2019年06月28日

『ストライク・ザ・ブラッド20 再会の吸血姫』

三雲岳斗 先生が贈る大人気学園アクションファンタジー。第20巻は絃神島の領主戦争を
収束させる鍵となる“アヴローラ”の来訪を受けて“古城”が一つの結論を導き出します。
(イラスト:マニャ子 先生)

https://dengekibunko.jp/product/stb/321812000879.html


“アヴローラ”を連れだした人物の真意も掴めぬまま“古城”の元へと急ぐ彼女。それが
「焔光の宴」と呼ばれる大災害を引き起こすとも知らず、“吸血王”の思惑にしたがって
真祖たちや彼女を護る護衛陣、そして“古城”たちも振り回されていくのがもどかしい。

抑えきれない“古城”の吸血衝動、こらえきれない“雪菜”の涙。全ては“アヴローラ”
という存在を生かすか殺すか、究極の選択肢を求められてしまったが故の葛藤。領主戦争
を仕掛けた“吸血王”の意図もようやく見えたところでそっちも色々あるのが複雑な展開。

“古城”を巡る恋愛模様もいよいよ泥沼な感じで見ている分には実に滑稽な場面で息抜き
もさせてもらいつつ、彼が出した結論は至ってシンプル。しかし、絃神島を巡る争いには
意外すぎる結末で「オレのケンカ」をどう繰り広げていくのか気になって仕方がないです。

posted by 秋野ソラ at 00:16 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

『千歳くんはラムネ瓶のなか』

裕夢 先生の「第13回小学館ライトノベル大賞・優秀賞受賞」受賞作。スクールカーストの
トップに位置する少年が、不登校の生徒を復学させるまでの顛末を描く青春ラブコメです。
(イラスト:raemz 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094517965


高校2年生となった“朔”はクラスの“夕湖”や“優空”と夫婦妾漫才を繰り広げている
と揶揄されつつ楽しいリア充生活を送る・・・はずが担任から不登校生徒の話を切り出され
「なんでもできるみんなのスーパーヒーロー」なら解決できる、とけしかけられるが──。

“朔”が“健太”の家を訪れても頑なな態度を取られ「リア充は糞」とまで言われる始末。
しかしそこに解決の糸口を見た“朔”があの手この手で“健太”を連れ出し、陰キャ脱却
に向けて一肌脱ぐ姿勢は好感が持てます。リア充という存在についても考えさせられます。

とは言え期限付きで支援する“朔”のドライな態度も目に付く中、彼が“健太”に告げた
「自分が描きたい物語の責任は自分でもて」という言葉をどう受け止めてくれたか。その
結末がまた思春期真っ只中で実に熱い。こんな平和な日々が送れるのが羨ましい限りです。

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2019年06月26日

『モンスター娘ハンター 〜すべてのモン娘はぼくの嫁!〜』

おかえりなさい、ということで 折口良乃 先生が「電撃文庫」から贈る新作は、魔導国の
ハンターが異種族の女性たちに求婚しまくる顛末を描くモン娘ハーレムファンタジーです。
(イラスト:W18 先生)

https://dengekibunko.jp/product/321903000171.html


魔導ギルドに所属し異種族のトラブル解決にあたるハンター“ユク”は依頼をこなす傍ら
異種族の結婚相手を求め旅する生活を続ける。彼の従者でメリジューヌ族の“メリー”も
呆れるほどの異種族好きである彼はオーク族に攫われた村娘を助ける依頼を受けるが──。

気まずい展開から出会った“リボー”にも問答無用でプロポーズする“ユク”の本気ぶり
に一歩引きがちになりますが、続く“モノカ”や“ミューディ”に対してもアプローチを
掛けるその真意が見えてくると応援したくなります。それにしてもモン娘がいっぱいです。

そんな中で見せる“メリー”のガードの異様なまでの固さ。支援役に徹する彼女の理由は
“ユク”の出自にも関連するため、そこを突き崩せるか否かも話のポイントになるかと。
先生独自のモン娘論に基づいた魅力的の女性たちを次巻以降も描いてくれると信じてます。

posted by 秋野ソラ at 00:05 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2019年06月25日

『お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件』

佐伯さん 先生が「GA文庫」から贈る新作は「小説家になろう」投稿作の書籍化作品。隣に
住む学校一番の美少女から世話を焼かれる自堕落な少年の日常を描くじれったい恋物語です。
(イラスト:和武はざの 先生)

http://www.sbcr.jp/products/4815602482.html
https://ncode.syosetu.com/n8440fe/


独り暮らしで汚部屋生活を続ける“周”。容姿端麗、文武両道で天使と称される“真昼”。
ある雨の日、彼女が傘も差さずにブランコへ腰掛ける姿を見た彼は普段、交流も無いのに
つい傘を渡し風邪をひく破目に。それを見た彼女は「借りは、返します」と言い出し──。

思いがけず汚部屋を片づける契機を得た“周”は“真昼”の普段とは違う一面を垣間見る
境遇を得ていきます。ドライな関係と2人共に位置づけるお隣さんの付き合いが、徐々に
スキンシップや、ドキッとする仕草につながっていく様子がこそばゆくて思わずニヨニヨ。

周囲にはどことなく後ろ暗い関係を隠していく2人がお節介焼きな“周”の母親や、彼の
友人たちにそれがバレていくことで関係がより深まっていく展開も見どころかと思います。
十全には見えていない“周”の行動原理や背景が今後どう影響するのか注目したい点です。

posted by 秋野ソラ at 00:11 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2019年06月24日

『リベリオ・マキナ2 ―《白檀式》文月の嫉妬心―』

ミサキナギ 先生が贈る正義と反抗のバトル・ファンタジー。第2巻は白檀式の人工頭脳に
纏わる謎を追求すべく世界有数の大企業に“カノン”たちが探りを入れる過程を描きます。
(イラスト:れい亜 先生)

https://dengekibunko.jp/product/machina/321812000885.html


プロローグで《白檀式》への強い執着を見せる“シャチョー”と彼をそう呼ぶ少女が今回
“カノン”たちに大きな壁となって立ちはだかることになります。まだまだ未熟な彼女が
どうやってあからさまに怪しい巨大勢力と立ち向かうのかが熱い展開で見所の一つです。

そしてもう一つ。“カノン”に対して過保護であったり、食事の堪能方法に難がある所を
見せる“水無月”が、彼女の窮地を救う過程で手を組むことになる“リタ”のことをどう
認識しているか。この結論に彼の《白檀式》としての成長が感じられてとても感慨深い。

“リタ”が体当たりで感情をぶつけてくれたからこそ導けた結末が微笑ましく、それ故に
深まる絆の行方も大いに気になる要素です。サービスシーンにも貢献して頂きましたし。
世界を揺るがす更なる騒動の火種を前に“カノン”たちがどう対峙するか興味津々です。

posted by 秋野ソラ at 00:25 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル