2019年07月11日

『六畳間の侵略者!? 32』

健速 先生が贈る人気シリーズ。通算34冊目は六畳間の面々が2年という時を経て迎える
部活対抗障害物マラソンを舞台にフォルトーゼの技術を巡り暗躍する者たちと戦います。
(イラスト/ポコ 先生)

http://hobbyjapan.co.jp/hjbunko/lineup/detail/846.html


物語の中で2年という時が経過した、という事実に改めて驚かされると共に、掛けた時間
によって“孝太郎”を軸とする六畳間の面々がここまで心境を変えることができたのかと
思うと感慨深い気持ちがあふれます。彼女たちの何気ないやり取りの数々が実に愛おしい。

“孝太郎”らが気持ちを新たに体育祭に臨む中でフォルトーゼの技術を盗もうとする輩に
気付いた彼らが目をつけた“ブラウン”博士の不可解な行動。そこに想定外の悪意を見た
彼らが問題解決の難易度を感じた時点で今後も厄介になりそうな敵であることが窺えます。

話の一端を担う“エミリー”を救うべく“賢治”が一役買って出ることで青騎士の物語に
少なからず彼や妹の“琴理”も関わっていくのだろう、と予感させる展開でした。今回も
“ゆりか”には同情しかないですね。新たな敵にどう立ち向かうか、次巻も楽しみです。

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2019年07月10日

『ネクロマンサー少女1』

天乃聖樹 先生の「小説家になろう」投稿作が書籍化。魔族との戦いで勇者に裏切られ命を
落とした親友を救うべくネクロマンサーの少女が秘術で時を遡り、冒険譚をやり直します。
(イラスト : 手島nari。先生)

https://herobunko.com/books/hero80/10074/
https://ncode.syosetu.com/n1424ez/


魔族の盟主“業火の王”を前に歯が立たない救世の英雄“ブリギス”は力ある精霊術師の
少女“ローズ”を囮に逃走を図る。彼女を救えなかった“ネネ”は過去へ戻り英雄たちに
先んじることで彼女が力に目覚めるのを阻止し、結果として命を救うことを決意する──。

死者を操るネクロマンサー“ネネ”が英雄の血筋もなく、ろくでなしの“ブリギス”らを
どう出し抜いていくのか。2度目の冒険という利点を活かしそれを成し遂げていく彼女の
活躍が見せどころの一つ。“フラン”がいいアシスト役を果たしてくれて話の動きも良い。

そして助けたいがゆえに親友と距離を置く“ネネ”と、彼女を知らないはずなのになぜか
気になって仕方がない“ローズ”。2人の切なくて頑なで、それ故に心温まるやりとりに
目を惹かれていく自分がいました。“ネネ”は親友を救えるか、続きが気になる物語です。

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2019年07月09日

『学園騎士のレベルアップ! レベル1000超えの転生者、落ちこぼれクラスに入学。そして、』

三上康明 先生の「小説家になろう」投稿作が書籍化。前世の記憶と能力を活かし未曽有の
高レベルを有する少年が、貴族偏重の環境で底辺からの改革に挑む学園ファンタジーです。
(イラスト:100円ロッカー 先生)

http://dash.shueisha.co.jp/release/#978-4-08-631316-2
https://ncode.syosetu.com/n7942ff/


王立学園騎士養成校に首席で入学しクラス分けを前に一人ほくそ笑む“ソーマ”。彼には
スキルレベルを自分で確認できる能力があり、効率よく合計技能レベルを1024まで上げた
実績があるからだ。どこに配属されるか胸を躍らせつつ、彼は判定機に手を添えるが──。

1024という数字に「なるほど」とSE的な感心を覚えつつ、1024レベルであることも信じて
もらえず、落ちこぼれたちが集う黒鋼クラスでくすぶる・・・なんてこともなく、学園の闇
を前にしてもクラスを巻き込んで落第者を出すことなく立ち向かっていく展開が爽快です。

とりあえず“リット”が男のルームメイトとしてどこまで上手く立ち回れるかが興味津々。
あと貴族連中の態度が鼻につく中で“キール”が出来た人間すぎて先々心折れないか心配。
高いレベルを活かしてどこまで躍進できるか、“ソーマ”の将来と共に続きに期待します。

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2019年07月08日

『響け! ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部、決意の最終楽章 後編』

武田綾乃 先生が贈る青春エンタメ小説。物語の最後を飾る後編はコンクールに向けた熱量
の違いからチームワークが揺らぐ北宇治高校吹奏楽部を“久美子”はどう導くか注目です。
(イラスト:アサダニッキ 先生)

https://tkj.jp/book/?cd=TD294012


ソリのオーディション、その結果を受けて動揺が走る部員たち。“滝”の決めたことだし
実力重視の方針からしたら当然と嘯く“麗奈”。自分の想いと部長としての立場に揺れる
“久美子”がそれでも吹奏楽部を引っ張っていこうとする姿勢には痛々しさすら感じます。

未だ進路も決められない“久美子”が部の方針を巡って“麗奈”からきつい一言を浴びる
頃にはもう駄目かと思いました。幹部ノートのやり取りも見ていて切なくて。その状況を
救ってくれた魔法のチケット、人の縁というか仲間との絆に色々と救われる思いでした。

部活動を通じて全力で音楽と向き合ってきた「北宇治高校吹奏楽部」。“久美子”たちの
3年間の集大成がどういう結末を辿ったかは推して知るべし、ということで彼女の進路も
決まって胸がすく気がしました。次の短編集では彼女以外の将来像も見てみたいものです。

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2019年07月05日

『異世界居酒屋「のぶ」 六杯目』

蝉川夏哉 先生が贈る大人気異世界グルメ小説。第6巻は冬の古都を突如訪れる黒髪の美女、
“アルヌ”の婚約者、そして略奪婚の風習を巡る物語と「のぶ」に纏わる逸話を描きます。
(イラスト:転 先生)

https://tkj.jp/book/?cd=TD295231


「のぶ」の料理が古都の商談成功に寄与したり、思わぬ出会いに貢献したりと人情味のある
短編、料理の数々に心が温まります。“エーファ”の三番目の兄が来て年相応の顏を見たり、
熱に浮かされる“しのぶ”の代役として「彼女」が奮闘する姿を眺めたりとか、イイですね。

そんな中でも今巻で一番好きなエピソードが、ハンスが大豆を使わずに豆腐を作るあの逸話。
豆選びに悩みに悩んでルフト豆を使った豆腐の制作過程で「あの女性」が出てくるワケです。
「のぶ」を見守る彼女の所作が好きでして。こうして機会があれば登場してくれると嬉しい。

そして「銀の虹の姫君」を巡る連続短編。略奪婚、という苛烈な雰囲気をもつ結婚の手段を
まさか好感を持てる場面演出に使ってくるとは。今巻は挿絵の使い方も印象深いものが多い。
顛末を経て「ゆきつな」時代の自分と向き合えた“信之”がどんな挑戦を見せるか注目です。

posted by 秋野ソラ at 00:53 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル