2019年01月04日

『キミと僕の最後の戦場、あるいは世界が始まる聖戦6』

細音啓 先生が贈る王道ファンタジー。第6巻は陰謀渦巻く王宮へ向け“シスベル”の護衛
として同行する“イスカ”たちの前にいよいよ王女姉妹の長女“イリーティア”が現れます。
(イラスト:猫鍋蒼 先生)

http://www.fujimishobo.co.jp/bk_detail.php?pcd=321804000871


“燐”がひた隠しにしていた劣等感すら暴き出す“シスベル”の星霊術。クーデター未遂、
その真相を必ず明らかにするであろう彼女の行動を妨げる長女“イリーティア”の怪しさ
たるや。いつみんなにひけらかしてくれるのだろう、という妙な期待感すら覚えるほどで。

“イリーティア”に足止めされた別荘にて嫉妬心を煽られまくる“アリス”の様子はもう
年頃の少女そのもので、“イスカ”とベッドでじゃれ合ったりする寝姿も可愛いのなんの。
微笑ましい一幕の裏側で“イリーティア”の抱える闇が見えてくる緊迫感を煽ってきます。

“イリーティア”が自虐的に語る自身の星霊術。故に見えてきた彼女の思い描くシナリオ。
「天帝国」「ネビュリス皇庁」という二極化した枠組みをも壊しかねない陰謀を前にして
“イスカ”と“アリス”は共闘できるか否か。女王“ネビュリス”の命運と共に注目です。

posted by 秋野ソラ at 00:19 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2019年01月03日

『宝石吐きのおんなのこ(8) 〜微睡みの中の貴方〜』

なみあと 先生が贈るファンタジーノベル。第8巻は“クリュー”が学ぶ体験学校がある地
ヴィーアルトン市を舞台に“スプートニク”たちの眼差しがあの魔法使いへ向けられます。
(イラスト:景 先生)

https://canime.jp/product/PCZP000085153/
http://ncode.syosetu.com/n4843br/


今巻は本当に“イラージャ”がよく頑張った。“ソアラン”を助けたい一心で行動する姿、
そして彼が例のアレも務めていたと知ってもなお自身の想いを伝えた姿に敬意を表したい。
“ファンション”の件も含めていろいろ戸惑い、悩めばいいさと思わずにはいられません。

冒頭で穏やかな日常から始まった、と油断していたところで“クリュー”の心を揺るがす
“クルーロル”のあの発言。彼女の傍にいない“スプートニク”に恨みの一つも言いたく
なるのも分かる場面で、彼もまた戸惑いを隠せない状況下に置かれるのだから始末が悪い。

見慣れた地で疑心暗鬼に陥る“スプートニク”に対して怒る“ナツ”のあの姿は印象深い。
すったもんだを経て彼が辿り着いた結論、それは宝石に愛された少女の話を語ろうとする
「彼女」が示してくれると期待しつつ他にも気になる引きがあって続きが待ち遠しいです。

posted by 秋野ソラ at 00:04 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2019年01月02日

『ミリオタJK妹!3 異世界の戦争に巻き込まれた兄妹は軍事知識チートで無双します』

内田弘樹 先生が贈る異世界軍事ファンタジー。第3巻は長耳種(エルフ)が“宗也”らに
同盟という名の隷属を強いてきたことを機に人類存亡を賭けた戦いに至る顛末を描きます。
(イラスト:野崎つばた 先生)

http://www.sbcr.jp/products/4797398069.html


エルフガルド王国との穏やかな同盟交渉から始まったと思えば矢面に立つ“フロリナ”が
手を染めた「負の感情で威力を高める禁忌の魔法」の真実を知って憤慨する“宗也”たち。
衛星軌道からの攻撃もできる、という最大最悪の敵を前にしても心折れないあたりは流石。

とは言え決め手には欠けるということで敵の敵は味方、竜人種の“ラズ”たちと手を組む
“宗也”の鮮やかな戦略見直しや根回しも絶妙で、彼と彼女との相性も中々。“みぐ”の
悩みの種も増える、というものです。その彼女に目をつけた“フロリナ”の反撃が見所。

“みぐ”が抱える自身の、兄への想いに関する潜在的な悩みにつけこんだ“フロリナ”の
秘策に対して示した、戦争を憎しみながら戦争を愛する「めんどくさいミリオタの心境」
これをぜひ見届けてほしい。今巻で一区切りというのは惜しいですが完結お疲れ様でした。

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2019年01月01日

『妹さえいればいい。11』

平坂読 先生が贈る大人気青春ラブコメ。第11巻は“千尋”の秘密を前にして大スランプに
陥る“伊月”が時の流れに身をまかせきれず、何とか前へ進もうと模索する様を描きます。
(イラスト:カントク 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094517651


同時発売となる特装版に付くカードゲーム「妹が多すぎる。」を実際に作中でプレイした
様子が描かれていて、思わずプレイしたくなる気になりますが、相手がいないのが何とも。
そんな諸々の気分転換を図ってもまだ書けるようにならない“伊月”のもどかしさが辛い。

そんな間にも“初”と“都”が抱える想いと状況を共有したり、“千尋”の心に芽生えた
にわかな激情が処理されたり、“アシュリー”が意外なモデルであることが明かされたり
“伊月”以外の面々は状況を変動させていくのが対称的。“撫子”が何とも憐れでした。

GF文庫新人賞の受賞式で“伊月”が感じたわだかまり。それを募らせ、あの出会いを経て
ある結論に達した彼が出した結論。もちろん“那由多”が認める訳もないはずで、まさか
ネガティブに「妹さえいればいい」という結末に至らないことを願いつつ次巻を待ちます。

posted by 秋野ソラ at 01:48 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル