2018年11月15日

『常敗将軍、また敗れる 2』

渡辺つよし 先生による漫画連載が早々に始まった、北条新九郎 先生のファンタジー戦記。
第2巻は新たな仕事を受ける中で“ティナ”が負け続けている姉“リィス”が登場します。
(イラスト/伊藤宗一 先生)

http://hobbyjapan.co.jp/hjbunko/lineup/detail/812.html
http://hobbyjapan.co.jp/comic/series/zyouhai/


“ダーカス”の「その筋では有名」ぶりを見せつつ今回向かうのはアイゼル王国の内乱に
巻き込まれた領地サウロン。その地を治める男爵だけでなく、“リィス”の挑発に乗って
単独行動に走ってしまう“ティナ”など、内外から理解されない彼の苦難は続いています。

「誰にも殺させない」けど「死ぬときは私が殺してあげる」と強い意志を見せる“リィス”
に対して“ティナ”は姉を殺したいのか、そう問いかける“ダーカス”の理解者たる姿は
魅力あふれる、まさに頼れる男の理想像。“アイザッシュ”の成長を見守る様子も同様に。

「ザルム傭兵団」という分かりやすい強さを示す敵だけじゃない今回の敗戦処理。優勢な
“マルサーユ”の姿勢を巧みに崩していく“ダーカス”の負けっぷりが爽快です。そこに
“ティナ”や“アイザッシュ”の一皮むけた様子も相まって見所も増えており、注目です。

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2018年11月14日

『理想の彼女と不健全なつきあい方』

瑞智士記 先生が贈る新刊は、憧れの女性コスプレイヤーの正体に気付いた大学一年生の
青年が周囲には秘密にしたい彼女と契約関係を結ぶところからはじまるラブコメディです。
(イラスト:フミオ 先生)

https://ebten.jp/p/9784047353879


高校一年の夏。同人誌即売会でお目当てのサークルにできた長蛇の列。薄い本も買えずに
心折れた“陸生”は会場で見かけたコスプレイヤー“μ”に心を惹かれる。瞬く間に一躍
有名となる彼女の画像をただ眺められればそれでいい、彼はそう思っていたのだが──。

ということで、サークルで出会った野暮ったい女性“美優”が“μ”として活動している
ことを知った“陸生”がつかず離れずの距離感で彼女の秘密を守ろうと、まさに東奔西走
していく様子は時に手に汗握ることもあれば「羨ましいぞこの野郎」と言いたくなる訳で。

もちろん隠し通すのも無茶な話ですのである人物にバレてしまうのですが、そこから挽回
できるかどうかに焦点が当たります。“陸生”の腐れ縁である“春奈”や郷土史研究会の
面々など他にもいつバレるか心配な要素をどう乗り切るのか。先が見てみたいものです。

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2018年11月13日

『六畳間の侵略者!? 30』

健速 先生が贈る人気シリーズ。通算32冊目はフォルトーゼからの留学生、そして新入生
として“賢治”の妹“琴理”を迎え入れる高校で“孝太郎”が3年生の生活を始めます。
(イラスト/ポコ 先生)

http://hobbyjapan.co.jp/hjbunko/lineup/detail/809.html


某性悪記者の妹“ナルファ”は、兄とは違い写真家か映像作家を目指すそそっかしい少女。
吉祥春風高校に留学生として訪れた彼女の世話係に“琴理”が選ばれる所から話は動いて
いきます。ようやく登場、といった訳で新たな幕開けを象徴するかのような新鮮さが良い。

今回は“賢治”がババを引く場面が目立ちました。女性と付き合う考え方を妹に理解され
なかったり、フォルトーゼと地球を巡る陰謀に巻き込まれたり、その流れで“孝太郎”が
青騎士として頑張ってきたこと、六畳間の面々との繋がりをようやく知ったのですから。

安定したチームプレイで“ナルファ”に迫る危機を払っていく安心感を堪能すると共に、
ちょっとずつバージョンアップしていく六畳間の面々の戦いぶりにも注目して頂きたい。
“賢治”も荒事に巻き込まれそうで同情を禁じ得ませんが、乗り越えてほしいものです。

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2018年11月12日

『私が大好きな小説家を殺すまで』

斜線堂有紀 先生が贈る新作は、ある作家のファンである不遇な少女が偶然に本人と出会い
救われたにも関わらず、彼を殺さなくてはならなくなる結末に至るまでの経緯を綴ります。
(イラスト/くっか 先生)

http://mwbunko.com/978-4-04-912111-7/


午後7時から午前7時。押入れの暗闇に閉じ込められる生活を母に強いられる少女“梓”
の数少ない拠り所は“遥川悠真”が書いた小説。その本が母の怒りを買う仇となり部屋で
一人となってしまった彼女は大好きな本を手に踏切自殺を図るが呼び止める声がして──。

先生の気まぐれに救われて。憧れの先生が綴る文章に触れるだけで幸せな時間が大切で。
そんな“梓”の幸せな時間が続けばいいのに、という期待は彼のスランプと彼を救おうと
とった彼女のとある手段がきっかけで脆くも崩れ去っていく。それが切なくて、苦しくて。

先生との長い付き合いを経て“梓”に育まれてきたある感情が最後の引き金に手をかけた
その時に“遥川悠真”は何を感じていたのか。彼女がそれをどう受け止めたのか。最後の
一文に込められたと思われる機微、その先にある情景を想像するためにぜひ読んで下さい。

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2018年11月09日

『ゲーマーズ!11 ゲーマーズと初恋マルチエンド』

葵せきな 先生が贈る、こじらせゲーマーたちのすれ違い青春ラブコメ。第11巻は突然に
訪れたイベントに対して“景太”たちがこじらせた想いに彼らなりの結論を導き出します。
(イラスト:仙人掌 先生)

http://www.fujimishobo.co.jp/bk_detail.php?pcd=321806000014


奪った側も、奪われた側も動揺が隠せない、これまた不器用な関係。

敗北者にしか見えない“可憐”、勝者にはとても見えない“千秋”。まさに惨憺たる様は
見るのも痛々しく。その精神的な苦痛をもゲームで乗り越えていくあたりは実に彼女たち
らしいと言うしかなく。すべてを理解していた“真音”の立ち回りがまた小憎い演出で。

唇を奪われた“景太”が自分のことはさておいて“亜玖璃”の、そして“祐”の背中をも
押していく姿勢から、彼の本質が見えてくるという描写もまた絶妙。“祐”が彼女に対し
襟を正した場面は「ようやくここまで来たか」と胸を撫で下ろしたくなるほど素敵でした。

ここまで散々こじらせてきた想いのベクトルに一つ区切りがついたことで、気になるのが
“景太”の去就。これはもう読んで確かめていただくしかありませんが、すんなり決まる
こともないあたりが彼らしい。うれし涙の先にある真の最終巻で何が飛び出すが注目です。

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2018年11月08日

『自称Fランクのお兄さまがゲームで評価される学園の頂点に君臨するそうですよ?5』

三河ごーすと 先生が贈る学園ゲーム系頭脳バトル。第5巻は獅子王学園の生徒会が新しい
体制と夏休みを迎える中で、“紅蓮”たちが新たなゲームの場に臨む物語のはじまりです。
(イラスト:ねこめたる 先生)

https://mfbunkoj.jp/product/f-rank/321807000181.html


理事長の思惑にまんまと嵌められてクオリアの所有権を賭けた世界各国の遊戯養成校との
戦いに参加させられる“紅蓮”の脇の甘さ。所々でそれが影を落としてくるのが気になる。
とは言え今巻はその嵐に挑む前の穏やかさを演出してきて微笑ましくなる場面が多いです。

今巻は冒頭にある“桃花”のモノローグにもあるとおり彼女の話が軸。中々に重い過去を
背負いつつ、勝負には向かない気質の彼女がどうすれば守るもののために強くなれるのか。
思いがけない才能を開花させて、意外な勝負で“紅蓮”を追い詰めていく展開が実に熱い。

「人生を賭けて戦う」なんて汚れた世界を知ってほしくない“紅蓮”の思いを知ってなお
ゲームの場に挑む“可憐”の気概が裏のテーマにもなっている印象を受けました。そこへ
畳みかけるように現れる新たな敵からのアプローチ。どんな死闘が待ち受けるか注目です。

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2018年11月07日

『ピンポンラバー2』

谷山走太 先生が贈る青春卓球ストーリー。第2巻は学園序列1位のパートナーに選ばれた
意外な人物の話を契機に、“翔星”や“瑠璃”が卓球と向き合う姿勢を改めて問われます。
(イラスト:みっつばー 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094517590


突如学園に帰ってきた“獅子堂”。彼のパートナー選びで白羽の矢が立つと信じていた
“瑠璃”の落胆、更には“紅亜”を追って押しかけてきた世界のトップ選手“メイリン”
からもダメ出しを食らう意味を推し量れなかった“翔星”の後手後手ぶりがもどかしい。

何のために卓球をするのか。思いがけず相対することになった“瑠璃”と“翔星”、各々
生い立ちがにじみ出る主張のぶつかり合いが切なくて、けれども心揺さぶられる何かが
たくさん込められていて印象深かった。“沙月”の頑張りも泥臭くて、また格好良くて。

頑なな“瑠璃”の目を覚まさせるための布石といて“翔星”が、そして“紅亜”が打った
布石が功を奏すか否か。彼の情熱が不条理に抗っていく戦いの行方、そして“瑠璃”自身
卓球とどう向き合うのか、この結末と結論は見届ける価値アリかと。続きが楽しみです。

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2018年11月06日

『どらごんコンチェルト!(1)』

『きんいろカルテット!』の 遊歩新夢 先生が贈る新作は、挫折したトロンボーン奏者が
異世界で出会ったトランペットを吹く少女との交流を描く、異世界音楽ファンタジーです。
(イラスト/三輪フタバ 先生)

https://over-lap.co.jp/Form/Product/ProductDetail.aspx?shop=0&pid=9784865543940&vid=&cat=BNK&swrd=


国際コンペでまさかの大失態を招いた“遊佐”。音楽を嫌いになるほどの失意から死をも
招いた彼が辿り着いたのは耳慣れない異国の地。彼はそこで魂を揺さぶる音色を紡ぎ出す
少女“フィリーネ”と出会い、竜神に音楽を奉納する竜楽師になる夢を手助けするが──。

音楽演奏に関する描写の妙については言わずもがな、権威に対する反抗心が窺える展開や
何のために演奏するのかを問いかけていく姿勢など、先生らしさが見える内容で安心感が
すごい。あと可愛い女の子が多く出てくる所もか。三輪 先生のイラストが花を添えます。

“ビショップ”の嫌がらせや“キトラ”が示す正しさ。“フィリーネ”へ迫る障害に対し
トラウマが残る“遊佐”が“ユーサー”として彼女に出来ることは何か。人のいざござを
前に竜神が示す託宣をぜひ見届けてあげてほしい。続刊に期待したいと思える作品です。

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2018年11月05日

『スレイヤーズ16 アテッサの邂逅』

神坂一 先生の往年の名作が復活。死闘を繰り広げた“リナ”と“ガウリイ”が里帰りする
途中で野盗騒ぎの護衛を引き受ける所から思わぬ陰謀に巻き込まれていく顛末を描きます。
(イラスト:あらいずみるい 先生)

http://www.fujimishobo.co.jp/bk_detail.php?pcd=321806000019


独特な“リナ”の地の文、聞き慣れた呪文詠唱、おなじみの決めゼリフ。どれもこれもが
懐かしく、そして感慨深く思うのはリアルタイムで本作を読んでいた者として致し方ない
と言わざるを得ません。遠い記憶を呼び覚ましてくれる補足説明の数々も実に親切設計で。

いろいろあって大技が使えない“リナ”と“ガウリイ”とはいえ手こずる敵とはいかなる
存在か。これまた懐かしい“アメリア”や“ゼル”の手を借りて真相に迫っていく展開は
布石の打ち方、拾っていく流れも滑らかで読みやすいのなんの。只々、脱帽のひとこと。

長い時を経て『スレイヤーズ』という伝説みたいな作品に平成最後の年、新しく手にした
読者の方々にはどう映るのか実に興味津々。「ファンタジア文庫」30周年でもありますし
ぜひ新シリーズとして続けていただいて老若男女、楽しみを共感したいと願うばかりです。

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2018年11月02日

『辺境貴族、未来の歴史書で成り上がる 〜イリスガルド興国記〜』

三門鉄狼 先生が贈る新作は、所有者が好きなことを書き込める未来の歴史書を手にした
辺境の若き領主が楽な人生を手に入れるべく運命を書き換えていくファンタジー作品です。
(イラスト:東山エイト 先生)

http://www.sbcr.jp/products/4797398441.html


戦乱の世で戦死した父の跡を継ぎ王国の外れにある領地を預かることになった“アルト”。
遺品を整理していた彼が見つけた本から刻の精霊“クロノ”が現れるも彼女の軽いノリに
疑いの眼差しは拭えず。しかし試してみると、確かにありえない希望が現実となって──。

単純に未来が書き換えられてウハウハというワケではなくて“クロノ”が語ってくれない
未来の歴史書に課せられた制約を探りながら、窮地を救う未来を手繰り寄せていく様子を
“アルト”と一緒に考えながら楽しめる物語です。もちろん素直に読み進めるのも可です。

突然の躍進と“クロノ”の存在が気になる“アルト”のいとこ“エレナ”、彼に救われて
乙女回路が走っちゃう“リーゼロッテ”の言動も面白い。そして歴史書でもままならない
時代の流れが押し寄せてくる緊張感も見所と言えるでしょう。続きが気になる作品です。

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2018年11月01日

『俺、ツインテールになります。16』

水沢夢 先生が贈るツインテール愛あふれるシリーズ。第16巻は“エンジェルギルディ”が
“トゥアール”の身も心もかき乱す展開に“総二”がかつてないツインテール愛を見せます。
(イラスト/春日歩 先生)

https://www.shogakukan.co.jp/books/09451754


ツインテール属性を摘出したことで“トゥアール”の死が間近に迫るほど寿命が縮まった
という真実。その力が自身の右手首にあるという事実。“総二”らの葛藤すら手玉に取る
“エンジェルギルディ”の直接に力を振るわないアプローチがいやらしいことこの上ない。

“総二”のツインテール愛をもってしても“トゥアール”が持つエレメーラの呪いを破る
ことが出来ず、“エンジェルギルディ”の強さにも圧倒され、“唯乃”の死を告げられた
“総二”たちが最悪の局面となる“ペルソナギルディ”と対峙する局面はまさにどん底。

故郷を失った“トゥアール”の復讐心を止められないのか、と諦めかけたその時、我らが
“総二”の見せた勇気からの怒涛のラッシュが熱い。春日 先生のイラストもそれを後押し
してくれます。巻末でいつも通りの彼女が見られて本当に良かった。次巻も楽しみです。

posted by 秋野ソラ at 00:11 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル