「ファンタジア文庫」に初登場となる 新井輝 先生の新作は、12階建てビルの13階にある
という噂の探偵事務所に助けを求める人々と、記憶を消せる探偵との人間模様を描きます。
(イラスト:ヤスダスズヒト 先生)
【 http://www.fujimishobo.co.jp/bk_detail.php?pcd=321802000914 】
【 https://kakuyomu.jp/works/1177354054885267873 】
「人の記憶を消してくれる」「3日以内に難題を解決する」「依頼者もそれを忘れる」。
何とも眉唾物の「忘却社」をすがる思いで探し求める“咲夜”が解決したいのは同級生
“藍”のストーカー騒動。12階建ての建物を虱潰しに探す彼女が目にしたものとは──。
『ROOM NO.1301』のことを思い起こさずにはいられない設定。個性的な人格の持ち主らと
相まって、どこか懐かしさすら感じます。見えない目的に向かって困った人たちを助ける
“翼”の因縁がもたらす物語に、最初は戸惑いながらも“咲夜”同様、惹かれていきます。
社長代行という立ち位置や、記憶を消すという能力の意味など、独特なギミックの使い方
ですとかいかがわしい描写といった「新井輝」節を久々に堪能しました。登場人物たちの
ベクトルの向き方も穏やかではないものを含んでおり、どう話を転がすのか興味深々です。