2018年09月18日

『二十世紀電氣目録』

すでにアニメ化が進んでいる、結城弘 先生の第8回京都アニメーション大賞奨励賞受賞作。
明治時代に出会った、神仏を妄信する少女と電気が人々を救うと豪語する少年の恋物語です。
(イラスト:池田和美 先生 美術・背景:長谷百香 先生)

http://www.kyotoanimation.co.jp/books/lineup/?cd=978-4-907064-88-4
http://www.kyotoanimation.co.jp/books/20thdenmoku/


酒造りの家に生まれた“稲子”は信心深く、鈍くさいことで知られる少女。傾いた経営の
カタに酒問屋の“洋輔”に嫁入りが決まると意気消沈する。そんな彼女に偶然知り合った
“喜八”が救出に乗り出すが、彼が幼少の折に書いた「電氣目録」が欲しいと言われ──。

「二十世紀は電気の世紀」兄“清六”と共に行った博覧会で電気に魅了された“喜八”が
落書きのように書いた「電氣目録」が欲しい理由は何か。1冊の本を巡って描かれる壮大
かつ浪漫にあふれた冒険譚と恋愛模様にまず惹き込まれます。彼を応援したくなります。

“喜八”と“稲子”が結婚話をご破算にしようと四苦八苦する中で出会う人物たちが描く
思いがけない相関図が、2人が実は逢うべくして逢っていたのかもしれない、と思わせる
ほどに秀逸に出来ていて驚きました。信じる心が結ぶ話も清々しくて、実に良かったです。

posted by 秋野ソラ at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル