蝉川夏哉 先生が贈る大人気異世界グルメ小説。第6巻は冬の古都を突如訪れる黒髪の美女、
“アルヌ”の婚約者、そして略奪婚の風習を巡る物語と「のぶ」に纏わる逸話を描きます。
(イラスト:転 先生)
【 https://tkj.jp/book/?cd=TD295231 】
「のぶ」の料理が古都の商談成功に寄与したり、思わぬ出会いに貢献したりと人情味のある
短編、料理の数々に心が温まります。“エーファ”の三番目の兄が来て年相応の顏を見たり、
熱に浮かされる“しのぶ”の代役として「彼女」が奮闘する姿を眺めたりとか、イイですね。
そんな中でも今巻で一番好きなエピソードが、ハンスが大豆を使わずに豆腐を作るあの逸話。
豆選びに悩みに悩んでルフト豆を使った豆腐の制作過程で「あの女性」が出てくるワケです。
「のぶ」を見守る彼女の所作が好きでして。こうして機会があれば登場してくれると嬉しい。
そして「銀の虹の姫君」を巡る連続短編。略奪婚、という苛烈な雰囲気をもつ結婚の手段を
まさか好感を持てる場面演出に使ってくるとは。今巻は挿絵の使い方も印象深いものが多い。
顛末を経て「ゆきつな」時代の自分と向き合えた“信之”がどんな挑戦を見せるか注目です。