2019年01月11日

『暗黒騎士様といっしょ! 〜勘違いから始まる迷宮攻略〜』

『女神の勇者を倒すゲスな方法』シリーズ完結巻と同時に 笹木さくま 先生が贈る新作は
ちょっと裏のあるエルフの少女と一緒に迷宮へ挑む暗黒騎士が抱く夢を追う姿を描きます。
(イラスト:乾和音 先生(artumph))

https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4047354309/eb-novel-22


禍々しい鎧と剣を身に纏う“アルバ”が抱く夢、それは都会の一等地に一軒家を建てる事。
外面と内面のギャップが激しい彼に救われた駆け出しの冒険者“ルーファ”は迷宮に潜む
帝国を滅ぼす秘密に迫るべく彼に協力を要請する。彼も彼女も少々勘違いしたままで──。

ということで、今作は迷宮内の敵をばったばったと倒して稼ぎを叩き出していくシステム。
帝国を救いたい、と気概を示す“ルーファ”も動機が純粋でなかったりする設定も重なり
コミカルな雰囲気が特徴。“ガーネット”しか“アルバ”の真意を汲めないのがミソです。

迷宮の秘密、それがこの世界の生活基盤にも関係するとあって“ルーファ”を疎む者たち
に狙われるまでの流れも「なるほど」と思わせてくれる話運びで興味深い。“アルバ”が
これまた抱えている秘密に何度も驚かされる点も注目。しっかり続いていってほしいです。

posted by 秋野ソラ at 00:06 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2019年01月10日

『女神の勇者を倒すゲスな方法6 「なんと、我と結婚したいと申すか!?」』

笹木さくま 先生が贈る異世界勇者攻略譚。第6巻は“エレゾニア”を倒し混乱する世を
魔王の力と“リノ”の魅力で治めようとする“真一”は彼女らとどう向き合うか注目です。
(イラスト:遠坂あさぎ 先生)

https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4047354295/eb-novel-22


復活できなくなった勇者たちが尻込みして治安が悪化する隙間を狙いにいく施策ですとか
兵器開発、人材育成といった先々を見据えた対策を実践していく“真一”。参謀としての
働きを見せる裏にある「余命の差」まで考えているところにどこか焦りを感じさせる展開。

そんな“真一”の考えを知ってか知らずか直接的に攻めるあたりが青春な“アリアン”、
奥深しい言動を見せて実にこそばゆい“セレス”、そして無垢ながら主張してくる可愛い
“リノ”と個性的なアプローチ方法で魅せてくれます。ここから1人を選ぶのは至難の業。

“アリアン”の母親に関する重要な過去の補足を経て彼女が両親にちゃんと愛された存在
であると分かり、しんみりした所で元の世界との関係も含めて選択を迫られる“真一”が
最後まで彼らしいゲスっぷりを示してくれて実に良かった。完結、おめでとうございます。

posted by 秋野ソラ at 00:08 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2019年01月09日

『察知されない最強職3』

三上康明 先生が贈るファンタジー作品。第3巻はポーンソニア王国の陰謀に巻き込まれた
“ジルアーテ”の護衛任務に就いた“ヒカル”が彼女の種族を巡る因縁に関わっていきます。
(イラスト:八城惺架 先生)

https://herobunko.com/books/hero59/9148/


数々の種族が集まって形成される国「中央連合アインビスト」。その内の一つ、竜人族で
先代盟主の娘である“ジルアーテ”が“ヒカル”に助けられて、彼の善意あふれる言動を
目にして少しずつ心惹かれていく様子には思わずニヨニヨします。実に可愛らしいもので。

“ジルアーテ”が次の盟主を選ぶ「選王武会」に臨む、その意気込みを見て“ヒカル”が
「シルバーフェイス」としてサポートする過程で王国の陰謀、新たな強敵と対峙していく
展開でも魅せます。今巻で相対する“ゲルハルト”の立ち位置が絶妙でまた見どころです。

「ソウルボード」をどうするか悩む、“ヒカル”の心情も分かるという顛末を経て過日、
王国を騒がせた火龍の存在が大きく話を左右する、この布石に注目してほしい。そして
戦いを終えた“ジルアーテ”が選ぶ道の先に新たな希望があることを願って止みません。

posted by 秋野ソラ at 00:45 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2019年01月08日

『モンスター娘のお医者さん5』

折口良乃 先生が贈るモン娘診察奮闘記。第5巻は妹“翠雨”が出奔してリンド・ヴルムに
向かっていると聞いた“グレン”が、原因不明な眠り病の治療と併せて対応に追われます。
(イラスト:Zトン 先生)

http://dash.shueisha.co.jp/bookDetail/index/978-4-08-631284-4


“翠雨”を探しに花街へ足を踏み入れた“グレン”を誘惑しちゃう“アルルーナ”に対し
厳しい態度で「治療」に臨む“サーフェ”と“アラーニャ”が心強い。“アラーニャ”は
こそばゆい心変わりを見せつつ、眠り病解決の糸口に繋げる絶妙な立ち位置にありました。

“翠雨”が実家を飛び出した理由、それは罹患した鬼変病のことで家族としての在り方に
悩んだ結果ということで、“グレン”が1つの見解を示すことで彼女も救っていく手腕は
お見事と言うしかなく。そして妹に対してもしっかり「治療」を施すあたりも流石でした。

今巻における一番の見所は眠り病に関する設定、置かれていた布石、張り巡らされた陰謀、
それらが巧妙に合わさって丸く収まっていく話運びと言えましょう。脱帽と言ってもいい。
“翠雨”の真意が明らかとなった際の“グレン”の様子も微笑ましく、続きが見ものです。

posted by 秋野ソラ at 00:34 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2019年01月07日

『戦うパン屋と機械じかけの看板娘〈オートマタンウェイトレス〉 9』

SOW 先生が贈る街角パン屋繁盛記。第9巻は明かされた“スヴェン”の秘密を“ルート”が
どう受け止めるのか。同じく衝撃の一面を目にして悩む“ジェコブ”と併せて描かれます。
(イラスト/ザザ 先生)

http://hobbyjapan.co.jp/hjbunko/lineup/detail/820.html


大事な時に傍にいてくれなかった“ブリッツドナー”にどこか諦めすら感じる“ジェコブ”。
父親としてはめっぽうヘッポコな彼にも事情があったこと、何より“シャロデ”が示す度量
の広さと子を想う深い愛情を前に歩み寄ってくれた“ジェコブ”に心から敬意を表したい。

一方、トッカーブロートに現れた“ダイアン”に散々嫌味、というか“スヴェン”に対する
心構えを問いただされた“ルート”。彼女が隠していた事を知ってもなお、彼女に変わらず
接する彼もいろいろ思う気持ちを抱えていたのが分かる顛末は必見。男を魅せてくれました。

終始、気を揉む形となった“スヴェン”にとって特別な日を迎え、ザザ 先生の挿絵による
演出も映える顛末を見せる中、歴史を裏で動かし続けてきた“聖女”の目論みが遂に牙を
剥く緊迫感の高まりに「驚天動地の九日間」はどう揺れ動いていくのか続きが気になります。

posted by 秋野ソラ at 00:01 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル