2018年09月14日

『僕は君に爆弾を仕掛けたい。』

高木敦史 先生が贈る新作は学園謎解きラブコメディ。とある理由により仕掛けた爆弾を
見つけられた少年が、それを見つけた少女の言動に次々振り回されていく様子を描きます。
(イラスト:遠坂あさぎ 先生)

https://sneakerbunko.jp/product/bokuhakiminibakudan/321805000440.html


テストで常に一位を取りながら保健室登校を続ける“小手毬”は七不思議に挙げられる
ほど謎多き存在。ある日、“胤森”先生を悪意から護るために爆弾を準備した“笹子”は
彼女にそれを撤去されてしまう。探りを入れてみると思わぬ舌戦を繰り広げる破目に──。

「犯人」を引きずり出せるか。“笹子”に対して勝負を挑む“小手毬”を軽くあしらう
つもりがとんでもない事実を突きつけられて完敗してしまう彼の油断。それが彼と彼女が
学園内の謎に首を突っ込む契機になるのが面白い。2人のこじらせ具合も相当なもので。

気難しい“小手毬”が抱く、学園の良くも悪くも「平和主義」な一面へのくずぶった憤り。
それがお気に入りとした“笹子”からの手痛いしっぺ返しで晒される、何ともはた迷惑な
痴話喧嘩をぜひ見届けてあげてほしい。そして2人の行く末を見守ってほしいものです。

posted by 秋野ソラ at 00:14 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2018年09月13日

『察知されない最強職2』

三上康明 先生が贈るファンタジー作品。第2巻はダンジョンからあふれ出たモンスターに
巻き込まれた村を見捨てようとする者、助けようとする者、各々の思惑と葛藤を描きます。
(イラスト:八城惺架 先生)

https://herobunko.com/books/hero59/8647/
https://ncode.syosetu.com/n5475dz/


“ラヴィア”の魔法がどれほどのものか調べつつ、彼女を助けた際の「アリバイ工作」が
有効に機能しているか探りを入れたり、入れられたりする“ヒカル”駆け引きが面白い。
今回の件に首を突っ込む“ポーラ”を気にかける彼にヤキモチを焼く彼女がまた可愛い。

皇国との戦争を優先するあまりギルドも高ランクの冒険者たちを村の対応に割けない中、
“ポーラ”たちが死地とも言える現場へ駆けつける様子を見て“ヒカル”が事態打開を
狙って単独でのダンジョンアタックに臨むあたりはいかにも彼らしくて思わず苦笑い。

黒と白の竜に“ヒカル”や“ラヴィア”が苦戦を強いられる中、“ポーラ”がある重要な
選択肢を迫られるのが今巻一番のポイント。ダンジョンの最奥で示されたアレももちろん
話の軸を握る鍵ではあります。“ポーラ”の選んだ道に過ちがなかったことに一安心です。

posted by 秋野ソラ at 00:03 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2018年09月12日

『精霊幻想記 11.始まりの奏鳴曲』

コミカライズに続きドラマCD化が決定した、北山結莉 先生が贈る異世界転生譚。第11巻は
“貴久”と“亜紀”が起こした騒動を前に“雅人”たちがどう決断を下すのか、注目です。
(イラスト/Riv 先生)

http://hobbyjapan.co.jp/hjbunko/lineup/detail/800.html
https://hobbyjapan.co.jp/comic/series/seireigensouki/
https://ncode.syosetu.com/n1094bz/


事の顛末を知った“雅人”を前にあくまで理性的な対応をとる“リオ”、そして“美春”。
先々を見据えて頑張っていただけに、“雅人”にとって苦渋の決断だったのは少々切ない。
反省の色が薄い“貴久”に“沙月”が言いきってくれたのは救いのようで、空しくもあり。

今回の件で思い悩む“リリアーナ”や、爆弾発言を投げかける“シャルロット”。様々な
想いを置いて“リオ”が向かうのは“セリア”の実家。そこは“アルボー”公爵のむき出し
となった野心に身の危険を覚えた者たちの姿があったのだから驚きです。父の言動もですが。

思いがけず逃避行に手を貸すことになった“リオ”も、尾行を続けてきたアレの悪意などに
晒されて一筋縄ではいかない展開に力が籠ります。“瑠衣”の言動も見る限り「勇者」の
存在が少しずつこの世界を歪めていくのではないか、そんな予感を抱きつつ次巻を待ちます。

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2018年09月11日

『理想の娘なら世界最強でも可愛がってくれますか?』

三河ごーすと 先生が贈る新作は終末学園ファンタジー。謎の寄生生物により地上を追われ
地下で再起を図る人類の希望となるやも知れぬ少女とその冴えない父親の日々を描きます。
(イラスト:茨乃 先生)

https://mfbunkoj.jp/product/risounomusume/321804000082.html


人類唯一の地下生存圏「人類再生機構」。その要因となった胞子獣を駆逐する魔法騎士を
育む魔法騎士学園に首席入学した“雪菜”はSランクの持ち主であり、父親の“冬真”に
べったりでもあることから色々と注目を集める少女。学園生活に不安が否めないが──。

“冬真”に思う所ある“カチュア”。彼女の娘で“雪菜”をライバル視する“セリカ”。
そこに父娘に助けられた“アレイナ”や何やらいわくありげな“黒子”が加わって親離れ
できない娘の成長を追う、子離れできない親の姿を穏やかに見守れると思ったら大間違い。

突如現れたカルト集団、そしてSランク一人でも太刀打ちできない胞子獣の出現に困惑する
“雪菜”の哀しみと怒りの頂点から告げられたお願いが「終末世界」であることを嫌でも
再認識させてくれます。引きも穏やかではない雰囲気に包まれていて続きが気になります。

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2018年09月10日

『彼女のL 〜嘘つきたちの攻防戦〜』

三田千恵 先生が贈る新作は、嘘が分かる特異体質の少年と、彼が気に掛ける嘘をつかない
少女、そして嘘ばかりつく学校のアイドルが織り成す奇妙なトライアングルストーリーです。
(イラスト:しぐれうい 先生)

https://ebten.jp/eb-store/p/9784047352308


人の嘘が分かる、それ故に父との人間関係すらぎくしゃくしている“正樹”。彼は級友の
“川端”の話から、彼女の親友である“小林”を殺した犯人として心当たりのある“佐倉”
に探りを入れることに。思わせぶりな彼女からは「絶対言わない」と強く言われるが──。

嘘をつくのが嫌いな“正樹”。嘘をつきたくない“川端”。いつも嘘ばかりつく“佐倉”。
その信条に至った背景がしっかりしているだけに“佐倉”がさも悪者のように映りますが
「“川端”が“小林”を殺した」という噂が出回ることで状況は大きく揺らいでいきます。

やがて“小林”が抱えていた嘘に辿り着くことで、“正樹”も“川端”も嘘との向き合う
姿勢に変化が現れ、成長を垣間見ることができる描写の数々と話の結び方はお見事と言う
しかなく。しぐれうい 先生の表紙のインパクトや挿絵の演出も上々でお薦めの一作です。

posted by 秋野ソラ at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル