2018年12月18日

『お前ら、おひとり様の俺のこと好きすぎだろ。2』

凪木エコ 先生が贈る青春ラブコメ。第2巻はボッチライフを邪魔される“春一”が今度は
“夢乃”のアルバイトに掛ける想いを知り、またさりげなく手を差し伸べることになります。
(イラスト:あゆま紗由 先生)

http://www.fujimishobo.co.jp/bk_detail.php?pcd=321803001774


おひとり様ライフを過ごしつつもプールイベントで“英玲奈”たち女性陣の水着姿を堪能
したりと羨ましさ炸裂の“春一”。巻き込まれエピソードなどで「らしさ」を見せる彼が
ふと目にした“夢乃”の子供好きな一面と人間関係に悩む姿が話に新たな波風を立てます。

夢を追う姿勢を“春一”の言葉で後押しされた“夢乃”だからこそ、友人である“比奈”
からの何気ない一言に強く反応せざるを得ないのも分かるというもので。けれどそれだけ
では辿り着けない「ソロ充」の妙な凄さに納得できるのもまた得心がいく。それが面白い。

今巻もなんだかんだ言って“夢乃”のピンチを思いがけない形で救ってしまう“春一”が
格好良いのなんの。それでいて“花梨”や“瑠璃”からのアプローチもあしらうあたりも
ブレがなくてまた良し。その彼を爆弾発言で戸惑わせる「彼女」の存在が気になります。

posted by 秋野ソラ at 00:14 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2018年12月17日

『救世主だった僕が三千年後の世界で土を掘る理由2』

有丈ほえる 先生が贈る考古学ファンタジー。第2巻は千年前の古戦場に消えた将軍の足跡
を追う“ニナ”たちが辿り着いた発掘村で彼の秘密、そして更なる陰謀の影を目にします。
(イラスト:ちょこ庵 先生)

http://lanove.kodansha.co.jp/books/2018/12/#bk9784065143391


突如現れた敵勢力と対峙し、共に消えた“サイトバル”将軍はアルデヒトを救った英雄。
彼が消息を絶ったハバラキ古戦場が発掘の舞台。“ニナ”をライバル視する“アカホヤ”の
登場で俄然、彼女の過去が気になりはじめた“リュト”の葛藤する様子が話の焦点の一つ。

発掘村に辿り着いた“ニナ”たちは目にするアカデミーや考古学研究の暗部も何のそので
目的とする遺跡を探し出す、という展開は胸がすくもの。“アカホヤ”がいることで演出
としても際立つものがあります。しかしながら真の敵は別にいる、という展開が実に熱い。

遺跡発掘を巡る陰謀に牙を剥けられた“ニナ”たちが肝をつぶす中で知った思いがけない
歴史の真実。更にその裏で“リュト”が直面する「あの人」の手のひら返しぶりには二度
ビックリと言わざるを得ません。過去の出来事がどこまで根強く絡んでいるのか注目です。

posted by 秋野ソラ at 00:04 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2018年12月14日

『裏世界ピクニック3 ヤマノケハイ』

宮澤伊織 先生が贈る女子ふたり怪異探検サバイバル・ストーリー。第3巻は呪いの影響も
なく裏世界での探検を再開する“空魚”と“鳥子”の2人に“冴月”の影がちらつきます。
(イラスト:shirakaba 先生)

http://www.hayakawa-online.co.jp/shopdetail/000000014069/shurui_3/page1/order/
http://www.ganganonline.com/contents/urasekai/


「ヤマノケハイ」では“小桜”の心配を他所に裏世界の安全ルート構築に乗り出す“空魚”
と“鳥子”の様子が久々に穏やか。“鳥子”の生まれ育ちに布石を感じたり、そんな話を
聞いた“空魚”が干渉してくる“冴月”の件を隠しながら色々と頭を悩ませるのが印象的。

「サンヌキさんとカラテカさん」において“茜理”の友人“夏妃”が巻き込まれた怪異の
対応に乗り出す2人を他所に、さりげなく百合な展開を見せてくれる設定がなかなかの妙。
能力使用に迷いのない“鳥子”に注目しつつ、“ウルミルナ”の予兆で緊張感が増します。

「ささやきボイスは自己責任」、秀逸な章題が指し示すテーマの象徴“潤巳ルナ”の動画
と“冴月”との関係、そして今の彼女と相対する“鳥子”の様子、最悪の事態に直面した
“空魚”がさらけ出す激情。コンビ2人が結論づける顛末は百合ポイント高めで素敵です。

posted by 秋野ソラ at 01:45 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2018年12月13日

『精霊幻想記 12.戦場の交響曲』

北山結莉 先生が贈る異世界転生譚。ドラマCD付き特装版が同時発売となる第12巻は助けた
“リオ”と助けられた“クリスティーナ”の葛藤を描きつつ、陰謀が巡らされていきます。
(イラスト/Riv 先生)

http://hobbyjapan.co.jp/hjbunko/lineup/detail/815.html
https://hobbyjapan.co.jp/comic/series/seireigensouki/


“春人”が“リオ”と同一人物である、と類推するきっかけを得た“クリスティーナ”が
あの日、彼を学院から遠ざけた者らと同じだと戒める様子が“ヴァネッサ”共々痛々しい。
“リオ”も含めてお互いに気付いているんじゃないかと胸の内を探り合う様子も心苦しい。

合縁奇縁の組合せで護衛任務につく“リオ”が追ってから逃れるための策も“レイス”の
読みの前では一歩及ばずで。彼に後押しされて“シャルル”が曝け出していく強欲ぶりが
逃亡劇の中で繰り広げられる微笑ましい女性陣らの雰囲気をも覆していくのが小憎らしい。

国境を前にあと一歩、という場面での激闘に“サラ”たちの力も借りて臨む“リオ”でも
防ぎきれない“クリスティーナ”の窮地。勢いに任せて彼の逆鱗に触れた“シャルル”は
お気の毒ですが胸がスッとしました。歴史を震撼させた彼の行方が気になるばかりです。

posted by 秋野ソラ at 00:21 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2018年12月12日

『榮国物語 春華とりかえ抄 四』

一石月下 先生が贈る男女逆転中華譚。第4巻は貴族優遇の“白水”が優勢な宰相選の対抗
として選ばれた“海宝”を後押しするため提案された縁談話に彼は大いに頭を悩ませます。
(イラスト:ノクシ 先生)

https://www.kadokawa.co.jp/product/321807000694/


貴族たちは“白水”を推す。反発する民衆は“海宝”を担ぎ上げる。しかし彼が勝つには
縁談を受けて宰相家、つまり貴族の力を借りなければならず民衆からの反発は必至。実に
綺麗な板挟みに加えて“春蘭”への想いを捨てきれない彼の懊悩ぶりが妙に微笑ましい。

“海宝”の気持ちも知らず縁談に賛成の意を示す“春蘭”。そんな彼女の罪つくりな所を
教えてあげない“秋明”のいたずらも後押しする形で最大の岐路に立たされる彼を他所に
宰相選挙に向けて抜け目ない追い打ちをかける“白水”の一手がいやらしくて憎たらしい。

まさに手も足も出ない状況を打ち返すあの奇策を立案し実行に移す“春蘭”に悪女の才を
感じずにはいられない一方で、ついに吹っ切れた“海宝”の清々しさたるや実にあっぱれ。
人の縁が魅せる展開を経て、“春蘭”らも気持ちにけじめが求められそうで続きが楽しみ。

posted by 秋野ソラ at 00:08 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル