2018年08月31日

『Everlasting』

藤村由紀(古宮九時)さんがコミックマーケット94で頒布された新刊。異世界から侵入する
異形らと戦う組織最強の少女と、彼女を支える幼馴染の少女を巡る数奇な運命を描きます。
(イラスト:白線 さん)

https://mypage.syosetu.com/141617/


人を喰らい、破壊の限りを尽くす異形の存在《鵺》から世界を護る者が集う「廃城機関」。
その組織で最高位を務める“亜貴妃”には守りたい日常がある。周囲から腫れ物のように
扱われる彼女に寄り添ってくれる幼馴染“メイ”と過ごす時間が何よりの救いだから──。

最強と呼ぶにふさわしい異能の力を持つ“亜貴妃”。その責任からしがらみも多い彼女が
敵に対して、そして組織内の仲間に対しても厳しい様子を見せるのとは対称的に、優しい
雰囲気を醸し出す“メイ”とのやりとりが実に印象的です。そこに裏があるとは露知らず。

「廃城機関」という組織が一枚岩ではない、という不遇さ。そもそもなぜ「廃城機関」と
呼ばれるのか。《鵺》が異世界から侵入してくる理由とは。すべてを知った“亜貴妃”が
結果をどう受け止めるのか。刹那の幸せに望む未来があることを願わずにはいられません。

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2018年08月30日

『子育て陰陽師 へっぽこアラサー男と狐と小さなお弟子さん』

真楠ヨウ 先生の「第5回富士見ラノベ文芸大賞・金賞」受賞作にしてデビュー作。有数の
見鬼眼だけが取り柄という陰陽師を訪ねた4歳の女の子がもたらす生活の変化を描きます。
(イラスト 紀伊カンナ 先生)

https://www.kadokawa.co.jp/product/321804000773/


「あのねサヤね、間宮のおじさんに言われてここの子になるの。」見ず知らずの幼女から
いきなり宣言されて困惑する陰陽師の“春明”とその式神“識”。元気いっぱいの彼女は
式神にも興味津々で・・・ということは彼と同じく「視える」能力者のようなのだけど──。

対称的に優秀な兄からの要請もあり“サヤカ”を引き取ることになった“春明”。見鬼眼
という能力の危うさについて説くも思うようにいかず、子育ての面からも“識”からは
ダメ出しの連続で“春明”のへっぽこぶりがコミカルな前半は楽しく読み進められます。

“サヤカ”との生活にも慣れてきた所で現れる彼女の親族。離れたくない彼女とは裏腹に
あっさり引き渡しを決める“春明”。それが思わぬ怪異を招いて後悔するあたりですとか
やるときはしっかりやる彼のシリアスさにご注目。新しい家族の姿を見守りたいお話です。

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2018年08月29日

『ソードアート・オンライン オルタナティブ クローバーズ・リグレット3』

渡瀬草一郎 先生が贈る、和風VRMMOを舞台とした「SAO」スピンオフ作品。第3巻は勢いで
お泊りイベントを発生させたりする“ナユタ”と“クレーヴェル”の本音に触れていきます。
(イラスト:ぎん太 先生 原案・監修:川原礫 先生)

https://dengekibunko.jp/product/saoa-clover/321804000341.html


風邪でお休みの“クレーヴェル”に代わって役目をこなす“リリカ”に対して嫉妬の念を
抱く“ナユタ”が可愛くて。くっつくまで秒読み、というそぶりを見せながらも言葉では
「そんなつもりはない」と意思表示をする彼女の真意が見えず彼同様、困惑するばかりで。

“ナユタ”たちと一緒にいることで“クレーヴェル”の張り詰めていた印象が和らいだと
口を揃えて発言する周囲の関係者。そこへ、ふっと沸いた彼の見合い話。その裏に見える
SAO事件の傷痕。その傷をもってしても二人の絆を分けるのが難しいのは得心がいきます。

社員の中でもレアキャラという“八鳥”が作り出した《思考出力》に、いわゆる「先」を
感じるのも良い趣向。更に思いがけない未来予想図まで描かせる、という効果をもたらし
実に心地よい終幕を演出してくれました。潜在的な願望が形になることを願うばかりです。

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2018年08月28日

『ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミンXIV』

宇野朴人 先生が贈るファンタジー戦記。 第14巻は帝国本土への侵攻を開始したキオカに
対して、そして“シャミーユ”の悲願に向けて“イクタ”が命を懸けた一手を仕掛けます。
(イラスト:竜徹 先生)

https://dengekibunko.jp/product/alderamin/321804000332.html


“イクタ”と“ジャン”、互いの考えを先読みする戦略の応酬がまず熱い。その中で出た
「イクタ・ドクトリン」が功を奏する様子に喜びつつ、少しずつ劣勢に追い込まれる帝国
に焦りを覚えます。“サザルーフ”の言動が絶妙な形でその情勢に拍車をかけていました。

帝国とキオカ、両国最大の戦いは“ミアラ”の想いも救われる形でまとまる・・・かと思えば
ついに「敗戦」処理が始まるワケで。“シャミーユ”の呪いを解くため“イクタ”が放つ
渾身の裏切りには胸を震わせるものが。“トリスナイ”もまた被害者という演出も同じく。

民主化する帝国の成長を願いながら“ヤトリ”の元へ旅立つ“イクタ”の潔さ。見たくも
あり、避けたかったとも思うあたり複雑な感情が胸の中をよぎります。願わくば彼の意を
汲んで“シャミーユ”が幸せになってほしい。そう思える幕引きでした。お疲れ様でした。

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2018年08月27日

『錆喰いビスコ2 血迫!超仙力ケルシンハ』

瘤久保慎司 先生の「第24回電撃小説大賞・銀賞」受賞作に待望の続刊登場。第2巻は場を
島根に移し“ビスコ”が自身の不死性を取り除くべく不死僧正なる人物の素性を探ります。
(イラスト:赤岸K 先生 世界観イラスト:mocha 先生)

https://dengekibunko.jp/product/bisco/321801000626.html


大宗教国家・島根。その拠点「出雲六塔」から6人の弟子たちに追い出された不死僧正
“ケルシンハ”の復讐劇に巻き込まれる“ビスコ”の胃を抜かれて大丈夫な体がまず凄い。
仙医“アムリィ”を連れての「経典」奪取競争、その苦戦ぶりに敵の強さを滲ませます。

“ミロ”も“ケルシンハ”に脳を侵食されたりと難しい局面を迎えますが、思いがけず
「錆」とは何か、「真言」の意味とは、という話の鍵を握る部分に触れることになって
ますます“ビスコ”とは違った方向に強さを見せていく場面の数々は注目と言えるかと。

最終決戦を前に明らかとなる“アムリィ”の不遇。そして摩錆天として猛威を振るう
“ケルシンハ”の強さ。まさしく神に抗うが如き“ビスコ”たちの戦いっぷりが熱い。
信念と信念のぶつかり合いは必見です。神に狙われる彼らの次なる物語に期待大です。

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2018年08月24日

『女同士とかありえないでしょと言い張る女の子を、百日間で徹底的に落とす百合のお話』

みかみてれん さんがコミックマーケット94で頒布された新刊。おしゃれにも十分気を遣う
イケてる女子高生が不用意な一言を境にあり得ないはずの道に落とされる過程を描きます。
(イラスト:雪子 さん カバーデザイン:ゆぞうに さん)

http://unnamed.main.jp/teretania/
https://www.melonbooks.co.jp/detail/detail.php?product_id=384302
https://amzn.to/2MYEl8C


バイトをクビになって欲しいバッグも買えない“鞠佳”は売春も軽々しく考える女子高生。
そんな彼女にクラスメイトの“絢”が100万円を突きつけて1日1万円で買うと言ってきた。
「女同士なんてありえない」という考えを翻すなんてありえない、と彼女は息巻くが──。

その気じゃない“鞠佳”が“絢”との勝負にどう負けていくのか、駆け引きの描写が絶妙。
徐々に距離感が近付いていく様子や、触れ合っていくあれこれとか攻めの姿勢が窺えます。
「誘い受け」とか言われちゃう場面とかもうね。落ちていく姿を見るのは実に良いもので。

もちろん“鞠佳”が落ちる展開を楽しむだけではなくて、なぜ“絢”が彼女に対して勝負を
持ち掛けたのか、この理由に触れていく流れにもご注目。勝負の行方を際立たせてくれます。
雪子さんのイラストもキャッチーで目を惹くものがあり、オススメするしかない一品です。

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2018年08月23日

『猫と竜 猫の英雄と魔法学校』

シリーズ累計10万部を超す、アマラ 先生が贈る竜と猫そして人間が紡ぐファンタジー作品。
第3巻は“クロバネ”と共に行く王子、“シロタエ”に教えられる少女が遂に邂逅します。
(イラスト:大熊まい 先生)

http://tkj.jp/book/?cd=TD285508
http://konomanga.jp/manga/nekoryuu
https://ncode.syosetu.com/s5614b/


魔法学校に何とか理由をつけて“ガリー”を行かせようとする“シロタエ”の苦労に同情
しつつ、それが思わぬ形で実を結ぶことになるとは苦笑い。彼女のやる時はやる姿をぜひ
見てあげてください。王子もなかなか見所がある、というか一筋縄では行かなそうですが。

ハチの巣を退治しに行ったつもりがクマと戦う破目になる“ヤジュウロウ”たちの男気が
溢れる一面もいいですね。その顛末を任された“猫竜”も「母の日」に翻弄されるあたり
変わらないと言えば変わらない。“母猫”も満更ではないようで堪能しているのも何より。

老雄猫“ポムポラ”が寿命を悟り、その瞬間を迎えるまでを描くラストの「終の寝床」が
また実に印象的で。猫だからこそ、というかこの世界観だからこそ感じ取ることができる
死生観のようなものが切なさを呼び起こします。これだから読むのを辞められないのです。

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2018年08月22日

『日常ではさえないただのおっさん、本当は地上最強の戦神』

相野仁 先生の「小説家になろう」投稿作が書籍化。帝国で地上最強の異能を司る男が街で
最低ランクのベテラン冒険者として若い同業者たちを、ひいては国を護る様子を描きます。
(イラスト:桑島黎音 先生 先生)

https://sneakerbunko.jp/product/wargod/321804000369.html
https://ncode.syosetu.com/n3740ei/


「その場しのぎのバル」と揶揄される“バル”は、知識と経験を活かし若き冒険者たちに
同行しては世話を焼く、人の良いおじさん。しかし家に帰ると帝国の最大戦力「八神輝」
の一人“ミーナ”が出迎えてくれる、彼自身もまた戦神と称される傑物の一人である──。

侮ることなかれ、と知る人からは一目置かれる“バル”が庶民暮らしを続ける中で国内外
における異変を嗅ぎつけながら力を振るう様子は見ていて気分が良いです。女性陣からの
関心も高く、実に羨ましい。“ミーナ”がだいぶべったりなのは心配したくなる所ですが。

冒険者としての一面ばかりで“バル”は本当に強いのか? とつい勘繰ってしまう思いを
突然現れる魔物たちの謎などお構いなしに一蹴してしまう場面が吹き飛ばしてくれました。
この先どんな敵が現れるのか、そして彼はどこまでその強さを見せつけるのか楽しみです。

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2018年08月21日

『魔王の娘だと疑われてタイヘンです! LV.1 剣士の娘にニラまれてます!』

姫ノ木あく 先生が贈る新作はファンタジー作品。世界を救った勇者が倒した魔王の城から
連れ帰った赤子を巡り、守りたい者たちと首謀者として疑う者たち、双方の思惑を描きます。
(イラスト:よう太 先生)

http://www.sbcr.jp/products/4797398144.html


魔王討伐から10年余り。冒険者育成の一面を担う学院で学ぶ“エリナ”は少々落ちこぼれ
でも元気いっぱいの女の子。その彼女を「監視してほしい」と依頼された大剣使いの少女
“カナーン”は学院へと赴く。魔王の娘な可能性が高い、という話を見定めるため──。

クラスメイトの“ペトラ”からちょっかいを受けたりする日々の中でもまっすぐに育った
“エリナ”の姿を見て、育ての親たる“リクドウ”の愛の深さと親バカぶりを感じます。
友だちになりたい、と近づく彼女を冷たくあしらう“カナーン”の不信感が際立ちます。

“エリナ”自身も知らない「何か」が色々あって、本当に魔王の娘なのか、という展開が
話を揺さぶってきます。また、女の子同士の友情がどう生まれ、育んでいくのか、それを
ぜひ確かめていただきたい。そしてニヨニヨしてほしい。そんな期待があふれる作品です。

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2018年08月20日

『りゅうおうのおしごと!9』

ドラマCD付き限定特装版が同時発売の、白鳥士郎 先生が贈る熱血将棋コメディ。第9巻は
“銀子”とのタイトル挑戦に臨む“天衣”の将棋に対する想いをいま一度掘り起こします。
(イラスト:しらび 先生)

https://ga.sbcr.jp/novel/contents/index.html#b05


まさに“天衣”のための物語。そして姉弟子へ繋がると期待される物語。「人魚姫」と
「エピローグ」を読み返すとその想いが強く心に残ります。茨姫の助言に失望した彼女が
挑戦者として、女流棋士として、そしてシンデレラとして成長を遂げた姿に圧倒されます。

幼い身に過大なプレッシャーを受ける“天衣”を師匠としてどう後押しするか悩みぬいた
“八一”の振舞いにも注目。あの墓前でも見せたその葛藤を“生石”との「捌き」の中で
見事に彼女への声援として昇華させた親心。棋風に乗せたその想いには泣かされるものが。

先日、第三期叡王戦第一局の観戦記を担当された先生のように、今回観戦記を初めて書く
こととなった“あい”。異なる視点で将棋を観ることにより将棋への気持ちを新たにした
彼女の成長にも期待したい所。あとコメディ部分も担ってくれてありがとうの気持ちです。

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2018年08月17日

『5分後に息をのむ 世にも不思議なストーリー』

木野誠太郎 先生、なみあと 先生、仁木英之 先生、針谷卓史 先生、美月りん 先生による
短編集シリーズ。ブラックユーモア、ファンタジー、感動、恐怖など様々な情景を描きます。
(イラスト:456 先生、水溜鳥 先生)

http://www.seitosha.co.jp/book/isbn-9784791627509.html


各先生方が5冊、その内 なみあと 先生だけ6冊、で計26の小編を収録した本作。分類は
児童書にあたります。文字が大きく、1つあたり10ページ程度でサクッと読める気軽さは
本を読むのに慣れるきっかけにも繋がりそうでまさに小・中学生向けなのもうなずけます。

息をのむ、ということで『トイレの近い花子さん』『棒打ち』のようにオカルティックな
恐さもあれば、事件性のある『家庭訪問』、救いのある『消えたハムスター』やその逆の
『白ゆき姫』、『青のサッカーボール』のように突拍子の無いものまで本当に色とりどり。

普段は長編の作品を拝読する作家さん方の「こんな作品も書けるんだ」と、意外な一面の
ようなものを感じられるのがアンソロジーの醍醐味。それを再認識させてくれた感じです。
特に なみあと 先生の作品に思い入れがあるので次につながる契機になればと願うばかり。

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2018年08月16日

『妹が泣いてるんで帰ります。 〜兄がデスマーチに巻き込まれた時、妹が取るべき10の対策〜』

三上ミカ 先生がTwitterで掲載していたイラストシリーズを 田尾典丈 先生がノベライズ。
ゲーム開発を巡り社畜生活を送る社会人たちとその妹さんによる愛と感動のラブコメです。
(イラスト・企画:三上ミカ 先生)

https://mfbunkoj.jp/product/deathmarch/321804000083.html


ゲーム開発を請け負う会社でディレクターを務める“大輝”。プロデューサーの無理難題に
対応すべく残業を重ねることもしばしば。そんな彼に大切な妹の“優花”から電話が入り
今日も遅くなると告げると、隠し切れない涙声が。そう、今日は彼女の誕生日だった──。

十人十色な兄妹の関係を小編でそれぞれ描きつつ、それを繋げてゲーム開発の行方に触れる
構成で夢物語を堪能できます。・・・いや、実際に帰られたらと思うと虚しさが去来するので。
話の中で彼らが妹のために帰れるのも周囲の理解と協力があってこそなのは認識頂きたい。

三上ミカ 先生の描く仲睦まじい兄妹の微笑ましい様子を堪能してもらうと共に、ゲームを
開発するのにはプログラマーだけじゃない色々な人たちが関係していることを知ることが
できる導入本のような役割をも果たす本作。悶絶しながら楽しめることうけあいでしょう。

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2018年08月15日

『美少女作家と目指すミリオンセラアアアアアアアアッ!!4』

春日部タケル 先生が贈るクリエイターたちの熱血ラブコメ。第4巻は新人賞候補作として
最後まで残った問題作、その作者を巡り“清純”が編集者として更に翻弄されていきます。
(イラスト:Mika Pikazo 先生)


https://sneakerbunko.jp/product/million-seller/321803000502.html


新人賞選考に残った、殺人シーンを生々しく描写する問題作『くたばれ』。作者がまさか
小学生で、更に冷笑的に振舞われるとなると直面した“清純”でなくとも驚くしかなく。
そんな彼女“美門”が“天花”に可能性を感じていた、となると裏も探りたくなるもので。

先生になってほしい、と願う“ひよこ”に付き合っていくことで、思いがけず“美門”の
心境に変化をもたらす過程。そして彼女がなぜ『くたばれ』を書いたのか、という背景に
迫っていく展開は印象深いものが。そして編集長の慧眼が凄すぎてこれまた空恐ろしい。

今回も大物相手にクサいセリフをバンバン注ぎ込んでいく“清純”の熱量も見所の一つ。
そんな騒動を知る由もない、出番が少なめな“天花”についても編集長の目が冴え渡る
と思えば、これまた斜め上な所から渦中の人となってしまう流れからは目が離せません。

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2018年08月14日

『魔王の俺が奴隷エルフを嫁にしたんだが、どう愛でればいい? 6』

手島史詞 先生が贈る、不愛想魔王と箱入りエルフによるラブコメファンタジー。第6巻は
とある手違いで少年の姿になった“ザガン”が元の姿に戻る策を求めて極東に足を運びます。
(イラスト/COMTA 先生)

http://hobbyjapan.co.jp/hjbunko/lineup/detail/795.html


“ザガン”から強さを教示されない対応策として「大きくなること」を望む“フォル”の
考え方が独特で興味深いと感じる中で彼の身にかかる呪いのようなまさかの災難。奇しくも
COMTA 先生の望んだ展開が訪れた、ということでまずはお祝いの言葉を申し上げる次第で。

“オリアス”からも薦められた島国で“セルフィ”に意外な繋がりが見えてくる展開とか、
賢竜“オロバス”そして魔王“マルコシアス”の昔話とか、過去の布石が色々絡んでくる
場面の一つ一つに要注目。そして“ネフィ”の深く静かな怒気の示し方も目を惹く所で。

歪な状態にある“フォル”を襲う窮地を前にして、小さい“ザガン”も本領を発揮できず
どうするの? という場面で、デートを楽しみそこねた彼もようやく報われたかなぁ、と。
結末も“ネフィ”が良い娘すぎて頭を撫でたくなる勢い。のろけがぜひ聞きたいものです。

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2018年08月13日

『あんたなんかと付き合えるわけないじゃん!ムリ!ムリ!大好き! 3』

内堀優一 先生が贈る青春ラブコメ。第3巻は“小春”との関係について周囲を困惑させた
“悟郎”が彼女からの別れの提案に対し、その瞬間を迎えるまで共に在る決意を示します。
(イラスト/希望つばめ 先生)

http://hobbyjapan.co.jp/hjbunko/lineup/detail/798.html


“悟郎”のために出来ること。2年生の新学期を別れの日と定めた“小春”の様子からは
窺えない彼女の強がりにいつ気づけるか。彼女のわがままに付き合い振り回される彼には
なかなか難題だったかも知れません。2人を気遣う“明菜”が本当に良い娘すぎてもうね。

ギクシャクしていた“久礼人”との関係修復に乗り出したり、まるで贖罪のような“真冬”
からの対応に物申したり、と“悟郎”が壁を乗り越えていく。その一方で、両親に対する
想いを伝えることのできない“小春”の取り残された様子が対称的で、切なさに溢れます。

あとがきにかえて 内堀 先生が巻末に添えた文章からこの結末に至った心境が垣間見える
ような気がして、だからこそラストの挿絵が前向きな気持ちに繋がってくれることをただ
祈るばかり。そして願わくば「彼女」と約束を果たしてほしいと思わずにはいられません。

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2018年08月10日

『高崎グラフィティ。』

「第1回未完成映画予告編大賞」グランプリを受賞した 川島直人 監督の長編デビュー作。
高崎で卒業式を迎えた男女5人を描く今夏公開の映画を 古宮九時 先生がノベライズです。
(イラスト/とろっち 先生)

http://mwbunko.com/978-4-04-893935-5/
http://takasaki-graffiti.com/


彼氏と結婚する“寛子”。東大に進学する“康太”とFランク大学に進学する“直樹”。
父の整備工場を継ぐ“優斗”。東京の専門学校で服飾の勉強をする“美紀”。卒業後の
道を語る5人の中で“美紀”に「入学金が未納」と連絡が入る所から話は動き出す──。

学校生活で感じていた息苦しさと、高崎という地で募らせた閉塞感が胸中に重なる感覚。
怒りも悲しみも、後悔も決意も、卒業と共に解放されるクラスメイトたちの様々な感情。
戸惑って、ぶつかって、修復不可能になりそうな関係を紙一重で繋ぐのが未納騒動です。

入学金を払うはずの父はなぜ見つからない? お金が払えないなら夢をあきらめるか?
“美紀”の葛藤が4人に伝わり、自分に出来ることを、漠然とした将来を見つめ直す。
迷走した5人が揃って叫んだあの宣言は空色のあの服みたいな清々しさを覚えました。

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2018年08月09日

『おいしいベランダ。 マンション5階のお引っ越しディナー』

コミックス第1巻が今秋発売予定の、竹岡葉月 先生が贈る園芸ライフラブストーリー。
第5巻はマンション修繕でベランダが使えなくなった“まもり”たちの危機を描きます。
(イラスト:おかざきおか 先生)

https://www.kadokawa.co.jp/product/321803001467/
http://www.fujimishobo.co.jp/sp/201607veranda/


ベランダに一切の私物を置くべからず、ということで“北斗”の母“瑠璃子”の家の庭を
借りる“葉二”と“まもり”。その縁で“北斗”の複雑な家族事情を垣間見ることになる
“まもり”が反省できるあの姿勢は見習いたい。にしても「葉二さん」呼びが微笑ましい。

修繕工事の騒音を煩わしく感じる日が続く中、今度は“まもり”の従姉妹“涼子”が夢を
追い海外赴任した先から帰ってきます。借主が突然の帰国、となると“まもり”は実家に
戻ることになるため“葉二”と築いてきた距離感もあって戸惑いが隠せないのは胸中複雑。

“葉二”が苦手とする“涼子”にも深い事情があって、これまた世知辛さを滲ませます。
お隣さんとしての関係が終わりを告げる、その先に“まもり”たちがどう心を決めるか。
二十歳を迎え、大学生活の終わりまでに彼女が手に入れる場所とは何か、気になります。

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2018年08月08日

『おっさん、不労所得で帝国を導く』

藍藤唯 先生が贈る新作は、政争に敗れて小麦農園に左遷された若手魔導士が悠々自適な
生活を送っているはずなのに、政治を裏から操っているなどと噂される顛末を描きます。
(イラスト:タジマ粒子 先生)

http://novel-zero.com/issued/2018/07/01.html


「お前には今が見えていない」そう言い放つ“クルーエル”からの通達を素直に受け取り
新天地で小麦を買い付け出店を営む“リュウ”。彼の弟子で宮廷魔導士“イルミーナ”、
空戦准将“ラピス”、騎士団長“パテル”が気を揉む中、国を揺るがす事態が起こる──。

出世した弟子たちの将来を見守る・・・だけでは安心できない“クルーエル”の施策に対し
直接的に手は出せなくなったけど、間接的に口を出して何とかしていく“リュウ”の知見。
次々に施策を覆される“クルーエル”の言動と対称的で、各章の顛末が見ていて楽しい。

情報屋“ベルリ”や商会若頭“アリコ”たちとの騒がしくも楽しい日々を送る“リュウ”。
彼を左遷させた“クルーエル”の思いにも一理あって、どちらが正しいかは歴史しか証明
できない話なのですが“リュウ”の帝国指導がどこまで通用するか見届けてみたい所です。

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2018年08月07日

『女神の勇者を倒すゲスな方法5 「そして日常へ……」』

笹木さくま 先生が贈る異世界勇者攻略譚。第5巻は女神“エレゾニア”の襲撃から逃れた
“真一”たちが彼女の秘密を探るべく、“アリアン”の父である赤き竜に助力を乞います。
(イラスト:遠坂あさぎ 先生)

http://ebten.jp/eb-store/p/9784047352056/


“希美”を物のように扱われた“真一”の“エレゾニア”に対する怒りが深く伝わります。
そのことがこの世界における勇者の謎が女神が女神たる所以に辿り着く契機にもなるのは
皮肉なもので。赤き竜から情報を聞き出す際の、彼の弄り具合がまた容赦なくて好きです。

恋する乙女ぶりを発揮する“アリアン”に負けじと“リノ”や“セレス”も“真一”への
アピールがレベルアップしていて、これまた見ていて楽しい。明け透けな“レギーナ”に
言い争いで負ける“セレス”の様子とか新鮮で、遠坂 先生の絵と共にぜひ見てほしい一面。

何物にも、何者にも容赦の無い“エレゾニア”の強さを前に“アリアン”らが何を思うか。
受けた怒りを過去最大規模のゲスな作戦で女神に返していく“真一”の対応とともにぜひ
見届けていただきたい結末です・・・と思ったらもう1冊出るのですね。楽しみに待ちます。

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2018年08月06日

『ラストラウンド・アーサーズ クズアーサーと外道マーリン』

『ロクでなし魔術講師と禁忌教典』の 羊太郎 先生が贈る新シリーズはアーサー王伝説を
もとにした世界の危機を救う次代の王を決めるための継承戦に挑む人々の戦いを描きます。
(イラスト:はいむらきよたか 先生)

http://www.fujimishobo.co.jp/bk_detail.php?pcd=321803001779


アーサー王の血を引く11人の継承者候補《王》の一人である“瑠奈”はエクスカリバーを
売り、仕える《騎士》“ケイ”にいかがわしい仕事で金稼ぎをさせるロクでなし女子高生。
最弱候補の彼女らが継承戦脱落の危機を迎える瞬間、とんでもない男が割り込んで──。

何やらいわくつきの“凜太朗”が見せる様々な強さに圧倒されたと思えば、それを超える
“瑠奈”の傲岸不遜ぶりに思わず唖然とする導入部。巻き込まれる“ケイ”も可哀想、と
思っていると彼女がロクでなしな理由にもちゃんと意味があると分かって好感が持てます。

バトルはパワーインフレの応酬が見ていて楽しい流れで「あの強い“凜太朗”がまさか!」
みたいな敵の出し方、能力の設定など見どころ満載です。“瑠奈”と“凜太朗”、意外に
良さげな相性を醸し出す2人が継承戦をどう立ち回るのか注目していきたいシリーズです。

posted by 秋野ソラ at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル