2019年08月23日

『フラレた後のファンタジー 2』

マルチューン 先生が贈るフラレた男の英雄譚。第2巻は“ロージャ”の力に目をつけた
聖教会に軟禁され、再会した聖女“ルシャ”の助けを借りて魔導都市への帰還を図ります。
(イラスト:ox 先生)

https://www.kadokawa.co.jp/product/321811000090/
https://kakuyomu.jp/works/1177354054885391346


否応なしに連れてこられた教会で、教皇から「奇跡」を持つものなら使徒になって教会に
尽くせと宣告される“ロージャ”。使徒になれば“シエス”も守れないと突っぱねる彼が
すんでの所で使徒“アドナ”に助けられ、悩める“ルシャ”のことを頼まれるのが話の軸。

教会内で見え隠れする不穏な動き、“ロージャ”に禁忌の話を吹き込む“メロウム”の
怪しい言動、“ソルディグ”からの救いの手。そこへ“ルシャ”が自身の信仰心に迷いを
生じさせている、しかも“ロージャ”がきっかけで。となると彼も選ぶ道を考えるワケで。

敵は始終明らかで、それに対し“アドナ”が“ルシャ”を見守る姿勢ですとか“ロージャ”
の窮地に救いの手を差し伸べる意外な人とか、脇もしっかり固めていて小気味の良い展開。
“ユーリ”も何か曰くがありそうで気になりつつ、彼が彼女らをどう守り抜くか注目です。

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2019年08月22日

『完璧美少女な天才ショタがダダ甘お姉ちゃんと業界仰天のゲームを創りながらゲーム作りの怖いお話を聞かされています!』

竹井10日 先生が贈る新刊は、天涯孤独となった美少年が、突如現れた2人の美少女と共に
ゲーム作りをしていく過程を通じてダダ甘い生活と業界の闇を描いていくお仕事小説です。
(イラスト:CUTEG 先生)

http://lanove.kodansha.co.jp/books/2019/8/#bk9784065155202


岐阜県貴石町に古くから土着する貴石家の血族にもたらされる突出した才能、ギフテッド。
絵に関する才能を持つ“美咲”、文学に関する才能を持つ“咲良”は亡くなった先代当主
が残した愛人の子“蓮”を見た瞬間、保護欲をかき立てられ彼を引き取る決意をする──。

“蓮”も数学の才能を有していて、それを活かしてゲームを自作していた所から姉2人の
能力も活かして規模の大きな制作に挑戦していくサクセスストーリー・・・の中で色々と暗部
を目にする話がちりばめられており考えされられるものが。業界モノとしても興味深い話。

“蓮”の外見が女の子に見えるデザインなのも妄想を膨らませる感じで流石は CUTEG 先生
といったところ。いつものフレーズも含め、先生お得意のダダ甘い姉モノなのは確実です。
存分に楽しめる展開で一巻完結と謳ってはおりますが、伝説の行方を見てみたいものです。

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2019年08月21日

『デュアル・クリード』

「LINE文庫エッジ」から 津田彷徨 先生が贈る新作はファンタジー戦記。異世界の女神に
召喚された少年が王国を救うべく、仲間と共に耳にしたことのある英雄たちと戦います。
(ジョンディー 先生)

http://novel-blog.line.me/archives/17940644.html


プロクシマ大陸で窮地を迎えるクロノス王国を救うため、啓示を与える女神“ディオネ”。
対する“亮”は異世界に呼ばれてもマイペースな様子で、不敬な態度だと彼女は憤慨する。
まず現状を把握しようとする彼の前にもう一人の召喚者、白衣の女性“皐月”が現れ──。

冒頭、戦場で助さんこと“スパルタクス”、格さんこと“呂布”を従える“水戸光圀”が
登場したかと思えば、歴史上の人物が時代を超えて続々と召喚されている世界だと分かる。
まさに歴史の「if」を実現した夢の戦記。人物を知っていればいるほど駆け引きが面白い。

“亮”が誰を差すのかは推して知るべし、ということで彼が使う異世界の能力(クリード)
がどう使われて威力を発揮するか、そこで相対する敵とあわせてご注目。これは熱かった。
奇しくも艶姿を見せてしまったりする“皐月”の位置づけが気になります。続きが楽しみ。

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2019年08月20日

『ちょっぴり年上でも彼女にしてくれますか?4 好きの対義語は大好き』

望公太 先生が贈る純愛・甘々ラブコメディ。第4巻は夏休みを利用して“薫”が“姫”と
交際を順調に進める中、周囲の環境が、そして2人の関係が思いがけない展開を迎えます。
(イラスト:ななせめるち 先生)

http://www.sbcr.jp/products/4815601997.html
https://www.ganganonline.com/contents/choppiri/


JKコスでいたたまれない姿を披露してしまう“姫”。相変わらずな彼女を前に大人な対応を
示す“薫”を見て自分に母性がないと自覚するその様子は申し訳ないが笑いがこみ上げます。
いや、浴衣姿とか艶っぽいですし、あの顛末は母性に溢れまくっていてごちそうさまでした。

そんな二人の交際を応援してくれる“妃”が抱く恋の悩みが、今巻のもう一つのテーマとも
言えましょう。まさにオトナのお付き合いを前にどう反応するか。“姫”の反応も、“薫”
のコメントも、その他あれこれ一理あるだけに考えさせられます。結局は当人次第ですけど。

更に本筋から離れたところで進行する“浦野”と“咲”の距離感の変化にも注目したい所で
やりとりの一つ一つに思わずニヨニヨしてしまいます。今巻で“妃”があることに気付くの
ですがまさかあんなシチュエーションでくるとは思いも寄らず。これは続きが見逃せません。

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2019年08月19日

『りゅうおうのおしごと!11』

白鳥士郎 先生が贈る熱血将棋コメディ。ドラマCD付き限定特装版が同時発売となる第11巻
は心折れる“銀子”を“八一”が救えるか、2人の将棋のルーツを振り返りつつ問います。
(イラスト:しらび 先生)

http://www.sbcr.jp/products/4815603786.html


ずっと負け続ける苦しさを味わい、死んだほうがまし、と自分の弱さを吐露する“銀子”。
そんな彼女を見て甘えるな、と「絶対に死ねる場所」へ連れ出す“八一”の真意は如何に。
読み終えてまず 白鳥 先生に感謝せざるを得ない2人の顛末には思わず安堵したものです。

幼少の折、“八一”から見た姉弟子の印象が年を経るごとにどう変わっていくか。対して
“銀子”から見た弟弟子に対して抱く存在感の移り変わっていくか。そこに2人の強さと
弱さの原点があることが分かるエピソードは必見と言えましょう。深く印象に残ります。

聡い“あい”にはごめんなさいをしつつ、“八一”が示した封じ手をもとに自分の弱さと
向き合い、追い詰め、そして将棋星人の住む星へと辿り着く“銀子”の強さにしびれます。
感想戦がまた色々あったぶんニヤリとするやりとりの数々で。次巻も待ち遠しいものです。

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2019年08月16日

『ウィッチクラフトアカデミア 〜ティノと箒と魔女たちの学院〜』

逢空万太 先生が新レーベル「LINE文庫エッジ」から贈る新作は、箒状の道具に跨って空を
飛翔し競い合う魔女に憧れ、その養成学校に進学する少年の切磋琢磨する様子を描きます。
(イラスト:bun150 先生)

http://novel-blog.line.me/archives/17483740.html


少年“ティノ”が憧れる風景。ブルームという箒状の飛行具に乗り風素を推進力に変えて
空を翔る魔女の姿。彼女らが挑む競技「ウィッチクラフト」に参加したいと努力し、単身
「アウティスタ飛箒学院」に進学する彼を待ち受けるのは想定外の少女たちと現実で──。

地元ではちゃんと飛べたはずなのに学院に来てからは上手く飛べない“ティノ”の苦悩を
知ってか知らずか、“マルタ”は彼を下僕扱いしたり、“ウルスラ”は必要以上に世話を
焼いたり。彼にとっては落ち込んでばかりもいられない騒がしい日々が続くのが救いです。

報われない“ティノ”の努力にもどかしさを感じる中、担任から告げられる足切りの宣告。
乗り越えなければならない“グリゼルダ”という壁を、彼女の抱える悲愴な願いと併せて
超えられるか。煽る展開の先に見える“ウルスラ”の怪しさと共に、続きが気になります。

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2019年08月15日

『あなたのことを、嫌いになるから。』

氷高悠 先生が贈る新作は、感情が昂ぶると死に至る病を患い無味乾燥な日々を送る少年が
感情豊かな表情を見せる少女に興味を持たれるところから始まる青春ラブストーリーです。
(イラスト:サコ 先生)

http://lanove.kodansha.co.jp/series/?c=1000020154#bk9784065169704


「感情性自己免疫疾患」罹患者の感情に反応して免疫が感情を排除すべく自己を攻撃する。
医師“燈香”の研究も及ばず、患者である“愛都”は感情など無くていいと思うほど己を
律した生活を送る。そんな彼に同じ図書委員である“恵実”は積極的に話かけてきて──。

そして突然の告白。“愛都”からすれば「好きになったら死ぬ」ワケで、“恵実”が示す
想いが理解できない。そのはずなのにいつしか自分の中にも色々な感情があることを彼女
の言動から思い出す彼は惹かれていく。正に諸刃の剣を予感させる展開で気が許せません。

幼なじみ“春乃”が心配する想いも知らず、疾患のことを知った“恵実”の覚悟も知らず、
ただ感情の赴くままに行動した“愛都”が自分の好きという想いと命にどう結論づけるか。
2人の姿を見て、愛しさの中に切なさがこみ上げてくる。印象深さを胸に残す作品でした。

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2019年08月14日

『はしたない姉妹ですが、躾けてもらえますか? 獣魔導士は服従の首輪にて姉妹と契る』

ツカサ 先生が贈る新作は、人が超常的な力を持つ幻獣に変貌する病により崩壊した日本で
幻獣化した姉妹を救うべく、獣魔導士を目指し彼女たちを調教する少年の物語を綴ります。
(イラスト:小山内 先生)

https://fantasiabunko.jp/product/201907hashitanai/321905000214.html


幼き日に両親を幻獣に喰われた“玖郎”の心を救った柊家の“遊奈”と“利亜”。2人が
幻変症に罹り幻獣として施設に隔離されてから5年、獣魔導士となって彼女たちを使役し
高い地位に上り詰めることで安寧の日々を取り戻そうと、彼は候補生として乗り込む──。

戦略的にも後手に回る“玖郎”を“遊奈”の幻獣が見せる強さで何とか後押しするもまだ
足りず、一方で“利亜”のは未知数と言われるも現状は弱い。そこで「調教」という実に
背徳的な強化策に乗り出す展開にそそられるものを覚えながらも話の軸は実はそこになく。

恥ずかしい思いをしながらも“利亜”の改善策も見い出して、次々と強敵を打破していく
流れに爽快感を味わった所で“アリス”の意味深長な言動、“玖郎”自身の秘密、そして
ラストで示す幻獣になることの意味が心に重しを乗せます。興味深く、続きを見守ります。

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2019年08月13日

『教え子に脅迫されるのは犯罪ですか? 5時間目』

さがら総 先生が贈る年の差四角関係お仕事ラブコメ。第5巻は“天神”が初代担当の企画
を前にして“ヤヤ”の才能、そして自身の作家としての生き様と向き合うことになります。
(イラスト:ももこ 先生)

https://mfbunkoj.jp/product/oshiego-kyohaku/321904000158.html


初代担当との会合の場、箱根。“天神”と“ヤヤ”は意を決して足を運んだが当人は不在。
そこへなぜか“星花”や“冬燕”も登場し、あらぬ誤解が誤解を生む騒乱のスパイラルへ。
更に現担当“志辺里”が倒れているのが見つかりスマホには「犯人はおまえだ」の文字が。

いきなり探偵もののノリを醸し出したかと思えば誰もが思い当たるフシがあると自白の嵐。
“天神”もいつも以上に頭を悩ませる事態はコミカルですが、ダイイングメッセージにも
似たあの文字が意味する所がラノベ業界の闇を象徴するかのようなあの場面に繋がるとは。

今巻はより一段と「才能」について考えさせられる展開で、特にラノベ作家を目指す方は
目を通しておくと価値観を揺さぶられるかも知れません。何も気づかない“星花”に対し
“ヤヤ”の進む道は気になりますし、“天神”は作家人生にどう結論を出すのか注目です。

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2019年08月12日

『精霊幻想記 14.復讐の叙情詩』

北山結莉 先生が贈る異世界転生譚。ドラマCD付き特装版が同時発売となる第14巻は親の仇
“ルシウス”との決着を望むはずの“リオ”が、その感情に対して自問自答していきます。
(イラスト/Riv 先生)

http://hobbyjapan.co.jp/hjbunko/lineup/detail/852.html


5人目の勇者“蓮司”も、奸計でいとも簡単に手駒にしてしまう“レイス”が相変わらず
憎たらしい。そんな彼も“ルシウス”の思惑には気づけず、想定外の状況に出くわします。
“アイシア”に追い立てられて実にいい気味、な状況でも軽くあしらう姿に憎さ百倍です。

そんな思惑に乗せられて森の中に放り出された“クリスティーナ”と“フローラ”。共に
サバイバル経験もなく改めて“リオ”の凄さ、存在の大きさを実感する2人の受難が続く
展開には同情を禁じ得ません。仇敵と戦う彼の足手纏いになる場面など強くそう感じます。

復讐に身を焦がしていた“リオ”に帰る場所があることを明示してくれた女性陣の意図を
しっかりと受け止めて“ルシウス”の悪意と特殊能力に立ち向かうその姿は熱く、苛烈で。
彼の通過点、その裏で「あの人物」が見せる邪な思惑も次巻で叩き折ってほしいものです。

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2019年08月09日

『異世界薬局 7』

高山理図 先生が贈る薬局ファンタジー。第7巻は悪霊の猛威に晒される帝都を救うために
奔走する過程で“ファルマ”が自身の立ち位置と現代薬学と神術との関係性を見直します。
(イラスト:keepout 先生)

http://mfbooks.jp/7221/
https://ncode.syosetu.com/n8541cr/
https://comic-walker.com/contents/detail/KDCW_MF00000031010000_68/


“エレン”の視点、ド・メディシス家に伝わる禁呪、そして“ナタリー”への対処方法。
これまで自分の知識、能力を用いて物事に対応してきた印象の強い“ファルマ”が協業
ですとか、自分にない力も活用してく道を模索していく転換点となった流れを感じます。

“女帝”の決意を受けて、ついに人ならざる身として生きることを内外に示したことも
“ファルマ”にとって大きな一歩となった巻かと思います。それでも今までと変わらず
接してくれる家族や「異世界薬局」の関係者が見せる理解には心温まるものがあります。

“ファルマ”が“ナタリー”に粋な計らいを見せたり、“エレン”とパートナーと深い
繋がりを窺わせたりする場面がまた微笑ましい。“ロッテ”は切ない顛末でしたけど。
悪霊に対する根本的な解決策を求めて海を渡る彼は道を切り開けるか、続きも注目です。

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2019年08月08日

『夏の終わりに君が死ねば完璧だったから』

斜線堂有紀 先生が贈る新作は、身体が金塊となる致死の奇病に蝕まれる女子大生と出会う
少年が次第に心通わせる機微の変化と手にするであろう大金を前に生き様を惑わされます。
(イラスト:くっか 先生)

https://mwbunko.com/product/321902000590.html


金塊病専用のサナトリウムで“弥子”から、彼女自身を相続する話を提示された“日向”。
その額、三億円。ただし条件として「チェッカー」というゲームで勝つことを求められる。
ゲームに懸ける想いや相続させる理由も分からぬまま、彼は彼女と盤面に向かい合う──。

迫る死を前にしても臆することなく接してくれる“弥子”も、不条理にあえぐ姿を見せる
ことがある。それに気づいた頃には“日向”はもう恋に落ちていて、どうしようもなくて。
そこへ夢の無い背景や遺言のことがマスコミに暴露され、あらぬ疑惑もかけられて散々で。

“弥子”が求める「正解」の意味や“日向”が表紙で示した過ちの切なさ。それに対して
“江美子”や“北上”の存在と見せる言動のやるせなさ。“弥子”が遺してくれたものの
価値を手に、そして忘れず生きていく“日向”の未来が前向きであれ、と祈るばかりです。

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2019年08月07日

『モンスター娘のお医者さん6』

折口良乃 先生が贈るモン娘診察奮闘記。第6巻は“グレン”求婚の噂に浮き立つ女性陣を
前に水路街を襲う陰謀を知り、一人身を引く“サーフェ”に対し彼はある決断を下します。
(イラスト:Zトン 先生)

http://dash.shueisha.co.jp/bookDetail/index/978-4-08-631321-6


様々な年齢層から求愛の宣言を受ける“グレン”が「今は仕事一筋」と頑なに拒む姿勢。
それが“サーフェ”失踪に繋がる要因の一つになろうとは。身から出た錆、とも言える
事態を前にしっかりと自分の気持ちと向き合い、行動でそれを示した彼に心より敬意を。

“サーフェ”の決意もさることながら彼女の想いを汲み取った“ティサリア”の振舞い
もまた印象深いものがありました。“スカディ”の抜け目ないというか虎視眈々と機を
見定める姿勢は注目していきたい。他の女性陣も例のアレが出来たのでどうなることか。

今回の騒動で噂の渦中にいる“ソーエン”が乗り込んでくる、その意図がまた偽悪的で
憎たらしいけど憎めない。イイ味だしてます。騒動も丸く収まって、話としても大団円
で幕を閉じる・・・ワケではなく続いていくようで何よりです。次巻も楽しみにしてます。

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2019年08月06日

『異世界帰りの俺(チートスキル保持)、ジャンル違いな超常バトルに巻き込まれたけれどワンパンで片付けて無事青春をおくりたい。』

真代屋秀晃 先生が贈る新作。異世界で英雄として偉業を成し遂げて日本へと戻ってきた
少年が日常ラブコメ的青春を謳歌すべく超常者の少女たちの悩みを腕一本で振り払います。
(イラスト:葉山えいし 先生)

https://dengekibunko.jp/product/321811001099.html


教室でもひとり退屈な日々を過ごしていた幼馴染“武流”がクラス委員に立候補する姿を
見て“奈々子”が驚くのも無理はない。彼女の知らない間に彼は異世界に転移しスキルと
青春を謳歌する想いを胸に戻ってきたのである。そんな彼を非日常が邪魔してくるが──。

異世界転生者の敵じゃない、と嘯き様々なトラブルを解決していく顛末から“紗姫”には
異能力者、“葵”にはサイボーグ諜報員、そして“マリー”には凄腕の退魔師と誤解され
何とも面倒くさくて面白い人間関係を築いていく“武流”が実にうらやまけしからん訳で。

話の展開を単調にさせないため、ちょっとしたフェイクが入っていたりする点も興味深く
エピローグで見せた「彼女」の笑顔と「あの人」の独白が良い引きになってます。続刊で
どう料理してくるか先生のお手並み拝見、という所。“マリー”の頑張りに期待してます。

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2019年08月05日

『小説 天気の子』

7/19に公開した 新海誠 監督の長編アニメーション映画。その原作小説を監督自ら上梓。
上京してきた少年が空を晴れにできる少女と出会い、運命に翻弄される様子を描きます。

https://www.kadokawa.co.jp/product/321903000333/
https://tenkinoko.com/


離島での生活に息苦しさを覚える“穂高”は雨雲から伸びる光の先に未来を求め単身家出。
東京でライター仕事を手伝いどうにか雨風をしのぐ生活を確保した彼は「100%の晴女」
という都市伝説を追う中で“陽菜”と出会う。この邂逅が彼の、世界の運命を変える──。

映画をまず観まして、新しい中にもどこか懐かしい感情を抱かせる作品であると認識した
上でこの小説を読むとセリフ回しや地の文で映像とはまた違った感情や演出が見えてくる。
まさに媒体の違いが魅せる妙、というものを実感できます。小説独自の描写も興味深い。

選択と責任。その顛末を見届けて再び余韻に浸る直後、あとがきで示した監督自身の決意
を心から応援したいと強く思いました。また解説で 野田洋次郎 さんが語ってくださった
あの曲の意味。聴いていて一番印象に残っただけに、より思い入れのある曲になりました。

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2019年08月02日

『マージナルナイト(1)』

樋上いたる 先生が企画、田中ロミオ 先生が執筆する「コンプティーク」不定期連載中の
サバイバルホラーノベル。突如崩壊する日常で生死の境を彷徨う少年少女たちを描きます。
(イラスト:樋上いたる 先生)

https://www.kadokawa.co.jp/product/321810000588/


心霊スポットの動画配信チャンネルで村の大穴が紹介され、興奮する“千紗”と“秀人”。
後日、急遽学校が休校になり、例の大穴に悪戯を仕掛けた者が原因だという話を耳にする。
「ウロ信仰」という村独自の民間信仰とあの動画との関連を2人は調べてみるのだが──。

非日常へと切り替わる契機が「地霊に魅入られた村」では動画配信、「廃校ゲーム」では
アプリゲームと今どきなのが特徴の本作。徐々に狂気を帯びていく展開、かつ救われない
結末を読みやすいテキストで誘導していくため、普段本を読まない方にもお薦めできそう。

いずれの逸話においても、刹那的な享楽を味わうために一歩足を踏み外す人の業が窺えて
考えさせられます。また逸話に寄ってくるかのように現れる“加嶋祈子”の存在が、ある
都市伝説を彷彿とさせるのも意味深長で、今後どう物語に関わってくるのか気になります。

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2019年08月01日

『夏へのトンネル、さよならの出口』

八目迷 先生の第13回小学館ライトノベル大賞・ガガガ賞&審査員特別賞」受賞作。妹を
失った少年が目にしたある都市伝説を境に過去を取り戻そうとする夏を描く青春小説です。
(イラスト:くっか 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094518023


入ったら欲しいものが手に入る代償として年を取る「ウラシマトンネル」という都市伝説。
眉唾な話を耳にした“カオル”が思い浮かべるのはあの夏の日、目の前で死なせた妹の姿。
空虚な日々を過ごす彼の生活は、転校生の少女と例のトンネルとの出会いで一変する──。

“あんず”の言動が見せる意外性に驚かされつつ、“カオル”が共にトンネルの先で何を
望むのか。それは「代償」に見合うものなのかを問いかけていく。奇しくもそれは未来に
夢があるかどうかの違いにも繋がって、やがて決定的な道の分かれ目を迎えるのが切ない。

トンネルの先で“カオル”が知る都市伝説の真実、更に諭される胸に燻ぶる未来への残滓。
その一方で“あんず”は願っていた特別な存在になることができたのか。不思議な出来事
を経験した果てに迎える奇跡の大団円。来たる夏の2人に幸あれと願わずにいられません。

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