松山剛 が贈る新作は、動画投稿サイトに上げられた「歌声だけがない歌う少女」の動画を
見たある青年が突然、彼女の声を聴けるようになることから始まる、切ない愛の物語です。
(イラスト/さけハラス 先生)
【 http://mwbunko.com/978-4-04-912117-9/ 】
“永瀬”が悪友から勧められた「無声少女」の動画にすっかり嵌まってしまったある日、
なぜか自分だけ動画から歌声が聴こえた。幻聴かと疑いつつも歌詞を書き出してみると
ある場所に近い情景が含まれていることに気付く。彼は「無声少女」に逢えるのか──。
講義もすっ飛ばして“永瀬”が辿り着いた場所にいたのは“サクヤ”という女の子。でも
話がちぐはぐで彼女は「無声少女」ではないらしい、という所からあれよあれよと2人の
未来に、更には人生観に迫っていく設定と展開が絶妙で結末からは切なさと愛が溢れます。
ロストナンバーで上げられた曲のタイトルが物語における色々な要素を含んでいたのだと
読み返してみて分かります。“永瀬”が、“サクヤ”が、そして「無声少女」がそれぞれ
想うこと、願うことの顛末をどうか見届けてあげてほしい。そう思えるお薦めの一作です。