2018年05月25日

『痛いのは嫌なので防御力に極振りしたいと思います。 3』

おいもとじろう 先生によるコミカライズが決定した、夕蜜柑 先生のノンストレス冒険譚。
第3巻は“メイプル”たちが自分たちのギルドに関して体制面での強化を図っていきます。
(イラスト:狐印 先生)

https://kadokawabooks.jp/product/itainohaiya/321712000895.html
http://ncode.syosetu.com/n0358dh/


コミカライズが決定した、ということで慌てて1巻からまとめ読みをしましたが、本当に
サクサクと読み進められるのがよく分かります。まさにノンストレス。前巻では浮遊要塞
と化した“メイプル”がどんどんやらかしてくれる様子を微笑ましく眺められるものです。

3回目となるイベントではどう振舞うのか、運営側も含めて注目を集める“メイプル”が
これまた斜め上の進化を遂げていく、その面白さは格別です。“クロム”ほか彼女以外の
メンバーも次々と常人の道を外れていく様子も描かれていてどんどんヤバさが増してます。

そして今回、対ギルド戦を意識してスカウトされた極振りキャラの“ユイ”と“マイ”が
これまた面白い成長を見せています。狐印 先生のイラストも絶妙ですね。各々が成長を
遂げたメンバーがどんな団体戦を繰り広げるのか。圧倒する様子を想像しつつ期待します。

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2018年05月24日

『死んじゃうくらい泣いていっぱい幸せになる百合』

みかみてれん さんのサークル「てれたにあ」が頒布する新刊は、病弱な少女の前に現れた
笑顔満面の死神が残された日々の中でかけがえのない想いを育んでいく感動百合小説です。
(イラスト:風知草 さん カバーデザイン:ゆぞうに さん)

http://unnamed.main.jp/teretania/
http://www.toranoana.jp/mailorder/article/04/0030/62/61/040030626114.html


「あたしは、紗夜さんのことを幸せにしようと思ってやってきたんです!」そう力説する
死神“エミリー”に面食らう彼女であったが、友人として、そして想い人として深い関係
を築いていく。死神に叶えたい「やり残したこと」を尋ねられた“紗夜”は悩んだ末──。

迫る死を前に、生きることへの諦めを感じていた“紗夜”が“エミリー”との邂逅を経て
活き活きと、そして積極的になっていく様子。さらに“エミリー”が翻弄される雰囲気が
まず尊い。それだけに二人を分かつ瞬間のやり取りが見せる切なさといったらもうつらい。

物語は変則二部構成で、もう一組の少女と死神の話が描かれる中で“紗夜”と“エミリー”
二人が出会った意味が分かったときの高揚感と畳みかけるエピローグに尊さが深まること
間違いなし。思わず読み返したくなる仕掛けが実に絶妙。オススメに値する百合小説です。

posted by 秋野ソラ at 00:14 | Comment(0) | TrackBack(0) | 同人誌

2018年05月23日

『スカートのなかのひみつ。』

宮入裕昂 先生の「第24回電撃小説大賞」最終選考作品。級友に致命的な秘密を知られた
少年が、その好奇心に振り回され思いがけない道へ突き進んでいく青春模様を描きます。
(イラスト/焦茶 先生)

http://dengekibunko.jp/newreleases/978-4-04-893828-0/


学校へと続く坂道に時折吹く強風にたなびくスカート。“天野”の無防備な瞬間を見た
“八坂”は有無を言わさずお茶に誘う。想像を超越した級友の仕上がり具合に驚嘆した
“八坂”は、秘密を知られて気が気でない“天野”にとんでもないある依頼をする──。

好きになった女の子のために留年までした“八坂”から電車内で頻出する変質者の退治を
持ち掛けられた“天野”が何の因果かアイドルを目指すことになる一方、同じく強風が縁
で“広瀬”が知り合った“丸井”の計画するドロボウの片棒を担いでいくことになります。

一見、何の繋がりもない2つの物語、更に登場人物がスカートに隠された秘め事の露出と
共に結びついていることが分かる構成に驚かされます。求める何かに挑む、若さ故の熱量。
特に“八坂”が誰のためにサンタとなりたかったのか見届けてみるのも一興かと思います。

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2018年05月22日

『ちょっぴり年上でも彼女にしてくれますか?』

望公太 先生が贈る新作は年の差・純愛・甘々ラブコメディ。痴漢に遭っている美少女を
偶然にも助け、一目惚れした少年が思いも寄らぬ恋路を前にどう向き合うかを描きます。
(イラスト:ななせめるち 先生)

http://www.sbcr.jp/products/4797396850.html


お嬢様学校の制服が似合う“姫”から助けてくれたお礼に、とデートに誘われる“薫”。
友人たちのやっかみ、助言をもとに一世一代の大一番に臨む彼は、自然とほのかな想いを
募らせていく。気持ちを振り絞って告白すると、彼女は涙を流して謝る。その理由が──。

ななせめるち 先生が描く“姫”のムチムチした体が得も言われぬ艶めかしさを醸し出す
上に、どこかポンコツな言動が「アラサーの姫」としての魅力に繋がっています。そんな
一回りも年上な彼女に惚れてしまった“薫”に思わず同情に似た感情を抱いてしまいます。

価値観も金銭感覚も違う二人に対し、それぞれの友人は「年の差恋愛なんて」と否定的。
制服を着て出会ったことに後悔する“姫”と、制服姿で出会ったことを契機ととる“薫”。
体裁を取るか、気持ちを優先するか。各々の葛藤と決断の果てに掴み取る結末をご覧あれ。

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2018年05月21日

『天才王子の赤字国家再生術〜そうだ、売国しよう〜』

鳥羽徹 先生が贈る新作は弱小国家運営譚。隣国の脅威に晒され、太刀打ちする術もない
小国の王子が、サッサと国を捨てて悠々自適の生活を目指すため様々な策謀を巡らせます。
(イラスト:ファルまろ 先生)

http://www.sbcr.jp/products/4797397031.html


病床に伏せる国王に代わりナトラ王国の摂政を務めることになった“ウェイン”。聡明で
実績も残す彼が、国の行き詰まりを感じ国を売りたいと切望しているのを知る者は少ない。
そんな彼がアースワルド帝国からの大使との会談、という大一番で打ち出す策とは──。

状況判断に長け、先の先まで見通せる“ウェイン”の策の数々が、興味深い方向に期待を
外していく展開が面白い。彼の幼馴染であり補佐官を務める“ニニム”との気の置けない
関係も微笑ましく映ります。彼女を護る彼の真意がまだ掴みきれないので今後気になる所。

ファルまろ 先生への挿絵指定には際どい場面を入れなくてはならない風潮でもあるのか
と勘繰ってしまうがそこがまた良い。国を売るどころの騒ぎじゃない局面まで話が進んで
なお弱小国家としての窮地が続く王国を前に“ウェイン”はトンズラできるのか注目です。

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2018年05月18日

『田中〜年齢イコール彼女いない歴の魔法使い〜 7』

ぶんころり先生が贈る王道異世界ファンタジー。第7巻は“ドリス”とリゾートで束の間の
休息を満喫しようとする“田中”に「そうは問屋が卸さない」と厄介事が舞い込んできます。
(イラスト:MだSたろう 先生)

http://micromagazine.net/gcn/tanaka/
http://comicride.jp/tanaka/
https://ncode.syosetu.com/n2662ca/


聖女のお告げにより大聖国へ招かれた“田中”。魔王再来に備えて力を貸してほしいという
要望に戸惑う彼を大聖国に逗留させる彼女の思惑、それが見えてしまうのも“ロコロコ”が
居るからこそ。MだSたろう 先生が描く挿絵の前後比較が印象に残ります。怖いものです。

置いてけぼりな“クリスティーナ”たちの憤りに連れまわされる“ソフィア”が事の裏側を
逐一、見届ける形になり、更に陰謀に巻き込まれる展開が可哀想と言うほかに無く。哀れな
メイドさんを救うことになる「彼女」の真の姿も明らかになるのが今巻の見所の一つかと。

“ゲロス”が探し求めていた人物も、聖女の確執によってもたらされる展開を迎えて情勢は
緊迫の度合いを増す一方。「MF文庫J」から『西野』を刊行して活躍中のぶんころり先生が
物語として折り返し地点を通過した本作をどう結んでいくのか、興味深く見届けたい所です。

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2018年05月17日

『海辺の病院で彼女と話した幾つかのこと』

石川博品 先生が贈る新作は、ある日突然に発生した未知の奇病による多くの死者を目にし、
異能を手にした少年が謎の生物との戦いや様々な出会いと別れを振り返る顛末を描きます。
(イラスト:米山舞 先生)

http://ebten.jp/eb-store/p/9784047351639/


とある入院病棟。ある病に罹患した“大槻”は、それが完治したという少年“蒼”に話を
聞かせてほしいと頼む。見舞いに訪れたという“蒼”はそれを承諾し、あの日々の最中で
知り合った“ハルカ”を連れ今も眠り続ける“沙也”の病室で事の真相を語り始める──。

死者千人を超す町の周辺は避難指示が出され、自衛隊によって閉鎖され、人間とは容姿が
異なる「魔骸」なる生物の徘徊に怯え単身逃げ回る“蒼”。彼の切羽詰まった心情と力を
手にしてから復讐の念に基づいて命懸けの戦いに赴く緊迫した情景と日常との対比が凄い。

様々な能力を持つ同年代との少年少女が生と死の狭間で魔骸とどう向き合うか。その果てに
“蒼”が見出だした結論と、けれども報われない結末が何とも切なくて、心苦しくて。その
「彼の残していったもの」が少しでも未来に繋がるものであってほしいと願う他ありません。

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2018年05月16日

『常敗将軍、また敗れる』

北条新九郎 先生の「第11回HJ文庫大賞・大賞」受賞作。戦いに赴けば必ず負ける、そんな
異色の経歴を持つ傭兵が戦乱の最中、とある国の存亡に関わる陰謀に巻き込まれていきます。
(イラスト/伊藤宗一 先生)

http://hobbyjapan.co.jp/hjbunko/lineup/detail/784.html


隣国から大軍の侵攻を受けるヘイミナル王国。国王が病で余命幾ばくもなく風前の灯火と
いう状況の中で王弟“デイル”が提言したのが傭兵“ダーカス”を呼びよせること。彼は
「常敗将軍」と呼ばれ、敗北に繋がると周囲から猛反対を受けるが強引に話は進み──。

2万の軍勢に6千の兵と五百数名の傭兵で立ち向かうことになる王国。負け戦必至の中で
“ダーカス”がこれまで負け続け、それでも生き残ってきた、その矜持を見せつけてくる
話運びが面白い。彼を見極めようとする“ティナ”たちが及ばないのも納得の人物像です。

事の発端となった今回の戦に、当初の動きからは想像もつかない因縁や妄執が絡み合って
王国の負け戦が演出される結末も見所と言えます。話の鍵を握らされる“マルハルド”に
思わず同情の念を禁じ得ません。乱世の時代が生み出した傑物の生き様、とくとご覧あれ。

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2018年05月15日

『→ぱすてるぴんく。』

悠寐ナギ 先生の「第7回講談社ラノベ文庫新人賞・佳作」受賞作。一人でいるのがが好き
という少年が、一年前にネット恋愛で付き合い始めた彼女の来訪から生活を一変させます。
(イラスト:和錆 先生)

http://lanove.kodansha.co.jp/books/2018/5/#bk9784065115138


インターネットでの文字のやり取りから始まり、音声通話、そしてビデオ通話へと関係を
深めてきた“緋色”と“スモモ”。いつか直接会えるかも、と夢見る彼の期待を超えて
同じ高校に進学、そして近くに引っ越してきた彼女の姿を見て思わず顔が火照るが──。

画面越しの恋愛が現実のものとなってから幸せいっぱいの日々を過ごす二人の様子が実に
初々しくて、こそばゆくて。ただ、学校ではやや浮いた存在の“緋色”に突如「彼女」が
現れたことで周囲から好奇の目に晒されることが思わぬ事態を引き起こすことになります。

なぜ“緋色”が「ネット恋愛」という形にこだわったのか。過去の失敗が重くのしかかり
再び恋愛にしり込みしそうになる彼に救いの道はあるのか。“スモモ”の想いは届くのか。
「炎上系青春ストーリー」が示すその意味と二人の恋愛の行方を見届けてほしい物語です。

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2018年05月14日

『三角の距離は限りないゼロ』

岬鷺宮 先生が贈る新作は、「ひとりのわたし」でありたいと願っている二重人格の少女と
人前でキャラを作ってしまう少年の出会いが織り成す、少々変わった三角関係を描きます。
(イラスト/Hiten 先生)

http://dengekibunko.jp/newreleases/978-4-04-893829-7/


お気に入りの文学小説を読んでいる所を見られ、気恥ずかしさを覚える“四季”。それが
“秋玻”との、そして彼女のもう一つの人格“春珂”との出会いのきっかけ。入れ替わる
人格の違いに驚きつつも、彼は彼女らの学校生活をサポートしようと決意するのだが──。

しっかり者の“秋玻”に一目惚れした“四季”を、うっかり者の“春珂”が後押ししよう
とする構図に周囲から「付き合っているのか」と揶揄される様子は微笑ましさを覚えます。
けれど、冒頭で手紙を書く場面が暗喩する不穏な状況が彼女らに降りかかる時を迎えます。

人は誰しも矛盾を抱えて生きている。それをどう折り合いをつけるか。彼と彼女らの立場
それぞれに機微を描く先生の手腕には相変わらず心揺さぶられるほどに惚れ惚れします。
ラストのあの場面は中々に卑怯で良いですね。口絵は最後に見ることを推奨しておきます。

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2018年05月11日

『勤労魔導士が、かわいい嫁と暮らしたら? 2 「はい、しあわせです!」』

空埜一樹 先生が贈る新婚スローライフ・ファンタジー。第2巻は“リルカ”が“ジェイク”
に対して突如「実家に帰らせて頂きたいのですが」と告げる衝撃の一幕から話は始まります。
(イラスト/さくらねこ 先生)

http://hobbyjapan.co.jp/hjbunko/lineup/detail/782.html


有給休暇の強制消化を命じられた“ジェイク”が“リルカ”の里帰りに同行。彼女の家族
からも覚えが良い感じで何とも微笑ましい。そこへ友人の“アネス”が現れ結婚に猛反発
してきますが全く太刀打ちず、これまた可愛らしい。流す涙に込められた想いが尊いです。

旅行から戻ると今度は“ジェイク”に弟子入りしたい“サーヤ”が職場に押し掛けてきて、
それを見た“リルカ”のヤキモチを焼く様子に思わず床をゴロゴロ転がりたくなりました。
無茶をする“サーヤ”に自信の過去を重ねて助言する“ジェイク”の言葉が心に響きます。

そして軟派な同僚“ザック”に訪れる心境の変化、思いがけない人生の岐路。“ジェイク”
と“リルカ”も少なからずそこに関与する形で進む話の先に彼が選ぶ道が潔く男を魅せて
くれます。さくらねこ 先生の挿絵がどれも美麗すぎて眼福の一言。ごちそうさまでした。

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2018年05月10日

『察知されない最強職(ルール・ブレイカー)1』

三上康明 先生の「小説家になろう」投稿作が書籍化。交通事故死した少年が死後の世界で
人助けしたことを契機にある頼み事を果たすため異世界に転生する、その命運を描きます。
(イラスト:八城惺架 先生)

https://herobunko.com/books/hero59/8069/
https://ncode.syosetu.com/n5475dz/


腐敗した貴族政治に巻き込まれ、両親を冤罪で殺された“ローランド”。彼は復讐のため
「世界を渡る術」の研究を成し遂げるが、襲撃されてしまう。命を失う僅かな時間、術を
行使し、死後の世界で己の体を転生先とする代わりに復讐を果たしてくれる人を探す──。

ステータスが見えるもののスキルツリーの全容は見えない中で、“ローランド”の体に転生
した“ヒカル”が1時間の中でどう復讐を遂げるのか。その緊張感で話に惹き込まれます。
選んだ選択肢が後に冒険者として生きていく上でもプラスに働いていくのがまた興味深い。

冒険者として急速に経験を積んでいく“ヒカル”が、復讐の場での窮地を救ってくれた少女
“ラヴィア”にその罪を被せられようとしたとき、立ちはだかる強敵にどう立ち向かうか。
熱い戦いの果てに迎える結末、そして“葉月”先輩の思わせぶりな言葉にも注目の一作です。

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2018年05月09日

『大須裏路地おかまい帖 あやかし長屋は食べざかり』

Swind 先生が「神凪唐州」名義で贈る新作は、小神社の神主と居酒屋の雇われ店長を兼ねる
青年があやかしたちと様々な騒動の解決に勤しむ物語。なごやめし普及促進協議会公認です。
(イラスト:平沢下戸 先生)

http://tkj.jp/book/?cd=72817601


人や動物に擬態する「あやかし」たちが暮らすあやかし長屋の一角にある居酒屋「なご屋」。
“諒”はあやかしを視る能力を活かし、そこで店長を務める。神主で賄えない日銭のために。
ある日、弱った子猫を拾い食事を与えてみると少年の姿を取り戻すも記憶がないと言い──。

“諒”が養うことになる記憶喪失の少年“トータ”が長屋の人々から助けられたり、思わぬ
友達を得ることで成長していく様子が微笑ましい。もちろん「協議会公認」の名に恥じない
名古屋ならではの食べ物をおいしく口にする描写の絶妙さは、読了後に思わず食が進むほど。

大須の地を舞台に起こる、あやかし由来の騒動を解決していく内に、“トータ”が鍵を握る
ようになっていく展開に注目。彼の成長と騒動の結末を見届ける面白さがあります。そして
長屋の大家“朱音”の立ち居振る舞いを推しておきたいところです。おススメしておきます。

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2018年05月08日

『ファイフステル・サーガ 再臨の魔王と聖女の傭兵団』

「火の国、風の国物語」シリーズの 師走トオル 先生が贈る新たな叙事詩。魔王再臨を前に
自分の死を夢に見る聖女と婚約することになる少年が共に死を回避する術を探し続けます。
(イラスト:有坂あこ 先生)

http://www.fujimishobo.co.jp/bk_detail.php?pcd=321712000906


魔王戦役から数百年経った今も魔物から国を守るため戦う《狂嗤の団》。その団長の息子
“カレル”は幼き頃に禁忌を恐れずエルフの教えを請い18になってからは国中を渡り歩く
日々を過ごしていた。そんな彼が英雄譚の中心に担がれていく、運命の瞬間が訪れる──。

聖女“セシリア”の秘密を共有する“カレル”が自分の能力や立ち位置を正確に分析して
最善の手を尽くそうとする、実直な姿勢に好感が持てます。死が予知できることを逆手に
取る仕掛けが絶妙です。“ミーリエル”がさばさばとしているのも実に良いと思います。

巻末に推薦文を寄せた 大森藤ノ 先生も言及されています通り暗愚王子“ヴェッセル”が
主人公を超えるくらい言動で魅せてくれるので目が離せません。“イエッタ”も同様に。
強国に攻められる窮地の救い方も見事なもので、胸が熱くなります。続きが楽しみです。

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2018年05月07日

『15歳でも俺の嫁! 交際0日結婚から始める書店戦争』

庵田定夏 先生が贈る新作は出版業界、中でも「取次」に焦点を当てた歳の差ラブコメディ。
初対面の女子中学生に求婚された大手出版販売会社に勤める会社員の激動の日々を描きます。
(イラスト:はまけん。先生)

https://mfbunkoj.jp/product/15yome/321712001032.html


出版社と書店の間を取り持つ出版販売会社に勤める27歳の会社員“賢一”。見ず知らずの
美少女中学生“アリサ”に求婚され、思わず受け入れた彼は有無を言わさず彼女の祖父に
「貴様はワシの孫を幸せにすると、誓うか?」と凄まれる。急転直下の展開に、彼は──。

日本の出版流通を語る上で外せない「取次」について解説しているのがまず注目すべき点。
それを踏まえて“賢一”と“アリサ”の結婚騒動と、通販大手の外圧に抗う大規模書店の
生き残りを賭けた企業戦争が織り交ざる展開にハラハラドキドキ、胸を熱くさせられます。

やがて数の暴力に晒される“アリサ”と“賢一”。心挫けそうになる彼女を、窮地の中に
あるはずの彼が屈せずにどう救うのか。彼女が彼に結婚を誘った裏付けもしっかりあって
ラブコメとしても十二分に楽しめる作品に仕上がっています。激しくお薦めしておきます。

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2018年05月04日

『信長とセーラー服 時をかける大和撫子』

井の中の井守 先生が贈る新作は、戦国時代を行き来して“織田信長”と出会うきっかけを
得た美少女が、挫折を引きずって内向的になっていた自分を変えようとする様を描きます。
(イラスト:ぼに〜 先生)

http://www.bishojobunko.jp/c/item/82960021064270000000.html


愛知の名門お嬢様学校に通う“静香”。校外学習で訪れた名古屋城で彼女にしか見えない
光る岩に触れた瞬間、眩しさの先に現れた見慣れぬ日本家屋に驚くほどの美少年。彼こそ
若かりし“信長”だが逢瀬の時は短く、現代に引き戻される。彼女は異変を調べるが──。

“信長”の足跡を追うことで時間逆行する機会を得る“静香”が彼の育ての親“政秀”を
失う場面に立ち会った時、自身と同じ境遇に身を重ね、生まれる母性のままに体で慰める
転機を迎えます。そこから彼の生き様に感化され、思慕の念を募らせる彼女がいじらしい。

時間逆行と共に歳を重ねる“信長”に対し美少女のままな“静香”。やがて迎える歴史的
瞬間、彼の死を前に二人はどんな決断を下すのか。二人の悲痛な想いを押し潰す炎の先に
彼女が流す涙の理由をぜひ見届けてほしい。冒頭を読み返すと、より納得感が増します。

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2018年05月03日

『土地神様のわすれもん』

新井輝 先生が贈る新作は、偶然に作家となった青年が、突然に遭遇した土地神の「誰かを
助けたい」気持ちに応え、思わぬ経験を通じて友情と執筆の機会を得ていく様を描きます。
(イラスト:あおいれびん 先生)

https://www.kadokawa.co.jp/product/321711000895/


何となく書いた作品が大当たりした“光”だが、次回作が書けず忘れられた作家となって
久しい。そんな彼が幼少の記憶も朧げな生まれ故郷へ戻ると猫の姿をした土地神に出会う。
忘れられた存在からの脱却を願う、威厳のない土地神の気まぐれに付き合ってみるが──。

仕事に限界を感じで出戻ってきた“美羽”から自分のことを覚えていないという“光”に
「このわすれもんが」と怒られる場面があります。この「わすれもん」がその土地で示す
意味に“光”と土地神との因果が込められていることを知るまでの展開が何とも興味深い。

祟り話や迷子探しなど他の土地神や困っている人を助けようと行動する“光”と土地神の
気心知れたやりとりに和みます。思いがけず手に入れた平穏をあっさり崩される“光”が
見せる言動、機微の変化にもご注目。あとがきで触れられたご縁にも目を惹く一作です。

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2018年05月02日

『乃木坂明日夏の秘密』

『乃木坂春香の秘密』シリーズ完結から約6年。“春香”の娘“明日夏”たちを軸にした
次世代シークレット・ラブコメを再び しゃあ 先生と組んで 五十嵐雄策 先生が綴ります。
(イラスト/しゃあ 先生)

http://dengekibunko.jp/newreleases/978-4-04-893798-6/


私立白城学園のAMW(アニメ・マンガ・ウォッチング)研究会に所属する“善人”は幼馴染
である“冬姫”のガチさには劣る、ライトなアキバ系男子。同じ会に所属する乃木坂家の
令嬢“明日夏”のある秘密を偶然知ったことで日常生活を共に過ごす機会が増えるが──。

“春香”の時とは真逆で「アキバ系ではないこと」をひた隠しにする“明日夏”の苦悩は
真剣であるが故に、つい微笑ましく映ってしまいます。血が為せる業なのかも知れません。
窮地を度々救ってくれる“善人”に秘密を知る度、彼女が思慕の念を抱くのも自然な流れ。

やがて乃木坂家のホームパーティに招かれ家族の覚えもよくなった所で、最大級の秘密を
“明日夏”自身から打ち明けられた“善人”の決意が、この時ばかりは格好良く見えます。
46個すべての秘密を知って彼はどう立ち居振舞うのか。想像するだけでも楽しいものです。

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2018年05月01日

『ぼくたちのリメイク4 「いってらっしゃい」』

木緒なち 先生が贈る青春リメイクストーリー。第4巻は思わぬ決別から11年の時が過ぎ、
元の年齢に戻った“恭也”が“亜貴”と幸せな人生を作り直したところから始まります。
(イラスト:えれっと 先生)

https://mfbunkoj.jp/product/bokutachi-remake/321712001027.html


気がつけば娘がいて。その娘は“亜貴”と結婚してできた子供で。けど彼女は、いや彼女
だけでなく“奈々子”も“貫之”も夢を諦めていて。これが幸せな結末かと自問自答する
“恭也”の姿が何とも痛ましい。それを受け止める“亜貴”が吐露した心情も、また然り。

ソーシャルゲームの開発会社で以前と同様にゲームディレクターを務める“恭也”。彼が
目にする上司となった“河瀬川”に対する理不尽な仕打ちに何もできないと不甲斐なさを
滲ませる様子はまさに悲愴。仕方ない、で本当に済ませてしまうのかハラハラするばかり。

飛行機で飛び立つ“河瀬川”を見送った“恭也”が出会う「あの人物」が全てを物語る訳
ではありませんが、仮初めのハッピーエンドに終止符を打つ彼の決意を揺るぎないものと
するのは納得の展開。とは言え“貫之”の問題をどう解決するのか、そこが残課題です。

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