2019年08月16日

『ウィッチクラフトアカデミア 〜ティノと箒と魔女たちの学院〜』

逢空万太 先生が新レーベル「LINE文庫エッジ」から贈る新作は、箒状の道具に跨って空を
飛翔し競い合う魔女に憧れ、その養成学校に進学する少年の切磋琢磨する様子を描きます。
(イラスト:bun150 先生)

http://novel-blog.line.me/archives/17483740.html


少年“ティノ”が憧れる風景。ブルームという箒状の飛行具に乗り風素を推進力に変えて
空を翔る魔女の姿。彼女らが挑む競技「ウィッチクラフト」に参加したいと努力し、単身
「アウティスタ飛箒学院」に進学する彼を待ち受けるのは想定外の少女たちと現実で──。

地元ではちゃんと飛べたはずなのに学院に来てからは上手く飛べない“ティノ”の苦悩を
知ってか知らずか、“マルタ”は彼を下僕扱いしたり、“ウルスラ”は必要以上に世話を
焼いたり。彼にとっては落ち込んでばかりもいられない騒がしい日々が続くのが救いです。

報われない“ティノ”の努力にもどかしさを感じる中、担任から告げられる足切りの宣告。
乗り越えなければならない“グリゼルダ”という壁を、彼女の抱える悲愴な願いと併せて
超えられるか。煽る展開の先に見える“ウルスラ”の怪しさと共に、続きが気になります。

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2019年08月15日

『あなたのことを、嫌いになるから。』

氷高悠 先生が贈る新作は、感情が昂ぶると死に至る病を患い無味乾燥な日々を送る少年が
感情豊かな表情を見せる少女に興味を持たれるところから始まる青春ラブストーリーです。
(イラスト:サコ 先生)

http://lanove.kodansha.co.jp/series/?c=1000020154#bk9784065169704


「感情性自己免疫疾患」罹患者の感情に反応して免疫が感情を排除すべく自己を攻撃する。
医師“燈香”の研究も及ばず、患者である“愛都”は感情など無くていいと思うほど己を
律した生活を送る。そんな彼に同じ図書委員である“恵実”は積極的に話かけてきて──。

そして突然の告白。“愛都”からすれば「好きになったら死ぬ」ワケで、“恵実”が示す
想いが理解できない。そのはずなのにいつしか自分の中にも色々な感情があることを彼女
の言動から思い出す彼は惹かれていく。正に諸刃の剣を予感させる展開で気が許せません。

幼なじみ“春乃”が心配する想いも知らず、疾患のことを知った“恵実”の覚悟も知らず、
ただ感情の赴くままに行動した“愛都”が自分の好きという想いと命にどう結論づけるか。
2人の姿を見て、愛しさの中に切なさがこみ上げてくる。印象深さを胸に残す作品でした。

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2019年08月14日

『はしたない姉妹ですが、躾けてもらえますか? 獣魔導士は服従の首輪にて姉妹と契る』

ツカサ 先生が贈る新作は、人が超常的な力を持つ幻獣に変貌する病により崩壊した日本で
幻獣化した姉妹を救うべく、獣魔導士を目指し彼女たちを調教する少年の物語を綴ります。
(イラスト:小山内 先生)

https://fantasiabunko.jp/product/201907hashitanai/321905000214.html


幼き日に両親を幻獣に喰われた“玖郎”の心を救った柊家の“遊奈”と“利亜”。2人が
幻変症に罹り幻獣として施設に隔離されてから5年、獣魔導士となって彼女たちを使役し
高い地位に上り詰めることで安寧の日々を取り戻そうと、彼は候補生として乗り込む──。

戦略的にも後手に回る“玖郎”を“遊奈”の幻獣が見せる強さで何とか後押しするもまだ
足りず、一方で“利亜”のは未知数と言われるも現状は弱い。そこで「調教」という実に
背徳的な強化策に乗り出す展開にそそられるものを覚えながらも話の軸は実はそこになく。

恥ずかしい思いをしながらも“利亜”の改善策も見い出して、次々と強敵を打破していく
流れに爽快感を味わった所で“アリス”の意味深長な言動、“玖郎”自身の秘密、そして
ラストで示す幻獣になることの意味が心に重しを乗せます。興味深く、続きを見守ります。

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2019年08月13日

『教え子に脅迫されるのは犯罪ですか? 5時間目』

さがら総 先生が贈る年の差四角関係お仕事ラブコメ。第5巻は“天神”が初代担当の企画
を前にして“ヤヤ”の才能、そして自身の作家としての生き様と向き合うことになります。
(イラスト:ももこ 先生)

https://mfbunkoj.jp/product/oshiego-kyohaku/321904000158.html


初代担当との会合の場、箱根。“天神”と“ヤヤ”は意を決して足を運んだが当人は不在。
そこへなぜか“星花”や“冬燕”も登場し、あらぬ誤解が誤解を生む騒乱のスパイラルへ。
更に現担当“志辺里”が倒れているのが見つかりスマホには「犯人はおまえだ」の文字が。

いきなり探偵もののノリを醸し出したかと思えば誰もが思い当たるフシがあると自白の嵐。
“天神”もいつも以上に頭を悩ませる事態はコミカルですが、ダイイングメッセージにも
似たあの文字が意味する所がラノベ業界の闇を象徴するかのようなあの場面に繋がるとは。

今巻はより一段と「才能」について考えさせられる展開で、特にラノベ作家を目指す方は
目を通しておくと価値観を揺さぶられるかも知れません。何も気づかない“星花”に対し
“ヤヤ”の進む道は気になりますし、“天神”は作家人生にどう結論を出すのか注目です。

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2019年08月12日

『精霊幻想記 14.復讐の叙情詩』

北山結莉 先生が贈る異世界転生譚。ドラマCD付き特装版が同時発売となる第14巻は親の仇
“ルシウス”との決着を望むはずの“リオ”が、その感情に対して自問自答していきます。
(イラスト/Riv 先生)

http://hobbyjapan.co.jp/hjbunko/lineup/detail/852.html


5人目の勇者“蓮司”も、奸計でいとも簡単に手駒にしてしまう“レイス”が相変わらず
憎たらしい。そんな彼も“ルシウス”の思惑には気づけず、想定外の状況に出くわします。
“アイシア”に追い立てられて実にいい気味、な状況でも軽くあしらう姿に憎さ百倍です。

そんな思惑に乗せられて森の中に放り出された“クリスティーナ”と“フローラ”。共に
サバイバル経験もなく改めて“リオ”の凄さ、存在の大きさを実感する2人の受難が続く
展開には同情を禁じ得ません。仇敵と戦う彼の足手纏いになる場面など強くそう感じます。

復讐に身を焦がしていた“リオ”に帰る場所があることを明示してくれた女性陣の意図を
しっかりと受け止めて“ルシウス”の悪意と特殊能力に立ち向かうその姿は熱く、苛烈で。
彼の通過点、その裏で「あの人物」が見せる邪な思惑も次巻で叩き折ってほしいものです。

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