2019年03月29日

『本好きの下剋上〜司書になるためには手段を選んでいられません〜第四部「貴族院の自称図書委員6」』

満を持してのTVアニメ化が決定した、香月美夜 先生が贈る大人気ビブリア・ファンタジー。
第四部・6巻は図書委員としての活動を本格化すべく“ローゼマイン”が忙しく動きます。
(イラスト:椎名優 先生)

https://tobooks.shop-pro.jp/?pid=138372497


“ローゼマイン”と彼女以外の関係者に向けて「平穏」という言葉の意味を問いかける回
と言ってもよいことはエピローグのあのやり取りを見ても納得せざるを得ず思わず苦笑い。
そんな中でも“フェルディナンド”が強かに布石を打っていくところがまた面白いもので。

中でも“シュバルツ”と“ヴァイス”に興味を持った“ヒルデブラント”王子を図書委員
として抱え込みながら、言うべきところはしっかりと言及する“ローゼマイン”の毅然と
した対応は、本好きとしての真価を発揮するエピソードとして印象深いものがありました。

また、突如現れた特殊な魔獣への対応では、今巻のやらかし具合が詰まっていて興味深い
展開を魅せてくれました。“ローデリヒ”の決意の表れが彼女にとって吉兆となることを
願いたくなる挿話も要注目。今後“ローゼマイン”が貴族院どう揺れ動かすか楽しみです。

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2019年03月28日

『ちょっぴり年上でも彼女にしてくれますか?3 〜時を超える愛〜』

望公太 先生が贈る純愛・甘々ラブコメディ。第3巻は“姫”が“薫”の級友と交流する中
で感じる彼らなりの距離感に想いを巡らせつつ、恋人としてのイベントを進めていきます。
(イラスト:ななせめるち 先生)

http://www.sbcr.jp/products/4815600174.html


さりげなく爆弾発言を投下していく“唄”の思考に追いつけず、戸惑いながらも今に至る
までの人間関係の変遷に驚かされる導入部分。印象深かったのは“泉”の言動が彼らしい
距離感の取り方だと気付かされてからの、好意的に移り変わっていく印象の変化でした。

年が離れているからこそ言えることがある。同世代だからこそ向き合える気持ちがある。
“姫”と“薫”の年の差恋愛が思いがけず周囲に作用していく顛末を温かく見守りつつ
しっかりイチャイチャしていく2人が「いざ!」という局面で迎えるまさかの家族会議。

母親に対する感情の欠如、姉が抱く認識との差異、姉弟の間にできた決定的な溝の深さ。
思いがけず目の当たりにする桃田家の問題に実は“姫”が介入していたことが判明する
今巻の副題である「時を超える愛」へと繋がる話の運び方が見事。感動すら覚えました。

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2019年03月27日

『新説 狼と香辛料 狼と羊皮紙IV』

日鳥 先生によるコミック連載を決めた、支倉凍砂 先生が贈る賢狼の娘と聖職者の2人旅。
第4巻は“ロレンス”らも手を焼いた女商人“エーブ”を前に、“コル”たちが挑みます。
(イラスト:文倉十 先生)

https://dengekibunko.jp/product/spice-and-wolf/321808000005.html


とある人物に会うべくラウズボーンを訪れた“コル”が徴税人組合の関係者に否応なしに
連行され、王国・教会・商人それぞれの思惑が錯綜する緊張状態にあることを告げられる。
その事態を引き起こしたのが、薄明の枢機卿として活躍した彼自身だと言うからさあ大変。

そこに“エーブ”が介入してきてこれまた大それた計画を打ち明けてくるから“コル”も
かつてないほどに頭を悩ませます。彼が一手打てば彼女はそれを上回る妙手で応えてくる。
活躍を続けてきた“コル”に頭打ちな局面を迎えさせる彼女の凄さが浮き彫りになります。

口車に乗せられそうになる“コル”を叱咤激励する“ミューリ”の献身ぶりがいじらしく
2人が“エーブ”に対して起死回生の見出せるか、という不安な気持ちを昇華する終盤の
掛け合いはまさに圧巻。へこたれない“ミューリ”の想いは届くのか、次巻も楽しみです。

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2019年03月26日

『ひきこもりな余をどうやって魔王にするというのじゃ?』

柊遊馬 先生が贈る新作は、次期魔王を担う幼き皇女殿下のあがり症を克服させるために
召喚された少年がWeb小説を書いて小説家になる夢を追う経験を活かして試行錯誤します。
(イラスト:茨乃 先生)

https://dengekibunko.jp/product/2019/03/


人間側と結んだ不可侵条約が切れるまでの一か月、皇女“ヴィレ”が魔王として就任式を
行わないと再び両者戦乱の世に陥る状況下で召喚されたのが“守”。彼が書いたある小説
に目を付けたからだと側近の“ドメスティカ”は理由を告げるが克服の望みは薄くて──。

対人恐怖症のそぶりを見せる“ヴィレ”の頑なさを前に、素人でもできることをしていく
“樋置”の一手一手が少しずつ彼女の心を動かして、徐々に気持ちが変わっていく様子は
見ていて癒されるというか、心温まるものがあります。それこそ“ドメスティカ”の如く。

やがて迎える就任式。人がいない場での演説練習ができるまでには成長した“ヴィレ”は
無事大役を果たせるのか。“守”が放つ最後の秘策がガッツリと嵌まる顛末は小気味良く
清々しい気持ちにさせてくれる読了感が味わえました。紙幅としても読み易くお薦めです。

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2019年03月25日

『あの日、神様に願ったことは I kiss of the orange prince』

『Hello,Hello and Hello』の 葉月文 先生が贈る新作は、四季折々で色を変える奇跡の花
にまつわる言い伝えを巡って試練を与えられた少女と、それに関わる少年の青春を描きます。
(イラスト:フライ 先生)

https://dengekibunko.jp/product/kamisama/321808000003.html


上代神社に咲くミラクーティアは一年に一度、対価を払った者の願いを叶える逸話がある。
諦めたある願いを胸に抱える“叶羽”はその花を苦々しい思いで見つめる。その先に涙を
流す高校の先輩“燈華”を見咎めて、声をかける所から甘くほろ苦い物語が動き出す──。

姉のために写真を撮り続けた“叶羽”。彼の写真に願いを叶える鍵を見い出した“燈華”。
彼女の思惑を知ってもなお、むしろ知ったからこそ離れていた写真と再び向き合っていく
彼の心境の変化は驚くと共に称賛に値するものがあります。離れた経緯を知ったからこそ。

その想い届かず、試練を乗り越えられない“燈華”を襲う最悪の結末。その兆しに対して
抗う“叶羽”が掴んだ起死回生の一手が2人で見たあの風景に繋がっていく話運びは圧巻。
対価と試練の違い、タイトルに繋がる「彼女」の願いに巻き込まれる彼の健闘を祈ります。

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2019年03月22日

『公女殿下の家庭教師2 最強剣姫と新たな伝説をつくります』

七野りく 先生が贈る無自覚規格外な教師の魔法革命ファンタジー。第2巻は王立学校に
入学を果たした“ティナ”たちの前に“アレン”の腐れ縁たる“リディヤ”が登場します。
(イラスト:cura 先生)

http://www.fujimishobo.co.jp/bk_detail.php?pcd=321809000757
https://kakuyomu.jp/works/1177354054884195461


あとがきで先生が触れられている通り、キャラが立ちまくっている“リディヤ”。彼女が
出張れば“アレン”について回る“ティナ”たちは歯が立たないことを見せつけられます。
あれだけ容姿端麗で、“アレン”対して見せる強さと弱さのギャップたるや、もう反則級。

今巻は“リディヤ”の魅力を存分に描写すると共に彼女と対等に渡り合える“アレン”の
桁違いぶりも子供らに教える立場として改めて披露してきます。そこにますます惚れ込む
“ティナ”たちの先生争奪の駆け引きも激しさを増してきて何とも微笑ましいばかりです。

とある人物の横暴ぶりから思わぬ決闘が繰り広げられたかと思えば大技連発の大バトルに
繋がっていくあたりで、“アレン”と“リディヤ”の絆の強さが十二分に示されました。
それを目の当たりにした“ティナ”が決意表明した内容を実現できるか注目したい所です。

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2019年03月21日

『君がいた美しい世界と、君のいない美しい世界のこと』

神田夏生 先生が贈る新作は、死に別れたと彼女もう一度会うため、届いた手紙に書かれた
「リセット」の秘密を求めて思い出を辿る旅に出る少年の恋愛模様とその顛末を描きます。
(イラスト:Aちき 先生)

https://dengekibunko.jp/product/321810000124.html


「運命をリセットできる不思議なチカラがこの世界にはある」。高校を卒業した“日野”が
卒業式に出られずこの世を去った“三日月”から手紙で力説され“クレセント”なる人物に
「セカイの謎」を解く必要があると告げられる。行くべき場所に彼は同行すると言うが──。

言動が強烈で変わり者の“三日月”と“日野”が出会ったところから始まって、急速に恋に
落ちていく2人の楽しい日々の情景を挟みながら、「このセカイで最も綺麗なもの」を探す
旅の行程を綴り、彼女の居ないつらい“日野”の新たな日常が描かれるのが対称的で切ない。

自分のことを理解してくれた“日野”に対して全身で見せる“三日月”の激情がいじらしい。
だからこそ「リセット」という言葉に乗せた“三日月”の想いが潔くてまた実に彼女らしい。
死を目前にした彼女が示した覚悟、それを受け止めた彼。両者の生き様を見届けてください。

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2019年03月20日

『キミの忘れかたを教えて2』

あまさきみりと 先生が贈る大人の青春物語。第2巻は“鞘音”と“修”の新たな活動を
後押しするためのイベントに携わる女性のもどかしくて切ない恋模様に触れていきます。
(イラスト:フライ 先生)

https://sneakerbunko.jp/product/321810000384.html


SAYANEとして改めて活動する“鞘音”を後押しするため、病床の身ながら無理を押して
あれこれ手を打つ“修”。焦る彼を見て気が気でない彼女が寄り添う様子が良い雰囲気。
一度は断った地元のゆるキャラ「さやねっこ」を担うと決めるあたりもまたいじらしい。

地元での協業を提案してきたのが観光協会に勤める“三雲”。“エミリィ”らの楽しい
生活風景を目にする彼女が何を思うのか。今回のメインとなるスノーランタンフェスに
纏わるエピソードを交えて語られる例え話がこれでもかと言うくらい切なくて切なくて。

“三雲”の想いに苦さを感じる一方で、再び動き始めた2人の時間を噛みしめ堪能する
“鞘音”と“修”。こちらは幸せしかないのかと思えば、“修”の焦りが別の意味でも
内面でくすぶっており不安要素は拭えず、一筋縄ではいかない恋物語になりそうです。

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2019年03月19日

『魔術破りのリベンジ・マギア 6.九尾の権能と鬼哭の獣』

子子子子子子子 先生が贈るハイエンド魔術バトルアクション。第6巻は思いがけず大和へ
帰郷することになった“晴栄”が“狐狼丸”とのつながりについて改めて向き合います。
(イラスト/伊吹のつ 先生)

http://hobbyjapan.co.jp/hjbunko/lineup/detail/830.html


学園のとある思惑に乗せられる形で帰省した“晴栄”がまず訪れたのが探偵“岩井三郎”。
彼女からも指摘される“晴栄”の変化。随分と穏やかになった“晴栄”を土御門の面々も
感じる中、復讐という執念で繋がった“狐狼丸”がそれをどう捉えるかが焦点となります。

決別の道を選ぶ“狐狼丸”、その契機を与える白面金毛九尾の狐“九曜”に纏わる逸話の
数々にまず惹き込まれます。そして対峙する“晴栄”と“狐狼丸”。なぜ戦わなければ
ならないのか、その局面を真摯に受け止める2人の命を懸けたやりとりが見どころの一つ。

圧倒的な強さ、更に狡猾な面も見せる“九曜”を“晴栄”は止められるのか。思いがけず
手を貸してくれる存在に驚かされつつ、“三郎”が指摘した土御門家の不穏な空気が実に
気になります。“ティチュ”も目を付けられているようですし、その動向は要注視です。

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2019年03月18日

『魔法使い黎明期2 魔力屋さんと恋の予感』

タツヲ 先生による漫画連載が開始予定となる、虎走かける 先生が贈る本格ファンタジー。
第2巻は魔力屋として活動を始めた“セービル”が再び陥る退学の危機に葛藤を続けます。
(イラスト:いわさきたかし 先生 一部キャラクター原案:しずまよしのり 先生)

http://lanove.kodansha.co.jp/books/2019/3/#bk9784065153772


“ホルト”や“クドー”は村人の役に立とうと自分の能力を活かして切磋琢磨していく中、
“セービル”は魔力屋として待ちの姿勢で、村人と交流を図ろうとしない。それに苦言を
呈される彼は自身の将来像を模索します。そのカギを担うのが村の子供“ライオス”です。

自分の未熟さゆえに“ライオス”を命の危機に晒してしまう“セービル”が、だからこそ
変わりたいと決める姿に成長を感じて心温まります。そこへ村に仕掛けられる罠の数々と
思いがけない闖入者が“セービル”たちを、そして“ゼロ”たちを引っ掻き回してきます。

“セービル”の本質に対してあれこれ言及する“ゼロ”。彼女もまた色々抱え込んでいて
心配になる一方で、彼に訪れるとある大きな変化。心配して寄り添う“ホルト”も戸惑う
感情の吐露に読者としても驚きを隠せません。向けられた相手がどう反応するか注目です。

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2019年03月15日

『チアーズ!4』

せうかなめ 先生のコミックスと同時刊行となる、赤松中学 先生が贈る汗と涙の青春活劇。
第4巻は“沙織”がなぜチアーズのコーチを務めるのか、過去を振り返りながら描きます。
(イラスト:こぶいち 先生)

https://mfbunkoj.jp/product/cheers/321810000838.html


かつてチアーズの黄金時代を築いた“百愛”と“沙織”。“沙織”はコーチとして実績を
築きつつプロを目指す“百愛”の後を追う道を選ぶ。そこで直面するチアリーダーという
仕事の厳しい現実と不条理を目の当たりにする彼女と共に読み手としても絶句するばかり。

“千愛”たちを無視し続けてきた“沙織”の覚悟。チアに全身全霊を懸けてきたきたから
こその態度だと分かってからの彼女の印象が一変する感覚は今巻イチの見所ではないかと。
教え子たちからチアスピリッツを教わったと嘯く“沙織”が見せるコーチングが熱いです。

サマーキャンプを通じて大幅なレベルアップを見せていくチアーズの面々を盗み見ている
“リエ”の意地の悪さがいよいよ“白亜”へ届いたとき、不動のエースは何を思うのか。
クィーンズに勝つ一縷の望みをチアーズは活かせるか、迫る県大会の行方が気になります。

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2019年03月14日

『ゲーマーズ!DLC2』

葵せきな 先生が贈るこじらせゲーマーたちのすれ違い青春ラブコメ短編集。第2巻はあの
“歩”が“景太”の関係者と急接近し、更に色々と秘密がバレる顛末を赤裸々に綴ります。
(イラスト:仙人掌 先生)

http://www.fujimishobo.co.jp/bk_detail.php?pcd=321809000760


“景太”不在、という穴の大きさを痛烈に感じる“歩”。彼とのやり取りを振り返る中で
何のためにゲーム実況を始めたのかを再認識する所から何の因果か“千秋”や“亜玖璃”
をパートナーに迎えて実況しちゃう一連の情景が面白すぎて思わず笑みがこみ上げます。

“歩”がゲーム部を見学する場面とか見ますとゲーム好きはやはりゲームで繋がってると
感じるワケですが、そんな“歩”の活動に釘を刺す人物の登場で命運が瓦解し始めていく
流れを見せ始めると緊張感が高まってきます。あのカウントダウンの宣言の後押しと共に。

「最後の審判(後編)」の導入が絶妙で、相対する“歩”が“景太”とどう在りたいのか
強く意思表示する姿勢を上手く引き出せたかと感じました。“花憐”は鬼ですね、やはり。
ゲーム馬鹿同士、興味深い関係を築き続けてほしいと“歩”の今後には期待したい所です。

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2019年03月13日

『宮本サクラが可愛いだけの小説。』

鈴木大輔 先生が「MF文庫J」から贈る新作は、北欧神話の大神オーディンの生まれ変わり
という少年がとにかく可愛い幼なじみとイチャイチャな日々を過ごすラブストーリーです。
(イラスト:rurudo 先生)

https://mfbunkoj.jp/product/sakurachan/321810000840.html


北欧神話の女神“ノルン”三姉妹の生まれ変わりという“珂子”“依真”“美來”に突然
居候を決め込まれても受け入れる変わり者“ヒカル”。隣人にして幼馴染の“サクラ”は
公序良俗を乱さんとする彼らに対しツンデレ全開で怒鳴り込む姿もまた可愛いワケで──。

冒頭から三姉妹とのお風呂シーンから入る本作。如何に“ヒカル”がだらしないと言うか
動じないと言うかが分かると共に、強気に出たかと思えばノせられたら弱い“サクラ”の
ちぐはぐぶりも掴める親切な展開で魅せてきます。rurudo 先生のイラストがまた絶妙で。

もちろん“サクラ”が可愛いだけでは話が膨らまないので事に至る背景にも触れてきます。
向こうは向こう、こちらはこちら、ということで“ヒカル”と2人イチャイチャしている
様子をずっと観ていたい感じ。このコンセプトでどこまで行けるか先生の手腕に注目です。

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2019年03月12日

『薬屋のひとりごと8』

ねこクラゲ 先生と 七緒一綺 先生、倉田三ノ路 先生によるコミックス4巻とほぼ同時刊行
となる 日向夏 先生のシリーズ第8巻。碁に興じる“羅漢”に対して“壬氏”が仕掛けます。
(イラスト:しのとうこ 先生)

https://herobunko.com/books/hero14/9348/


白粉の問題が再燃したり、葡萄酒の品質を巡る新たな問題が発覚したりと“猫猫”の味覚が
冴え渡る顛末は薬屋としての面目躍如といった感じで実に良い。園遊会で簪を傷物にされた
“玉葉后”にその意図をズバリ言い当てるあたりは藪をつついて蛇を出す感じがして苦笑い。

多忙を極める“壬氏”の目に留まった碁の流行と“羅漢”が開催するという碁の大会。ある
願いを抱いてその大会で碁の勝負を“猫猫”の父に仕掛ける“壬氏”の何が何でも勝とうと
するえげつない姿勢はある意味潔くて好きです。思いがけない結果も引き出せたようですし。

とある高官の三つ子が引き起こした女性問題が横槍で入ったり、と話の構成としても面白い
動き方を見せる今巻。ラストで遂に“壬氏”が仕掛けてきました。よくぞやったと言いたい。
彼の王手を“猫猫”は躱しきれるのか。“玉葉后”が身内に示す強い意志と共に注目です。

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2019年03月11日

『六畳間の侵略者!? 31』

健速 先生が贈る人気シリーズ。シリーズ10周年記念ドラマCD付き特装版が同時発売となる
通算33冊目は書き下ろし込みで4つの小編を収録する「へらくれす編」第4弾となります。
(イラスト/ポコ 先生)

http://hobbyjapan.co.jp/hjbunko/lineup/detail/828.html
https://bookwalker.jp/ex/feature/rokujoma-10year/


真夏のトライアスロンに挑まされる“ゆりか”と“クラン”が“孝太郎”に誘導されつつ
ご褒美を目指して頑張る姿や、“真希”と“晴海”がボードゲーム4番勝負に興じる中で
いつの間にか“孝太郎”をNPCに仕立てて熱が入る様子は見ていて本当に飽きないものです。

“孝太郎”指南の下、剣術の腕を上げていく“ルース”の耳に障るカブトムシの脅威再び
ということでヒーローショーで“静香”演じるカブトンガーを最初の餌食と定めた彼女が
ハイレベルな激闘を繰り広げるエピソードも面白い。彼女らしい落とし所が絶妙な配分で。

そして“晴海”が“孝太郎”と付き合ったら、という「もしも」の世界を描く初の試みは
あの時こう行動していたらあのイベントは彼女が担当していた、とか発生時期が変化した
というゲーム感覚な動きを見せるのが印象的。結末も彼女らしい纏め方でが心温まります。

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2019年03月08日

『負けませんからと言い張る顔のいい女の子を、全力で屈服させる百合のお話』

みかみてれん さんのサークル「てれたにあ」によるコミックマーケット95の新刊。学園で
行われる人気投票を前に秘密の恋人関係を結んだ女の子2人が優劣を競い合う百合小説です。
(イラスト:未幡 さん)

http://unnamed.main.jp/teretania/


お嬢様学校で生徒からの投票によって選ばれる主役。その筆頭候補“彩良”にはライバル視
すべき“瑠衣”の存在が無視できない。そんな折、“瑠衣”から「恋人になってほしい」と
勝負を挑まれる。しかもキスまでされて。負けられない“彩良”は真っ向から受けるが──。

「百日百合」とは少し趣向を変えて、“彩良”からも“瑠衣”からも積極的に相手へと迫る
駆け引きがまず見どころ。そしてその駆け引きがかなり官能的なのも印象深く、攻めてるな
と感じられます。未幡 さんによって描かれる2人の絵が描写の数々に紐づいて悶絶モノです。

恋人関係となった“彩良”と“瑠衣”の勝負の行く末がどうなるかという展開だけではなく
なぜ“瑠衣”は“彩良”に対して「こんな勝負を挑んできたのか」という背景もしっかりと
明かしてくる点もぜひ注目していただきたい。安心して楽しめる百合小説です。オススメ。

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2019年03月07日

『おいしいベランダ。 スミレと6粒のチョコレート』

竹岡葉月 先生が贈る大好評・園芸ライフラブストーリー。第6巻は友人“湊”の雲行きが
怪しさを増す恋模様を通じて“まもり”が“葉二”との選択肢について考えさせられます。
(イラスト おかざきおか 先生)

https://www.kadokawa.co.jp/product/321808000695/


“湊”の所属するサークル仲間からのたってのお願いで再び園芸名探偵として活躍の場を
披露する破目になる“まもり”は優しいというか押しに弱いというか。彼女らしい顛末に
微笑ましさを感じつつ、ささやかな反抗の先に先方が見せた仕返しも見事な采配でした。

サークルの事情も相まって彼氏である“周”が見せる価値観の違いに大いに悩む“湊”。
奇しくも“まもり”と“葉二”の間にある差異にも通じるものがありハラハラする展開が
続きます。諦めるしかない、と追い詰められていく“湊”の心情描写は胸に痛く響きます。

実家でのやり取りや成人式のエピソードを通じて“まもり”の為人がより一層浮き彫りと
なる中で“湊”の思いがけない恋の行方が彼女の想いをも後押しする結果に。更にそれを
上回る“葉二”の口から自然と紡がれた言葉が見逃せない。次巻にどう響くのか注目です。

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2019年03月06日

『ファイフステル・サーガ3 再臨の魔王と草原の灰エルフ』

師走トオル 先生が贈る王道戦記ファンタジー。第3巻はかつて魔王軍に組した灰エルフの
進軍を前に人類は、そして“カレル”たちはどう臨むか。群雄割拠する動乱の世を描きます。
(イラスト:有坂あこ 先生)

http://www.fujimishobo.co.jp/bk_detail.php?pcd=321810000867


「魔王の左腕」奪還を目指す灰エルフらにも一枚岩になれない事情がある、ということを
英雄と呼ぶにふさわしい“ギルセリオン”が自らの言動と目覚ましい活躍で示してきます。
「英雄色を好む」とはよく言ったもので、それを戦略にも活かすのだから羨ましい限りで。

灰エルフたちが見せる行動のぶれを前に“ヴェッセル”や“カレル”が頭を悩ませる中で
彼らを驚かせる不測の事態が到来。“ギルセリオン”だけに活躍の場を持って行かせない
英断とその結末もまた見どころ。あの人物が彼を前に恐れをなすのも納得というものです。

攻勢する“ギルセリオン”らとそれをしのぐ“カレル”たち。戦局は新たな局面を迎えて
目が離せない、という中で「あとがき」を通じて語られるライトノベル業界の厳しい現実。
魅力あふれる作品なだけにここで終わるのは惜しい。なんとしても次に繋げてほしいです。

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2019年03月05日

『ジャナ研の憂鬱な事件簿5』

酒井田寛太郎 先生が贈る日常系ミステリー。第5巻は“真冬”との距離を感じながら迫る
卒業を前に彼女との距離感、そして自身の特技である「推理」と“啓介”が向き合います。
(イラスト:白身魚 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094517743


「ロシアン・ウイスキー・ホーリーナイト」にてシスターが持つ亡き夫の手帳に綴られた
はずの情景を探る“啓介”。あの日、何があったかはすぐ思い至りますが小説という体裁
をもって夫が何を言いたかったのか。真実を知った彼がとった行動に成長を感じられます。

「消えた恋人」では突如、学校を中退して結婚すると告げた“良太郎”の決意を受け止め
祝福するも、その相手が失踪する事態に“啓介”が直面。消えた彼女の謎に気付いた彼が
真実を告げるか悩む顛末からは推理を通じて相手を救える希望を感じており実に感慨深い。

そして「ジャナ研の憂鬱な事件簿」では、海新高校に進学したい女の子を巡る事件を通じ
“真冬”と“啓介”が将来を見据え時に語り合い、時に語らず通じ合う関係になっている
やり取りは何とも微笑ましい。2人の将来に幸あらんことを願いつつ完結を祝う次第です。

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2019年03月04日

『女同士とかありえないでしょと言い張る女の子を、百日間で徹底的に落とす百合のお話2』

みかみてれん さんのサークル「てれたにあ」が贈る百合小説「百日百合」に続編が登場。
“絢”との関係を受け入れた“鞠佳”。誘い受けな彼女に想いを抱く女の子が現れます。
(イラスト:雪子 さん)

http://unnamed.main.jp/teretania/


イチャイチャするのもいいけど友達づくりもね、と“絢”にクラスメイトとの人間関係を
築いてもらおうと手を打つ“鞠佳”。その思惑をあっさり躱していく辺りは“絢”らしい。
“知沙希”と“悠愛”も瞬時に受け入れて肩透かしをくらう“鞠佳”もらしさを感じます。

アルバイトに精を出す“鞠佳”に対し突如“アスタ”が告げる女難の相。女の子が好きだ
と見抜いたアルバイト先の“冴”から思いがけず告白される“鞠佳”が悩んだ末に選んだ
相談相手“可憐”から“絢”の意外な一面が語られる場面はギャップが感じられて印象的。

“冴”の真意を目の当たりにした“鞠佳”が露にした感情。受け入れたからこそ、そして
見続けてきたからこそ、“絢”に対する想いの強さを示すことができたと推察するに難く
ありません。もちろん屈服百合としての絡みも前作に増して見どころ満載でオススメです。

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