新井輝 先生が贈る新作は、偶然に作家となった青年が、突然に遭遇した土地神の「誰かを
助けたい」気持ちに応え、思わぬ経験を通じて友情と執筆の機会を得ていく様を描きます。
(イラスト:あおいれびん 先生)
【 https://www.kadokawa.co.jp/product/321711000895/ 】
何となく書いた作品が大当たりした“光”だが、次回作が書けず忘れられた作家となって
久しい。そんな彼が幼少の記憶も朧げな生まれ故郷へ戻ると猫の姿をした土地神に出会う。
忘れられた存在からの脱却を願う、威厳のない土地神の気まぐれに付き合ってみるが──。
仕事に限界を感じで出戻ってきた“美羽”から自分のことを覚えていないという“光”に
「このわすれもんが」と怒られる場面があります。この「わすれもん」がその土地で示す
意味に“光”と土地神との因果が込められていることを知るまでの展開が何とも興味深い。
祟り話や迷子探しなど他の土地神や困っている人を助けようと行動する“光”と土地神の
気心知れたやりとりに和みます。思いがけず手に入れた平穏をあっさり崩される“光”が
見せる言動、機微の変化にもご注目。あとがきで触れられたご縁にも目を惹く一作です。
2018年05月03日
2018年05月02日
『乃木坂明日夏の秘密』
『乃木坂春香の秘密』シリーズ完結から約6年。“春香”の娘“明日夏”たちを軸にした
次世代シークレット・ラブコメを再び しゃあ 先生と組んで 五十嵐雄策 先生が綴ります。
(イラスト/しゃあ 先生)
【 http://dengekibunko.jp/newreleases/978-4-04-893798-6/ 】
私立白城学園のAMW(アニメ・マンガ・ウォッチング)研究会に所属する“善人”は幼馴染
である“冬姫”のガチさには劣る、ライトなアキバ系男子。同じ会に所属する乃木坂家の
令嬢“明日夏”のある秘密を偶然知ったことで日常生活を共に過ごす機会が増えるが──。
“春香”の時とは真逆で「アキバ系ではないこと」をひた隠しにする“明日夏”の苦悩は
真剣であるが故に、つい微笑ましく映ってしまいます。血が為せる業なのかも知れません。
窮地を度々救ってくれる“善人”に秘密を知る度、彼女が思慕の念を抱くのも自然な流れ。
やがて乃木坂家のホームパーティに招かれ家族の覚えもよくなった所で、最大級の秘密を
“明日夏”自身から打ち明けられた“善人”の決意が、この時ばかりは格好良く見えます。
46個すべての秘密を知って彼はどう立ち居振舞うのか。想像するだけでも楽しいものです。
次世代シークレット・ラブコメを再び しゃあ 先生と組んで 五十嵐雄策 先生が綴ります。
(イラスト/しゃあ 先生)
【 http://dengekibunko.jp/newreleases/978-4-04-893798-6/ 】
私立白城学園のAMW(アニメ・マンガ・ウォッチング)研究会に所属する“善人”は幼馴染
である“冬姫”のガチさには劣る、ライトなアキバ系男子。同じ会に所属する乃木坂家の
令嬢“明日夏”のある秘密を偶然知ったことで日常生活を共に過ごす機会が増えるが──。
“春香”の時とは真逆で「アキバ系ではないこと」をひた隠しにする“明日夏”の苦悩は
真剣であるが故に、つい微笑ましく映ってしまいます。血が為せる業なのかも知れません。
窮地を度々救ってくれる“善人”に秘密を知る度、彼女が思慕の念を抱くのも自然な流れ。
やがて乃木坂家のホームパーティに招かれ家族の覚えもよくなった所で、最大級の秘密を
“明日夏”自身から打ち明けられた“善人”の決意が、この時ばかりは格好良く見えます。
46個すべての秘密を知って彼はどう立ち居振舞うのか。想像するだけでも楽しいものです。
2018年05月01日
『ぼくたちのリメイク4 「いってらっしゃい」』
木緒なち 先生が贈る青春リメイクストーリー。第4巻は思わぬ決別から11年の時が過ぎ、
元の年齢に戻った“恭也”が“亜貴”と幸せな人生を作り直したところから始まります。
(イラスト:えれっと 先生)
【 https://mfbunkoj.jp/product/bokutachi-remake/321712001027.html 】
気がつけば娘がいて。その娘は“亜貴”と結婚してできた子供で。けど彼女は、いや彼女
だけでなく“奈々子”も“貫之”も夢を諦めていて。これが幸せな結末かと自問自答する
“恭也”の姿が何とも痛ましい。それを受け止める“亜貴”が吐露した心情も、また然り。
ソーシャルゲームの開発会社で以前と同様にゲームディレクターを務める“恭也”。彼が
目にする上司となった“河瀬川”に対する理不尽な仕打ちに何もできないと不甲斐なさを
滲ませる様子はまさに悲愴。仕方ない、で本当に済ませてしまうのかハラハラするばかり。
飛行機で飛び立つ“河瀬川”を見送った“恭也”が出会う「あの人物」が全てを物語る訳
ではありませんが、仮初めのハッピーエンドに終止符を打つ彼の決意を揺るぎないものと
するのは納得の展開。とは言え“貫之”の問題をどう解決するのか、そこが残課題です。
元の年齢に戻った“恭也”が“亜貴”と幸せな人生を作り直したところから始まります。
(イラスト:えれっと 先生)
【 https://mfbunkoj.jp/product/bokutachi-remake/321712001027.html 】
気がつけば娘がいて。その娘は“亜貴”と結婚してできた子供で。けど彼女は、いや彼女
だけでなく“奈々子”も“貫之”も夢を諦めていて。これが幸せな結末かと自問自答する
“恭也”の姿が何とも痛ましい。それを受け止める“亜貴”が吐露した心情も、また然り。
ソーシャルゲームの開発会社で以前と同様にゲームディレクターを務める“恭也”。彼が
目にする上司となった“河瀬川”に対する理不尽な仕打ちに何もできないと不甲斐なさを
滲ませる様子はまさに悲愴。仕方ない、で本当に済ませてしまうのかハラハラするばかり。
飛行機で飛び立つ“河瀬川”を見送った“恭也”が出会う「あの人物」が全てを物語る訳
ではありませんが、仮初めのハッピーエンドに終止符を打つ彼の決意を揺るぎないものと
するのは納得の展開。とは言え“貫之”の問題をどう解決するのか、そこが残課題です。