2019年07月31日

『出会ってひと突きで絶頂除霊!5』

赤城大空 先生が贈るアツくて淫らな退魔活劇。第5巻は本免許を取得した“晴久”たちが
ヤル気を滾らせるサキュバス王の性遺物出現を知らせる占いが更なる霊能犯罪を招きます。
(イラスト:魔太郎 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094518016


口絵にて、似たような構図で別々の女の子にいろいろとやらかす“晴久”の羨ましい行動。
まさにラッキースケベそのものという場面を引き起こしたのが、表紙を飾る“槐”という
少女の気まぐれによるもの。彼女もかなりの宿命を背負った存在で同情の念が絶えません。

“晴久”が手助けした少女“槐”を狙う「鏡の魔女」こと“鏡巳”が強く示す妬みの感情。
新たな霊能犯罪者が繰り出す秘匿呪具「アンチ・マジックミラー号」がまた規格外すぎて、
その上にドッペル軍団が暴露するどエロい本音の数々がセリフ付きで情欲を掻き立てます。

「童戸家」の立ち位置、“手鞠”の不調、そして“槐”の決意。“ミホト”の力を借りて
“晴久”が“鏡巳”に立ち向かう姿は相変わらず熱いものがあります。“槐”は救われる
ようで一安心・・・とは安易に進ませない悪意に彼は打ち勝てるか、続きが気になる所です。

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2019年07月30日

『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか外伝 ソード・オラトリア12』

本編のTVアニメ第二期が放映中な 大森藤ノ 先生の大人気作品「ダンまち」のスピンオフ。
第12巻は「都市の破壊者」の陰謀に立ち向かう者たちの覚悟と死闘、その果てを描きます。
(イラスト:はいむらきよたか 先生)

http://www.sbcr.jp/products/4815602642.html
http://danmachi.com/danmachi2/


“フィルヴィス”を失い意気消沈する“レフィーヤ”が痛々しい。泣きっ面に蜂でしたし。
そんな中でも“ティオネ”と“レイ”が和解する場面や“ベル”が思わぬ助け船になる等
喜ばしい状況もあり、迷宮攻略へと意気を上げ直していく冒険者たちが見せる表情が熱い。

その裏で“ヘルメス”が、そして“ロキ”が「犯神」を問い詰めていく思考の読み合いが
もう壮絶で、そして斜め上をいく犯神の真の狙いと向かっていく容赦の無さが凶悪すぎる。
冒険者たちをここまで過酷な最終戦に挑ませる 大森 先生の鬼畜ぶりに打ち震えるばかり。

“アイズ”を主軸にした物語かと思えば、こんなにも幅広い人間ドラマを繰り広げてきて
そこにいつしか“ベル”や“ヘスティア”が鍵となる役割を果たすなど、紙幅を活かした
最後の最後まで手に汗握る展開に魅せられました。新たな外伝の流れも期待しております。

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2019年07月29日

『処刑少女の生きる道(バージンロード) ―そして、彼女は甦る―』

佐藤真登 先生の「第11回GA文庫大賞・大賞」受賞作。異世界に転移してくる日本人を殺す
処刑人が出会った不死身の少女。彼女の命運を奪うための旅路に隠された陰謀を描きます。
(イラスト:ニリツ 先生)

http://www.sbcr.jp/products/4815601188.html


異世界に転移してきた“ミツキ”は召喚者に不要と追い出され神官“メノウ”に拾われる。
能無しと言われた彼は「迷い人」として導力なる力を使えるはず、と彼女に諭され見事に
開眼を果たす。喜ぶ彼のこめかみに突如刺さる短剣、掴むその手は彼女のものだった──。

“ミツキ”とは別にもう一人召喚された“アカリ”の始末に臨む“メノウ”が表裏の顏を
使い分けつつ追い詰めていく思惑と、“メノウ”に信頼を寄せる“アカリ”とのその差異、
そこに加えて“アカリ”自身も知る由もないもう一つの感情が絡み合う展開が実に面白い。

“メノウ”を支える“モモ”の一方的な愛や、彼女たちの旅路に絡んでくる世直し王女の
“アーシュナ”と女性陣が活躍する配置、異世界転移へのカウンター、新たな流れを予感
させる作風に期待が高まります。陰謀の使われ方も見事で、先々が楽しみなシリーズです。

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2019年07月26日

『レイジングループ REI-JIN-G-LU-P 4 蠱毒の宴』

アドベンチャーゲーム「レイジングループ」のシナリオライター、mphibian 先生が自ら
小説版の執筆に臨む本作。日向夏 先生の解説を受け、更に物語が動く第4巻が登場です。
(Illustration/影由 先生)

https://www.seikaisha.co.jp/information/2019/06/27-post-rl4.html


「おおかみを全滅させる」。“陽明”がそう公言しなければならないほど事態が急速に
動き始めた宴。それぞれが役割を明かすタイミング、真偽の審議、前回と駆け引きする
相手も異なり死に戻ることもありますが、探偵が如く彼が真相に迫っていく展開が熱い。

命を助けられた“李花子”から明かされた秘め事を受け止め、かつて愛した“千枝実”
からの想いも傷つけ、ねつ造を重ねて見事に約束を果たした“陽明”。ハッピーエンド
を迎えた彼を祝おうとした直後に待つ惨劇は見通しの甘さを見せつけられる思いでした。

宴の勝利が死に戻りを終わらせる条件ではない。振り出しに戻る謎に対して“陽明”が
次に着目した物語の分岐点に立つ彼女に放った「安全装置、解除」の一言と挿絵は爆笑。
直後に話が急転して目にする「かみさま」と新たな役割に彼がどう立ち回るか注目です。

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2019年07月25日

『逢う日、花咲く。』

青海野灰 先生の「第25回電撃小説大賞・選考委員奨励賞」受賞作。心臓移植手術を受けた
少年が見始めるようになったドナーの少女の夢と淡い想いの行方を描く青春恋愛小説です。
(イラスト/ふすい 先生)

https://mwbunko.com/product/321901000084.html


記憶転移。臓器を移植された患者がドナーの記憶や知識、嗜好等を受け継ぐとされる現象。
知らない少女の夢を見る“八月朔日”は科学的根拠のないこの現象を身をもって体験する。
後に自ら命を絶った彼女、“葵花”の夢に彼も良く知る「ある人物」が登場してきて──。

“葵花”の記憶を追体験する“八月朔日”と同様に、実は“葵花”も彼のことを何となく
認識できている、そして互いに淡い恋心を抱いている、という興味深い設定。両者の視点
を織り交ぜながら“葵花”の事の真相に迫っていく彼と彼女の心のふれあいに惹かれます。

移植された臓器をきっかけとして“葵花”の人生に“八月朔日”はどこまで干渉できるか。
好きな人のためにできることを為した彼の生き様は思いがけない奇跡を呼ぶ展開は思わず
胸を熱くさせるものがあります。万葉の一首がもたらす希望をぜひ感じ取ってみて下さい。

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