2018年12月12日

『榮国物語 春華とりかえ抄 四』

一石月下 先生が贈る男女逆転中華譚。第4巻は貴族優遇の“白水”が優勢な宰相選の対抗
として選ばれた“海宝”を後押しするため提案された縁談話に彼は大いに頭を悩ませます。
(イラスト:ノクシ 先生)

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貴族たちは“白水”を推す。反発する民衆は“海宝”を担ぎ上げる。しかし彼が勝つには
縁談を受けて宰相家、つまり貴族の力を借りなければならず民衆からの反発は必至。実に
綺麗な板挟みに加えて“春蘭”への想いを捨てきれない彼の懊悩ぶりが妙に微笑ましい。

“海宝”の気持ちも知らず縁談に賛成の意を示す“春蘭”。そんな彼女の罪つくりな所を
教えてあげない“秋明”のいたずらも後押しする形で最大の岐路に立たされる彼を他所に
宰相選挙に向けて抜け目ない追い打ちをかける“白水”の一手がいやらしくて憎たらしい。

まさに手も足も出ない状況を打ち返すあの奇策を立案し実行に移す“春蘭”に悪女の才を
感じずにはいられない一方で、ついに吹っ切れた“海宝”の清々しさたるや実にあっぱれ。
人の縁が魅せる展開を経て、“春蘭”らも気持ちにけじめが求められそうで続きが楽しみ。

posted by 秋野ソラ at 00:08 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル