2018年06月29日

『榮国物語 春華とりかえ抄 三』

「月刊プリンセス」にて チノク 先生によるコミック連載もスタートした 一石月下 先生の
男女逆転中華譚。第3巻は“秋明”のスパイ容疑に“海宝”が“春蘭”にも疑念を抱きます。
(イラスト:ノクシ 先生)

https://www.kadokawa.co.jp/product/321802000680/


“春蘭”と“紫峰”との仲を訝しむ“海宝”の姿を堪能する余裕も揺るがす「尭」の侵攻。
次々に落とされる砦。赤獅子の異名を持つ皇帝自ら乗り出してきたとはいえ早すぎる展開。
“秋明”こそ裏切り者、ともたらされる密告を前に揺れ動く“春蘭”の機微が見所の一つ。

再び陛下から妃嬪に、と“春雷”に声が掛かったのを知った“莉珠”が打った逃げの一手。
これが思いがけず“秋明”の隠し通してきた過去を知る人物との邂逅、更には彼の嫌疑に
隠された秘策があると気付かせる大きな一手に繋がる展開。これも注目すべきところかと。

“海宝”と“秋明”。互いが互いを思う感情のすれ違いをどうにかしようとする“春蘭”
に対して“秋明”が問いかけたあの質問。その意味を“春蘭”が今後どう咀嚼するのか、
“春雷”との「とりかえ」に気付く人物も増えてきたことも含めてとても気になります。

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2018年06月28日

『モンスターになった俺がクラスメイトの女騎士を剥くVR』

水瀬葉月 先生が贈る新作は新感覚VR-RPG小説。モンスターになって女NPCキャラを脱がす
ギャルゲーとリアルファンタジーゲームの世界が繋がってしまった騒動の顛末を描きます。
(イラスト/藤ます 先生)

http://dengekibunko.jp/newreleases/978-4-04-893588-3/


「ユニオンは為せり。魔の証を神に示せ。さすれば世界は元の姿を取り戻す」謎のメール
を受け取った“源斗”は引きこもりゲーマー。不穏さを感じつつゲーム中で女騎士NPCの
服を脱がすことに成功すると、どうやら彼女はプレイヤーだということが判明するが──。

藤ます 先生が描く挿絵のエロさをこれでもか、と活用するシチュエーションの数々には
まず恐れ入る所。2つのゲーム世界が繋がってしまったことで女の子が次々と攫われる
事件の犯人に“セリス”から勘違いされる“源斗”も、その所業ゆえに同情の余地はなく。

初期状態になった“源斗”が非道なモンスターにどう立ち向かうか。その戦いも実に熱い
ですが、その先にある意外な悪意を前に、ギャルゲー好きとしての矜持を示す、彼なりの
仁義の通し方をぜひ見届けてもらいたい。エピローグも良い締めくくりでオススメです。

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2018年06月27日

『恋してるひまがあるならガチャ回せ!2』

杉井光 先生が贈る廃課金ラブコメ。第2巻は新入生ただ1人の「モバイルゲーム同好会」
なるサークルに入る“遠野”が、その特殊な事情と向き合うことになる顛末を描きます。
(イラスト/橘由宇 先生)

http://dengekibunko.jp/newreleases/978-4-04-893876-1/


押しかけ女房のような甲斐甲斐しさを“遠野”に見せる“紗雪”。恋人なのでは、と指摘
する“樋沢”の心情も分かるというものです。そんな彼女が、彼を憧れとする“美森”の
誘いを受けてサークルに入る、というのだから黙っていません。そんな様子もまた面白い。

3人でゲームにいそしんでいる中、「モバイルゲーム同好会」に所属していた男たちから
“美森”の正体に対する忠告を受けます。“遠野”も直感で彼女に何かあると踏むまでは
良かったのですが、まさかそんな特長を持っているとは。廃課金勢には敵かも知れません。

ここで廃課金ゲーマーとしての矜持を見せつけるところが“遠野”たちのカッコイイのか
情けないのか絶妙なところで。部員不足で部室を追われる窮地を迎える“美森”を彼らが
彼らなりのやり方で解決する顛末も見所。“紗雪”が彼に折れてくれるのを期待します。

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2018年06月26日

『ネトゲの嫁は女の子じゃないと思った? Lv.17』

聴猫芝居 先生が贈る、残念で楽しい日常≒ネトゲライフ。第17巻は“シュバイン”として
ネトゲに勤しむ“茜”が身バレの窮地。隠れオタとして究極の選択肢が突き付けられます。
(イラスト/Hisasi 先生)

http://dengekibunko.jp/newreleases/978-4-04-893900-3/


「オタクもJKも卒業する〜!」などと錯乱する“茜”。とは言え、それも自業自得に近い
彼女の立ち回り故なのですが、そこに“英騎”たちも一緒にネトゲをやめることを決断
させるなど、それこそムリゲーと言わざるを得ない話の行方がコミカルに進んでいきます。

リア充計画に巻き込まれた“亜子”のイメチェン姿を堪能したり、“亜子”公認で“茜”
とデートを満喫したり、と相変わらず役得の多い“英騎”。彼も含め、改めてネトゲと
実生活との距離感を考えさせる場面が印象深い。結論は、まぁ、推して知るべしですが。

この騒動に決着をつけるために、元生徒会長が成し遂げられなかった悲願のミスコンが
関わってくる話運びがまた面白い。ここでも巻き込まれる“亜子”には手を合わせつつ、
エピローグにつけられた副題に“茜”の真骨頂を見ました。新体制の動向にも注目です。

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2018年06月25日

『はたらく魔王さま!SP』

和ヶ原聡司 先生が贈る魔王と勇者の庶民派ファンタジー。TVアニメBD&DVDの特典小説に
書き下ろしを加えた一冊。“千穂”の実家で農業を手伝う“真奥”たちの顛末を描きます。
(イラスト/029 先生)

http://dengekibunko.jp/newreleases/978-4-04-893877-8/


5巻と6巻の間に位置付けられる本作。「農業ナメないことね」と啖呵を切る“恵美”の
男勝りというか人間離れした活躍ぶりだとか、彼女が抱く“真奥”に対する因縁と印象が
交錯する様子も見られたり、と“千穂”もうかうかしていられない展開がとても面白い。

重労働にグロッキーとなる“芦屋”や“漆原”の姿も印象的で。農業の大変さを理解する
“真奥”が見識を高めていくところがまた彼らしい。そんな和気あいあいとした雰囲気の
中で発生する畑泥棒騒動。ここで動かにゃ男がすたる、と本気を見せるのがまた良い所で。

途中、しっかりとラッキースケベな場面を挟みつつ、勇者と悪魔、両陣営が協力し合って
犯人探しをする話運びですとか、そしてあの「二つ名」を無かったことにしようと足掻く
“恵美”の涙ぐましい努力など、堪能する機会を与えていただいて感謝の念が絶えません。

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2018年06月22日

『魔王の始め方6』

オンラインゲームも好評配信中となる、笑うヤカン 先生のダークファンタジー。第6巻は
新大陸を任せた“ソフィア”の成長を見届ける“オウル”に更なる難題が降りかかります。
(イラスト:新堂アラタ 先生)

http://ktcom.jp/bn/bn040
https://novel18.syosetu.com/n6426w/
http://www.comic-valkyrie.com/modules/web_valkyrie/maouno/
http://www.dmm.co.jp/netgame/social/-/gadgets/=/app_id=463002/


おあずけを食う“イェルダーヴ”を驚愕させる“ザナ”の強襲、そして駆け引き。真意に
気付いた“ソフィア”の機転を活かす形で姉妹の運命を引き寄せるあたり、“オウル”も
抜け目がありません。“イェルダーヴ”の変貌ぶりに対抗意識を燃やす“リル”が可愛い。

“サリハ”を献上したりするあたりに“オウル”も困惑する“ソフィア”の思惑。そこに
危うさを感じさせつつ突如舞い込んでくる“テナ”の先見。“オウル”の抗えぬ死という
意味が明らかになると共に手詰まり感が増していく展開が緊迫の雰囲気を醸し出します。

紙一重に近い解決方法で事なきを得た“オウル”が用意された乱交の場を堪能する最中に
“マリー”から提案された内容に彼が驚くのも無理はなく。更に明かされた顛末を結ぶに
ふさわしい最大の謎を踏まえて、彼の選ぶ愚かしい決断が未来を切り開くことを願います。

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2018年06月21日

『本好きの下剋上〜司書になるためには手段を選んでいられません〜第四部「貴族院の自称図書委員3」』

香月美夜 先生が贈る大人気ビブリア・ファンタジー。第四部・3巻は冬の終わりを迎える
“ローゼマイン”が神殿や貴族院で忙しなく過ごす中、避けられない新たな節目が訪れます。
(イラスト:椎名優 先生)

https://tobooks.shop-pro.jp/?pid=127856217


“ハンネローネ”という同好の士を見つけた興奮からお茶会を台無しにしたり、想定外の
方法で“エグランティーヌ”たちに祝福を与えたり、と社交に力を入れる“ローゼマイン”
のやらかし具合が今巻も微笑ましい。“ユストクス”が苦言を呈するのも納得の展開です。

引き続き忙しい日々を過ごす“ローゼマイン”が冒頭で見た、長い長い夢。それが結びの
「大事なお話」を暗喩するかのようで、読み返してみるとまたグッとくるものがあります。
心折れそうになる決断を下してもなお、前を向いて笑い合える彼女の気丈さには感服です。

良い仲に誤解される“ルッツ”と“トゥーリ”、2人が「大事なお話」をどう受け止めた
のかを描く短編「時の流れと新しい約束」がなおのこと胸に響きます。巻末マンガであの
例え話を活かしたネタが中々にツボでした。あの発表が物語をどう動かすのか、注目です。

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2018年06月20日

『この度、公爵家の令嬢の婚約者となりました。しかし、噂では性格が悪く、十歳も年上です。』

市村鉄之助 先生の「小説家になろう」投稿作が書籍化。家督を継げない男爵家の長男に
舞い込んだいわくつきの婚約話。刺々しい彼女の隠された想いに気付けるかが問われます。
(イラスト:夕薙 先生)

http://dash.shueisha.co.jp/release/#978-4-08-631246-2
https://ncode.syosetu.com/n1669do/


剣の一族に生まれるもその才能はなく、家督を継ぐことが許されなかった“ジャレッド”。
縁談の席で“オリヴィエ”から追及された彼があっさり認めると「宮廷魔術師を目指せ」と
彼女は難題を突き付けてくる。彼女との交際はともかく彼は難題に向き合うのだった──。

母“ハンネローネ”と専属メイド“トレーネ”の3人暮らしな“オリヴィエ”の頑なな姿勢
とは裏腹に2人からは覚えの良い“ジャレッド”。婚約話で彼もやっかみを受ける中、その
周囲にある陰謀が渦巻いていることを知ってから、彼女の印象が変化していく所が興味深い。

宮廷魔術師になるべく魔術師協会からの難しい依頼に臨む“ジャレッド”が“オリヴィエ”
に対して力強く宣言するあたり、そして有言実行で示してくれる場面がとても格好良いです。
彼女の心が解きほぐされていく様子は見ていて微笑ましくなることうけあい。オススメです。

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2018年06月19日

『ひげを剃る。そして女子高生を拾う。2』

しめさば 先生が贈るサラリーマンと女子高生の日常ラブコメディ。第2巻は“沙優”の
やりたいことを引き出そうとする“吉田”に思いがけない出来事が立て続けに起こります。
(イラスト:ぶーた 先生)

https://sneakerbunko.jp/product/higewosoru/321803000503.html
https://kakuyomu.jp/works/1177354054882739112


バイトを始めた“沙優”の同僚“あさみ”が“後藤”にとっても救われる存在で、全編を
通じて読み手としても有難い存在だと分かる、良いキャラです。それにしても“後藤”が
明かした想いが意味する所は汲むものの中々にズルくて彼が困惑するのも無理はないかと。

なんだかんだ言いながら続けてきた歳の差、性別の差を超えての同居生活。それが不自然
だということを“沙優”に対して、そして“後藤”に対して厳しく告げる人たちの言葉が
痛々しく刺さります。分かっているのに気付かないふりをしてきた二人の葛藤が生々しい。

そこへ決定的な事件として“沙優”に「過去の未練」が襲いかかります。“吉田”に日々
守られてきたことを痛感する彼女が何を思うのか。それに対して彼がどう向き合うのか。
交わした約束が示すその意味を噛みしめつつ来たるべき日の訪れを待てたらと思います。

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2018年06月18日

『静かの海 その切ない恋心を、月だけが見ていた 上・下』

筏田かつら 先生が贈る新作は「小説家になろう」投稿作の単行本を加筆修正して文庫化。
就活に失敗した大学生とボーイッシュな少女の出会いから始まる年の差恋愛を描きます。
(イラスト:LAL!ROLE 先生)

http://tkj.jp/book/?cd=TD285003
http://tkj.jp/book/?cd=TD285027


せっかくの採用内定を取り消された“行成”が気を腐らせていると、飼い犬に逃げられた
小学生の“マサキ”に助けを求められる。別の日に雨宿りする“マサキ”と偶然再会した
“行成”はその、どこか憂いげな様子を気遣って自宅へ来ることを提案してみると──。

引越しをして新しい学校に馴染めない“マサキ”にとって、気さくに話せる“行成”との
やりとりは心の支えになっていくものの、それは彼がボーイッシュな“マサキ”を男子と
信じて疑わないからこそ。微笑ましくも綱渡りのような危うさは緊張の糸が張るかのよう。

やがて仄かな想いへと変わる“マサキ”の気持ちも知らぬまま、関西にある会社への就職
を決め、彼女も作る“行成”。内心ではショックな彼女にも、彼女が好きだという男子が
現れたり、いじめが発生したりでどうなっちゃうの〜? というところまでが上巻の展開。


下巻では家族のこと、進路のことで悩む“マサキ”へ追い打ちをかけるように“行成”が
助けに入り、彼女の想いもより深くなっていきます。彼女もまた好意を寄せている男子の
気持ちも知らないで、という似た者同士な様子を見せるのが面白くて、そして切なくて。

やがて来る決定的な瞬間を前に不安や不満など気持ちが押さえられなくなった“マサキ”。
受験を乗り越え、卒業式を間近にした彼女が意外な形で様々な人たちの感情に触れていく
場面の一つ一つが胸に刻まれていくかのようでした。その間に彼がいないだけ、余計に。

亡き父が残した月の石、そして「静かの海」というキーワード。時間や距離という概念を
超えて結びつく「誓い・約束」は必ずしも果たされるとは言えませんが、2人の出会いが
この先「人を好きになる」ことへの可能性を感じる一助になることを願って止みません。

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2018年06月15日

『魔王を倒した俺に待っていたのは、世話好きなヨメとのイチャイチャ錬金生活だった。』

かじいたかし 先生が贈る新作は、倒した魔王の力を受け継がされたことで世を追われた
勇者が身を隠して出会った錬金術師の少女によって生活を一変させていく顛末を描きます。
(イラスト/ふーみ 先生)

http://hobbyjapan.co.jp/hjbunko/lineup/detail/789.html


錬金術師“ヨメ”は森の中でモンスターに襲われている所を通りがかった青年“イザヤ”
に助けられる。近くに隠棲するという彼に接触したことで魔力が増大したことに気付いた
彼女が問いただすと彼は驚くべき事実を明かす。興味が沸いた彼女はある提案をする──。

魔王に押し付けられた魔力が活用できる、と気付かせてくれた“ヨメ”と持ちつ持たれつ
の関係を結んだ“イザヤ”。彼を甲斐甲斐しく世話する彼女の言動はまさに嫁のようで、
これが実に可愛い。仕事上のパートナーという割には姉に嫉妬してみたり、とかもうね。

共同生活を営む“ヨメ”へのやっかみから勝負を挑んでくる同業の“マリーゴールド”。
彼女の登場を機に、ひとりじゃないということは素敵なことだということを印象づけて
くる話運びに心が温まります。“ヨメ”が酒で次々に失敗してくれることを期待します。

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2018年06月14日

『魔術破りのリベンジ・マギア 4.絶唱の歌姫と魔女たちの祭宴』

子子子子子子子 先生が贈るハイエンド魔術バトルアクション。第3巻は魔女学園に戻った
“晴栄”たちが季節の祭典でエキシビションマッチに臨むなど、お祭り騒ぎを楽しみます。
(イラスト/伊吹のつ 先生)

http://hobbyjapan.co.jp/hjbunko/lineup/detail/787.html


「バーチャルのじゃロリ狐娘Youtuberおじさん」こと ねこます 氏とも本編でコラボする
あたりは時代というか、界隈の勢いを感じます。まぁ、“狐狼丸”カワイイですからね。
冒頭で“晴栄”に釘を刺した監査官“ヴェロニカ”からの忠告も吹き飛ぶというものです。

“鴨女”の攻勢、“フラン”との再会、“露花”の転入と“晴栄”を囲む女性陣に羨望の
眼差しを向けたくなる中で、新たに「七虹の魔女」の一人“シナトラ”に目をつけられる
訳ですが……大丈夫かこの学園、という一面をも見せつけてきます。考えた先生すごいわ。

共感覚に関する相談に乗ってもらう“シナトラ”からの願いで特別実演をすることになる
“晴栄”が、その意外な戦い方に対してお祭りらしいスタイルで応じる場面が盛り上がり
を魅せます。それぞれの奏でる音色が楽しい青春の色に染まることを願って止みません。

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2018年06月13日

『戦うパン屋と機械じかけの看板娘〈オートマタンウェイトレス〉 8』

SOW 先生が贈る街角パン屋繁盛記。第8巻はワイルティア国内に混乱の火種がくすぶる中、
“ルート”の店に“スヴェン”の父親だと主張する謎の人物が現れ周囲が騒然となります。
(イラスト/ザザ 先生)

http://hobbyjapan.co.jp/hjbunko/lineup/detail/785.html


冒頭の意味深長な場面挿入が“ルート”たちや“ダイアン”らにどう直撃するか。続々と
降りかかる事件の先に見える「悪魔」や「聖女」といった存在が物語をどうかき回すのか
注目が集まります。今のところ、巻き込まれる方はたまったものではない感じはしますが。

“ルート”も知らないパン作りの知識も活かして彼の店に厄介となる“マイッツァー”が
これまた“スヴェン”も手を焼く曲者で。興味津々な二人のやり取りを注意深く見守る中、
“レベッカ”が思いがけず役得に恵まれるシーンに今巻では一番救われる思いがしました。

思わせぶりな“マイッツァー”が、“ルート”と“スヴェン”に見て見ぬふりをしていた
事実と向き合うきっかけを与え、そして二人がそれを再認識する……余裕もなく騒々しい
3日間の終わりと、未曽有の経験をもたらす9日間の始まりを告げる引きが気になります。

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2018年06月12日

-インフィニット・デンドログラム- 7.奇跡の盾』

海道左近 先生が贈る絶好調VRMMOファンタジー。第7巻は“ネメシス”の第三形態が未知数
という点に困惑を隠せない“レイ”の前に、これまた相性の悪い古代伝説級の敵が現れます。
(イラスト/タイキ 先生)

http://hobbyjapan.co.jp/hjbunko/lineup/detail/786.html


スキルを解析する手伝い、と称していきなり投擲されるとは。“ネメシス”も不憫な娘で。
そんなのほほんとした情景から一転して「コクテン様」なる圧倒的な悪意にも不屈を貫く
彼が“ネメシス”の第三形態でどう立ち回るのか。繰り広げられるバトルが今巻も熱い。

戦いの舞台となるトルネ村で“レイ”を狙うPK騒動が発生するも“ビースリー”が制裁に
乗り出す場面が容赦なくて実に爽快。見せ場の一つです。“リューイ”のエピソードでは
思わせぶりな話をこれでもかと盛り込んで最後に引っくり返してくるあたり、素敵です。

巻末に入れこまれる外伝で描かれるのは“シュウ”の冤罪投獄騒動。裏で“ルーク”が
捜査に乗り出してあっさり見つける「正体不明」な真犯人の珍妙な行動にどう対処するか。
エピローグに至る過程を楽しむと共に、地獄の特訓の成果が活かされるか注目したいです。

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2018年06月11日

『好きって言えない彼女じゃダメですか? 帆影さんはライトノベルを合理的に読みすぎる』

玩具堂 先生が贈る新作は、ライトノベルをもとに不可思議な理論を展開する少女とその
彼氏のはずの少年、彼女の言動に振り回される彼の妹、3人を軸に描かれるラブコメです。
(イラスト:イセ川ヤスタカ 先生)

https://sneakerbunko.jp/product/hokagesan/321803000497.html


ある事情から毛嫌いするラノベのことをこれまた嫌いな兄に教えを乞うことになる“映”。
“天太”は漫研の“伊井坂”を紹介するが早速、女性キャラが胸を強調する絵に噛みつく。
そこへ文芸部員の“帆影”が、それは「人類の本質に関わる話」だと持論を展開する──。

胸にコンプレックスを抱く“映”に対して殊更「おっぱい」を連呼したり、壮大な話へと
繋げたり、奇矯な女の子という印象を受ける“帆影”。彼氏であるはずの『天太』が首を
傾げたくなるのも納得で。それにしても『子ひつじは迷わない』の使い方は絶妙でした。

“映”がラノベのことを知ろうとした契機にも関与してくる“帆影”の誤解を招く発言の
数々を訝しむのも無理はなく。“帆影”も自覚していますが最後まで読めばその不信感は
払拭され、謎多き彼女が可愛いと目に映ること間違いなし。推していきたいラブコメです。

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2018年06月08日

『笑う書店員の多忙な日々』

石黒敦久 先生が贈る新作は、とある駅前にある本屋を舞台に業界の苦境やお客様トラブル
にもめげることなく笑みを浮かべながら本を売る、そんな書店員さんらの日常を描きます。
(イラスト/uki 先生)

http://mwbunko.com/978-4-04-893880-8/


本屋に憧れを抱き、お嬢様として育てられた親元を離れ、東京の小さな書店でアルバイト
を始めた“紗和”。「一週間もつかどうか」ベテラン勢からすれば憧れだけで勤めるのは
難しいと揶揄する中、教育係として“奈津”は彼女の働きぶりを注視していくのだが──。

年に8万もの書籍が刊行される中で本屋が置けるものは一握り。好きな本ではなく売れる
本を並べるのが本屋だということを、“紗和”の視点から痛烈に感じ取ることができます。
本来なら知り得ない書店員によくある話題を垣間見れる背徳感に似た面白さが味わい深い。

だからこそ「八万分の一の一」で“奈津”が“紗和”と組んで、売れるかどうか未知数の
新人作品を売りたいと色々なものに抗おうと奮闘する様子が熱く胸に響くものがあります。
期待の本を売る顛末を経て彼女らは笑うことが出来るのか、ぜひ読んでお確かめください。

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2018年06月07日

『ゲーマーズ! 10 天道花憐と不意打ちアップデート』

葵せきな 先生が贈る、こじらせゲーマーたちのすれ違い青春ラブコメ。大台に乗る第10巻
は“亜玖璃”を賭けた“真音”との激戦を経て“景太”が迎えるバレンタインを描きます。
(イラスト:仙人掌 先生)

http://www.fujimishobo.co.jp/bk_detail.php?pcd=321703000998


「雨野景太濃いめラテ」の供給とはよく言ったもので、冒頭の熱い激戦は何だったのかと
言いたくなる“景太”のやらかし具合には思わず苦笑い。とは言え、彼の煮え切らない
恋愛感情をいやが上にも掻き立てていく“真音”の強気な言動から目が離せない展開です。

何だかアレなチョコを準備する“花憐”など、女性陣とそれなりに近づいた距離感を認識
しながら迎えるバレンタインの結果が何を意味するか。それに気付き戦慄する“景太”の
ヘタレ具合に釘を刺すのもまた“真音”であり、彼を行動に移させたのは功労賞モノです。

何だかんだ言いながらもイイ雰囲気を作り出していく“景太”と“花憐”。実に羨ましい
様子を眺めながら“真音”対策に余念がない彼らを懲りない奴らだとつい見守りたくなる
なんて余裕に構えていたらあんな引きを用意してくれて、泥沼にならないかと心配です。

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2018年06月06日

『ようこそ実力至上主義の教室へ8』

衣笠彰梧 先生が贈る新たな学園黙示録。第8巻は「vs2年生編」として3学期に突入した
1年生が2年生、3年生と合流しグループ分けをして臨む混合合宿で波乱の幕を開けます。
(イラスト:トモセシュンサク 先生)

https://mfbunkoj.jp/product/youzitsu/321712001035.html


他クラスのみならず他学年まで巻き込んでのグループ分けで軋轢が生じようがお構いなし。
静観を決め込んだ“清隆”の思いを他所に“堀北”兄に勝負を挑む“南雲”や、何者にも
左右されない“高円寺”、動きがないだけに不気味な“龍園”など不安要素が満載です。

“高円寺”の行動理念が垣間見えましたけど、これは喰えない存在だと再認識する所で。
それにしてもアレの勝負にまで駆り出させるとは。更に挿絵指定してくるあたり攻めの
姿勢が窺えるというもの。話の筋からは全く外れる逸話でしたが、妙に印象に残ります。

今回は退学のリスクが高い、ということで各所の動向に神経を尖らせる“清隆”が掴んだ
“堀北”兄の弱み。そこに“南雲”がどう付け込むのか。中々えげつないので一見の価値
アリかと。予想以上に強敵な“南雲”に“堀北”兄は対応しきれるのか、気になります。

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2018年06月05日

『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか外伝 ソード・オラトリア10』

シリーズ累計900万部超! 大森藤ノ 先生の大人気シリーズ「ダンまち」スピンオフ作品。
第10巻は竜女を助けた“ベル”の釈明なき言動に惑わされた“アイズ”たちを描きます。
(イラスト:はいむらきよたか 先生)

http://www.sbcr.jp/products/4797394603.html


愚者と罵られた“ベル”の愚行、その意味を知ってもなお「怪物を殺す」と意思表示する
“アイズ”。彼女の信条も分かるだけに、最後につぶやいたあの一言に至るまでの葛藤が
痛いほど伝わってきます。このままだと自己矛盾で足元をすくわれそうなのが心配です。

もう一人、“ベル”に魂を揺さぶられたのが“フィン”。「英雄」というものに人一倍
思い入れがある彼だけに、愚者と言われても自分を貫き通した“ベル”を見て何を思い、
行動したのかが描かれる場面は印象深いものばかり。求められる英雄像に要注目です。

他にもロキ・ファミリアの面々、そして神々が“ベル”にどんな感情を抱いていたかなど
すでに“ベル”の事情を知っているからこそ、その裏側で何があったのかを描いてくれる
本作の位置づけが実にありがたいと再認識した今巻。まだまだ楽しめると期待しています。

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2018年06月04日

『自称Fランクのお兄さまがゲームで評価される学園の頂点に君臨するそうですよ?4』

三河ごーすと 先生が贈る学園ゲーム系頭脳バトル。第4巻は執拗に狙ってくる“水葉”と
対峙する“紅蓮”がその対決を、そして脱出ゲームをどう攻略するのか注目が集まります。
(イラスト:ねこめたる 先生)

https://mfbunkoj.jp/product/f-rank/321802000561.html
https://comic-walker.com/contents/detail/KDCW_MF02200276010000_68/


“フラヴィア”の絶対的な幸運に“朝人”が対抗できるのか。これだけでも有利・不利が
交錯する熱い展開です。その上、二人の勝負に“紅蓮”が思いがけない方向から介入する
ものだから、なお面白い。彼女の能力と共に隠している秘密も興味深いものがありました。

羨望する人になりたくて変わった“水葉”と、あくまで妹のためにと変わらない“紅蓮”。
真剣勝負をしたくてたまらない彼女に対して、ひたすら精神的な圧力を仕掛けていく彼の
思い描く「勝利」の形がまた予想外で、よく考えついたものだと感心するしかありません。

“可憐”の期待に応えながらも、思わぬ横槍で絶句されられる“紅蓮”。彼が今回の件を
経て、かねてから求める日常を「彼女」に託す場面がまた印象深い。見開きの絵も込みで。
ラストの挿絵とあの一言も不穏当だし、引きも気になるし、で続きも楽しみと言えるかと。

posted by 秋野ソラ at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル