武田綾乃 先生が贈る青春エンタメ小説。“久美子”部長を筆頭に新体制となる北宇治高校
吹奏楽部が新入生も迎えて悲願の全国大会金賞を目指す波乱必至の最終楽章へ突入します。
(イラスト:アサダニッキ 先生)
【 https://tkj.jp/book/?cd=TD293992 】
百名を超す大所帯となった部を纏める“久美子”。彼女に寄せられる相談は多岐に渡って
気苦労が絶えない中、悩める将来にも真剣に向き合う必要があって、公私ともに忙しない。
音大を目指す“麗奈”との、音楽に対する覚悟の違いも見せつけられて実に心苦しい展開。
“緑輝”による新入部員たちへのフォローなどで微笑ましい感情を抱きつつ他県の強豪校
から“沙里”が入部、しかも楽器はユーフォニアム。しかしコンクールに出る意思はなく
悲願達成を目指す部員たちからモヤッとした感情を抱かせる結果に不穏な空気が漂います。
絶対に金賞を取る、その覚悟を見せる“麗奈”との温度差を感じる事態が発生したことで
吹奏楽部に不安要素が募りつつあることを認識するも、解消することなく引いていきます。
“秀一”の発言も思わせぶりで気になりますが、はやる気持ちを抑えつつ続きを待ちます。
2019年05月10日
2019年05月09日
『察知されない最強職4』
三上康明 先生が贈るファンタジー作品。第4巻は火龍の災厄により王位継承問題に揺れる
王国において鍵を握る存在となる王女“クジャストリア”に“ヒカル”が接触を図ります。
(イラスト:八城惺架 先生)
【 https://herobunko.com/books/hero59/9828/ 】
災厄のどさくさに紛れて王位を狙う“オーストリン”。愚兄の野心を知りながらも見て見ぬ
ふりをしていた“クジャストリア”を表舞台に上げようとする辺境伯の思惑に振り回される
顛末がお家騒動に拍車をかけていく。“ヒカル”も間接的に関わっていく形で魅せてきます。
“オーストリン”の野心を砕くために必要な“ガレイクラーダ”の病を快癒させる手を探る
“ヒカル”が易々とハードルを越えていく様子に周囲が驚かされるのも面白い。最終的には
「シルバーフェイス」としてこの騒動に決着をつけにいく“ヒカル”の気概は見所でしょう。
また、騒動の裏側でこれまで危なっかしいと思わせていた“ポーラ”が遂にある行動に出て
しまうワケですが、ここに“ヒカル”への愛情とか信頼とかを強く感じられて印象的でした。
「世界を渡る術」に関しても一縷の望みを繋いできましたので、どう続くのか注目してます。
王国において鍵を握る存在となる王女“クジャストリア”に“ヒカル”が接触を図ります。
(イラスト:八城惺架 先生)
【 https://herobunko.com/books/hero59/9828/ 】
災厄のどさくさに紛れて王位を狙う“オーストリン”。愚兄の野心を知りながらも見て見ぬ
ふりをしていた“クジャストリア”を表舞台に上げようとする辺境伯の思惑に振り回される
顛末がお家騒動に拍車をかけていく。“ヒカル”も間接的に関わっていく形で魅せてきます。
“オーストリン”の野心を砕くために必要な“ガレイクラーダ”の病を快癒させる手を探る
“ヒカル”が易々とハードルを越えていく様子に周囲が驚かされるのも面白い。最終的には
「シルバーフェイス」としてこの騒動に決着をつけにいく“ヒカル”の気概は見所でしょう。
また、騒動の裏側でこれまで危なっかしいと思わせていた“ポーラ”が遂にある行動に出て
しまうワケですが、ここに“ヒカル”への愛情とか信頼とかを強く感じられて印象的でした。
「世界を渡る術」に関しても一縷の望みを繋いできましたので、どう続くのか注目してます。
2019年05月08日
『日常ではさえないただのおっさん、本当は地上最強の戦神3』
相野仁 先生が贈る、日常に紛れる最強戦士の英雄譚。第3巻は新人冒険者の後押しをする
中で、活発に動き始める魔物たちの兆しを掴んだ“バル”がその黒幕探しに乗り出します。
(イラスト:桑島黎音 先生)
【 https://sneakerbunko.jp/product/wargod/321809000638.html 】
七級の冒険者である“バル”を軽んじる跳ねっ返りな犬人族“エーファ”らのパーティを
面倒見ることになった彼の人心掌握術が今巻も冴え渡ります。駆け出しにも関わらず欲を
出してしまう彼女たちの心理を巧みに利用して信頼を得ていく過程は実にお見事、の一言。
“エーファ”たちが功を焦る契機となった魔物の現れ方に疑念を抱いた“バル”の思いを
汲んで“ミーナ”が本格的に調査を始めるも原因が掴めないあたりで後手に回る展開には
やきもきさせられるものが。そんな中でもやり口を掴むあたり、彼女の有能さが光ります。
今回の「敵」が慢心して帝国への侵攻に乗り出す事態を受けて“エーファ”たちでは手の
打ちようもなく、最後まで最悪の場面を想定した話運びを見せてきて思わず焦りました。
「そよ風亭」にまつわる縁が物語を動かしていく様子も見どころです。続きが楽しみです。
中で、活発に動き始める魔物たちの兆しを掴んだ“バル”がその黒幕探しに乗り出します。
(イラスト:桑島黎音 先生)
【 https://sneakerbunko.jp/product/wargod/321809000638.html 】
七級の冒険者である“バル”を軽んじる跳ねっ返りな犬人族“エーファ”らのパーティを
面倒見ることになった彼の人心掌握術が今巻も冴え渡ります。駆け出しにも関わらず欲を
出してしまう彼女たちの心理を巧みに利用して信頼を得ていく過程は実にお見事、の一言。
“エーファ”たちが功を焦る契機となった魔物の現れ方に疑念を抱いた“バル”の思いを
汲んで“ミーナ”が本格的に調査を始めるも原因が掴めないあたりで後手に回る展開には
やきもきさせられるものが。そんな中でもやり口を掴むあたり、彼女の有能さが光ります。
今回の「敵」が慢心して帝国への侵攻に乗り出す事態を受けて“エーファ”たちでは手の
打ちようもなく、最後まで最悪の場面を想定した話運びを見せてきて思わず焦りました。
「そよ風亭」にまつわる縁が物語を動かしていく様子も見どころです。続きが楽しみです。
2019年05月07日
『スカルアトラス 楽園を継ぐ者〈1〉』
羽場楽人 先生が贈る新作は、エーテル飽和により巨大化したモンスターに蹂躙された世界
で生き残った人類世界で天才考古学者と意思を持つ化石兵器の邂逅を綴る幻想浪漫譚です。
(イラスト:hou 先生)
【 https://dengekibunko.jp/product/skullatlas/321811001100.html 】
祖父の影響で化石好きとなり考古学者となった“クレイ”。彼の住む国の守り神とされる
巨大骸骨の化石兵器「スカルアトラス」は今や氷に埋まり眠り続ける存在。祖父の遺言で
「氷から目覚めたら助けてやれ」と言われた彼は今日も一人、氷の前で見守り続ける──。
国を揺るがす騒動を機に復活を遂げるスカルアトラスの“アジュール”。彼女と意思疎通
できるだけじゃない関係を築いたことで距離感を詰めていく“クレイ”。両者のやりとり
が面白く、特に周りの女性陣の想いもそっちのけな彼の化石バカっぷりは見所の一つです。
スカルアトラスの謎、円柱国家ベルバの知られざる過去、そこに“クレイ”たちが意外な
形で関わっていくことになる話の流れに惹き込まれながら、“アジュール”と共に出した
結論が意外で印象的でした。hou 先生の挿絵も上手く嵌っていて続きが楽しみな作品です。
で生き残った人類世界で天才考古学者と意思を持つ化石兵器の邂逅を綴る幻想浪漫譚です。
(イラスト:hou 先生)
【 https://dengekibunko.jp/product/skullatlas/321811001100.html 】
祖父の影響で化石好きとなり考古学者となった“クレイ”。彼の住む国の守り神とされる
巨大骸骨の化石兵器「スカルアトラス」は今や氷に埋まり眠り続ける存在。祖父の遺言で
「氷から目覚めたら助けてやれ」と言われた彼は今日も一人、氷の前で見守り続ける──。
国を揺るがす騒動を機に復活を遂げるスカルアトラスの“アジュール”。彼女と意思疎通
できるだけじゃない関係を築いたことで距離感を詰めていく“クレイ”。両者のやりとり
が面白く、特に周りの女性陣の想いもそっちのけな彼の化石バカっぷりは見所の一つです。
スカルアトラスの謎、円柱国家ベルバの知られざる過去、そこに“クレイ”たちが意外な
形で関わっていくことになる話の流れに惹き込まれながら、“アジュール”と共に出した
結論が意外で印象的でした。hou 先生の挿絵も上手く嵌っていて続きが楽しみな作品です。
2019年05月06日
『継母の連れ子が元カノだった2 たとえ恋人じゃなくたって』
草壁レイ 先生による漫画連載が始まった、紙城境介 先生による元恋人たちによる同棲悶絶
ラブコメ。第2巻は“水斗”に新しくできた女友達に“結女”がどう反応するか注目です。
(イラスト:たかやKi 先生)
【 https://sneakerbunko.jp/product/motokano/321901000552.html 】
「母の日」を通じて勝負にいそしむ“水斗”と“結女”、2人の姿に心温まるものを感じる
その裏で“川波”と“南”が繰り広げるラブコメ要素全開な様子に思わずニヨニヨ。勝負の
行方と共に、「母の日」のその後に思わず砂を吐きたくなる顛末も見どころの一つでしょう。
学業でも競い合う元カップル。そこで示した“結女”の自己認識に対して“水斗”が返した
反応に心を鷲掴みにされる彼女の様子が何とも愛おしい。今回登場した“いさな”に対する
「彼の姉」という立場からの言動の数々もまた距離感の近さを意識させてこれまた興味深い。
あとがきでも触れられていた、一緒に居たい相手へ抱く感情は必ずしも恋愛感情でなくても
良いという考え方には考えさせられるものがありました。“いさな”には共感できる部分が
多々あることも要因として大きいです。これを踏まえて“結女”がどう動くのか楽しみです。
ラブコメ。第2巻は“水斗”に新しくできた女友達に“結女”がどう反応するか注目です。
(イラスト:たかやKi 先生)
【 https://sneakerbunko.jp/product/motokano/321901000552.html 】
「母の日」を通じて勝負にいそしむ“水斗”と“結女”、2人の姿に心温まるものを感じる
その裏で“川波”と“南”が繰り広げるラブコメ要素全開な様子に思わずニヨニヨ。勝負の
行方と共に、「母の日」のその後に思わず砂を吐きたくなる顛末も見どころの一つでしょう。
学業でも競い合う元カップル。そこで示した“結女”の自己認識に対して“水斗”が返した
反応に心を鷲掴みにされる彼女の様子が何とも愛おしい。今回登場した“いさな”に対する
「彼の姉」という立場からの言動の数々もまた距離感の近さを意識させてこれまた興味深い。
あとがきでも触れられていた、一緒に居たい相手へ抱く感情は必ずしも恋愛感情でなくても
良いという考え方には考えさせられるものがありました。“いさな”には共感できる部分が
多々あることも要因として大きいです。これを踏まえて“結女”がどう動くのか楽しみです。