2018年11月30日

『僕と死神の七日間』

蘇之一行 先生が贈る新作は、7日後の死を宣告された少年があっさりと事実を受け止めた
ことに納得のいかない美少女な死神が本当にやり残したことはないのか追求していきます。
(イラスト:和遥キナ 先生)

https://dengekibunko.jp/product/shinigami-7days/321808000006.html


現役で医大生となった優秀な兄を事故で失った“僕”は父親の期待に応えられず空虚な日々
を過ごす。ある日、自分にしか見えない美少女から死を宣告された彼は未練もなく清々する
と生きることに無頓着なそぶりを見せる。彼女は未練を探してあげる、と言うのだが──。

“死神”の少女に振り回されても、“僕”の中にある未練は飼い犬の“ハナ”しかなくて。
弟がそんなことになるとは露知らぬ兄“正人”にも、生前には命と向き合う場面があって。
それぞれ二人なりの時を過ごす様子はとても微笑ましいのに、向かう結末は実に切なくて。

このまま無為に過ごせば死を迎えるはずの“僕”。彼の未練を探すため最後まで付き合った
“死神”が彼の心境に変化をもたらしたとき、どんな結末を迎えるのか。“死神”が背負う
過去が示された瞬間が印象的で、それだけに後日譚は色々と複雑なものが胸をよぎります。

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2018年11月29日

『魔石グルメ 魔物の力を食べたオレは最強!』

結城涼 先生の「小説家になろう」投稿作が書籍化。異世界の貴族に転生した少年が不遇な
日々を過ごす契機となったスキルを活用する術を見い出して躍進していく顛末を描きます。
(イラスト:成瀬ちさと 先生)

https://kadokawabooks.jp/product/masekigurume/321807000700.html
https://ncode.syosetu.com/n0610eg/


「毒素分解EX」なる外れスキルを持って転生した“アイン”に対し、弟が持つのは聖騎士。
父“ローガス”も弟をあからさまに優遇するため、何とか見返そうと人一倍努力する彼の
不遇な日々は一夜にして某国の王子になるまでに変貌する。きっかけは魔石なのだが──。

話が進んでいくにつれて判明していく“オリビア”の深慮遠謀ぶりがすごい。そしてその
想いを一身に背負った“アイン”が魔石の力で得た力に奢ることなく、これまでと同様、
あるいはそれ以上に定めた目標に向かってひたすら努力していく姿勢は好感触と言えます。

“アイン”の運命を決定づけた“クローネ”もまた努力家で、彼に心惹かれていく想いを
絶たれそうな境遇にもめげることなく一途に抱き続ける様子が健気で応援したくなります。
成長した彼が入る学び舎で何が起こるのか、そして力の使い所は。続きが気になる話です。

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2018年11月28日

『いでおろーぐ!7』

椎田十三 先生が贈るリア充爆発アンチラブコメ。第7巻は生徒会選挙に臨む“領家”が
思わぬ番狂わせに見舞われたことを境に、反恋愛主義青年同盟部が最大の窮地に陥ります。
(イラスト:憂姫はぐれ 先生)

https://dengekibunko.jp/product/ideologue/321709000170.html


“宮前”も驚くほど卑劣な手も厭わず生徒会長に就任した“佐知川”が次々断行していく
恋愛至上主義を後押しする施策に、“藤枝”も量産型リア充スタイルで彼女持ちへと変貌
する始末。危機感を覚える“高砂”の前から突如“女児”も居なくなり異常さを覚えます。

迎えるクリスマスで生徒会側の猛反撃を喰らう“高砂”が拉致され、囚われの地で女医に
「恋愛欠乏症」なる診断を下されて治療と称し「洗脳」されていく過程が妙に生々しくて
彼の懊悩ぶりは「反恋愛」とは何かを問いかけるシリーズ最大の見せ場と言えるでしょう。

“高砂”不在の中で生徒会側を押さえた“領家”の修羅っぷりがぜひ見たい、と匂わせる
数々の証言を経て“女児”が下した決断がいかにもらしい落とし所。「リア充爆発しろ」
という言葉は誰のためにあるのか改めて問いかけたくなる結末も実に見事な幕引きでした。

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2018年11月27日

『おっさん、不労所得で帝国を導く2』

藍藤唯 先生が贈る禁労系ファンタジー。第2巻は“リュウ”の後輩にして“クルーエル”
から将来を期待される秘書“ヘレーネ”が、謀殺される中で巻き込まれる陰謀に触れます。
(イラスト:タジマ粒子 先生)

http://novel-zero.com/issued/2018/11/01.html


無理がきかなくなってきた体を考慮し、後進育成を見据えた“クルーエル”が白羽の矢を
立てたのが“ヘレーネ”。優秀な彼女ならさぞ尽力してくれるだろうと思う上司の思惑を
他所に、あまりの無茶振りに匙を投げようとする彼女のグズりっぷりには同情しかなく。

“イルミーナ”たちの提言にかかずらう“ヘレーネ”の多忙さに拍車をかけるある事件が
起きることで彼女の心が折れるのも納得で、可哀想すぎて思わず頭を撫でてあげたいほど。
何だかんだで助けに入る“リュウ”の優しさ、さりげないプレイボーイぶりが羨ましい。

コルド基地周辺を舞台に繰り広げられる陰謀の顛末と、複雑な人間関係の絡み合いが後半
面白い形で進んでいき“リュウ”が結局は「持っている」側の人間だと見せつける結末、
そしてエピローグで“ヘレーネ”が啖呵を切る場面は必見かと。続刊を期待したい所です。

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2018年11月26日

『三角の距離は限りないゼロ2』

岬鷺宮 先生が贈る不思議な三角関係恋物語。第2巻は“修司”から告白された“伊津佳”
からの相談に乗る“四季”たちを眺める“春珂”の胸に積もりゆく機微の変化を描きます。
(イラスト:Hiten 先生)

https://dengekibunko.jp/product/zerokyori/321806000043.html


「いつか告白するだろう」と思っていたことが現実のものとなったとき“伊津佳”が迷う
のも無理はない、それも恋愛というものだろう・・・と思っていたら彼女が悩んでいた点は
想像していたものと違っていて、でもそれは彼女らしい理由で色々と考えさせられます。

一方、“四季”と“秋玻”も恋人同士となってからの悩みがあって、それを解決していく
過程でサポートに回る面々がまさにオールスターズ。違った面で本作を楽しめる要素です。
積極的に想いを彼に示していく彼女の様子には驚かされると共に、焦りを感じさせます。

“秋玻”が抱く焦りはどこにあるのか。そのカギを握るのが振り返ると口絵にあった訳で。
合間合間に差し込まれる“春珂”の日記に綴られる、限られた時間の中で何が出来るかを
考え続けた彼女が導き出した結論が呼び起こす波が三角関係にどう楔を打つか、注目です。

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2018年11月23日

『救世主だった僕が三千年後の世界で土を掘る理由』

有丈ほえる 先生が「講談社ラノベ文庫」から贈る新作は終末考古学ファンタジー。人間が
侵略者によって地下に追われた世界で、生きた機械として作られた少年の命運を描きます。
(イラスト:ちょこ庵 先生)

http://lanove.kodansha.co.jp/books/2018/11/#bk9784065132036


突如、飛来したアルデヒドなる種族に侵略される人類が抗戦への望みを託した機械じかけの
子供たち。クチュールマタと呼ばれる彼らの一人“リュト”はコールドスリープから目覚め
目にしたのは宿敵が支配する人類のいない世界、そしてアルデヒドの猫耳少女だった──。

現実を目にして絶望する単身の“リュト”を、人間考古学の研究者として純粋に協力を乞う
“ニナ”たちの気持ちが救っていく流れに心温まるものを感じます。ただ、味わう間もなく
研究にまつわる陰謀や、彼自身も知らないクチュールマタの秘密が物語に影を落とします。

意外なところから真実に気づいてしまった“リュト”と“ニナ”。三千年の時を経て人類の
悲願は叶うのか。“座散乱木”博士が彼を「救世主」として後世に何を残したかったのか。
彼が下す決断とその顛末にご注目いただきたい。あと“アイル”の立ち位置が大好きです。

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2018年11月22日

『風銘係あやかし奇譚』

SOW 先生が贈る新作は、明治維新の折に西南戦争で新政府軍に敗れた薩摩の元サムライが
助けてくれた少女と共に文化振興事業を手伝う顛末を描く、文明開化あやかし奇譚です。
(イラスト:鈴ノ 先生)

http://micromagazine.net/books/10538/


武士の終焉、後世に言わしめる時代に士族として成人した“乃木虎徹”。彼が単騎で挑む
熊本城でその意味を痛感のも後の祭り。時は明治、東京で投獄された彼を牢から出そうと
という少女“卯月”が現れる。彼女は「文化振興を手伝ってほしい」と言うのだが──。

文明国を目指す日本で、時代の流れに潰されそうな独自文化。特に風雅な銘品を守るため
作られた部署「風銘係」で変わりゆく国に、そして“卯月”に“虎徹”振り回される姿は
微笑ましく映ります。そこへ異形の影が忍び寄ってくることで事は緊張感を帯びてきます。

「風銘」という言葉に込められた二重、三重の想い。「前がたり」の様子をいやが上にも
想起させる終章の顛末。選択を迫られた“虎徹”が見せた覚悟など、時代背景を踏まえて
浪漫を感じさせる展開が印象深かったです。和モノな作品に触れてみたい方にお薦めかと。

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2018年11月21日

『入職したら歳下上司と幽霊相手のお仕事でした』

三門鉄狼 先生が贈る新作は、幽霊が視えることをひた隠しにしてきた青年が幽霊絡みの
騒動を解決する部署に回され事件に巻き込まれていく、大人のお仕事ホラーコメディです。
(イラスト:なたーしゃ 先生)

https://ebten.jp/eb-store/p/9784047353886


「私たちが何人いるように見えますか?」安定志向の“小太郎”が区役所職員の面接にて
質問され、見たままを答える。その結果、採用された彼が連れられたのはスマホゲームに
興じる怠惰な女子高生にしか見えない“麻姫”が陣取る汚部屋、呪害対策課だった──。

「いないもの」に対する考え方の違いから“小太郎”と“麻姫”の第一印象は中々に悪い
スタートを見せます。「自殺アプリ」を巡る顛末で彼が同情してしまったりする様子は、
彼女から見ればもどかしく映ったことでしょう、と背負うものを知ってからは思えます。

“三日月”刑事との連携を経て明らかになっていく事件の真相、“麻姫”の事情、そして
真犯人の人物像。現代日本の世界観を踏まえてのオカルティックな要素と、“小太郎”の
真摯な姿勢にほぐれていく彼女の心情が相まって微笑ましく思えるラストが印象的です。

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2018年11月20日

『おっさんと女子高生、異世界を行く1』

青山有 先生の「小説家になろう」投稿作が書籍化。異世界に召喚された刑事が与えられた
能力を使い、元の世界にいる姪のもとへ帰る方法を模索していくファンタジー作品です。
(イラスト:マニャ子 先生)

https://herobunko.com/books/hero66/8878/
https://ncode.syosetu.com/n9097ek/


教会神官“ルファ”から勇者として召喚された経緯とギフトの説明を受ける“蔵之介”と
バス運転手の“三好”、女子高生の“清音”、そして男子高校生3名。男子高校生たちが
与えられた優勢な能力に比べ、“蔵之介”たち残り3名は劣勢で異世界人を失望させます。

粋がる男子高校生たちを他所に、真っ先に姪の“琴乃”を気に掛ける“蔵之介”の紳士な
振る舞いとそれを受ける彼女との信頼関係が微笑ましい。その絆とギフトの組み合わせを
活かして異世界と現世を通信できるようにした仕掛けの使い方も見どころの一つでしょう。

危害を加えようとする“ルファ”たちの意思を思いがけず感知した“蔵之介”ら劣勢陣が
どうやって彼女たちに一泡吹かせようかと術を模索し、それを実現していく展開が熱い。
言葉を荒げる彼女の様子は一見の価値ありかと。かの国を出て希望はあるのか、注目です。

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2018年11月19日

『道化か毒か錬金術』

水城正太郎 先生が贈る新作は、イタズラでいたずらに世を騒がせる正体不明の錬金術師が
要人へ殺人予告を出した、と聞いて捜査に乗り出す美人魔術師の運命的な邂逅を描きます。
(イラスト/Ume 先生)

http://hobbyjapan.co.jp/hjbunko/lineup/detail/813.html


ブロイ公国。天才錬金術師“アナーキスト・アルケミスト”のイタズラで施策を妨害される
というこの国の公爵殿下“アルト”に殺人予告が届く。護衛に派遣された女性エージェント
“イングリド”は彼の調子外れな言動に戸惑うばかり。本当に彼は狙われているのか──?

まずは先生の復帰を心よりお祝い申し上げます。“アルト”に振り回される“イングリド”
自身もぶっ飛んだ考え方の持ち主で、共に興味深く見ていられるバディぶりを魅せてます。
思いがけず訪れる世界の危機にさえ、真面目にふざけて立ち向かい退けていく流れは絶妙。

連作小編のような構成でそれぞれの章だけでも楽しめる内容ですし、先生ご自身のブログや
「そこあに増刊号」で語られた裏話を確かめると「なるほど」感が生まれて2度おいしい、
そんな面白さも内包した作品に仕上がっています。粋なバディものが読みたい方にお薦め。


◆『道化か毒か錬金術』への道。その一(新刊よろしく編) - 水城正太郎の道楽生活
https://s-mizuki.hatenablog.com/entry/2018/10/10/120734

◆そこあに増刊号「道化か毒か錬金術」発売記念特集 vol.42
https://sokoani.com/archives/12309.html

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2018年11月16日

『エクスタス・オンライン 06.二人のエルフと三つの思惑』

久慈マサムネ 先生が贈るエクスタシーVRMMOファンタジー。第6巻は“壮馬”の容赦ない
思惑を打破すべくエルフの国に望みを託す“駆流”の暗躍を描くオルゼリア編完結巻です。
(イラスト:平つくね 先生)

https://sneakerbunko.jp/product/ecstas-online/321803000507.html


のっけから“朝霧”に疑念を抱かれて余計にやりづらい“駆流”が苦肉の策で彼女に掛けた
エクスタスの場面描写がいやらしさをかき立ててきたのはポイント高め。しかし、そこで
彼が失態を招くばかりか、彼女から思わしげな行動に移られるあたりは読めない要素が多い。

“雫石”の独断専行への対処、業を煮やして“ウルリエル”に重複詠唱に及んだ対応など
おいしい場面に出くわしつつ、しっかりと情報を掴んでいくあたり“駆流”の立ち回りは
本当に上手くなったな、と実感します。“ウルリエル”も驚愕の秘密を握っていましたな。

“壮馬”との戦いは予想を超えて不利な局面に晒されて、読み手としても焦る展開でした。
そんな窮地を“駆流”がどう知恵を絞って乗り切るか、見届けるに値する熱さがあります。
“メル”のあの言動も気になりますが、引きが何より不穏すぎて続きが待ち遠しいです。

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2018年11月15日

『常敗将軍、また敗れる 2』

渡辺つよし 先生による漫画連載が早々に始まった、北条新九郎 先生のファンタジー戦記。
第2巻は新たな仕事を受ける中で“ティナ”が負け続けている姉“リィス”が登場します。
(イラスト/伊藤宗一 先生)

http://hobbyjapan.co.jp/hjbunko/lineup/detail/812.html
http://hobbyjapan.co.jp/comic/series/zyouhai/


“ダーカス”の「その筋では有名」ぶりを見せつつ今回向かうのはアイゼル王国の内乱に
巻き込まれた領地サウロン。その地を治める男爵だけでなく、“リィス”の挑発に乗って
単独行動に走ってしまう“ティナ”など、内外から理解されない彼の苦難は続いています。

「誰にも殺させない」けど「死ぬときは私が殺してあげる」と強い意志を見せる“リィス”
に対して“ティナ”は姉を殺したいのか、そう問いかける“ダーカス”の理解者たる姿は
魅力あふれる、まさに頼れる男の理想像。“アイザッシュ”の成長を見守る様子も同様に。

「ザルム傭兵団」という分かりやすい強さを示す敵だけじゃない今回の敗戦処理。優勢な
“マルサーユ”の姿勢を巧みに崩していく“ダーカス”の負けっぷりが爽快です。そこに
“ティナ”や“アイザッシュ”の一皮むけた様子も相まって見所も増えており、注目です。

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2018年11月14日

『理想の彼女と不健全なつきあい方』

瑞智士記 先生が贈る新刊は、憧れの女性コスプレイヤーの正体に気付いた大学一年生の
青年が周囲には秘密にしたい彼女と契約関係を結ぶところからはじまるラブコメディです。
(イラスト:フミオ 先生)

https://ebten.jp/p/9784047353879


高校一年の夏。同人誌即売会でお目当てのサークルにできた長蛇の列。薄い本も買えずに
心折れた“陸生”は会場で見かけたコスプレイヤー“μ”に心を惹かれる。瞬く間に一躍
有名となる彼女の画像をただ眺められればそれでいい、彼はそう思っていたのだが──。

ということで、サークルで出会った野暮ったい女性“美優”が“μ”として活動している
ことを知った“陸生”がつかず離れずの距離感で彼女の秘密を守ろうと、まさに東奔西走
していく様子は時に手に汗握ることもあれば「羨ましいぞこの野郎」と言いたくなる訳で。

もちろん隠し通すのも無茶な話ですのである人物にバレてしまうのですが、そこから挽回
できるかどうかに焦点が当たります。“陸生”の腐れ縁である“春奈”や郷土史研究会の
面々など他にもいつバレるか心配な要素をどう乗り切るのか。先が見てみたいものです。

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2018年11月13日

『六畳間の侵略者!? 30』

健速 先生が贈る人気シリーズ。通算32冊目はフォルトーゼからの留学生、そして新入生
として“賢治”の妹“琴理”を迎え入れる高校で“孝太郎”が3年生の生活を始めます。
(イラスト/ポコ 先生)

http://hobbyjapan.co.jp/hjbunko/lineup/detail/809.html


某性悪記者の妹“ナルファ”は、兄とは違い写真家か映像作家を目指すそそっかしい少女。
吉祥春風高校に留学生として訪れた彼女の世話係に“琴理”が選ばれる所から話は動いて
いきます。ようやく登場、といった訳で新たな幕開けを象徴するかのような新鮮さが良い。

今回は“賢治”がババを引く場面が目立ちました。女性と付き合う考え方を妹に理解され
なかったり、フォルトーゼと地球を巡る陰謀に巻き込まれたり、その流れで“孝太郎”が
青騎士として頑張ってきたこと、六畳間の面々との繋がりをようやく知ったのですから。

安定したチームプレイで“ナルファ”に迫る危機を払っていく安心感を堪能すると共に、
ちょっとずつバージョンアップしていく六畳間の面々の戦いぶりにも注目して頂きたい。
“賢治”も荒事に巻き込まれそうで同情を禁じ得ませんが、乗り越えてほしいものです。

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2018年11月12日

『私が大好きな小説家を殺すまで』

斜線堂有紀 先生が贈る新作は、ある作家のファンである不遇な少女が偶然に本人と出会い
救われたにも関わらず、彼を殺さなくてはならなくなる結末に至るまでの経緯を綴ります。
(イラスト/くっか 先生)

http://mwbunko.com/978-4-04-912111-7/


午後7時から午前7時。押入れの暗闇に閉じ込められる生活を母に強いられる少女“梓”
の数少ない拠り所は“遥川悠真”が書いた小説。その本が母の怒りを買う仇となり部屋で
一人となってしまった彼女は大好きな本を手に踏切自殺を図るが呼び止める声がして──。

先生の気まぐれに救われて。憧れの先生が綴る文章に触れるだけで幸せな時間が大切で。
そんな“梓”の幸せな時間が続けばいいのに、という期待は彼のスランプと彼を救おうと
とった彼女のとある手段がきっかけで脆くも崩れ去っていく。それが切なくて、苦しくて。

先生との長い付き合いを経て“梓”に育まれてきたある感情が最後の引き金に手をかけた
その時に“遥川悠真”は何を感じていたのか。彼女がそれをどう受け止めたのか。最後の
一文に込められたと思われる機微、その先にある情景を想像するためにぜひ読んで下さい。

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2018年11月09日

『ゲーマーズ!11 ゲーマーズと初恋マルチエンド』

葵せきな 先生が贈る、こじらせゲーマーたちのすれ違い青春ラブコメ。第11巻は突然に
訪れたイベントに対して“景太”たちがこじらせた想いに彼らなりの結論を導き出します。
(イラスト:仙人掌 先生)

http://www.fujimishobo.co.jp/bk_detail.php?pcd=321806000014


奪った側も、奪われた側も動揺が隠せない、これまた不器用な関係。

敗北者にしか見えない“可憐”、勝者にはとても見えない“千秋”。まさに惨憺たる様は
見るのも痛々しく。その精神的な苦痛をもゲームで乗り越えていくあたりは実に彼女たち
らしいと言うしかなく。すべてを理解していた“真音”の立ち回りがまた小憎い演出で。

唇を奪われた“景太”が自分のことはさておいて“亜玖璃”の、そして“祐”の背中をも
押していく姿勢から、彼の本質が見えてくるという描写もまた絶妙。“祐”が彼女に対し
襟を正した場面は「ようやくここまで来たか」と胸を撫で下ろしたくなるほど素敵でした。

ここまで散々こじらせてきた想いのベクトルに一つ区切りがついたことで、気になるのが
“景太”の去就。これはもう読んで確かめていただくしかありませんが、すんなり決まる
こともないあたりが彼らしい。うれし涙の先にある真の最終巻で何が飛び出すが注目です。

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2018年11月08日

『自称Fランクのお兄さまがゲームで評価される学園の頂点に君臨するそうですよ?5』

三河ごーすと 先生が贈る学園ゲーム系頭脳バトル。第5巻は獅子王学園の生徒会が新しい
体制と夏休みを迎える中で、“紅蓮”たちが新たなゲームの場に臨む物語のはじまりです。
(イラスト:ねこめたる 先生)

https://mfbunkoj.jp/product/f-rank/321807000181.html


理事長の思惑にまんまと嵌められてクオリアの所有権を賭けた世界各国の遊戯養成校との
戦いに参加させられる“紅蓮”の脇の甘さ。所々でそれが影を落としてくるのが気になる。
とは言え今巻はその嵐に挑む前の穏やかさを演出してきて微笑ましくなる場面が多いです。

今巻は冒頭にある“桃花”のモノローグにもあるとおり彼女の話が軸。中々に重い過去を
背負いつつ、勝負には向かない気質の彼女がどうすれば守るもののために強くなれるのか。
思いがけない才能を開花させて、意外な勝負で“紅蓮”を追い詰めていく展開が実に熱い。

「人生を賭けて戦う」なんて汚れた世界を知ってほしくない“紅蓮”の思いを知ってなお
ゲームの場に挑む“可憐”の気概が裏のテーマにもなっている印象を受けました。そこへ
畳みかけるように現れる新たな敵からのアプローチ。どんな死闘が待ち受けるか注目です。

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2018年11月07日

『ピンポンラバー2』

谷山走太 先生が贈る青春卓球ストーリー。第2巻は学園序列1位のパートナーに選ばれた
意外な人物の話を契機に、“翔星”や“瑠璃”が卓球と向き合う姿勢を改めて問われます。
(イラスト:みっつばー 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094517590


突如学園に帰ってきた“獅子堂”。彼のパートナー選びで白羽の矢が立つと信じていた
“瑠璃”の落胆、更には“紅亜”を追って押しかけてきた世界のトップ選手“メイリン”
からもダメ出しを食らう意味を推し量れなかった“翔星”の後手後手ぶりがもどかしい。

何のために卓球をするのか。思いがけず相対することになった“瑠璃”と“翔星”、各々
生い立ちがにじみ出る主張のぶつかり合いが切なくて、けれども心揺さぶられる何かが
たくさん込められていて印象深かった。“沙月”の頑張りも泥臭くて、また格好良くて。

頑なな“瑠璃”の目を覚まさせるための布石といて“翔星”が、そして“紅亜”が打った
布石が功を奏すか否か。彼の情熱が不条理に抗っていく戦いの行方、そして“瑠璃”自身
卓球とどう向き合うのか、この結末と結論は見届ける価値アリかと。続きが楽しみです。

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2018年11月06日

『どらごんコンチェルト!(1)』

『きんいろカルテット!』の 遊歩新夢 先生が贈る新作は、挫折したトロンボーン奏者が
異世界で出会ったトランペットを吹く少女との交流を描く、異世界音楽ファンタジーです。
(イラスト/三輪フタバ 先生)

https://over-lap.co.jp/Form/Product/ProductDetail.aspx?shop=0&pid=9784865543940&vid=&cat=BNK&swrd=


国際コンペでまさかの大失態を招いた“遊佐”。音楽を嫌いになるほどの失意から死をも
招いた彼が辿り着いたのは耳慣れない異国の地。彼はそこで魂を揺さぶる音色を紡ぎ出す
少女“フィリーネ”と出会い、竜神に音楽を奉納する竜楽師になる夢を手助けするが──。

音楽演奏に関する描写の妙については言わずもがな、権威に対する反抗心が窺える展開や
何のために演奏するのかを問いかけていく姿勢など、先生らしさが見える内容で安心感が
すごい。あと可愛い女の子が多く出てくる所もか。三輪 先生のイラストが花を添えます。

“ビショップ”の嫌がらせや“キトラ”が示す正しさ。“フィリーネ”へ迫る障害に対し
トラウマが残る“遊佐”が“ユーサー”として彼女に出来ることは何か。人のいざござを
前に竜神が示す託宣をぜひ見届けてあげてほしい。続刊に期待したいと思える作品です。

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2018年11月05日

『スレイヤーズ16 アテッサの邂逅』

神坂一 先生の往年の名作が復活。死闘を繰り広げた“リナ”と“ガウリイ”が里帰りする
途中で野盗騒ぎの護衛を引き受ける所から思わぬ陰謀に巻き込まれていく顛末を描きます。
(イラスト:あらいずみるい 先生)

http://www.fujimishobo.co.jp/bk_detail.php?pcd=321806000019


独特な“リナ”の地の文、聞き慣れた呪文詠唱、おなじみの決めゼリフ。どれもこれもが
懐かしく、そして感慨深く思うのはリアルタイムで本作を読んでいた者として致し方ない
と言わざるを得ません。遠い記憶を呼び覚ましてくれる補足説明の数々も実に親切設計で。

いろいろあって大技が使えない“リナ”と“ガウリイ”とはいえ手こずる敵とはいかなる
存在か。これまた懐かしい“アメリア”や“ゼル”の手を借りて真相に迫っていく展開は
布石の打ち方、拾っていく流れも滑らかで読みやすいのなんの。只々、脱帽のひとこと。

長い時を経て『スレイヤーズ』という伝説みたいな作品に平成最後の年、新しく手にした
読者の方々にはどう映るのか実に興味津々。「ファンタジア文庫」30周年でもありますし
ぜひ新シリーズとして続けていただいて老若男女、楽しみを共感したいと願うばかりです。

posted by 秋野ソラ at 00:05 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル