サーフェ”失踪に繋がる要因の一つになろうとは。身から出た錆、とも言える
事態を前にしっかりと自分の気持ちと向き合い、行動でそれを示した彼に心より敬意を。

“サーフェ”の決意もさることながら彼女の想いを汲み取った“ティサリア”の振舞い
もまた印象深いものがありました。“スカディ”の抜け目ないというか虎視眈々と機を
見定める姿勢は注目していきたい。他の女性陣も例のアレが出来たのでどうなることか。

今回の騒動で噂の渦中にいる“ソーエン”が乗り込んでくる、その意図がまた偽悪的で
憎たらしいけど憎めない。イイ味だしてます。騒動も丸く収まって、話としても大団円
で幕を閉じる・・・ワケではなく続いていくようで何よりです。次巻も楽しみにしてます。

posted by 秋野ソラ at 00:12 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2019年08月06日

『異世界帰りの俺(チートスキル保持)、ジャンル違いな超常バトルに巻き込まれたけれどワンパンで片付けて無事青春をおくりたい。』

真代屋秀晃 先生が贈る新作。異世界で英雄として偉業を成し遂げて日本へと戻ってきた
少年が日常ラブコメ的青春を謳歌すべく超常者の少女たちの悩みを腕一本で振り払います。
(イラスト:葉山えいし 先生)

https://dengekibunko.jp/product/321811001099.html


教室でもひとり退屈な日々を過ごしていた幼馴染“武流”がクラス委員に立候補する姿を
見て“奈々子”が驚くのも無理はない。彼女の知らない間に彼は異世界に転移しスキルと
青春を謳歌する想いを胸に戻ってきたのである。そんな彼を非日常が邪魔してくるが──。

異世界転生者の敵じゃない、と嘯き様々なトラブルを解決していく顛末から“紗姫”には
異能力者、“葵”にはサイボーグ諜報員、そして“マリー”には凄腕の退魔師と誤解され
何とも面倒くさくて面白い人間関係を築いていく“武流”が実にうらやまけしからん訳で。

話の展開を単調にさせないため、ちょっとしたフェイクが入っていたりする点も興味深く
エピローグで見せた「彼女」の笑顔と「あの人」の独白が良い引きになってます。続刊で
どう料理してくるか先生のお手並み拝見、という所。“マリー”の頑張りに期待してます。

posted by 秋野ソラ at 00:03 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2019年08月05日

『小説 天気の子』

7/19に公開した 新海誠 監督の長編アニメーション映画。その原作小説を監督自ら上梓。
上京してきた少年が空を晴れにできる少女と出会い、運命に翻弄される様子を描きます。

https://www.kadokawa.co.jp/product/321903000333/
https://tenkinoko.com/


離島での生活に息苦しさを覚える“穂高”は雨雲から伸びる光の先に未来を求め単身家出。
東京でライター仕事を手伝いどうにか雨風をしのぐ生活を確保した彼は「100%の晴女」
という都市伝説を追う中で“陽菜”と出会う。この邂逅が彼の、世界の運命を変える──。

映画をまず観まして、新しい中にもどこか懐かしい感情を抱かせる作品であると認識した
上でこの小説を読むとセリフ回しや地の文で映像とはまた違った感情や演出が見えてくる。
まさに媒体の違いが魅せる妙、というものを実感できます。小説独自の描写も興味深い。

選択と責任。その顛末を見届けて再び余韻に浸る直後、あとがきで示した監督自身の決意
を心から応援したいと強く思いました。また解説で 野田洋次郎 さんが語ってくださった
あの曲の意味。聴いていて一番印象に残っただけに、より思い入れのある曲になりました。

posted by 秋野ソラ at 00:11 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル