みかみてれん さんのサークル「てれたにあ」が頒布する新刊は、病弱な少女の前に現れた
笑顔満面の死神が残された日々の中でかけがえのない想いを育んでいく感動百合小説です。
(イラスト:風知草 さん カバーデザイン:ゆぞうに さん)
【 http://unnamed.main.jp/teretania/ 】
【 http://www.toranoana.jp/mailorder/article/04/0030/62/61/040030626114.html 】
「あたしは、紗夜さんのことを幸せにしようと思ってやってきたんです!」そう力説する
死神“エミリー”に面食らう彼女であったが、友人として、そして想い人として深い関係
を築いていく。死神に叶えたい「やり残したこと」を尋ねられた“紗夜”は悩んだ末──。
迫る死を前に、生きることへの諦めを感じていた“紗夜”が“エミリー”との邂逅を経て
活き活きと、そして積極的になっていく様子。さらに“エミリー”が翻弄される雰囲気が
まず尊い。それだけに二人を分かつ瞬間のやり取りが見せる切なさといったらもうつらい。
物語は変則二部構成で、もう一組の少女と死神の話が描かれる中で“紗夜”と“エミリー”
二人が出会った意味が分かったときの高揚感と畳みかけるエピローグに尊さが深まること
間違いなし。思わず読み返したくなる仕掛けが実に絶妙。オススメに値する百合小説です。
2018年05月24日
2018年05月23日
『スカートのなかのひみつ。』
宮入裕昂 先生の「第24回電撃小説大賞」最終選考作品。級友に致命的な秘密を知られた
少年が、その好奇心に振り回され思いがけない道へ突き進んでいく青春模様を描きます。
(イラスト/焦茶 先生)
【 http://dengekibunko.jp/newreleases/978-4-04-893828-0/ 】
学校へと続く坂道に時折吹く強風にたなびくスカート。“天野”の無防備な瞬間を見た
“八坂”は有無を言わさずお茶に誘う。想像を超越した級友の仕上がり具合に驚嘆した
“八坂”は、秘密を知られて気が気でない“天野”にとんでもないある依頼をする──。
好きになった女の子のために留年までした“八坂”から電車内で頻出する変質者の退治を
持ち掛けられた“天野”が何の因果かアイドルを目指すことになる一方、同じく強風が縁
で“広瀬”が知り合った“丸井”の計画するドロボウの片棒を担いでいくことになります。
一見、何の繋がりもない2つの物語、更に登場人物がスカートに隠された秘め事の露出と
共に結びついていることが分かる構成に驚かされます。求める何かに挑む、若さ故の熱量。
特に“八坂”が誰のためにサンタとなりたかったのか見届けてみるのも一興かと思います。
少年が、その好奇心に振り回され思いがけない道へ突き進んでいく青春模様を描きます。
(イラスト/焦茶 先生)
【 http://dengekibunko.jp/newreleases/978-4-04-893828-0/ 】
学校へと続く坂道に時折吹く強風にたなびくスカート。“天野”の無防備な瞬間を見た
“八坂”は有無を言わさずお茶に誘う。想像を超越した級友の仕上がり具合に驚嘆した
“八坂”は、秘密を知られて気が気でない“天野”にとんでもないある依頼をする──。
好きになった女の子のために留年までした“八坂”から電車内で頻出する変質者の退治を
持ち掛けられた“天野”が何の因果かアイドルを目指すことになる一方、同じく強風が縁
で“広瀬”が知り合った“丸井”の計画するドロボウの片棒を担いでいくことになります。
一見、何の繋がりもない2つの物語、更に登場人物がスカートに隠された秘め事の露出と
共に結びついていることが分かる構成に驚かされます。求める何かに挑む、若さ故の熱量。
特に“八坂”が誰のためにサンタとなりたかったのか見届けてみるのも一興かと思います。
2018年05月22日
『ちょっぴり年上でも彼女にしてくれますか?』
望公太 先生が贈る新作は年の差・純愛・甘々ラブコメディ。痴漢に遭っている美少女を
偶然にも助け、一目惚れした少年が思いも寄らぬ恋路を前にどう向き合うかを描きます。
(イラスト:ななせめるち 先生)
【 http://www.sbcr.jp/products/4797396850.html 】
お嬢様学校の制服が似合う“姫”から助けてくれたお礼に、とデートに誘われる“薫”。
友人たちのやっかみ、助言をもとに一世一代の大一番に臨む彼は、自然とほのかな想いを
募らせていく。気持ちを振り絞って告白すると、彼女は涙を流して謝る。その理由が──。
ななせめるち 先生が描く“姫”のムチムチした体が得も言われぬ艶めかしさを醸し出す
上に、どこかポンコツな言動が「アラサーの姫」としての魅力に繋がっています。そんな
一回りも年上な彼女に惚れてしまった“薫”に思わず同情に似た感情を抱いてしまいます。
価値観も金銭感覚も違う二人に対し、それぞれの友人は「年の差恋愛なんて」と否定的。
制服を着て出会ったことに後悔する“姫”と、制服姿で出会ったことを契機ととる“薫”。
体裁を取るか、気持ちを優先するか。各々の葛藤と決断の果てに掴み取る結末をご覧あれ。
偶然にも助け、一目惚れした少年が思いも寄らぬ恋路を前にどう向き合うかを描きます。
(イラスト:ななせめるち 先生)
【 http://www.sbcr.jp/products/4797396850.html 】
お嬢様学校の制服が似合う“姫”から助けてくれたお礼に、とデートに誘われる“薫”。
友人たちのやっかみ、助言をもとに一世一代の大一番に臨む彼は、自然とほのかな想いを
募らせていく。気持ちを振り絞って告白すると、彼女は涙を流して謝る。その理由が──。
ななせめるち 先生が描く“姫”のムチムチした体が得も言われぬ艶めかしさを醸し出す
上に、どこかポンコツな言動が「アラサーの姫」としての魅力に繋がっています。そんな
一回りも年上な彼女に惚れてしまった“薫”に思わず同情に似た感情を抱いてしまいます。
価値観も金銭感覚も違う二人に対し、それぞれの友人は「年の差恋愛なんて」と否定的。
制服を着て出会ったことに後悔する“姫”と、制服姿で出会ったことを契機ととる“薫”。
体裁を取るか、気持ちを優先するか。各々の葛藤と決断の果てに掴み取る結末をご覧あれ。
2018年05月21日
『天才王子の赤字国家再生術〜そうだ、売国しよう〜』
鳥羽徹 先生が贈る新作は弱小国家運営譚。隣国の脅威に晒され、太刀打ちする術もない
小国の王子が、サッサと国を捨てて悠々自適の生活を目指すため様々な策謀を巡らせます。
(イラスト:ファルまろ 先生)
【 http://www.sbcr.jp/products/4797397031.html 】
病床に伏せる国王に代わりナトラ王国の摂政を務めることになった“ウェイン”。聡明で
実績も残す彼が、国の行き詰まりを感じ国を売りたいと切望しているのを知る者は少ない。
そんな彼がアースワルド帝国からの大使との会談、という大一番で打ち出す策とは──。
状況判断に長け、先の先まで見通せる“ウェイン”の策の数々が、興味深い方向に期待を
外していく展開が面白い。彼の幼馴染であり補佐官を務める“ニニム”との気の置けない
関係も微笑ましく映ります。彼女を護る彼の真意がまだ掴みきれないので今後気になる所。
ファルまろ 先生への挿絵指定には際どい場面を入れなくてはならない風潮でもあるのか
と勘繰ってしまうがそこがまた良い。国を売るどころの騒ぎじゃない局面まで話が進んで
なお弱小国家としての窮地が続く王国を前に“ウェイン”はトンズラできるのか注目です。
小国の王子が、サッサと国を捨てて悠々自適の生活を目指すため様々な策謀を巡らせます。
(イラスト:ファルまろ 先生)
【 http://www.sbcr.jp/products/4797397031.html 】
病床に伏せる国王に代わりナトラ王国の摂政を務めることになった“ウェイン”。聡明で
実績も残す彼が、国の行き詰まりを感じ国を売りたいと切望しているのを知る者は少ない。
そんな彼がアースワルド帝国からの大使との会談、という大一番で打ち出す策とは──。
状況判断に長け、先の先まで見通せる“ウェイン”の策の数々が、興味深い方向に期待を
外していく展開が面白い。彼の幼馴染であり補佐官を務める“ニニム”との気の置けない
関係も微笑ましく映ります。彼女を護る彼の真意がまだ掴みきれないので今後気になる所。
ファルまろ 先生への挿絵指定には際どい場面を入れなくてはならない風潮でもあるのか
と勘繰ってしまうがそこがまた良い。国を売るどころの騒ぎじゃない局面まで話が進んで
なお弱小国家としての窮地が続く王国を前に“ウェイン”はトンズラできるのか注目です。
2018年05月18日
『田中〜年齢イコール彼女いない歴の魔法使い〜 7』
ぶんころり先生が贈る王道異世界ファンタジー。第7巻は“ドリス”とリゾートで束の間の
休息を満喫しようとする“田中”に「そうは問屋が卸さない」と厄介事が舞い込んできます。
(イラスト:MだSたろう 先生)
【 http://micromagazine.net/gcn/tanaka/ 】
【 http://comicride.jp/tanaka/ 】
【 https://ncode.syosetu.com/n2662ca/ 】
聖女のお告げにより大聖国へ招かれた“田中”。魔王再来に備えて力を貸してほしいという
要望に戸惑う彼を大聖国に逗留させる彼女の思惑、それが見えてしまうのも“ロコロコ”が
居るからこそ。MだSたろう 先生が描く挿絵の前後比較が印象に残ります。怖いものです。
置いてけぼりな“クリスティーナ”たちの憤りに連れまわされる“ソフィア”が事の裏側を
逐一、見届ける形になり、更に陰謀に巻き込まれる展開が可哀想と言うほかに無く。哀れな
メイドさんを救うことになる「彼女」の真の姿も明らかになるのが今巻の見所の一つかと。
“ゲロス”が探し求めていた人物も、聖女の確執によってもたらされる展開を迎えて情勢は
緊迫の度合いを増す一方。「MF文庫J」から『西野』を刊行して活躍中のぶんころり先生が
物語として折り返し地点を通過した本作をどう結んでいくのか、興味深く見届けたい所です。
休息を満喫しようとする“田中”に「そうは問屋が卸さない」と厄介事が舞い込んできます。
(イラスト:MだSたろう 先生)
【 http://micromagazine.net/gcn/tanaka/ 】
【 http://comicride.jp/tanaka/ 】
【 https://ncode.syosetu.com/n2662ca/ 】
聖女のお告げにより大聖国へ招かれた“田中”。魔王再来に備えて力を貸してほしいという
要望に戸惑う彼を大聖国に逗留させる彼女の思惑、それが見えてしまうのも“ロコロコ”が
居るからこそ。MだSたろう 先生が描く挿絵の前後比較が印象に残ります。怖いものです。
置いてけぼりな“クリスティーナ”たちの憤りに連れまわされる“ソフィア”が事の裏側を
逐一、見届ける形になり、更に陰謀に巻き込まれる展開が可哀想と言うほかに無く。哀れな
メイドさんを救うことになる「彼女」の真の姿も明らかになるのが今巻の見所の一つかと。
“ゲロス”が探し求めていた人物も、聖女の確執によってもたらされる展開を迎えて情勢は
緊迫の度合いを増す一方。「MF文庫J」から『西野』を刊行して活躍中のぶんころり先生が
物語として折り返し地点を通過した本作をどう結んでいくのか、興味深く見届けたい所です。